メクレロ!

ふしかのとう

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第四章 父と母

第12話

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 チウンさんの口から、まさか学長の話を聞くとは。

 でも、物凄くどうでも良いのでそこには触れない。


 「すると父さんは、自分の死んだ後に残ったオイちゃんの価値が下がらないように、ってことですか?」

 「砕いて言えばそうなる。オリアの処女を守ることで自分の死後、誰か良い人が現れた時に少しでもオリアを良く見せられるようにと思っていたんだ。」

 「…馬鹿…モーグは大馬鹿ね。そんなことされても私は…。」

 そんなことをされても、オイちゃんは幸せじゃない。そんなことが解らなかったのか、父さんは。

 「これはね、オリアだけじゃない、君達3人ともがいつか必ず直面する問題だ。」

 え?

 「俺達皆が?」

 「そうだ。君達はまだ若い。だからまだ、人間と自分達の寿命の違いについて、頭では解っているつもりだが本質的な部分を理解出来てないんだ。経験が無いから仕方ないんだけどね。」

 「人間が先に死ぬってことですよね?」

 「そうだな。そして君達は見送る側だ。見送るのはね、やりたければ後で悲しんだり寂しがったり悔やんだり好きなだけ出来る。だが、先に死ぬ人間は死んだら何も出来ないだろう?」

 「だから父さんは、残していくオイちゃんのことを考えて?でも、それが本当にオイちゃんにとって良いことかどうかなんて考えれば分かりそうなものだけど。」

 「モーグに限って言えば、オリアの人生の最初のほんの一時だけ一緒に居ただけで、残りの人生の方が遥かに長い。その残りの人生を、自分のような結婚して子供も居るような男が台無しにするような真似は出来ないと考えた。おかしなところがあるかい?」

 「…私はそれでも、例え相手が人間でも、その寿命の続く限り、一緒に幸せな時間を過ごしたいと思います。」

 俺は魔族だったけど、人間の時もそう言ってくれたミコ。後でこっそりちゅうしたい。

 「ミコーディアミックはそう思う。オリアもそう思うし、タキ君もそう思うだろう。そして…私もそう思う。」

 「え?」

 「我々人間以外は皆そう思うんだ。そいつの生きてる限り愛し合えば良い。だが、当の人間にとっては自分の死後、相手の過ごす時間がどれほど長いのか想像出来ないんだよ。自分の寿命よりも遥かに長いんだからね。」

 残された側の感覚と残していく側の感覚か。

 「モーグは自分の想像出来ない程の時間を生き続けるオリアの為に出来る事はそれしか無いと考えた結果、手を出したくても手を出さなかった。あいつだって男だぞ?手を出してくれと言わんばかりの若い女がいつも横に居るのに、何もしなかった。腹は減ってるのに、ケーキを口元まで持ってこられても口を開かず、10年近く過ごしていたんだ。辛かったろうな。」

 口元にケーキか…拷問かな?

 「それでも、心の中にしっかりザラ様が居たから耐えられた。愛する人が居るから余所見しちゃ駄目だと思い込むようにしてたんだね。だからモーグは、ザラ様に気を遣ってオリアに手を出さなかったんじゃなくて、ザラ様が居るという言い訳が出来るからオリアに手を出さずに済んだんだ。」

 それが、母さんが居たから、の中身。

 それは、知れば知るほど父さんが如何にオイちゃんを大事に思っていたかが解る。そして、父さんが如何に…俺まで言っちゃ可哀想か。

 「私はモーグの友人だ。だから、オリアにはちゃんとモーグのことを解っていて欲しかったんだ。ただのつまらない男ではなく、馬鹿で不器用でどうしようもない男だった、とね。」

 「…私はずっと、モーグには娘みたいに思われてると思ってた。私の気持ちに気付いてても、ザラのことだけを愛してるんだと思ってた。」

 「誰か愛する、というのは何も1人だけに限ったことではない。2人3人、10人でも100人でも、愛することは出来る。子供や友人だけでなく、飼ってる動物や育ててる植物だって、愛といえば愛だしね。だからザラ様が、死ぬ間際までオリアに何も言わないモーグに痺れを切らして顔を出したのさ。」

 「…ザラは、モーグと私がそういう関係になっても良かったのかな?」

 「良いってことは無いのだろう。無いのだろうけど、一緒に居ないと自分で決めた以上一緒に居る訳にはいかない夫の世話してくれてたのは有難いし、オリアが小さい頃既にモーグに対して恋心を持ってたのも知ってるし、何よりオリアを可愛がってたからね。ずっと自分に遠慮して何も言わずに我慢してたオリアに、最期くらい貸してあげようって思ったのだろう。」

