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帳先輩と初デート!?
ポンコツαの初恋事情 6
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翌日、日向が目を覚ますと、時計の針は昼間の十一時半を指していた。
日向はベッドから上体を起こすと、身体をほぐす様にゆっくりと首を回す。
全身に怠さを感じた日向は、風呂を沸かし、湯船に浸かりながら再び首や肩をまわして全身に血を巡らせた。
日向は幾分か怠さがマシになった身体で寝室へと戻ると、枕元に置きっぱなしにしていた携帯を確認した。
すると、病院から連絡を受けて心配したのであろう両親と、職場の上司である武元、そして、帳からメッセージが届いていた。
日向は他のメッセージに既読スルーを決め込むと、帳からのメッセージのみをじっくりと確認する。
『おはよう、日向くん。あれから身体の調子はどうかな?昨日ゆっくりと休めていると良いんだけど』
そこには、日向の体調を気遣う内容が綴られており
「あぁ、俺にはやっぱりこの人しか居ない!」
日向は何度目になるかわからない愛の誓いを口にし、帳からのメッセージに返信をした。
『おはようございます。昨日は格好悪い所を見せてしまい、申し訳ございませんでした。ご迷惑でなければ、電話しても宜しいでしょうか?帳先輩の声が聞きたいです』
日向は想いの丈をメッセージに込めて送信ボタンを押してから
(ちょっと待てよ!?『帳先輩の声が聞きたいです』って、いくらなんでもぐいぐい行きすぎだろ。気持ち悪がられたらどうするんだ、俺!)
と、またもや脳内反省会を開きはじめた。
そうしていると、手に握りしめている携帯がブルブルと震えだし、日向は表示されている名前を見るや、瞬く間に笑顔になり、浮き立った気持ちで電話に出た。
『もしもし、メッセージ有り難う。今休憩時間中だから、僕の方から電話しちゃった。どうしたの?』
帳の甘く爽やかな声が日向の鼓膜を揺らすし、日向はうっとりとその美声に酔いしれる。
(あぁ、朝から幸せだなぁ)
だが、『声が聞きたい』とメッセージを打ったものの、話のネタを持ち合わせていなかった日向は、咄嗟に
「あの、帳先輩から言われた通り、身なりを整える為に美容院に行きたいんですが、おすすめのお店とかありますか?」
と、帳に向かって問いかけた。
『僕のお勧めはAcidっていう美容院かなぁ。僕の担当の子、物凄く腕が良いんだ。少し変わってはいるけど、話しやすくて良い人だよ』
帳は明るいトーンで美容室の話を広げる。
『僕もそろそろシャンプーとコンディショナーをそこに買いに行きたいと思っていたから、今日の仕事帰りで良ければ、一緒に行かない?』
帳からの突然のお誘いに、日向は食い気味に答えた。
「行きます!行きたいです!」
『オッケー。じゃあ、定時で上がれる様に頑張るよ。お店の受付は二十四時までで、閉店時間が二十五時なんだ』
「そんなに遅くまでやっている美容院があるんですね」
『うん。夜職の子のヘアセットとか、仕事が忙しくて時間を作れない人の為に、夜も営業してるみたい』
「ありがたいですね」
『それで、日向くんさえ良ければ、僕の仕事終わりに合流して、先にご飯を食べに行かない?』
「えっ、良いんですか?」
『うん。日向くんは、アレルギーとか、好き嫌いとかある?僕は特にないから日向くんの食べたいものを食べに行こうよ』
(んんんっ!このさりげない気配り!帳先輩はこの世に舞い降りた天使に違いない)
日向は心の中で帳を拝みたおすと
「特にないです。それに、帳先輩と一緒ならなんでも美味しく頂けます!」
と堂々と言いきった。
『あははっ、ありがとう。そんな事、初めて言われたよ』
嬉しいなぁ。と、弾んだ声で返された言葉に、日向は堪らず悶絶したのだが
『日向くんのおすすめのお店とか、今日食べたいものとかある?』
と尋ねられ、日向は一瞬にして固まった。
普段の外食を牛丼メインのチェーン店や、行きつけの定食屋、立ち食い蕎麦位にと、ジャージにクロックスでも、気軽に入れる場所で済ませていた日向は、好意を寄せている相手と行ける様な店など知るよしもなかった。
日向が頭を抱え、黙り込んでいると、何かを察したのであろう帳が
「んー、じゃあ、日向くんはカレーとオムライスなら、どっちが良いかな?僕の好みで申し訳ないんだけど」
と、日向に対し、助け船を出した。
(つくづく気を遣わせて、心苦しいなぁ)
そう思いつつも、帳がスプーンでオムライスを口にはこぶ姿が見たくて
「オムライスでお願いします。先輩との食事、楽しみにしていますね!」
と、元気に答えた。
『了解。僕も楽しみしてるよ。じゃあ、就業時間は十六時から十七時までになると思うから、終わったらまた連絡するよ。じゃあ、また後でね』
「はい、今日は宜しくお願いします!」
『はーい』
そう言って通話が終了した後も、日向は先程までの会話の余韻に浸り、携帯電話に頬擦りを繰り返した。
(やったぁ!帳先輩との初デートだっっっ!!帳先輩、また手を繋いでくれるかな?二人で並んで歩きたいなぁ)
日向はだらしのない顔で空想を繰り広げ
「グフフッ」
と不気味な笑みをこぼした。
日向はベッドから上体を起こすと、身体をほぐす様にゆっくりと首を回す。
全身に怠さを感じた日向は、風呂を沸かし、湯船に浸かりながら再び首や肩をまわして全身に血を巡らせた。
日向は幾分か怠さがマシになった身体で寝室へと戻ると、枕元に置きっぱなしにしていた携帯を確認した。
すると、病院から連絡を受けて心配したのであろう両親と、職場の上司である武元、そして、帳からメッセージが届いていた。
日向は他のメッセージに既読スルーを決め込むと、帳からのメッセージのみをじっくりと確認する。
『おはよう、日向くん。あれから身体の調子はどうかな?昨日ゆっくりと休めていると良いんだけど』
そこには、日向の体調を気遣う内容が綴られており
「あぁ、俺にはやっぱりこの人しか居ない!」
日向は何度目になるかわからない愛の誓いを口にし、帳からのメッセージに返信をした。
『おはようございます。昨日は格好悪い所を見せてしまい、申し訳ございませんでした。ご迷惑でなければ、電話しても宜しいでしょうか?帳先輩の声が聞きたいです』
日向は想いの丈をメッセージに込めて送信ボタンを押してから
(ちょっと待てよ!?『帳先輩の声が聞きたいです』って、いくらなんでもぐいぐい行きすぎだろ。気持ち悪がられたらどうするんだ、俺!)
