メクレロ!

ふしかのとう

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第七章 降臨

第4話

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 チウンはずるい。

 なんでも知ってるくせに、話すの好きなくせに、大事なこととかはなんとなくぼやかしたりして教えてくれない。そりゃ、全部が全部ぺらぺら喋るのはだめだってのはわかるけどさ。

 チウンは昔からそうだ。言わないと決めたら何度聞いても全然言わないし、そのうち私は字引じゃないとか言い出す。つるつるなんだから、私が聞いたこともつるつる口を滑らせて喋ったら良いのに。

 結局、何を審議していたのかはチウンにとって言わない方に入るらしく、タキちゃんが魔法を使うのに間に合わなくなるくらい大事なことだったみたい。そりゃまぁ、チウンにとってタキちゃんは友達の子供なだけだから最優先じゃないのはわかるけど、それならそれでザラが来るとか…あれ?


 「ねぇチウン?ザラも、タキちゃんが魔法使ったこと知ってるんだよね?なんで来ないの?」

 「ザラ様も勿論知っている。だが、ザラ様はミコーディアミックのところに行っている。」

 「ミコちゃんの?」

 「ああ。本当はザラ様もこっちに来たがっていたのだが、私もこっちが良かったからな。ザラ様は渋々ミコーディアミックを迎えに行ってる。」

 「渋々なの?」

 「こっちはタキ君も居るし、何より助けに来た!って感じで格好良いだろ?だが私も、格好良く姿を現す練習をしてたからな。少し揉めた結果、コインで勝負したら私が勝ったんだ。」

 くだらない。

 「私がツヅミの準備してても後ろでぶつぶつ文句言ってたから、ミコーディアミックにはちょっと面倒臭いかもしれん。」

 「ミコちゃんにはって?」

 「ザラ様が腹いせに嫁いびりでもするんじゃないかな?」

 嫁?ミコちゃんは1番だから?ザラはミコちゃんのことをちゃんと認めてて気に入ってるみたいだったけど、可愛い息子のタキちゃんを盗られたっていうのもあるのか。


 「まぁ、その辺はミコちゃんにはちょっとだけ我慢して貰うとして…ミコちゃん、それにマキちゃんとかブルちゃんもこっちに来るの?」

 「いや、ここには来ない。タキ君の家に皆集まる。オリアも後で連絡が来るから、そしたらオリアもタキ君の家に向かってくれ。」

 「タキちゃんは?」

 「タキ君は療養の為に別のところに連れて行く。オリア達には、タキ君を元に戻す為の話をザラ様がすることになっている。」

 ミコちゃん、マキちゃん、ブルちゃん、そして私。タキちゃんの奥さんになる予定の子達全員集めるってことは、何かあるんだ。私達にできること、もしくは私達にしかできないことが。

 「タキのこと本当に元に戻せるんですか?」

 シン君が心配そうに聞く。

 「ああ、出来ないことは無い。まぁ、オリアがもしこのまま母親代わりになりたいなら…。」

 む?

 「タキ君をこのままにしてオリアの好きなように教えていくことも出来るがね?母親だと思って懐いてるみたいだし?」

 そう言ってチウンがにやりと笑って私を見る。

 ふむ…今このまま私をママと認識させといて、ぱくりってことかしら?…悪く無い提案ですわね?今のタキちゃんは可愛いと言えば可愛いし、元に戻せるなら別に今すぐ慌てなくても…。

 「オリアちゃん?オリアちゃんはまさかタキをこのままにして好き放題するようなことはしないよね?」

 「ももも勿論だよ!まさかそんな、ねぇ?シン君ったら、何を言うのよ。私がそんなこと、する訳無いじゃん!」

 「……なら良いけど。」

 「ちっ。」

 チウンが舌打ち。舌打ちしたいのはこっちだっつうの。

 
 「…まぁ良いだろう。とにかくそういうことだから。」

 「わかった。それじゃ、とりあえずこいつをどっかに連れてって殺すの?」

 「お、オリアちゃん!?」

 「何?」

 「いや、思ったより過激だなと…。」

 「そうかな?」

 シン君はちょっと引いてるけど。

 「シンオズは知らないだろうが、魔法属性の関係でオリアは風のちょっとした魔法でも大怪我をする。オリアは腕と脚を折られて、その度にタキ君が治しては記憶を無くしていった。最後にはルタドビシャプリスが毒を飲んだシンオズの胸を刺して、その結果が今だ。オリアは目の前で記憶を無くしていき、自分のことも分からなくなっていくタキ君を見ていた。辛かったね、で片付けられるようなものでは無い。」

