どうしてこうなった 最終章

レイちゃん

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最大の「ざまぁ」を、あなたに

さぁ、男爵殿!

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「王子が声を荒げ申し訳ない。
 しかし第1王子が北方にいたのは偶然であろう。
 王太子即位の案件とは関係なかろう。」

「は?
 恐れながら陛下、それは御本心ですか?」

「と、言われると?」


「…ご存じない?」


しばし沈黙が流れ、皇女シュシャは紙とペンを求め。
国王の許しを得て文官が差し出したものにペンを走らせ。

「ご一読を。」

先ほど同様、文官と宰相を通じて国王の元へ運ばれ。

「…何と。」

数瞬の後、立ち上がる。


「今から許可なくこの部屋から出ることは許さぬ、これは王命である!
 貴族も侍女も、王族もだ!
 皇女殿にもご理解をお願いしたい。」


「陛下の御心のままに。」

頭を下げる皇女に軽く頷くと、宰相に耳打ちをする。

「心得ました。」

宰相は一礼すると、何事かとざわつく部屋を後にした。




国王が呼んでいるという連絡に、バズル男爵はあわてて王宮へ駆けつけた。
今日は帝国からの親善大使が来るとかで、伯爵以上の貴族が全員呼ばれているはずだ。
館に来た衛兵も詳細は聞かされていないらしく理由は分からない。
だが呼ばれた以上は、行かなければならない。

そのまま謁見の間へと案内され、入り口のドアが開く。
左右に並ぶ貴族諸侯の視線を浴びながらバズル男爵は国王の前へと歩むと、片膝をつき頭を下げる。

「お召しにより参上致しました。
 国王陛下におかれましてはご機嫌麗しく、恐悦至極に存じます。」

「うむ、大義である。
 さてバズル男爵、右手を見て欲しい。」

その言葉にバズル男爵は右を見て。
笑顔で小さく手を振る美女を見つけ。


「書記官殿!?」


素っ頓狂な声を上げた。
確かにそれは少し前、帝国の地方都市で親書を預けた駐在書記官だ。
まさかドレス姿で王宮にいるとは思わなかった。

「お久しぶりですね、バズル男爵殿。」

「な、なぜあなたが…」

「お詫びを申し上げないといけない。
 私は帝国の駐在書記官では無いのです。
 本当は、帝国の第3皇女です。」

頭を下げる美女に、何が何だか分からないという表情のバズル男爵。

「ここにいる方全てが、私のことは第3皇女だと認識しています。
 国王陛下から侍女に至るまで。
 。」

文官が紙を持ってくる。
そこには『王家の紋章で封緘された密書を、バズル男爵が持ってきた。彼は知っている。』と書かれていた。

「さぁ、バズル男爵殿!」

皇女シュシャは満面の笑みで。

「どうしてが、私のことを””だと思ったのか!?
 帝国の皇女などの、あなたが!
 その理由を、貴国の国王陛下が是非ともお知りになりたいそうですわ。」

金魚のように口をパクパクさせるバズル男爵に、右手を国王の方へ差し出し。

「さぁバズル男爵殿、大きな声で!
 この部屋にいる全員に聞こえるようにご説明頂ければ、さぞかし国王陛下もお喜びになると思いますわ!
 さぁ!」
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