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battle20.5…溢れる心 (pov雅)
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『明日この街を出る事にしました』
八戒さんから突然言われた…
仕方ないことなんだって言い聞かせるけど
ダメだ…
「三蔵なら宿ですよ?」
そういう八戒さんの言葉に、落胆した…
なんでだろう…
逢いたくて……
ただ逢いたくて仕方ない…
この気持ちの正体を
知ってるようで…知らないようで……
仕事が終わったのは夜だった。
家に帰るいつもの道ではなく
私は宿屋に向かった…
「あれ、雅ちゃん、どうしたんだい?」
「知り合いが明日出るって言うから…挨拶に!」
「そうかい!」
そうして着いたのは三蔵さんの部屋の前。
ただ…
急に来て困らせないか……
また怒らせちゃわないだろうか…?
そんなことがぐるぐると頭を回ってる……
「雅!!」
声をかけられた。皆揃ってる……
「どうしたんですか?」
「明日出発するからって……お別れに…」
どうしよう…
急すぎて…顔が見れない……
だけど、何故か悟浄さんと八戒さんが
悟空さんを部屋に押し込んでくれた……
「…そこ、俺の部屋なんだが?」
「…あ、ごめんなさい……」
避けたものの、このままじゃ何もいえない……
「あ…あの、三蔵さん」
「…なんだ」
言葉につまる……
「え…っと……その」
「いいたいことがあるならはっきり言え」
「……ッッ…あの」
「ハァァ…とりあえず中入れ」
部屋に促されて……
「お邪魔します」
中にいれてもらって椅子に座る三蔵さんは
法衣を上半身脱いでいつに無く、見たことの無い筋肉質が見えていた。
あ…
やっぱりかけてる…
指輪…いつもどおりに…
「えっと……あ、そうだ、少し前、妖怪来た時に助けてくれてありがとうございました…」
「そんな事か…」
「あとは……その…ホールで話してた時…怒らせちゃって……ごめんなさい」
「別に怒ってねえよ」
「……それから……えっと……」
あれ……
なんで…
「…あれ…おかしい……ヒック…泣くつもり何て……目にごみでも…入ったのかな…」
ごみなんて入ってない……
どうして…涙が……止まらない……
ため息を吐く音が聞こえる……
呆れるよね……当然だ……
「何泣いてんだよ」
「…ないてない……です……ゥッ…ズッ…ちょっと待ってください…すぐ…止まる」
すぐにでも止めないと……いいたいこと云々じゃなくなる……
でも……どうしよう……
好きが溢れて……涙に変わる……
それでも…私は願えない…
それでもまだ…色々知りたいのに……
もう叶わなくなる……
迷惑かける……そう伝えたら……
気付いたら三蔵さんの腕の中にいた……
「何で泣いてるのか聞かねえから…それに迷惑だなんて言ってねえよ」
「……・・・ーーーーッッ…」
少しでいい……
拒絶されるくらいなら……伝えないままの方が……
三蔵さんには…大切な人が居る…
「で…?いいたいことは終わりか?」
「…忘れました……」
嘘……胸に溢れてる……
「何言ってんだ?」
「いいません…」
「そうか…」
「忘れちゃった…から」
忘れてない…
忘れられない……
このままだと甘えたくなる……
ぐっと三蔵さんの胸を押し戻した……
「済みません…汚しちゃって……」
「構わねえよ」
「……ッッ…」
「……たく、相変わらず下手くそだな」
「え…?」
相変わらずって……
何………?
なんで…嘘だって…解るの……?
そのまま左耳にかけられた横髪に誘われるように顔を上げれば、ふっと唇が重なった…
ど…うして……?
なんで……?
こんなの…勘違いする……
「泣き止んだら帰れ」
そう言われたけど……
唇には微かにたばこの香りが残った
鼻を擽る少し甘めの香り……
どこかで感じたことのあるような…
知ってる……?私……
でも、
なんで…キス……したの……?
扉の外に出て……
ふと唇に残る感覚に誘われるように……
「……好き…です」
聞こえない告白が…廊下に消えていった……
.
