凜恋心

降谷みやび

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battle30…揺れる心(後編)

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それから二日経つも街どころか、村にも到着しなかった。道を間違えているわけでもない。ただ、こう言う時に限って次の街までの距離が長いのだ。

「なぁ、三蔵?」
「なんだ」
「……あのさ、みや『うるせえ』……ってまだ何にもいってねぇよ?」
「その名前を出すな」
「……むぅぅぅぅ」

そんなことの繰り返しだった。妖怪が殴り込みに襲いかかってきても、いつもなら傍観者を決め込む三蔵も、銃をぶっ放しては、何か情報を聞こうとする。しかしいつも知らないと言われて終わるのだった。

「こうも毎回『知らねぇ』っていわれるのもなぁ」
「…チッ」
「三蔵、雅が裏切ったと思っていますか?」
「八戒…てめぇまで何言ってやがる」
「三蔵?」
「あいつがそんな簡単に寝返る様な女じゃない事位わかるだろうが。」
「……じゃぁ」
「理由が解らねぇのがムカつくんだよ」
「……三蔵」
「…ふざけやがって……」

そう呟く三蔵の横顔は怒りと寂しさが混じりあっていた。


その頃の吠登城…

「八百鼡、」
「はい、ここに」
「雅の服、戻せたんだろう?」
「はい。」
「李厘の事、任せた」
「紅孩児様?」
「独角、いくぞ」
「紅?」
「雅、お前も来い」

そう言って雅を連れていこうとする紅孩児。そんな相手に八百鼡は声をかけた。

「紅孩児様。」
「なんだ」
「少しお話が…」
「…独角、少し待ってくれ」
「あぁ。」

そう言って独角兕に雅を預けると紅孩児は八百鼡に向きいった。

「どうした。」
「雅さんの事なんですが…」
「あぁ。」
「私も少し話をしたのですが、何もこれと言って決定打になるようなことはなかったのですが…」
「それで?」
「あそこにいた理由はメモがあったと…『話があるから』とかかれていたって。それで待っていたら男の人が来て三蔵からの伝言が…って」
「伝言?」
「顔も見たくない、もう待っても無駄だと……」
「それで…それが本当に玄奘三蔵がいったとは解らないだろうが…」
「あと…関係があるかは解りませんが…」
「なんだ、言ってみろ」
「李厘様が……大事なものならあんな巻物よりも自分はそっちを選ぶのに…と。それを聞いた夜だったからなのでしょうか…」
「李厘も悪気があったわけではないのだろうが……」
「そうなのですが…あと、長いこと待たせたからと飲み物をもらった……と」
「飲み物……?」

それだけ言うと八百鼡は頭を下げた。

「気をつけてください、紅孩児様。」
「あぁ。」

そう返事をして紅孩児は独角兕のもとに戻っていく。

「話は…」
「終わった。いくぞ」
「あの…」
「心配するな。俺に捕まっていろ」

吠登城を出ると、紅孩児は抱き寄せるとシュンっと移動を開始したのだった。


「なぁ三蔵…俺病気かな…」
「なんだ…一体」
「腹が…腹が減らねぇんだ」
「…大丈夫か?」
「悟浄…どうしたんだろうな…」
「それは病気じゃないですよ。悟空」
「マジ?!ねぇ!」
「はい、ただ、その話題は三蔵には今は避けた方が良いかと」
「何でだよ…」
「本当に。有るべきものが無いだけでこうも人を狂わせるのですから…」
「………ッッ」

そう話していると、風がひゅっと吹いた。

「……今度はなんだ…」
「今回は手下の方々では無さそうですよ?」
「……あれ」
「…!」

そう、ジープを停めた少し先には赤い短髪が風に揺れ、その横にはガタイの良い男…そして

「雅!!」

そう、その後ろには見慣れたの姿があった。

「紅孩児…!!」
「やっと…お出ましですね…」

ジープから降りた悟空と悟浄。それについで八戒と三蔵も降りた。

「あの…紅…」
「独角、雅を頼む…」
「あぁ。」

そういうと紅孩児は一歩、また一歩と一行の元に近付いてくる。

「おい!なんだよ!!」
「うるせぇよ」
「……三蔵?今日、紅孩児さん…様子がおかしくないですか?」
「……」

ザッと構えるものの悟空を挑発するようににっと笑っていた。

「こんの……返せよ!」

そう言うと悟空は如意棒を持ちながらも紅孩児に向かっていく。その攻撃を受けると紅孩児は悟空に伝えた。

「俺たちは雅を連れ去ったんじゃない。」
「え…?」
「話を聞け」
「……」

その言葉を聞いて悟空は一旦間を開けた。その間を詰めながらも紅孩児は話し出す。

「二日前、夜にお前達は四人で動いたのだろう?そのとき雅はどうしていた」
「え……たしか……ってそれが何の関係が…!」
「大事なことだ」
「……夕飯行って……帰ったらいなくなってたんだ!」

