凜恋心

降谷みやび

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battle26…甘蜜月夜

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たばこが半分ほど燃えた時だろうか、雅は徐に目を覚ました。ベッドに乗り、壁に凭れながらも三蔵は変わり無くたばこの残りを燻らせている。

「三蔵ぉ…」
「起きたか」
「あの…私…」
「気にしなくていい。お前が悪い訳じゃねぇだろ」
「そうだけど」
「それより、良く悟浄で手を打たなかったな」
「…ッそれは…」
「それは?なんだ。」

その時、雅は自身の格好に気付いた。バッと顔を背けるものの三蔵は何食わぬ顔をしている。

「……見た?」
「は?」
「その…見た?」
「そんな格好にされていて、男が一緒で?そりゃ見ねぇでヤる方が難しいだろうが…」
「ヤ…ッッ!?!?」

最後のたばこの火を消して雅にまっすぐ視線を向けている三蔵と裏腹に雅は俯いてしまっている。

「どうした」
「私……最悪だ…」
「何がだ?」
「……私……」

ぐいっと涙を拭く雅。泣く理由が解らない三蔵は小さくため息を吐くと、座り直して見つめていた。

「何泣いてんだ」
「私……三蔵との初めて……ヒック…覚えてない…」
「そんな事か」
「そんな事じゃないよ…!」
「気にするな」

そういうと三蔵はくいっと頭に手を回し、自身の胸に抱き寄せた。

「言っておくが、俺はまだ雅とヤっちゃいねぇよ」
「……?どぉ言う事…?」
「確かに、あのガキに飲まされた媚薬の効果を消すために、そりなりに感じさせはしたが…それだけだ。」
「三蔵…?」
「俺はまだ最後まではしてねぇよ。それが知りたかったんだろう?だとしたら泣く意味はねぇ」
「…でも…」
「俺だって媚薬に溺れた奴抱くなんざ、ごめんだからな。」
「私…」
「気にするな。いずれは俺が、貰い受ける…」

その三蔵の言葉を聞いた雅はゆっくりと体を離した。

「それ…」
「ん?」
「それ…今夜じゃダメ?」
「まだ酔ってんのか?」
「もぉ酔ってないし、媚薬も…抜けてると思う。でも…三蔵が……三蔵の事…その…」
「…フッ…なら、それより先は俺が言う」

そういうと三蔵は、どさりと雅をベッドに押し倒すと上から見下ろした。

「さ…んぞ…?」
「…好きだ」

そう言うだけ言うと、雅の返事など聞くこと無く唇を重ねる。少し開いた唇から舌をねじ込み、唾液は混じり合い、深く絡めとる。

「ンッ…フゥ…三…ッッ」
「俺だけ感じてろ…」

ゆっくりと離した隙に一言残し、首筋に噛みつく様に吸い上げ、紅い華を咲かせる。

「三蔵…ッッ」

二の腕をするりと撫でながらがっちりとした筋肉質から伝わる温もりにドキドキしながら、雅は三蔵の指先、舌、唇から来る感覚に胸の鼓動が押さえられなくなりかけていた。

「さんぞ…ぉ」

ゆっくりと揉み、胸元に固く主張し始める突起を口に含んでは舌先で転がすようにしながらも吸い付いていく三蔵の愛撫に雅の声は段々と甘さを増してくる。恥ずかしさから声を我慢しようと押さえ込もうとした雅の手を口許から払い除けた。

「我慢、するな」
「恥ず…かしぃ…」
「俺しか聞かねぇよ。それにもう散々聞いた後だ」
「…ンッァ」

そう言いながらも三蔵は焦ること無く、じっくりと味わうかの様に愛撫を続ける。

「アッ…ン」

三蔵の与える快楽に、雅は体の芯が熱くなるのを感じていた。

「三蔵……」
「まだイクには早いだろ…」

そう言うと意地悪く胸元を愛撫していた手を止めた。そのまま下腹部へと手を滑らす。しかしギリギリのところで秘部へは触れず、じわりと焦らしていく。

「や…三蔵…」
「どうした…?」
「そんな……ッンァ…」

ドクンと胸は高なり、金糸の髪に指を絡める。

「…ッハ……気持ちいのか…?」

そういうと不意にするっと蜜を絡めとる。その指をペロリと舐めると恥ずかしそうに顔を背けている雅を見下ろしている。

「そんな……」
「気持ち良くないなら、やめるか?」
「…やぁ…」
「フッ…クス……」

小さく笑うと三蔵の指はくちゅりと水音を立てながらも雅の中へと入っていく。その感覚に雅の腰は跳ね上がり、声もまた上がる。

「さんぞ…ぉ」
「……ここだろ」

そういうと赤く、大きく膨れ上がった蕾を擦り始める。その度にビクリと体は反応している。しかし、もう既に羞恥心など置いてきたかの様に、雅の足はふしだらにも開ききっている。

