どうしてこうなった

レイちゃん

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あとがきと、幕間で語られる胸くそ悪い追憶と

いつかの昔語り 3

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あの日、どうやって私は自室に戻ったのか覚えていない。
何か悪い幻覚か白昼夢なのだと思った。
しかし、その翌月、やはり人気のない廊下で、服の中に手を入れられ。
私はこれが現実なのだと理解した。
15歳ともなれば、それなりに性の知識も持っている。
かつて母の身に起きたこと、母の涙の意味、彼が抱く感情を理解した。

逃げたかった。
逃げられなかった。

コネも路銀も持たない私が、ここを出て、生きていく術など無いことぐらい知っていた。
それは彼も知っていた。
「逃げたいのなら、いつでも逃げていい。
 その時は残念だがキューを犯すことにしよう。」
そして、母がいなくなって私に依存している妹が、私の最大の弱点であることも知っていた。
妹と共に逃げ出せたとしても、さらわれるか貧民街に流れ着くか、おそらく死ぬよりも酷いことになるだろう。

翌月、私は雑務担当から当主の世話係へと異動となった。
大規模な商家の当主ともなれば、ほぼ誰かが周囲にいた。
それでも月に1度程度、不自然に私と当主だけになる時があった。
恐怖と、屈辱に支配された空間だった。
体は硬直し、足は震え、声は一言も出ず。
彼は、ただ子ギツネを狩る鷹のように、さも自然なことだと言わんばかりに。
体を触られ、服を脱がされ、言葉で思い出の中にいる母を辱められた。
執務室で、眠る私たちの横で、いかに母を犯したのか聞かされた。
精神がガリガリと、錆びたナイフで無理やり削られる気がした。
全裸にされ、テーブルの上で体の隅々まで見られ、「ここが、お前の母を初めて犯した場所だ」と告げられた時には、狂うかと思った。
気が付くと私は、トイレの個室で号泣しながら吐いていた。



妹は、母の顔を覚えていない。
想像の中だけでいる母と、母代わりに依存している私と。
その身に、この身に起きていることを知れば、ショックは計り知れない。
必死で隠した。
妹はすぐ顔に現れるタイプなので、何かあれば私は気づく自信があった。
だから、妹は何も知らないと確信していた。
母の気持ちが分かった。
体を汚され心を汚され、それでもなお必死に耐え、私と妹を守ったのだ。
あまりにも気持ち悪く、何度も吐き、それでも隠した。
それだけが唯一、希望だった。



私や妹の父親が彼では無いことは、彼本人から知らされた。
もしそうであったら、私は間違いなく狂っていただろう。
いっそ狂ってしまいたかったが、存外、私の精神は頑丈だったらしい。
彼の中には母がいて、私は母の代わりで、妹はオマケに過ぎなかった。
オマケである妹には指一本触れず、彼は辛抱強く、私が20歳になるのをずっと待っていた。
時が止まり、成長が止まることを神に祈った。
無論そんな願いが叶うこともなく、だんだんと母に似る私を、それはそれは嬉しかったらしい。
「約束しよう、ミュー。
 あと2年、お前が20歳になれば。
 そこの椅子にキューを縛り付け、大好きな妹の目の前で犯してやろう。
 私は慈悲深いから、何も知らない妹を仲間外れになどしないよ。
 お前の処女を奪ったら、今度はお前の目の前で、大好きな妹の処女も奪ってやろう。
 あぁ、本当にその日が楽しみだよ。」
 
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