メクレロ!

ふしかのとう

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第四章 父と母

第7話

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 自称幼馴染みが来た。

 髪の毛は茶色で、なんかもこもこしてる。後ろで結んでいるけど、もこもこしてるから結んだ先も丸い。背は低くてかわいらしい幼い顔付きなんだけど、胸の大きさが凄い。俺の顔くらいある。純粋にすげぇ。

 しかし、何しに来たのかな?


 「ふぅん。ま、ここじゃなんなんで…。」

 「ちょっ、ちょっと!?反応薄くない?普通、突然幼馴染みの女の子が来たら、もうちょっと驚くとかあるでしょ!?」

 「いや、薄いんだわ。こないだ、私は犬って言う女の子が来たばっかでさ。それに比べたら幼馴染みなんて、ねぇ?」

 「私は犬!?そんな変態に負けるなんて…。」

 「変態じゃなくて、本当に犬だぞ?」

 「うえぇっ!?犬なのに女の子!?それは濃ゆい…。」


 ガチャリ。

 「タキ君?おかえりなさい…おきゃくさま?」

 「うえぇっ!?タキちゃん結婚してるの!?」

 「タキちゃん?」

 「なんか、俺の幼馴染みなんだって。」

 「ふぅん。ま、ここじゃなんだから、とりあえず上がって貰って…。」

 「お嫁さんまで反応が薄い…。」

 「あら?うふふっ、お嫁さんだって。でも、まだ違うの。うふふっ。」

 お嫁さん、って言われてご機嫌なミコ可愛い。お嫁さんにしたい。お嫁さんにする。

 「さ、上がって?タキ君の幼馴染みなら大歓迎よ?うふふっ、およめさんか。」

 およめさん、という響きを相当気に入ったらしいミコ可愛い。今結婚を申し込んだら、はいはーいとか軽く受けてくれそう。駄目だろ。

 「で?俺の幼馴染みさんはどちらのどなたなの?」

 「私はね、ドワーフ族のオリア、ぴっちぴちの26歳!」

 「ドワーフなの?あら珍しい。」

 「俺、ロクラーンでもフリジールでも見たことないや。」

 「あの…ちょっとくらい突っ込んで貰いたいんですけど。」

 「それではミコさん、自己紹介を。」

 「ミコーディア・ミック、ぴっちぴちの43歳ですっ!」

 「うぇぇっ!?よんじうさん!?…うぅ、何もかもが私の印象を薄くする…ってまさかあなた、エルフなの?」

 「そ。まぁエルフといっても祖父は人間だけどね。でも私は別に、ドワーフだからっていうのは無い世代だから安心して?」

 エルフとドワーフって仲悪かったんだっけか。

 「ふぅん。まぁ私も別に、エルフだからって言うのは無いわ。ただ、タキちゃんはおっぱい好きだったのに可哀想って思うくらいで。」

 「…ほう?」

 俺が完全に貰い事故なんですけど。

 「でも逆に羨ましいっていうか?下着も可愛いの選べるし?肩も凝らないし?走っても揺れて痛いって事もないし?あらやだ、言ってたら本当に羨ましくなってきちゃったよ!」

 オリアさんの煽り方は凄まじい。エルフとドワーフがどうしたか知らんけど、そんなにか。

 そして、ミコは一体どうなってしまうのか?今までここまではっきりとボロクソ言われたのを聞いた事が無いだけに、想像するだに恐ろしい。

 「…タキ君?」

 「はい!」

 「タキ君は私のこと、好き?」

 「え?うん、好きだよ?」

 「そ。良かった。うふふっ。」

 あれ?