「三蔵…ッ…」
「……ッッ」

その声を聞いて、堪らなくなり、三蔵もまた、雅の足を持ち上げた。抱え込むようにして、顔を埋める。

「や…三蔵…!そんなとこ……」
「余計なことは考えるな」
「…余計って……ッンァ…」

舌先で器用にも蕾を弄ぶ三蔵。

「ぁ…!ダメ…三蔵……も…ぉ…!」
「イクならイけ」

やめようとはせずに三蔵は執拗に舐め続けた。そのまま見ている間に雅の体は弓なりに反り返る。

「ハァハァ…さん…ぞ…」

息を荒げている雅を見つめながらも自身のインナー、グローブ、パンツと全て取り払う三蔵。ギシリとベッドに乗り、一度キスをする。

「…怖いか?」
「……怖く無いよ…ンン…ァ」
「痛けりゃ言え…」

そういうとピリッと袋を破り、手早く付けるとそのまま雅の秘部に一物を宛がうとゆっくりと確かめるように射れ込んだ。

「ンァ…ア…!」
「力抜け…」
「……さんぞ…ぉ」
「ッッ…きっつ…」

そう呟きながらもゆっくりと雅の中を味わうように動き出す。ゆっくりと動いている内に少しずつ雅も馴染んでくる。

「そろそろ…か…動くぞ?」

そう告げるとゆっくりと、しかし先ほどまでとは変わって少しずつピストンも上がってくる。そのタイミングに合わせて雅の声も、甘さを増してくる。

「三蔵…ァアッンァ…」
「そう…力抜いて…」
「気持ち…ぃ…」
「ッッ…」

媚薬のせいでも、酒の力でも無い、ただ純粋に雅の感情を聞いた瞬間に、三蔵はぐいっと肩に担ぎ上げるように両足を抱えた。そのまま覆い被さるように身を重ね、ピストンだけは少しずつ速さを増していく。

「アッアッ…ン…!」
「…雅…」
「三蔵……アァ…ッンァ…や…なんか…変」
「いいよ…」

そのまま止めること無く雅の中で動き回る三蔵。雅は一足先に弓なりに反らし、喉元もグッと反っていく。

「悪いな、もう少し付き合って貰うぞ?」

そういうと三蔵は雅の腰を抱え、更に激しく動き出す。秘部が擦れ、ぶつかり合う音、そしてベッドのきしむ音、互いの吐息…全てが重なりあい、三蔵もくっと顔が一瞬歪んだ。

「悪い…ッッ…イ…く…ッッ」

そう言うと三蔵はぐっと腰を抱く腕に力が入り、そのままゆっくりと雅の上に果てていく。

「ハァ…ハァ……」
「三蔵……ぉ」
「悪い…」
「謝ることじゃ…無いよ…」
「…フッ…ッック…」
「三蔵?」
「…締めるな」
「え……何の…事…」
「ッゥ…」

なかなか雅の中から出せそうに無い三蔵。それでもとゆっくりと抜き出した。

「少し横になってろ…」
「…ん」

そう言うと手早くゴミ箱に処理をするとたばこをとり戻ってくるなり、横に座る。

「三蔵…」
「なんだ…」
「くっついて…いい?」
「…好きにしろ」

こんな時でさえも無愛想にもとれる三蔵の言葉。そう言われて雅は嬉しそうに腰に巻き付いた。

「三蔵…?」
「なんだ…」
「…さーんぞ」
「……」
「三蔵…」
「うるせぇよ」
「……クスクス…」
「なんだ」
「何か…嬉しいなって」
「…そうか」
「あのね…?」
「なんだ」
「……三蔵に逢えて、私すごく嬉しい」
「なんだ、唐突に」
「すごく言いたくて…」
「ガキか…」
「それでもいい…」
「…俺はガキはごめんだ」
「でも、選んでくれたんでしょ?」
「…フン…」
「三蔵言ったよね?」
「何が…」
「『良く悟浄で手を打たなかったな』って」
「…あぁ」
「実はね、すごく打ちたかった。八戒にだっこされてる時はそこまでじゃなかったけど…一回揺れて悟浄に凭れたとき……本当はそのままキスしちゃおうか…って思った。」
「…てめ」
「でも…どんなことがあっても…理性ある内はから…キスも…ハグも…」
「悟浄のが移ったな?」
「え?」
「キスだのハグだの……」
「あ……」
「でも、まぁ……留まったから許してやるよ」


そう言うと三蔵は持ち込んだたばこを一本だし、火を付けた。

「三蔵…」
「なんだ」
「私、三蔵の横顔好きだな」
「何が言いたい」
「そのままだよ?」
「……ハァ」
「でもね……」

そういい雅は巻き付いていた腰から腕をほどき、三蔵の横に座り直す。

「たまにすごく嫌だなって思うの。横顔」
「好きなんじゃねぇのか」
「好きなんだけど……」

そのまま言葉が続かずに、雅は首に巻き付いた。

「ばっ…!あぶねぇだろうが!」
「やっぱ…好き」
「タク…人の話聞いてんのか」
「聞いてる…」
「ハァァ…」

大きなため息を吐いて三蔵は、雅の腕を緩め、一旦離れるるとベッド脇にあるミニテーブルの灰皿にたばこを押し消した。

「さっきから好きだの嫌だの、なんなんだ、一体」
「私も解んない…でも…すごく言いたくなる…」
「信じられるのか…お前は言葉を……」
「三蔵は?信じられない…?」
「…俺は…」

そう言い淀んでしまった三蔵の頬を雅は両手で包み、笑いかけた。

「三蔵が信じてくれるまで私、ずっとずっと…伝えるから良いよ」
「何がいいんだ」
「大丈夫!」
「その自信はどこから来る」
「……にある…」

そういうと雅はゆっくりと唇を重ねた。さっきまで吸っていたマルボロの香りが口に移ってきた頃、雅はゆっくりと離れた。

「言葉で信じれないなら、キスなら思い伝わる?」
「……全く…」
「好きだよ、三蔵」
「…俺は、好きじゃねぇよ」
「……三蔵?」
「…愛してる」

そう囁いた直後に、今度は雅の後ろ首に回した三蔵の手が、くいっと引き寄せて深く、甘く、重なりあった。
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