そう話ながらの二人を見ながらも八戒達は内容までは聞き取れないでいた。

「何を…話してるんでしょうか…」
「知らん」

チラリと三蔵は雅へと目を向けた。

「おい、孫悟空。」
「なんだよ!」
「少し玄奘三蔵と話をさせてもらう」

そういうと紅孩児は高く飛び上がり三蔵の元へと走り寄る。銃を構えると間合いを詰めた紅孩児の目の前に銃口はピタリと止まった。

「雅が怯えている。それをしまえ」
「指図される謂れはねえよ」
「そう言うな。今雅は術にかかっているだけやも知れん」
「……何を根拠に」
「二日前、玄奘三蔵からの手紙で宿を離れたと八百鼡に話したそうだ。しかし、帰りたくないといきなり言い出した。玄奘三蔵、お前からの『顔を見たくない』と言う伝言を聞いたといってからな」

それを聞いた三蔵は一気に眉間のシワが増えた。

「おい八戒」
「はい?」
「黒いピアスがどうとか言っていたな」
「はい……」
「おい、今あそこにいるのはまだつけてるのか?」
「黒いピアス…あぁ。付いている。」
「……チッ」

そういうとざっと独角兕の後ろにいる雅のもとに歩み寄る三蔵。

「三蔵!!!」
「黙ってろ」
「紅孩児さん…」
「…なんだ」
「なぜ連れてきてくれたのですか?」
あいつの思惑にはまりたくなかった。それだけだ」
「あいつ…ですか?」
「こっちの話だ」

そう言うと独角兕と雅のもとに紅孩児も加わる。

「おいおい、放っておいて良いのか?八戒」
「大丈夫、といいたいですね。」
「ここから話し…聞こえるか?」
「恐らく。向こう側も近付いてますが…」

そういって会話が聞こえるくらいの距離に七人は揃った。

「紅……」
「チッ……」
「おい、。話せ」

そう促されるものの、『伝言』と言われた内容がこびりついていた。

「……あれか」

自身の目で確認した黒いピアスの存在。確かにあれは付けていなかった。

「言っておくが。俺はは手を出して何ざやらねぇからな。」
「…ッッ」
「そう言うな、玄奘三蔵」
「貴様は黙っていろ。」

そう紅孩児に一喝する三蔵。ため息を吐きながらもどうこうしようと言うわけではなさそうな紅孩児の様子を見て悟空も悟浄もそれぞれ手にしていた武器をしまいこんだ。

「…いつまで後ろに隠れているつもりだ」
「……」
「ハァァ…だんまりか。それでいいならそうしていろ。俺は行くからな」

そう言って三蔵はくるりと背中を向けた。すたすたと歩き出す三蔵に向かって雅は俯きながらも声を出す。

「……だって…だって三蔵が言ったんじゃない!」
「……」

その言葉で三蔵の歩みはピタリと止まる。雅の方に体を向け直すと『話を聞こうか』と言わんばかりにじっと見つめていた。

「三蔵が……もう顔みたくないって……話があるって呼び出して……その結果……」
「いつ俺が言った、そんなこと」
「言いたくないなら言わなくてもいい!!でも…だったら私……あんなこと言わなくても良かったじゃない…」
「何を勘違いしてるか解らねえが。が、、お前を要らないと言った。」
「だって…伝言『そんなことは聞いてねえよ!』…ッッ」
「もう一度聞く。俺がいつ言った」

三蔵の問いかけに雅は言葉を失った。その時、キンッ…と雅の耳の奥が異常を知らせるかのようにグラリと意識が歪む。

「…雅!」
「手え出すな」
「しかし…!」
「紅…」

独角兕は手を出そうとする紅孩児を止めた。そのまま、視線を三蔵に向ける。

「表に出てこい、雅」
「……」
「立てよ。」

そう言われるも手をきつく握りしめたまま、雅はパタパタと落ちる涙を止めることもなく、立ち上がることも出来なかった。

「三蔵…雅!」
「ダメです、悟空。」
「でも…」
「やめとけ、猿」
「……そんな…」

ただただ見ているしか出来ないもどかしさを抱えながらも悟空始め三蔵と雅以外の五人は二人を見ていた。

「一人になんて…戻りたくなかった…あんな怖い思い…」
「……」
「三蔵の……ばか…」
「なんと言ってくれても構わねえがな、そっちに着くも、俺達と来るのも、お前が決めたんだろうが」
「違う!!」