 「でもタキ君、ごめんね。私、その、そんなに大きくなくて…。」

 なるほど、そういうことか。

 …乗らねばなるまい。

 「いやいや、気にしないで?俺は全然気にしてないし、そういうので好きだとか好きじゃないとかじゃないから。」

 「なんかちょっと罪悪感が…。」

 「そっか。良かった…つまんないとか思われて捨てられちゃったらどうしようって思ってたから。」

 許さないらしい。

 「捨てる?俺がミコを?まさか!俺は、ミコが嫌だって言うまではずっと一緒にいるから。嫌だって言っても、頑張ってまた好きになって貰うけどね。」

 「嫌だなんて、絶対言わないよ?そう、絶対に。私はタキ君が好きだから。」

 「ミコ…。」

 「タキ君…。」

 「あ、あの、ごめんね?」

 「ん…ちゅ。えへへ、今日はね、タキ君が好きかなって、鰯の塩漬けでキャベツを炒めたの。」

 全然許さないらしい。

 キャベツは偶々だろうけど。

 「美味しそうだね。今日シンにさ、ミコは家でご飯作ってるって言ったら、新婚みたいだなって言われたんだよね。」

 「あの、すみませんでした。」

 「うふふっ、シン君ったらもう!ふふっ。」

 まだまだ許す気は無いらしい。

 「あいつも気が早いというか、ふふっ。」

 「でもね、私もお料理しながら、これってなんか新婚さんみたいだなって。それでね、タキ君のことを考えながら料理するのって、なんだか凄く楽しくて。料理がこんなに楽しいなんて知らなかったよ。これもタキ君のおかげ…。」

 「ミコ…。」

 「タキ君…。」

 「あの!本当にすみませんでした!」

 「…ちゅ。え?オリア?どうしたの?」

 やっと許すらしい。

 勢い余ってキスしたけど。

 「その、ごめんなさい。ミコさんはドワーフでも気にしないって言ってくれたのに、私、調子に乗っちゃって…反省したから、甘攻めはやめて?」

 「わかったわよ、もう良いわ。ドワーフ達のところではまだそういう雰囲気が残ってるっていうのは知ってるし。」

 「本当にごめんね…。」

 悪い子じゃないんだろうな。

 「良いのよ、もう。それに、私のことはミコでもミコちゃんでも良いわ。ミコさん、ってなんか変な感じするもの。タキ君の幼馴染みなら、私だって仲良くしたいし。」

 「ごめんね、ミコちゃん。あと、本当にありがとう。私もタキちゃんの恋人なら、仲良くしたいから。ホントにごめんね。」

 「もう良いってば!ね?それじゃ早速だけど、タキ君の小さい頃の話、教えてくれる?」

 仲良くしたい理由はそれかい!

 「ちょっと、オリアさん?」

 「タキちゃん?タキちゃんは忘れてるけど、昔みたいにオイちゃんって呼んで?」

 「オイちゃん?」

 「そ。オリちゃんって教えてるのにオイタンとしか言えなくてね。そのままオイちゃんで落ち着いちゃったの。」

 「もしかしてこの子…宝箱なんじゃ!?」

 ミコがおかしなこと言ってる。

 「ちなみにもっと小さい、赤ちゃんの時はザラの真似してオリアって言おうとしてオウアってなっちゃってたよ。そんな感じでも、呼んで貰えると嬉しいんだから不思議。」

 「タキ君の赤ちゃんの頃…やっぱり可愛かった?」

 「えっとね、すっごく可愛かったんだよ!私もザラの真似しておっぱいあげてみたいと思って、抱っこさせて貰ってる時に私の…って違う違う!今日はそんな話をしに来たんじゃないの!」

 続きはちょっとだけ気になるけど。

 「オイちゃんは何か用があったの?」

 「当たり前じゃん。じゃなきゃフリジールなんか来ないって。」

 ドワーフは人間のとこから居なくなったんだっけ?なんでだか知らんけど。授業でやった気もするけど忘れた。

 「まぁ、そうよね。最近特に厳しいみたいだし…それで?オリアはタキ君に何の用があってわざわざフリジールまで来たの?」



 「タキちゃんのお父さんが病気で死にそうなの。」



 …え?

