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第一章
第25話 公認お泊まり**
しおりを挟む「んんっ」
舌を絡ませたまま、シリルは片手で器用に俺のシャツのボタンを全てはずした。
手慣れたものである。
「あ、シリル、待って。待って!」
流れでベッドへ押し倒されそうになった俺は、慌ててその肩を押す。
「どうした?」
首をかしげたシリルは、油断なく俺の太ももへ手を這わせた。
「あ、こら、どこ触っ……違う、今日は俺が」
すけべなその手を、すかさず抑える。
いつも主導権を握られ、好き勝手弄られては面白くない。
俺にだって、プライドのプの字くらいあるのだ。
「今日は俺が触る」
「えっ?」
シリルの手が止まった。
「いま、なんて……」
「今日は俺が触るって言ったんだよ……!」
一瞬驚いた表情をしたシリルは、すぐににこりと笑った。
「ふーん。いいよ、好きに触って」
――――
どうにかヒイヒイいわせてやる、と息巻いた俺は、シリルをベッドに腰かけさせた。
いつかの意趣返しに、シリルの両手はカーテンの紐で後ろ手に縛っている。
「うわ……」
膝の間へ座った俺は、無抵抗のシリルの前を寛げ、目の前にあらわれたモノに思わず口をおさえた。
以前も見たが、やはり俺のとは全然違う。
(こんなでかいのが、今まで俺に)
不意に以前の行為を思い出し、腰がむずむずした。
手をのばしてそれに触れると、シリルが擽ったそうに笑った。
「舞踏会の日もじっと眺めてたね。そんなに好き?」
「な、ちがっ」
俺は慌てて首を振ろうとして、止まった。
いけないいけない。
危うくいつものシリルのペースにのせられるところだった。
「いや、……うん、好き」
今日は俺がシリルを翻弄してやるのだ。
会得したばかりの上目遣いで見上げると、シリルの頬がかあっと染まった。
「そ、そう……」
顔を真っ赤にしたまま、シリルは目を泳がせている。
新鮮な反応だ。気分がいい。
俺の口角が自然と上がる。
調子に乗った俺は、まだ硬度の足りないそれを、手で軽く握って擦った。
シリルが熱っぽい視線をこちらへ向けている。
「力、強いかな?」
俺は首をかしげ、その目をじっと見つめた。
シリルが横に首を振る。
手の中のモノが、ぴくりと動いて硬さを増した。
悪くない反応だが、まだ刺激は足りないようだった。
(思ったよりグロくは、ない)
視線を戻し、陰茎に薄く浮かんだ血管をなぞる。
鬼頭へたっぷりと唾液をたらして、少し力を入れて擦れば、さらに増大した肉棒がいやらしくてらてらと光った。
「ロジェ……」
シリルから、悩ましげな吐息が漏れた。
手の中でまた、誘うように震える。
(他人のこれなんて、前までの俺なら見るのも嫌だったのにな)
シリルのそれは、全然嫌じゃない。
むしろ……なんだか、おいしそうだ。
俺は、何も考えずにそれをぱくり、と口に含んだ。
「っ……! そんな、無理しなくても」
「ふぉれが……ん、俺がやりたいの」
驚いたようにはね上がったシリルの内腿へ手を添え、口一杯に頬張ったそれを、舌先でチロチロと舐める。
「うわ、ロジェが僕のを..……これは、やばいな」
ため息混じりに呟くシリルの陰嚢が、ぐいと持ち上がっている。
口内の質量が、ずんと増した。
(俺で、興奮してるんだ)
背中をゾクゾクと高揚感が這い登った。
両手で陰茎を擦り、カリや裏筋の形を唇で確かめるように吸い付く。
「ロジェ、もう……っ口を離して」
限界の近いシリルの掠れた囁き声に、俺は一層興奮した。
シリルの顔が見たくて、咥えたまま視線を向ける。
眉間に皺を寄せた、荒い息遣いのシリルと目が合った。
その瞬間、俺の手や口がぐっと拡げられる感覚がして、すぐに口内へ熱いものが噴き出した。
陰茎の脈打つ感覚が生々しく感じられて、俺の腰の奥がきゅ、と反応した。
「ん……」
急に、口の中のそれを飲みたいような気持ちがむくむくと沸いてきて、俺はそのままごくり、と飲んだ。
そうしたら、からだの奥から気力が湧くような、そんな不思議な感覚がした。