 「もう!思い出しちゃったじゃん!」

 タキちゃんの相手に夢中で忘れてたのに!

 「ああ、すまん。だが、オリアはやり過ぎではないということは、シンオズにも解って貰わなければならないと思ったからね。」

 「…オリアちゃん。なんか、ごめんね。俺知らなくて…。」

 「良いよ。薬で眠らされてたんだし。」

 「でもそれなら、オリアちゃんが手を汚すことは無いよ。俺がやる。リズもきっと許してくれる。」

 「駄目だよ!私がやる。リズちゃんとシン君は、何も知らない方が良いんだよ。そんなことさせたら私がタキちゃんに怒られちゃうよ。」

 そう、2人は巻き込まれたんだ。私もそうだけど、私はタキちゃんの…嫁?愛人?の候補?家族?みたいな?はて?

 まぁ良いけど、とにかく、シン君を人殺しにさせる訳にはいかない。私がやる分には、きっとタキちゃんも許してくれる。

 「2人とも盛り上がってるところにすまないが、我々に任せて貰おう。というか、もう我々は動いている。」

 「われわれ?ザラとチウンが?」

 「いや、魔族全体だ。」

 まぞくぜんたい?

 「なんでそんな大きい話になってるの?」

 「魔族の魔法を無理矢理使わせた、というのは魔族が舐められたということだ。他にも色々あるがとにかく、好き勝手にやられて黙っている訳にはいかないということだ。」

 魔族は魔族の誇りがあるんだ。

 「ふぅん。それで、どうするの?」

 「エルフの村に、今現在村に居るエルフ全員皆殺しにすると通告した。」

 めちゃめちゃ過激じゃん。

 「ま、待って下さい!」

 ずっと下を向いて観念したように黙ったままだったエルフ男が騒ぐ。そりゃそうだ。

 そしてチウンがつかつかと歩いてエルフ男の前に行って、その顎を持つ。ばちーんかな?

 「喜ぶと良い。お前は殺さない。」

 「……。」

 「……。」

 チウンの一言にエルフ男とシン君が固まる。そりゃそうだ。殴って縛って猿轡噛ませて恥ずかしいことをばらして、私だったらくっ殺せだ。えっちなことされるのはタキちゃん以外お断りだけど。

 「でも、それだとミコちゃんの家族とかもでしょ?駄目だよ!関係無いじゃん!」

 「オリアも関係無いのに酷い目に遭ってる。そもそもタキ君もシンオズも関係無い。こいつが初恋拗らせただけだからな。」

 初恋拗らせた…初恋って言葉が全然ロマンチックじゃなくなってる。すごい。でも、確かにこいつは初恋拗らせてる。好きな子を無理矢理とか馬鹿も良いとこ。タキちゃんは元に戻ったら無理矢理来てどうぞ。


 「そして、こいつは本当に関係無い人間を1人殺している。」



 …え?

 思わずエルフの顔を見ると、目を逸らした。この人、もう人殺しなんだ…でも、人殺しなんかしたら城で調べられて捕まるんじゃないの?

 「チウン?人殺しは勿論ばれたら捕まるよね?ばれてないの?」

 「ばれるばれないの話では、ばれている。だが、その死体を城で調べたのは、医者であるルタドビシャプリスだ。転んで頭を打ったことにしたんだ。」

 「ふぅん。頭良いじゃん。」

 あれ?悪い事に頭良いのは、頭悪いなのかな?