八戒さんから突然言われた…
仕方ないことなんだって言い聞かせるけど
ダメだ…
「三蔵なら宿ですよ?」
そういう八戒さんの言葉に、落胆した…
なんでだろう…
逢いたくて……
ただ逢いたくて仕方ない…
この気持ちの正体を
知ってるようで…知らないようで……
仕事が終わったのは夜だった。
家に帰るいつもの道ではなく
私は宿屋に向かった…
「あれ、雅ちゃん、どうしたんだい?」
「知り合いが明日出るって言うから…挨拶に!」
「そうかい!」
そうして着いたのは三蔵さんの部屋の前。
ただ…
急に来て困らせないか……
また怒らせちゃわないだろうか…?
そんなことがぐるぐると頭を回ってる……
「雅!!」
声をかけられた。皆揃ってる……
「どうしたんですか?」
「明日出発するからって……お別れに…」
どうしよう…
急すぎて…顔が見れない……
だけど、何故か悟浄さんと八戒さんが
悟空さんを部屋に押し込んでくれた……
「…そこ、俺の部屋なんだが?」
「…あ、ごめんなさい……」
避けたものの、このままじゃ何もいえない……
「あ…あの、三蔵さん」
「…なんだ」
言葉につまる……
「え…っと……その」
「いいたいことがあるならはっきり言え」
「……ッッ…あの」
「ハァァ…とりあえず中入れ」
部屋に促されて……
「お邪魔します」
中にいれてもらって椅子に座る三蔵さんは
法衣を上半身脱いでいつに無く、見たことの無い筋肉質が見えていた。
あ…
やっぱりかけてる…
指輪…いつもどおりに…
「えっと……あ、そうだ、少し前、妖怪来た時に助けてくれてありがとうございました…」
「そんな事か…」
「あとは……その…ホールで話してた時…怒らせちゃって……ごめんなさい」
「別に怒ってねえよ」
「……それから……えっと……」
あれ……
なんで…
「…あれ…おかしい……ヒック…泣くつもり何て……目にごみでも…入ったのかな…」
ごみなんて入ってない……
どうして…涙が……止まらない……
ため息を吐く音が聞こえる……
呆れるよね……当然だ……
「何泣いてんだよ」
「…ないてない……です……ゥッ…ズッ…ちょっと待ってください…すぐ…止まる」
すぐにでも止めないと……いいたいこと云々じゃなくなる……
でも……どうしよう……
好きが溢れて……涙に変わる……
それでも…私は願えない…
それでもまだ…色々知りたいのに……
もう叶わなくなる……
迷惑かける……そう伝えたら……
気付いたら三蔵さんの腕の中にいた……
「何で泣いてるのか聞かねえから…それに迷惑だなんて言ってねえよ」
「……・・・ーーーーッッ…」
少しでいい……
拒絶されるくらいなら……伝えないままの方が……
三蔵さんには…大切な人が居る…
「で…?いいたいことは終わりか?」
「…忘れました……」
嘘……胸に溢れてる……
「何言ってんだ?」
「いいません…」
「そうか…」
「忘れちゃった…から」
忘れてない…
忘れられない……
このままだと甘えたくなる……
ぐっと三蔵さんの胸を押し戻した……
「済みません…汚しちゃって……」
「構わねえよ」
「……ッッ…」
「……たく、相変わらず下手くそだな」
「え…?」
相変わらずって……
何………?
なんで…嘘だって…解るの……?
そのまま左耳にかけられた横髪に誘われるように顔を上げれば、ふっと唇が重なった…
ど…うして……?
なんで……?
こんなの…勘違いする……
「泣き止んだら帰れ」
そう言われたけど……
唇には微かにたばこの香りが残った
鼻を擽る少し甘めの香り……
どこかで感じたことのあるような…
知ってる……?私……
でも、
なんで…キス……したの……?
扉の外に出て……
ふと唇に残る感覚に誘われるように……
「……好き…です」
聞こえない告白が…廊下に消えていった……
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