なんだか、頭の中がフワフワする。
「うそだ、今、飲んだ?」
ちゅう、と名残惜しく先を吸った俺は、シリルの陰茎から口を離した。
呆然とした様子のシリルに、空っぽの口内を見せる。
「なんか、飲んじゃった」
俺の顔を穴が空くほどまじまじと眺めたシリルは、考えるのを諦めたように、やれやれと首を傾けた。
「末恐ろしいよ、君は」
その耳が赤いままなのを、俺は見逃さなかった。
――――
下を全部脱いで、はだけたシャツ一枚になった俺は、シリルの膝へ向かい合わせにまたがった。
相手のシャツも脱がして、首へ腕を回し、素肌同士をぴたりとくっつける。
腰を前後に揺らして、再度硬くなりかけているシリルのそれを焦らすように、己の後孔をすりつけた。
「今日のロジェは、一段とえっちだね」
耳元で囁かれるのがくすぐったくて、俺はその耳たぶにかみついた。
「嫌?」
前も同じこと聞いたな、と思いながらシリルの顔を覗き込む。
「ぜんぜん。最高だよ」
シリルも同じことを考えていたようだ。
2人で額を突き合わせて、くすくすと笑った。
「ん……」
シリルの膝にのったまま例の香油を手に取り、自分で後孔へ塗り込む。
こんなところ自分で弄ったこともないから、後ろ手で拡げるのはなかなか難しい。
と、前方へつき出された俺の胸を、シリルがぺろりと舐めた。
「ぁっ! こら、シリル」
思わず変な声が漏れて、シリルを睨む。
両手を縛ってあるのに、油断も隙もないやつだ。
「だって、目の前にあるから……だめかな?」
シリルはあざとく俺を見上げた。
さっき俺が使った上目遣いだ。
「ぐ……」
かっこいいのに、かわいい。
あるはずのない母性本能が、きゅうと俺の心を鷲掴みにした。
「ちょっとだけだからな……」
我ながら、なんてチョロいんだろう。
胸を差し出すようにシリルの頭を抱えると、待ちかねたように俺の乳首を刺激しはじめた。
優しく舐めて、吸って、今度は、少し歯をたてて……シリルから与えられる快感に、俺のからだはびくびくと反応して揺れ、抱えたさらさらの青い髪を乱した。
一方シリルの屹立も、すっかり完全復活して俺の太ももの付け根にぐりぐりと当たっていた。
「シリル」
シリルの額に唇をつけると、端正な顔がこちらを見上げる。
「ん?」
「も、いれて……いい?」
返事も待たず膝を立て腰を上げた俺は、その太い杭を手で支えて後孔へとあてがった。
高く張り上げたカリを、入り口へ引っ掻けるようにずぽずぽと出し入れする。
甘い快感が穏やかに身体中を巡って、俺は夢中になって浅い抽挿を続けた。
「これ、気持ちい、気持ちいいよ……っシリル……」
「っ、くそ……――、――――」
眉をひそめたシリルが、何かを呟く。
じゅ、と柔らかい音が微かに聞こえて、すぐに焦げたような臭いが鼻についた。
「シリル? 何を……」
言い終わらない内に、俺の太ももを大きな手ががしりと掴む。
そして間髪いれず、ずくん、と長大なものが俺のナカへ深々と突き刺さった。
「ぁ……っ!」
はずみで俺の先から、白い液が飛ぶ。
いきなりの衝撃に声も出せない俺に、空いた手で自身の前髪をかきあげたシリルが言い放った。
「僕をディルド扱いとは……いい度胸だね、ロジェ」
太ももが強く抑えられ、同時にシリルの杭が俺の奥へ食い込む。
強い快感で滲んだ視界の端に、焼き切れたカーテンの紐がちらりと映った。
(う……魔法使ったな)
「さあ、ロジェ、一緒に気持ちよくなろうか」
一気に形勢逆転だ。
激しく下から突き上げられた俺は、シリルの胸に手を置いて、喘ぎながら揺さぶられる事しかできなくなった。
「あぁっ!んっ……、ふぅ、やぁっ、だめ、シリルっ」
力強く突かれる度に、視界がチカチカする。
「あっ、あっ……! シ、シリル……っ、まって、はげし」
「へえ、待つの?」
そう言うなり、シリルはぴたりと律動を止めた。
「あ……なんで、」
「ロジェが待てっていうから」
意地の悪い微笑みが、シリルの顔に浮かんでいる。
俺の中の、シリルの切っ先が触れている場所が、じんわりとやけつくように疼いた。
