凜恋心

降谷みやび

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battle42…悟浄の個別教室

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八戒と悟空の誕生日会も終わり、少し時間も過ぎた頃、雅は悟浄の袖を引っ張った。

「ね、悟浄?」
「ん?何、どうした」
「ちょっと相談……」
「ん?何?」
「ここじゃ……ちょっと…」

そう言いながら俯く雅を見て悟浄は、よっと腰をあげた。

「出るか?」

そう促して雅を連れて部屋を後にする。

「なんだ?連れションか?」
「良いんですか?三蔵。」
「フン…雅が誘ってんだ。それにあのバカもそうそう変な気は起こさねえだろうし」
「それもそうですね」

くすくすと笑っている二人。悟空は白竜と一緒に戯れていた。

その頃、廊下に出て行った悟浄と雅…

「…で?聞かれたくない相談って何?」
「え……?」
「いつもならあんなこと言わないだろ?」
「……ばれてた…」
「クスクス…で?何?」
「あの…こんな事聞けるの悟浄しかいなくて……」
「んー?」
「その……」

なかなか言葉にして言えない雅。そんな相手の言葉をじっと待つ悟浄。

「男の人って……」
「ん?」
「男の人って……その…どうしたら……えっと……」
「何?」
「悦んでくれるの…?」
「……えーっと…雅?」

思いがけない雅からの言葉を聞いた悟浄は呆気に取られていた。

「ごめん……やっぱり変だよね…」
「まぁ待てって…」

そう言うと悟浄は部屋に戻ろうとする雅の手首をつかんで引き留めた。

「どうしたの、雅がそんなこと聞いてくるなんて…」
「…その……」
「んー?」

俯いたまま雅はなかなか悟浄の顔ですら見れなかった。戸惑い気味に雅はきゅっと手を握り締める。

「あの…ね?笑わないで聞いてくれる?」
「あぁ。」

しかし話そうとした時、別の部屋からも宿泊客が出てきて鉢合わせをする。

「…場所、変えるか?」
「ん…」

そう返事をして二人はその場から離れ、食堂にもされていた広間に向かっていった。

「で?男の何が知りたいの?雅は」
「……どうしたら…悦んでくれるのかなって…」
「それは三蔵が、だろ?」
「……ん」
「なら本人に直接聞くのが良いんじゃねえの?」
「『却下』って言われる…だろうし……それに…聞いちゃいけないのかなって…」
「で、何で俺?」
「…それは…その……女性との…コト…詳しそうだし…」
「…言い方…クス…」
「ごめん…こういうのうまく言えない…」

そう言いながらも恥ずかしさからまともに悟浄の顔を見れない雅。それをわかっての事だろう。悟浄もまた『上を向け』ということも無く、見つめていた。

「んー、オトコって言っても、俺と三蔵じゃの好みも違うだろうし…?少し前まで女抱いた事無かった三蔵と俺でも違うだろうし…」
「……そっか…」
「八戒だって違うだろうよ?」

そう答える悟浄。

「そぉ…なんだね」
「まぁ、デリケートな問題何だろうけど。俺はイイ女にシて貰えるなら気持ちいだろうし?もしくはテクニックなんて無くても好きな女なら一生懸命シてくれるだけでゾクゾクするだろうし。」
「そっか……」
「……で?なぁんでいきなりそんなこと聞くの、雅チャンは」
「……三蔵に返してあげたい…」
「返すって……」
「三蔵は…たくさんしてくれるの…でも私、シてあげれてなくて…でもどうしたら男の人って嬉しいのか…わからないから…」
「…ッッ」
「下手にして嫌われたくない…」
「……(今の俺がやべぇわ……)」