 ずっと側にいてあげてくれてありがとう。オリアは良い子ね。私もオリアのこと大好き。そんな母さんの気持ちは、嫉妬や独占欲よりも大きかっただけなんだ。

 夫の最期を他の女の子に看取らせるというのは、妻としてどうなんだと思うけど、俺の中で、素敵な母さんで嬉しい、という気持ちが膨らんで…。


 「それに、こうすればタキ君の中の自分の株が上がると思ってやったんじゃないかな?」


 急速に萎んだ。

 
 「前回照れ隠しで嘘を吐いたことを少し気にしてたみたいだからな。ちょっとやり過ぎたみたいなことを言っていたよ。」

 「チウンさん?最近ちょっと、母さんについて気になってることがあるんですけど…。」

 「なんだい?」

 「母さんに、僕との子供を作ろうという動きを感じられるのですが、気のせいですよね?」

 「…なんだと?」

 「ですから最近、母さんが俺との間に子供を欲しがってるみたいなんですけど、何かご存知ですか?」

 「…知らん。」

 知ってるらしい。

 「ホントは?」

 「…多分、気のせいだ。」

 「なるほど。それで、ホントは?」

 「…私の言ってることが嘘だと?」

 む?これはひどいことになるやつだな。

 だが、俺は魔族だから大丈夫…な筈。

 「まぁ、そうですね。それで?」


 ーー掃除道具を持ってモーグの部屋に入ったオリアは寝床のところへ行き、掃除道具を足元に置くと枕を手に取って顔を埋め……。


 「きゃあああっ!?ちょっ、ちょっとチウン!?なんで私が、タキちゃんのせいなんだから、やるならミコちゃんでしょ!?」

 「はぁ!?何言ってるのよ!?冗談じゃないわよ!」

 「恋人の責任を取れないなんて、ちょっと覚悟が足りないんじゃないの?」

 「オリアは母親みたいなものでしょ!?息子の責任は母親の責任よ!」


 オイちゃんが俺の身代わりになった。


 …しかし何故だ?何故オイちゃんが俺の身代わりに?ミコじゃなくてオイちゃんなのは何か理由があるんだろうか?


