どうしてこうなった 最終章

レイちゃん

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プロローグ

第1王子

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それは、あまりにも突然だった。

ある日の御前会議において、国王が意識を失い倒れた。
幸いにも意識はすぐに戻り記憶などにも大事は無かったのだが、当然に大騒ぎとなった。
王宮医師団は過労によるものと診断したが、何せ国王である。
今まで健康不安など微塵も感じさせなかっただけに、万が一の際の対応が議題となるのも、また自然なことであった。
特に帝国とは交戦中の状態にある以上、政治的な空白など許されない。




「なぜだ!
 当然に俺が次代の国王であるだろうに!」

私室で第1王子は荒れていた。
現王の第1子なのだ、反対意見が起きること自体が理解できない。

「殿下のおっしゃりたいことは、ごもっともなのですが。」

実は、マティス公爵は反対意見が起きるであろうことは予想していた。

逝去された先王の実子は、現王ではなく現王妃なのだ。
そして第1王子は王妃の子ではなく側室の子である。
なので法律上の王位継承権は1位であるが、血統を重視する貴族からは王妃の実子である第2王子こそ正統という声は根強い。
他に王位継承権を持つ者は先王の弟など複数いるが、高齢だったり継承に条件があったりと、現実的ではない。

マティス公爵としては、この問題を十分に認識していた。
だからこそ、問題を先送りにしながらタイミングを計っていたのだが。

「俺は第1王子だぞ!
 反対する貴族など粛清してしまえばいい!」

「無茶を言わないでください。」

マティス公爵は内心ため息をつく。
そもそも、この第1王子は深く考えずに目先のことだけで動き過ぎる。
婚約破棄の時も、かなり裏で手を尽くして貴族の反感を無理やり抑えたのだ。
ここで粛清騒動など起こされたら、将来義父となる自分にまで矛先が向く。

「マティス公爵!
 そなたは将来の王の義父となる方だろう!
 であれば、大公として腕を振るわなければならん。」

これもマティス公爵としては頭の痛い問題だ。
第1王子も第2王子も、ともに未成年だ。
次代の王として認められ正式に王太子へ即位すれば、その後見人が必要となる。

それが大公だ。

複数人いる公爵と違い大公はただ一人、しかも一度就任すれば終身制なので降爵されない。
一代限りとはいえ権威も権限も絶大であり、国王と同等近い扱いを受ける。

「王子…
 たとえ王子の推挙があっても、大公などそうそう就任できるものではないですよ。」

ゆえに、全貴族の9割以上の支持という、選抜には非常に高いハードルがある。
セージ公爵の派閥が2割近い勢力があり、更にその友好関係にある派閥も含めれば。
たとえマティス公爵が派閥と中立派全てを抑えても、9割など不可能だ。
それほどに大公という地位は絶大なのだ。
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