その声と同時にぶわっと風は巻き起こる。しかしその風は所々に刃のようなものが混じっていた。ピッと三蔵の頬に傷が付く。

「あれは…」
「マジか…」

キラリと光るようなが飛んでくるのをみて八戒と悟浄は目を疑った。

「雅の力が暴走しかけてるのかもしれないですね」
「暴走って…」
「言ったじゃないですか…使い方、扱い方によっては彼女の力は正にも悪にもなる…」

そう八戒は付け加えた。

「待てよ…だとしたら、ちょっとブレただけでかよ…」

三蔵に頬に傷を付けた雅の風の刃。こちらに不意に飛んできてもおかしくない物だった。

「ほぅ、少しはまともになったか?」
「…三蔵が要らないって…私…」
「いい加減にしろ」

ジリッと近付く三蔵。目の前まで来ると上から見下ろす形で雅を見つめた。

「俺をみろ」
「……いや…」
「うるせぇよ。顔あげやがれ」

そう言うとしゃがみこみぐいっと顎を持ち上げる三蔵。

「いい加減に自分の心と向き合え」
「…だって…」
「うるせえよ。俺は言っちゃいねえが、お前が聞いたって言うならそうかも知れない。」
「……三蔵…」
「だけどな、それを信じるも信じねえもお前が決めることだろうが。それでも、お前はそのを信じたんだろう?」
「……ッッ」
「だったらそれは決めたことになるだろうが」
「……そうじゃないッ!!!」

パンッ!!

思いっきり雅の右手は三蔵の頬を捉えた。その度にキンッと耳の奥で何か解らない、得体の知れない不安感が音となって聞こえてくる。耳を押さえ、なにも聞きたくない、と言わんばかりに俯く雅。

「てめ…ッッ」
「…もう嫌だ…一人にしないで…」

そう言う雅。声が届かない、いや、このままでは聞こうとしない…声が、届かない…そう感じた三蔵は懐から昇霊銃を取り出して空に向かって一発打ち放つ。

パァン…!

ビクリと肩を震わせた雅はゆっくりと顔をあげる。その雅に向けて三蔵は銃口を向けた。

「一人が嫌なら、死んでみるか」
「……三蔵!」
「もう俺我慢できねぇよ!!」
「待ってください!悟空!」
「あんのばか!」

そういい追いかける悟浄の手に止められた悟空はジタバタと足をバタつかせていた。

「死んだら神でも仏でもいるぞ」
「……」
「でもな、それでも俺達はそこに行ってやらねえからな。死ぬのはごめんだ。神も仏もいても、お前の望むことは何一つ手に入らねえよ。」
「……でも…」
「残されるものの事なんざ要らねえよ。お前が…雅がどうしたいか…しっかり考えろ。」
「…一人は…嫌だ……でも…」
「おい、玄奘三蔵…」
「黙れ」
「……ッッ」
「何を言われ、何を吹き込まれたかは知らねえが…お前がそのままそいつらと居るってなら俺は止めやしねえよ。でも…」

そこまで言うと三蔵は膝を付いた。

「お前が…雅が取り戻したいと言うなら、最後にもう一回…助けてやるよ」
「……三蔵…ぉ」
「今ここで死ぬか、自分から目を背けてそいつらと居るか、心を取り戻すのか…どっちにするかは、自分の心で決めろ、雅」

その時、日の光がキラリと三蔵の金糸の髪を透かした。

「三蔵…ぉ…助け…て」

そう雅が呟いた次の瞬間だ。

「……オン マニ ハツメイウン…魔界天上…」

そう唱えるとふわりと三蔵の双肩から経文が浮き上がった。次の瞬間、経文は雅と三蔵を包み込んだ。

「まさか…三蔵!!」
「紅…!!危ない!!」

誰もが目を疑ったときだ。ぐいっと引き寄せた三蔵は人目をはばかること無く雅を引き寄せて唇を重ねた。

「……ッッ」

すぅ…と双肩に戻ると同時に唇を離すと、雅の右耳に付いていた黒いピアスもパキン…と小さい音を立てて塵となって消えていった。同時に雅の体は全身の力が抜けていくかのように、三蔵の腕の中に沈んでいく。

「……おい…玄奘三蔵…」
「…悪かったな」
「いや……それよりも…」
「こいつの身柄は俺が引き受ける。いいな」
「……解った」

そう答えると紅孩児は背中を向けた。独角兕もまた紅孩児をおいかける。そんな背中に向かって三蔵は声をかける。

「おい」
「…なんだ…」
「今回の事は…すまなかった」
「フン…次は容赦なく経文を奪いに来る」
「……渡さねぇよ、どいつ経文こいつも、な」

そう答えて背中合わせでそれぞれ離れていく。三蔵の腕の中で雅は涙の後を残したままで抱かれていた。

「三蔵…!!」
「焦りましたよ…いきなり魔界天上ぶっ放すんですから…」
「ほんと、焦ったよ…」
「そうでもしなけりゃこいつにかけられたものは外れそうになかったからな。」

そういいながらもジープにのせた。

「おい」
「なんだよ」
「仕方ねぇから一緒に乗ってろ。」
「いや、意味わかんねえけど?」
「悟浄?雅に膝枕してあげていてくださいってことですよ。言いたくないから、察してあげてください?」
「解りにくいだろうが!!」
「うるせえ」

そういいながらも、元に戻った後部座席のジープは発進していった。
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