会長様と私 ~キス・KISS・XXX~

降谷みやび

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scene3…side私

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前に会ってから少し月日が経った頃…久しぶりに二人は会うことになった。

『どうした?にやにやして』

車に乗り込んだ瞬間に口許の緩みがどうにも取れない。

『だって、久し振りすぎてにやにやしちゃうだけです。』
『そんなに会えて嬉しい?』
『はい!』

嬉しいに決まってる。嘘でも『嬉しくない』何て言えないよ…

自身でも驚くほど大きく頷いていたことに少し照れながら、押さえる事が出来ないで居た。

『あー、もう、ダメですね』
『ん?』
『にやにやが止まりません…』

きっと呆れてる…ちょっと会えなかっただけで会えた瞬間こんなに嬉しくなるんだから…

『そう?ならにやけときなさい』
『そうします…フフ』

お願い…会長様に飽きられる前に、にやにや止まって…

一生懸命止めようとして居るのか、頬を両手で包み込みながら、押さえたり揉んだり…しかし全然治まらない。

『治まった?』
『…フフ…治まりません…』
『どれだけ会いたかったんだよ』
『解りません…フフ』

自分でもおかしい位、嬉しくて堪らない。どれだけ会いたかったかなんて正直解らなかった。

そうして行く当てもないまま、車を走らせていく会長様。ふと視線をやると、変わらない横顔が目に写る。

『会長…』
『ん?何?』
『変わらないですね』
『クハ…何言ってんの』
『変わらないってのは違うや、前よりスマートになった…も違うし…』

何て言ったらいいんだろう…変わらないのに、すごく変わった…

『何よ』
『…相変わらず、なんでしょうか…』
『よく解らない』
『私も言っててよく解らなくなってます』

またフフっとにやけ顔のままじっと見つめる。

もう、解らないなら解らないままでいいや…この時間が、隣に居られる時間と距離があれば…

『そんなに見られると運転しにくい』
『あ、つい』
『ついってなんだよ』

知らなかった?…いつだって見つめていたい。会長様の…あなたの表情を見逃したくないから…

『いえ…フフ』
『人の顔見て笑うな』
『仕方ないじゃないですか』
『なんで?』
『会えたのが嬉しいからです』

気付けばさらりと自身の思いを口にしていた。
…誘導尋問だ…私が悪い訳じゃない…!
じっと見られている感覚になりふと視線を上げるとあなたと目が合う。

『どうかしましたか?』
『いや、なんでもない』

信号で止まっていた車を出しながら少し行った先で パーキングにはいる。そこは高台になっている場所で、柵まで行けば風景を見下ろせる場所。少し離れればベンチなどの休憩できるちょっとした公園もある。二人は車を降りて見晴台の柵へ向った。

う…わぁ。すごい、ここから全部見えちゃいそうな…この風景見ながらなら少し素直になってもいいかも知れない。

しかしそんな時だ。ふわりと後ろから抱き締めるでもない距離であなたは柵に触れている。

『会長?』
『ん?』
『…さっき言ったの、本当ですよ?』
『どれの事?』
『会えて嬉しいっていうの…』

言い終わって時期に、肩を持たれ会長様の方に体は反転された。

『もう一回、言って?』
『やです』

正面切っては流石に恥ずかしい…

『言いなさい?』
『フフ…やです』

言えませんよ…

『言わないならキスするけど?それでも嫌?』

その聞き方…ずるい…でもその質問の答えなんて決まりきってる…きっとあなたも質問の時点で私の出す答えは解ってるんでしょ?

