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帳先輩のヒート
ポンコツαの初恋事情 43
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「確かに俺はあの時、帳先輩に運命なんて関係なく、貴方が好きだと、そう伝えました。だけど、運命の相手じゃないなんて、一言も言ってないじゃないですか」
日向は膝から崩れ落ちると、涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら彼に真実を伝えるべく、言葉を続ける。
「帳先輩、俺の運命の番は貴方なんです」
「うそ‥‥だって‥日向くん、そんな事、ひっ、一言も‥‥」
日向の言葉を受け、帳は声を震わせた。
まるでその時の記憶が帳の心の中によみがえり、彼を傷つけているように、日向の目には映った。
日向は自身の言動のせいで、どれほどの誤解を生み、愛する人を苦しませていたのかを痛感し、大粒の涙を流しながら鼻を啜る。
「俺は、初めて貴方と出会った瞬間、一瞬にして心奪われました。俺にはこの人しかいないと感じたんです。帳先輩と出会う前までは、自分はベータ性だと思っていたし、当然、帳先輩がオメガ性である事も知りませんでした。病院で突然自分がアルファだと告げられた時は困惑しましたが、帳先輩が運命の番だと告げられた時は、本当に嬉しかった。俺は帳先輩と出会う為に産まれてきたのだとさえ思いました」
日向の声には、帳に対する強い想いが込められていた。
「帳先輩は、どうしてあの日、俺に声をかけてくれたんですか?」
日向の問いに、帳は初めて日向に声を掛けた時の事を思い出しながら、ゆっくりと口を開いた。
「あの日‥‥日向くんの後ろ姿が視界に入った途端、胸の鼓動が高鳴るのを感じて、君の事が気になって、声を掛けたんだ。」
「帳先輩、それですよ、それ。運命の番は、出会った瞬間に分かると言うじゃないですか。俺達、初めて出会った時から惹かれ合っていたんですよ」
「あの感覚が、そうだったんだ」
「あははっ、帳先輩って、俺以上に鈍感なんですね」
「う~っ。わ、笑わないでよ!じゃあ、僕と日向くんは本当に‥‥‥」
「俺と帳先輩は、運命の番なんです」
その言葉に、帳は目を大きく見開いた。
日向は帳の表情から、彼の心の中で、長い間積もり積もっていた疑念や不安が、徐々に解けていくのを感じた。
二人の間に存在していた見えない壁が音を立てて崩れていく。
「帳先輩に初めて出会ったその日から、貴方の居ない人生なんて、考えられなれなくなりました」
「日向ぐっ、ん‥‥」
帳は瞳から溢れる涙そのままに、嗚咽をもらしながら日向の名前を呼んだ。
「お願いです。一生帳貴方の側に居る権利を俺に下さい。」
日向は熱い思いを込めて、帳の手を取り、彼を見つめた。
泣きはらした日向の目の奥には、絶対に揺るがない決意が滲んでいる。
「ひなた‥‥くんっ!」
日向は帳の手をとり、泣きはらして真っ赤に染まった目で彼を真っ直ぐに見つめる。
「愛しています。俺の、たった一人の番になって下さい。俺は一生帳先輩を離す気はありません。貴方が頷いてくれるまで、俺の思いを伝え続けます」
その言葉には、日向がどれほど深く、彼の事を愛しているのかが込められていた。
「日向くん、僕もっ…僕も愛してる。日向くんの番になりたい。君を一生離したくない!」
日向は帳の言葉を噛みしめながら、彼の手をさらに強く握りしめた。
「本当に、俺だけの番になってくれるんですか?」
目蓋を腫らし、涙と鼻水でぐしゃぐしゃな顔での告白は、決して格好良いものではなかったが、帳は日向に負けない位に泣き腫らした顔で、幸せそうに微笑むと
「僕で良ければ、喜んで」
と、涙を流し、再び鼻を啜った。
そうして互いの手を重ね合わせた瞬間、二人はようやく運命の糸が交わるのを感じた。