 「まぁそうだな。しかも、鼻つまみのならず者だったから、然程には重要視されなかった。ただ、ルタドビシャプリスはこの後長耳会の事がばれて城を出入り禁止になるがね。」

 「ふぅん…なんか、勿体無いね。そのまま真面目にお医者さんやってれば良かったのに。」

 「ホント、俺もそう思うわ。医者の先生ならお金も良いし、普通にもてそうだけどね。ま、それが初恋拗らせたって事なんだろうけど。」

 「そうだな。そんな訳だから…。」


 かちゃり。

 
 あれ?誰か…エルフ?


 ぱたん。かちゃり。


 「どうも。こちらにルタド・ビシャプリスは…あ。」

 「め、メラマ…。」

 「…メラマゾンは粛清に来たのかい?」

 メラマって確かミコちゃんの幼馴染みで、衛兵頼んでくれた人…だよね?

 「はい。村の方から緊急で連絡が入りまして、私が責任を取る事にしました。どうか、それで今回のことは存在しなかったということにして頂きたく…。」

 「私の一存では決められないが、話す事は出来る。理由が無くなったのなら、村を攻める理由も無いからね。」

 チウンは私やシン君に人殺しをさせないように、それでいて殺しても殺し足りないと思う私達の為にこうしてくれたんだ。

 でも、わざわざ幼馴染みが、なんて…。

 「ありがとうございます…ルタ。もっとしっかりお前を見ていれば良かった。」

 「メラマ…すまない。本当にすまない。お前の手を俺の血で汚させることが本当に申し訳ない。」

 見つめ合うふたり。


 …ふむ。

 事情はともかく、見た目だけは傷だらけのエルフと普通のエルフの男同士。エルフだけにそれなりに整ってるから…ちゅうしてみてくれないかな?


 「シン君、シン君。」

 「ん?何?」

 「タキちゃんとちゅうしたことある?」

 「無いです。なんつうこと言うのよ?」

 「なんか、男同士ってどうなのかなって。」

 「リズもそんなこと言ってたけど、なんなの?流行ってるの?俺はそんな流行に乗りたくないわ。」

 「それじゃ今度、機会があれば…。」

 「しません。そんなことより、オリアちゃんがタキとすれば良いでしょ。もうした?」

 「……。」

 実はさっき色々あって危うくその先も、なんちゃって?

 そんなの言える訳ないじゃん!

 おっぱい吸われてるし!

 「ふーん。へー。ははーん。」

 余計なこと聞くんじゃなかった…。

 

 「謝るなら…。」

 「最初からするな、か。本当にそうだな…やってくれ。頭に布を被せて首をやれば顔を見なくても…。」


 ーー待ちなさ…。

 がちゃっ。がちゃがちゃっ!

 ーーちょっと!鍵!誰か開けて!


 誰か来た。颯爽と登場するつもりだったみたいだけど鍵掛かってたから入れなくて…なんか格好悪い。メラマさんが掛けたのね。まぁ、人殺しするところはなるべく見られたくないもんね。


 がちゃっ!


 「もう!格好悪くなっちゃったじゃない!それでメラマ!ちょっと待ちなさい!」

 エルフの女の人が来た。

 「む?リリーディアさんか?」

 「チウンの知り合い?」

 「ああ。リリーディアさんはミコーディアミックの祖母だ。」

 格好悪く登場したのはミコちゃんのおばあちゃんだった。

 「私は彼女に金を借りている。」

 チウンも格好悪い。


 「リリーディア…これは俺が片付ける。他の誰にもやらせるつもりは無いよ。」

 「メラマ。あなたが自分の手で殺したいっていうのも解る。だけど、私は私で、ルタの両親から頼まれてるのよ。」

 「おじさんとおばさん?何を?」

 「…あんな馬鹿だけど、出来るだけ苦しまないように殺してやってくれないかって。私が魔法で殺した方が良いって事だろうけど、泣きながらそんなこと言われたら、ちょっとね。」