『…や…です』

私の後ろには柵、前には会長様と逃げ場がないのも解ってる。その返事を聞いてすぐにあなたは私の後ろ首に手を添えてくいっと引き寄せる。

やっぱり…あなたのキス…ふわふわする…

ふわりと互いの唇の温度を共有し、ゆっくりと離れた。

もっとシたい…あなたのキスが、もっと欲しい…

『もっと欲しいって顔してる』
『してません…っ!』
『…素直になりなさい?』

もぉ…なんでそんな見透かすの…

『だって…ここじゃ…』

そう…二人きりならまだしも。…いや、今も二人きりだけど…

気付けばすり寄るようにあなたの胸に顔を埋めていた。そんな私の肩にポンと手を置くと会長様は静かに声をかける。

『車、戻る?』

その言葉に小さく頷くと、体を離して手を引きながら車に戻る。前と同じように後部座席の戸を開け、先にどうぞと相手を促す会長様に誘われるように、先に入り置くに積めた。

『…ねぇ、こっち向いて?』
『…ッッ』

今になって恥ずかしくなってきた…

『前も言ったけど、それじゃ届かない』
『会…長』

小さく呼び、ゆっくりと顔を上げると同時に唇は塞がれる。肩を抱かれ、上向きにされるとゆっくりと会長様の体が覆い被さってきた。私の体をシートに縫い付けるように、キスの嵐はやむことはなかった。

もぉ…我慢できないよ…無理…お願い、どうか止めないで…

気付けば私も会長様の首に回していた。
息継ぎを促すかのように少し離れ、口角を上げながら会長様は問いかけてくる。

『…そう来るって事は、もっとって取っていい?』

なんで…止めないで…

『…ッ…聞かないでください』
『言葉よりも唇のがよっぽど素直だな』

少しでも強がってないと…理性保たないと…私飽きられるくらいあなたを求めて止まらなくなる…

あなたは舌先を少し出し、私の唇をペロリと舐める。頬を撫で、その手を後ろ首に滑らしていくとそのまま固定された。

重なった唇を割り、あなたのの舌が口内を犯していく…

熱く…痺れるような感覚…少し強引に、でも優しく辛め取られる感覚にぼぉっとした意識の中でも、気付かない内にあなたを引き寄せる腕には力が入り、ほどけはしなかった。

離さないで…離れないで…もっと…

しかしゆっくりと離れると申し訳なさそうに会長様は呟いた。

『ごめん、少しだけいい?』
『…ぇ…?』

何事かと思えば、手が少し降りて座り、閉じていた両膝を少しだけ開かせる。

会長…?

どくんと一気に高鳴る鼓動を悟られまいとする間に、会長様の膝が入ってくる。

『これでもう少し安定するな…』

そう言い終わると同時に再度唇は塞がれた。絡め合う中、口内に流れ込む唾液もごくりと喉をならしながら飲み込んでいく。ゆっくりと離れると、会長様の親指が唇に残る唾液をきゅっと拭い取った。

『…やらし』

やらしくさせてるのはあなたのキス…

『言い方…!』
『はいはい』

そんな事より…お願い…

『……だ』
『ん?』

キスの時以外では初めてだ。きゅっと会長様の首に巻き付くと小さく泣くような声で伝えた。

『キスの後…ぬぐったら、や…』

優しさだって解ってる…それでもあなたの感覚が…余韻を取り上げられるのは嫌だ…

『ん、…どうした?』

どうしたじゃない…どれだけ汚れようと…濡れようと構わないの…

『なんでもない…です。やっぱり忘れてください』

離れ俯くと同時に会長様もシートへ体を埋めていた。

『俺的には忘れたくないんだけど?』
『でも頑張って忘れてください…』

そう…言った後なんだけど、忘れて欲しい。

『なんで?』
『恥ずかし過ぎます…』
『クックッ…そうじゃない、拭われるのの何が嫌?痛かった?』
『…違います』

嘘…痛いよ…無かったことにされてるみたいで心が軋む…

『じゃぁなに?』

本当に理由が解らないとばかりに会長様は聞いてくる。私はゆっくりと答えを口にした。

『キスの…その……感覚まで消えそぉで…嫌なんです……』

その答えを聞いた会長様は呆気に取られたように返す言葉を探していた。

ほら…子供みたいな言い分に呆れてる…

『子供っぽいって思った?』
『や、…そうじゃなくて……』
『呆れましたよね…』
『ちがう…』
『…あの…?』

じゃぁ一体なんで?どうしてそんな…答えを探すように何も言ってくれないの?

『すげー、嬉しい』

なかなか見れない会長様の照れている顔。

嘘…そんなこと…あの会長様が…照れてる…?

『消えたらまた残すから…心配しなくていい』
『会ちょ…ン』

呼び終わる前に振れるだけのキスが落ちてきたのはいうまでもなかった……






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