そっと頬に手を滑らせると悟浄は顔をあげさせた。

「その気持ちだけで三蔵は嬉しいと思うぜ?それに、雅が三蔵にシて貰って気持ちい事ならあいつも気持ちいいだろうしな。」
「そんな…ッ…」
「それから、一つ雅に忠告な?」
「え…?」
、あんまり下手に男にしない方がいいぜ?」
「……ごめん…気、悪くするよね…」
「違う…抱き締めて、抱きたくなんだろうが…」
「悟浄……?」

しかしスッと手を引く悟浄は、雅から顔を背けていた。しかしそっと手を握り締める雅。

「悟浄…それでも一生懸命答えてくれて…ありがと」
「だぁから…もしかして解ってやってる?雅…」
「何が…?」
「天然か…」
「悟浄……」

無防備にも下から見上げる雅を見て悟浄はすっと腕を回してきた。

「人の女に手ぇ出すつもりは無い…でも…にそんなこと聞かれて…?黙って帰せるほど大人じゃなかったわ…」
「悟浄…」
「心配すんな…あと少ししたら離すから…」

そう言いながらきゅっと抱き締める悟浄。いつもの三蔵の香りとはまた違うたばこの香り、腕の強さ、身体のサイズ…全てが違っているのに何か安心する雅自身がいた。

「…悟浄…」
「ん?」
「悟浄の腕の中も……安心する…」
「クハ…そうは言ってもはしないんだ?」
「…それは…」
「三蔵はドキドキして俺は安心か?」
「……ん」

ゆっくりと身体を離す悟浄。

「悟浄…」
「ん?」
「……なんか…え…っと…」
「何だ?どうかした?」
「…大丈夫?」
「んー?」

そう言うとなかなか言えない雅。視線の先には悟浄の反応している物があった。

「ッ…気にするな」
「……」
「言ったろ?相手だとテクなんて無くてもゾクゾクするって…」
「…ッその…まだ好きで…いてくれるの」
「あったり前だろ…」
「私…どうしたらいい?」
「三蔵の事想ってずーっと笑ってろよ。」
「じゃなくて…今の悟浄……」
「あー、気にしなくていい…これが俺の彼女だったり、三蔵の女じゃなかったら朝まで付き合って貰うとこだけど?」
「悟浄……」

名前を小さく呼ぶと雅はコツンと悟浄の胸元に凭れた。

「私、悟浄の事好きだよ…」
「だぁから、そう言う事無防備に口にするなって…他の男なら勘違いしちゃうから…」
「……でも、本当の事だよ…」
「八戒たちと同じ、だろ?」

そういうと悟浄は上から見下ろしながらも小さく笑って続けた。

「俺のはとして好きだから…忘れないでおいて?もし三蔵と別れるなんてなったら俺はその隙つくからな?」
「悟浄…」
「今夜の授業料、本来ならくっそ高いけど…まぁ雅ならタダでいい……ッ」

そういう悟浄の上着を引き、頬に唇を寄せた雅。すぐに離れたものの真っ赤になりながら話し出した。

「ごめんね…これじゃ足りないよね…でも私…」
「…十分だ」
「ありがと……ごめんね?変なこと聞いちゃって…」
「いんや?…それより部屋、戻るか?」
「ん、悟浄も戻る?」
「俺たばこ一本吸ってからいくわ。」

そういって雅を見送った悟浄。ずるっとその場に座り込むと、クシャリと前髪を掻き上げながらクツクツと喉をならした。

「この天下の悟浄サマが…子供だましみたいなキスで勃つとは…マジで勘弁……」

そっと膨れ上がるそれに手が微かに触れるだけでピクリと反応する体があった。

「クッソ……だっせぇな……あのまま居たら…マジで危なかったっつうの……」

そう呟きながらたばこをふかし上げていたのだった。

「今夜、どうすっかなぁ……ひっさし振りにめちゃくちゃヤリてえわ…あーーでも雅以上の女……いねえわな…」

そんなことを考えていたのだった。
その頃、部屋に戻った雅は色々と聞かれていたものの三蔵と一緒に部屋に戻っていった。
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