 「リリーディア…。」

 子供がどんなにクズでも、親は親ってことだ。親は子を愛する。当たり前のことなのかな。ザラはちょっと突き抜けちゃってるけど。

 「だから、私はチウン君にお願いに来たの。何とかこの子に償う機会を与えてやって貰えないかな?」

 それは魔族が良いって言っても、少なくとも私は納得出来ないかな?別に謝られてもなんとも思わないし。

 「あの、リリーディアさん?初めまして、オリアと言います。ミコちゃんの友達で、タキちゃんの幼馴染みで、タキちゃんの奥さんの1人になろうって思ってます。」

 「初めまして、リリーディアよ。孫がいつもお世話になってるわ、ありがとう。ミコーディアから話は聞いてます。ドワーフなんですってね?」

 「はい。それで、もし魔族が許しても、私やタキちゃんやシン君にしたことは、私は到底許せるものじゃないと思ってます。だから、もしエルフが殺さないなら私が殺します。」

 「あの、俺はシンです。タキの友人で、ミコーディアさんとも面識があります。俺は、オリアちゃんに殺させるくらいなら俺が殺しますよ。」

 むむ。

 「それは駄目だってば!リズちゃんに怒られちゃうよ!タキちゃんだって絶対怒るよ!」

 「それはオリアちゃんも一緒でしょ?俺がタキに怒られちゃうし、タキに申し訳ないんだ。」

 「それは私も一緒だよ!」

 シン君め、意外と頑固だ。

 「ルタがあなた達にしたことが本当に酷いことだっていうのは解ってるわ。だけどそれは、ルタを殺せば良いってものじゃないと思うの。それに、あなた達はまだ人を殺したことが無いでしょ?」

 「…まぁ。」

 そりゃあ無いけどさ。

 「それなら、タキ君と話し合って、それから決めたら?タキ君はきっと、あなた達に人殺しなんてさせたくないと思うわ…チウン君?タキ君は元に戻せるのよね?」

 「ああ、確実にとは答えられないがね。」

 「それなら、元に戻す為に私に出来ることがあるなら私も勿論協力するし、元に戻ったタキ君とちゃんと話し合って、それでもあなた達がルタを殺すって言うなら私は止めないわ。だから、ね?今はとりあえず、生きたまま償う方向で交渉を進めさせて貰えないかな?」

 「……。」


 タキちゃん…タキちゃんと話し合えるならちゃんと話し合いたい。ていうか、タキちゃんと話したい。タキちゃんに、ちゃんと謝ってありがとうって言って抱き付きたい。
 

 「…オリアちゃんオリアちゃん。」

 リリーディアさんが小声で話し掛けてきた。

 「はい?」

 「もし上手くいったら、良いこと教えてあげる。」

 「良いこと?」

 「そ。男の子にちょっと塗るだけで凄いことになる薬の作り方なんだけど、知りたくない?」

 「つんつんするだけで?」

 「つんつんするだけで。」

 「…それはミコちゃんは?」

 「ミコにも、誰にも教えたこと無いし、これからもオリアちゃんにだけ。オリアちゃんが誰かに言うのは任せるけどね。それで、どう?」

 「実際の効果は?」

 「ミコのおじいちゃんは人間の男で屈強な戦士だったけど、あの時の可愛くて堪らない反応には、こっちの頭がおかしくなりそうだったわ。」

 「……。」

 「想像してみて?タキ君が顔を赤らめて、切ない顔で見つめてくる、その目が言ってるのを。いじわる。やめて。だめ。でもやめちゃだめぇ。」

 「はい買いました。」

 「お金なんか良いのよ!だから、殺さずに償う方向で交渉しても良い?」

 「でも、タキちゃん戻さないと…。」

 「それは勿論。私に出来ることなら何でもするし、絶対なんとかなると思うわ。」


 …絶対なんとかなる、か。リリーディアさんはきっとタキちゃんの呪いについて何か知ってるんだ。それになんとなく頼りにしても良いような、信じられる気分にさせられるのは、流石ミコちゃんのおばあちゃん…。


 「乙女の勘だけど。」


 …大丈夫かな?



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