 「病気?てか、ドワーフのとこにいるの?」

 「ずっと村にいるよ。それで、病気になってね。ニゴイ病。」

 「ニゴイ病?それなら別に…。」

 「ミコごめん。ニゴイ病って?」

 「ん?ああ、ニゴイ病ってあまり知られてないけど、人間の病気。今ではもう薬ですぐ治るから死ぬことなんて滅多に無い筈よ?薬は…そうか。」

 「うん。ドワーフは罹らないから薬なんて無いし、そもそも私も病気のことなかなか気付かなくて、ニゴイ病って解った頃にはもう…。」

 「それで俺のところに来たのか…。」

 俺に治せってことだろう。どんな状態か、それを治したらどこまで忘れるか検討も付かないけど、父親の病気ってことなら仕方ない気もする。ミコもきっとそう言うだろうし。

 「ミコ…本当に申し訳ないけど…。」

 「仕方ないじゃない…。」

 「2人とも?勘違いしてるよ?別に治して欲しいんじゃないの。私的には治して欲しいけど、そうじゃなくて、モーグが死ぬ前に会ってあげて欲しいの。」

 「え?治さないの?」

 「それはモーグが絶対に駄目だって。あ、タキちゃんのお父さんはモーグっていうの。」

 父さんの名前はモーグ。いつか、ロクラーンに行けば英雄の詳しいことが判るだろうから、父さんのことも知れるかもしれないな。

 「多分、タキ君の呪いを知ってるから、タキ君にそんなことさせたくないんでしょうね。」

 「うん。だから治さなくても良い。でもせめて会ってあげて?」

 「それは、頼まれなくったって行くよ。オイちゃん、知らせてくれてありがとうね。」

 「ううん、良いの。これは私が勝手にやってることだから。」

 「それじゃ、早く行かないと…あ、ミコも連れて行くけど…。」

 「え?」

 俺が連れてくって言う話をするとミコが不思議そうにこっちを見た。

 「え?じゃないよ。折角会いにいくんだから、ミコを紹介したいんだ…駄目かな?」

 「全然駄目じゃないし、私もお会いしたいけど、その、最期なんだよ?タキ君は話すことなんてそれこそ山程ある筈。邪魔になったら…。」

 「最後かもしれないから、だよ。こんな可愛い恋人がいるよって自慢したいんだよ。駄目?」

 「タキ君が良いなら勿論行くけど、でも私、ドワーフの村に入れて貰えるのかしら?今は人間でも入るのは厳しいんでしょ?」

 「タキちゃんのことも、モーグの病気も皆知ってるから。タキちゃんが会いに来て、恋人連れてきて、それがエルフでも誰も文句は言わないよ。言わせるもんですか!」

 「オリア…ありがと。」

 「でも、1人でうろうろするのは止めた方が良いかも。ミコちゃんは耳が短いからパッと見は解らないけど、気付く人もいるかも知れないしね。」

 「わかった。もう、すぐに出る?」

 「今日はもう暗くて山が危ないから、朝出よ?…それで、悪いんだけど、泊めて貰える?」

 「ええ、勿論。」

 「その、2人がする時はこっそり外行くからね?」

 「し、しないから!」

 「え?しないの?」

 「し、しないしない!」
 
 「別に我慢しなくて良いのに。タキちゃんは大丈夫なの?」

 「そろそろ駄目だけど、大丈夫だよ。」

 「なっ!?何言っちゃってるのよ!?」

 「ミコはお腹減ってないの?」

 「ま、まぁ、そろそろではないかと…。」

 「ん?晩ご飯の話?」

 「え?ええ、まぁ。そ、そうね、オリアも食べるでしょ?」

 「まぁ頂くけど、それで寝るのは?」

 「オリアは私と一緒。聞かなきゃいけない話があるの。」

 一緒で良い?とかじゃない、連行。

 話すんじゃない、尋問。

 「タキちゃんの話なら、タキちゃんも一緒が良いんじゃない?だって…。」

 オイちゃんがミコにごにょごにょしてる。

 良い話な訳ない。俺の照れる顔が見れるよとかそういうのだろ。

 「そうね。オリア、お酒好き?」

 更に口を緩めようとするミコ。今度たっぷりお仕置きして、ケーキは食わさないからな。

 「うん。辛いのが好きかな?うふふっ、タキちゃんとお酒なんて変な感じ!」

 俺はこれから変な感じになるんだけど。

 「とりあえず、これで良い?食べるのもすぐ持って…。」

 「俺がやるよ。作って貰ったし。」

 最後の抵抗だ!話は聞こえちゃうけど、顔は見られずに済む。

 「そう?うふふっ、ありがと!…うふふっ。」

 「うっわ~、ホントに新婚さんみたい。結婚しないの?」

 「え?うん、まぁ、今はまだこの感じを楽しもうかなって。別に、今しても良いんだけど、慌てることでもないよねって。」

 「タキちゃんもミコちゃんもまだまだ長いもんね。」

 「うん。最初はタキ君が魔族って知らなかったんだけどね。その頃私は、人間を好きにならないって決めてて…。」

 「魔族って知ったから好きになったの?」

 「ううん。その前に落とされちゃったの。」

 ミコはもう、普通にそういうの話すんだな。

 こっちが照れるわ。

 「へぇ、タキちゃんやるぅ。」

 「タキ君はね、口説き魔なの。他の女の子とかにもそういうこと言って本気にさせちゃうんだから。オリアも気を付けてね?」

 「えぇ!?タキちゃんもなの?モーグもよくそれでザラに怒られてたみたいだよ?」

 「うふふ、ちゃんと親子なのね。ねぇねぇ?さっきの続き、教えて?」



 おっぱいの話か。


 オイちゃんのおっぱいの話。


 酔ってるおじさんの下ネタみたいだ。


 

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