(いいもんね、勝手に動くから)
心の中で舌を出し、俺は腰を前後にぐにぐにと動かした。
「ぁ……ん、んぅ……」
動くたび俺の中のイイトコロに当たって、癖になりそうだ。
そんな俺の腰を、シリルはこれ以上動けないようにがっちりと抑えた。
「またひとりで気持ちよくなってるの? ロジェ、本当はどうして欲しいか言ってよ」
「う……」
シリルの先が俺の奥でくい、と動き、返事を急かした。
弱い電流のような快感が、俺の理性を溶けさせる。
我慢できなくなった俺は、とうとう口を開いた。
「シリルの、」
「うん」
シリルが、俺の頭を優しく撫でる。
「シリルの、おっきいの……もっとちょうだい……っ、ね、俺のこと、めちゃくちゃにして……?」
シリルは、無言だ。
「シリル……?」
さすがに、引いただろうか?と俺が不安になった頃、シリルは大きくため息をついた。
「はぁ……想像を遥かに越えてくるね、君は」
俺を見下ろす青い瞳が、欲望の色を灯して揺れている。
シリルの薄い唇が、弧を描いた。
「いいよ、望み通り。ぐちゃぐちゃに気持ちよくしてあげる」
言い終わらないうちに、ぐる、と俺の視界が反転した。
俺を見下ろすシリル越しに、見慣れた天井がうつる。
同時にシリルのソレがちゅぽん、と抜かれた。
物足りなくて、恨みがましい目を向けた俺に、シリルは覆い被さって唇を重ねた。
俺の額に、首筋に、肩に……シリルが優しくキスを落とす。
シリルの唇が触れた場所からもれなくびりびりと熱い疼きが伝って、俺の胸を締め付けた。
「シリル、好き、好きだよ……」
喉の奥が想いでいっぱいになって、思わず口からこぼれ出る。
愛しげに目を細めたシリルが、俺の耳たぶをそっと食んで返した。
「知ってる。僕もだよ、ロジェ……君が大好きだ」
シリルは俺の膝裏を持ち上げ、俺の体はくの字に曲げられた。自分の足が、胸へ押し付けられる。
「僕から君を取り上げるなんてこと、誰にもさせない」
あられもなく天を向いた後孔へ、重たいソレがぐいと押し付けられた。
「ん……ぅ……」
俺のナカへ、シリルの怒張がゆっくりと埋められる。
肉壁をねちっこくずりずりとすり上げる感触がたまらなくて、思わず吐息を漏らした。
「ふ……っ、シリル…………っ」
腕を伸ばせば、すぐにシリルが力強く俺を抱き締めた。
頭を擦り付けると、顔を上げたシリルの燃えるような視線が俺を射貫き、お互いに貪り合うようにキスをする。
やがて俺の尻に、ずしりとシリルの重たい陰嚢が触れた。怒張が根元まで入ったのだ。
「ロジェ、僕の、ロジェ」
「シリル……っ」
シリルに囁かれる度、俺のナカが媚びるようにその陰茎を食い締める。
一瞬息を詰めたシリルは、猛る肉棒を俺の奥へと打ち付け始めた。
「ぁっ、ん、ん、ぁあっ……!」
シリルの張り詰めた陰茎が、抉るように俺を犯す。
俺の後孔は、限界まで拡げられた端から泡立つ涎を滴しながら、その楔を咥え込んでいた。
俺の部屋はお互いの熱い息遣いと、激しく繋がった結合部のたてる、ぐちゅぐちゅとした水音で溢れていた。
俺のナカを好き勝手に責め立て続けたシリルは、やがて余裕のない声で告げた。
「ロジェ、出すよ」
シリルの声に、返事もままらない俺はぐ、と後ろへ力をいれる。
「ぁっ、ぁっ、うん、きて……、っぁ……きて……っ」
その締め付けに小さく呻いたシリルは、俺の奥へと欲を注ぎ込んだ。
「ぁぁぁあっ……!」
体内に広がる熱さで一気に高みへ押し上げられ、俺の屹立からも劣情が噴き出し、自分の腹を汚す。
「一緒にイけたね、ロジェ」
どこか嬉しそうな声と共に、シリルのキスが降ってきた。
「ん……」
強い快楽の余韻が、ふわふわと俺を包む。
「ふぁ、も、だめ……」
今日は一日中気を張って過ごしていたせいか、それとも2日連続で激しい行為に及んだせいか。
そのまま俺は、糸が切れたようにぱたりと気を失ってしまった。
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