 …試してみるか。


 「チウンさんが嘘を吐いてるのは解ってます。何か知ってますよね?」


 ーー枕に顔を埋めて大きく息を吸い込むとオリアは枕を戻して横たわり……。


 「ちょ、ちょっとタキちゃん!?」

 ふむ。やはり、オイちゃんが犠牲になるらしい。

 「…なんで、オリアなのかしらね?」

 「解らないな。だからちょっと試してみたんだけど…オイちゃんは解る?」

 「解らないけど、タキちゃんは一回黙ろうか。」

 「でも、俺は聞きたいことがあるから…。」

 「そんなこと言って、ホントはタキちゃんは私の…。」

 「え?何?」

 「…ミコちゃん!タキちゃんが私にえっちなことしてくる!」

 「タキ君?」

 「いやいや、俺は母さんのことが聞きたいんだよ。心配なんだ。俺にはミコって言う心に決めた伴侶がいるから。」

 「タキ君…。」

 「ミコちゃんちょろ過ぎない?」

 「でも、確かに私も気になるもの。お母様がその、タキ君との子供を欲しがってる、ってなったら…。」

 「だよね。だから、チウンさんが嘘を吐いてるみたいだから嘘を吐かないで本当のことを…。」

 「タ…。」

 ーー掌に収まる胸の先端を軽く……。

 「タキちゃん!良い加減にしなさい!」

 「……。」

 おお…。

 「…タキちゃん?」

 なんということだ。

 「……。」

 「タキちゃん?どうしたの?」

 「いや、なんかこう、オイちゃんに怒られたら、なんか良いなって…。」

 「はい?」

 「お母さんみたいだなって。」

 「いやいやいや!タキちゃん!?何言ってるの!?」

 「あ、でももしかしてチウンさんは、オリアのことをタキ君のお母さんだからってことで…。」

 「なんで息子の代わりにお母さんが恥ずかしいことを息子にばらされるのよ!?」

 「そういうつもりは無いが。」

 「…じゃあなんで私なのよ?ミコちゃんでも良いでしょ?」

 「なんとなく?」


 ばちーん。


 「痛い。そしてひどい。なんで俺が…。」

 「タキちゃんのせいでしょ?まったく、タキちゃんはそういうところがあるから…。」

 くどくど。

 こういうところはお母さんぽくなくても良いのに。

 おっぱいが凄まじい母性を出してるんだから、あとは程々で良いのに。

 それはそうと、掌に収まるって割と前じゃないの?そんな時にもうそんなことしてたのか。ドワーフの女の子は進んでるんだな。


 「それで、タキ君のお母様の話なんですけど…。」

 「…私は知らん。」

 「では、本人に直接聞きますので黒デンワをお母様まで使って貰えますか?」

 「…嫌だと言ったら?」

 「とりあえず、こないだタキ君が貸したお金を今すぐ返して貰います。」

 奥さんが代わりに取り立てる話。

 「…魔族と言っても色々な人が居る、ということを忘れるなよ?」

 そう言ってチウンさんは黒デンワを操作する。

 ジーコロコロ…。

 「ミコ?母さんと話すの?」

 「これはきっと直接聞いた方が早いわ。だけど、タキ君からは聞きにくいでしょ?」

 「まぁ、うん…ありがとね。キスして良い?」

 「あの…私も居るんですけど。」


 ーーもしもし?あの、チウンですけど、今お時間大丈夫ですか?ええ、その、今タキ君がミコーディアミックとオリアを連れてうちに、そうです、わざわざモーグのことを知らせに来て頂きまして、あ、それでですね、ちょっとミコーディアミックが、え?あの、ミコーディアさんがザラ様とお話ししたいと、わかりました……。


 「良いそうだ。」

 「…ちゅ。ありがとうございます。」

 「ミコ、頑張ってね。」

 「うん。もしかしたらお母様と喧嘩みたいになっちゃうかもしれないけど、ちゃんと解って貰わないといけないことだから、その時はごめんね?」

 「ミコちゃんはまず私に謝って?」


 ーーもしもし?あの、ミコーディアです、はい、えと実はお母様に、はぁ、はい、え?そうなんですか?えーっ?あはは、リリーディアったら、うふふ、いつもそうなんですよ、え?ええ、まだ私の方からは何も言ってなくて……。


 「ミコちゃん、喧嘩がどうとか言ってなかった?」

 「ここだけの話、ミコって割とちょろいんだわ。」

 「知ってる。」


 ーーあ、そうだ、あの、私お母様に、え?ええっ!?いや、まぁ、その、えっと、まだいつにするとかは、ええ、はい、ええっ!?ええ、はい、その、いずれはって考えてますけどまだ、は、はい!え?ありがとうございます、嬉しいです、ええ、では、お義母様もお身体に気を付けて、え?オリアに?……。


 「オリア?お義母様が替わってって。うふふ。」

 「ミコちゃんは何をザラと話したかったんだっけ?だらしないわねぇ。ま、ついでに私が聞いといてあげる。」


 ーーザラ?オリアだけど…。


 「母さん、何だって?」

 「ふふ…え?ああ、リリーディアに会いに行ったら居なかったから、私の両親と話してきたって話と、その、結婚はいつするのかとか、あとは…まぁ?家族が増える予定とか?」

 俺達、まだだぞ?

 「気が早い…。」

 「うん…。」

 ミコが顔を赤くしてもじもじしてる。

 俺もだけど。

 よし!もう食べます。綺麗なケーキを。


 「それでね?私のことはもう娘だと思ってるから、母親だと思ってねって。だから、お義母様がタキ君とっていうのはやっぱり思い過ごしじゃないかしら?」

 「そっか。それならそうだね。」

 母さんがミコを娘…ありがとう母さん。


 ーーえ?ザラ何言ってるの?そんなこと、え?うん、うん、ええ!?モーグが?本当?うん、そっか、そうだったんだ、え?そりゃあまぁ、好きか嫌いかなら好きだけど、それはそうだけど、でも私はミコちゃんも、え?そうなの?そっか、そうかも、うん、そうだね、うん、ザラ、改めて色々ありがとね、これからもよろしくね、今度一緒にご飯とか食べに行こうね、さ、さんにんか、え?ごにん?ろくにん?……。


 「また、ここに何人居るのかって話かしら?」

 「なんだと?また、かぶと寿司注文されたら困るが。」

 「俺、今日はそんなに持ってないですよ?」

 「金はまぁ今月分入ったから良いんだけど、もう既に他のとこで注文してるんだよね。」

 「え?それじゃ前貸したお金返して貰っても良いですか?」

 「昔のリリーディアの分も。」

 「それはちょっと待って下さい。来月必ず!」

 踏み倒す気だ…。



 ーーうん、わかった、それじゃまたね……。
 
 ちん。


 「オイちゃん。母さん、何だって?」

 「え?」

 「いや、母さん。あと、母さんが俺との子供って話は?」

 「ああ、それ?」


 オイちゃんは何故かニヤリ。

 …怖くなってきた。


 「タキちゃんとミコちゃんは早く結婚して子供作らないとね!」

 およ?

 割と普通の話だったらしい。



 「そしたら次は絶対私の番だから!」



 …何の話?




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