と、またもや脳内反省会を開きはじめた。
そうしていると、手に握りしめている携帯がブルブルと震えだし、日向は表示されている名前を見るや、瞬く間に笑顔になり、浮き立った気持ちで電話に出た。
『もしもし、メッセージ有り難う。今休憩時間中だから、僕の方から電話しちゃった。どうしたの?』
帳の甘く爽やかな声が日向の鼓膜を揺らすし、日向はうっとりとその美声に酔いしれる。
(あぁ、朝から幸せだなぁ)
だが、『声が聞きたい』とメッセージを打ったものの、話のネタを持ち合わせていなかった日向は、咄嗟に
「あの、帳先輩から言われた通り、身なりを整える為に美容院に行きたいんですが、おすすめのお店とかありますか?」
と、帳に向かって問いかけた。
『僕のお勧めはAcidっていう美容院かなぁ。僕の担当の子、物凄く腕が良いんだ。少し変わってはいるけど、話しやすくて良い人だよ』
帳は明るいトーンで美容室の話を広げる。
『僕もそろそろシャンプーとコンディショナーをそこに買いに行きたいと思っていたから、今日の仕事帰りで良ければ、一緒に行かない?』
帳からの突然のお誘いに、日向は食い気味に答えた。
「行きます!行きたいです!」
『オッケー。じゃあ、定時で上がれる様に頑張るよ。お店の受付は二十四時までで、閉店時間が二十五時なんだ』
「そんなに遅くまでやっている美容院があるんですね」
『うん。夜職の子のヘアセットとか、仕事が忙しくて時間を作れない人の為に、夜も営業してるみたい』
「ありがたいですね」
『それで、日向くんさえ良ければ、僕の仕事終わりに合流して、先にご飯を食べに行かない?』
「えっ、良いんですか?」
『うん。日向くんは、アレルギーとか、好き嫌いとかある?僕は特にないから日向くんの食べたいものを食べに行こうよ』
(んんんっ!このさりげない気配り!帳先輩はこの世に舞い降りた天使に違いない)
日向は心の中で帳を拝みたおすと
「特にないです。それに、帳先輩と一緒ならなんでも美味しく頂けます!」
と堂々と言いきった。
『あははっ、ありがとう。そんな事、初めて言われたよ』
嬉しいなぁ。と、弾んだ声で返された言葉に、日向は堪らず悶絶したのだが
『日向くんのおすすめのお店とか、今日食べたいものとかある?』
と尋ねられ、日向は一瞬にして固まった。
普段の外食を牛丼メインのチェーン店や、行きつけの定食屋、立ち食い蕎麦位にと、ジャージにクロックスでも、気軽に入れる場所で済ませていた日向は、好意を寄せている相手と行ける様な店など知るよしもなかった。
日向が頭を抱え、黙り込んでいると、何かを察したのであろう帳が
「んー、じゃあ、日向くんはカレーとオムライスなら、どっちが良いかな?僕の好みで申し訳ないんだけど」
と、日向に対し、助け船を出した。
(つくづく気を遣わせて、心苦しいなぁ)
そう思いつつも、帳がスプーンでオムライスを口にはこぶ姿が見たくて
「オムライスでお願いします。先輩との食事、楽しみにしていますね!」
と、元気に答えた。
『了解。僕も楽しみしてるよ。じゃあ、就業時間は十六時から十七時までになると思うから、終わったらまた連絡するよ。じゃあ、また後でね』
「はい、今日は宜しくお願いします!」
『はーい』
そう言って通話が終了した後も、日向は先程までの会話の余韻に浸り、携帯電話に頬擦りを繰り返した。
(やったぁ!帳先輩との初デートだっっっ!!帳先輩、また手を繋いでくれるかな?二人で並んで歩きたいなぁ)
日向はだらしのない顔で空想を繰り広げ
「グフフッ」
と不気味な笑みをこぼした。
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