互いに手を伸ばし、強く抱きしめあうと、声を震わせ、目蓋と鼻が真っ赤になるのも構わず、涙が枯れるまで、ひたすら泣き続けた。
日向は膝から崩れ落ちると、涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら彼に真実を伝えるべく、言葉を続ける。
「帳先輩、俺の運命の番は貴方なんです」
「うそ‥‥だって‥日向くん、そんな事、ひっ、一言も‥‥」
日向の言葉を受け、帳は声を震わせた。
まるでその時の記憶が帳の心の中によみがえり、彼を傷つけているように、日向の目には映った。
日向は自身の言動のせいで、どれほどの誤解を生み、愛する人を苦しませていたのかを痛感し、大粒の涙を流しながら鼻を啜る。
「俺は、初めて貴方と出会った瞬間、一瞬にして心奪われました。俺にはこの人しかいないと感じたんです。帳先輩と出会う前までは、自分はベータ性だと思っていたし、当然、帳先輩がオメガ性である事も知りませんでした。病院で突然自分がアルファだと告げられた時は困惑しましたが、帳先輩が運命の番だと告げられた時は、本当に嬉しかった。俺は帳先輩と出会う為に産まれてきたのだとさえ思いました」
日向の声には、帳に対する強い想いが込められていた。
「帳先輩は、どうしてあの日、俺に声をかけてくれたんですか?」
日向の問いに、帳は初めて日向に声を掛けた時の事を思い出しながら、ゆっくりと口を開いた。
「あの日‥‥日向くんの後ろ姿が視界に入った途端、胸の鼓動が高鳴るのを感じて、君の事が気になって、声を掛けたんだ。」
「帳先輩、それですよ、それ。運命の番は、出会った瞬間に分かると言うじゃないですか。俺達、初めて出会った時から惹かれ合っていたんですよ」
「あの感覚が、そうだったんだ」
「あははっ、帳先輩って、俺以上に鈍感なんですね」
「う~っ。わ、笑わないでよ!じゃあ、僕と日向くんは本当に‥‥‥」
「俺と帳先輩は、運命の番なんです」
その言葉に、帳は目を大きく見開いた。
日向は帳の表情から、彼の心の中で、長い間積もり積もっていた疑念や不安が、徐々に解けていくのを感じた。
二人の間に存在していた見えない壁が音を立てて崩れていく。
「帳先輩に初めて出会ったその日から、貴方の居ない人生なんて、考えられなれなくなりました」
「日向ぐっ、ん‥‥」
帳は瞳から溢れる涙そのままに、嗚咽をもらしながら日向の名前を呼んだ。
「お願いです。一生帳貴方の側に居る権利を俺に下さい。」
日向は熱い思いを込めて、帳の手を取り、彼を見つめた。
泣きはらした日向の目の奥には、絶対に揺るがない決意が滲んでいる。
「ひなた‥‥くんっ!」
日向は帳の手をとり、泣きはらして真っ赤に染まった目で彼を真っ直ぐに見つめる。
「愛しています。俺の、たった一人の番になって下さい。俺は一生帳先輩を離す気はありません。貴方が頷いてくれるまで、俺の思いを伝え続けます」
その言葉には、日向がどれほど深く、彼の事を愛しているのかが込められていた。
「日向くん、僕もっ…僕も愛してる。日向くんの番になりたい。君を一生離したくない!」
日向は帳の言葉を噛みしめながら、彼の手をさらに強く握りしめた。
「本当に、俺だけの番になってくれるんですか?」
目蓋を腫らし、涙と鼻水でぐしゃぐしゃな顔での告白は、決して格好良いものではなかったが、帳は日向に負けない位に泣き腫らした顔で、幸せそうに微笑むと
「僕で良ければ、喜んで」
と、涙を流し、再び鼻を啜った。
そうして互いの手を重ね合わせた瞬間、二人はようやく運命の糸が交わるのを感じた。
互いに手を伸ばし、強く抱きしめあうと、声を震わせ、目蓋と鼻が真っ赤になるのも構わず、涙が枯れるまで、ひたすら泣き続けた。
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