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scene3
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前に会ってから少し月日が経った頃…久しぶりに二人は会うことになった。
『どうした?にやにやして』
車に乗り込んだ時にどうにも口許の緩みがどうにも取れないまま助手席に乗り込んだ姿を見て、にこっと笑いかける会長様。
『だって、久し振りすぎてにやにやしちゃうだけです。』
『そんなに会えて嬉しい?』
『はい!』
自身でも驚くほど大きく頷いていたことに少し照れながらも、押さえる事が出来ないで居る姿を見て会長様はゆっくりと車を出した。
『あー、もう、ダメですね』
『ん?』
『にやにやが止まりません…』
『そう?ならにやけときなさい』
『そうします…フフ』
一生懸命止めようとして居るのか、頬を両手で包み込みながら、押さえたり揉んだり…忙しかった。
『治まった?』
『…フフ…治まりません…』
『どれだけ会いたかったんだよ』
『解りません…フフ』
そうして行く当てもないまま、車を走らせていく。ふと会長様の方に視線をやると、変わらない横顔が目に写る。
『会長…』
『ん?何?』
『変わらないですね』
『クハ…何言ってんの』
『変わらないってのは違うや、前よりスマートになった…も違うし…』
『何よ』
『…相変わらず、なんでしょうか…』
『よく解らない』
『私も言っててよく解らなくなってます』
またフフっとにやけ顔のままじっと見つめる。そんな相手の視線に気付き会長様は、いたずらっぽく笑いながら言葉を交わす。
『そんなに見られると運転しにくい』
『あ、つい』
『ついってなんだよ』
『いえ…フフ』
『人の顔見て笑うな』
『仕方ないじゃないですか』
『なんで?』
『会えたのが嬉しいからです』
視線を外しながらいう相手に会長様は視線を送る。少し見入っていたのだろう…
『どうかしましたか?』
『いや、なんでもない』
信号で止まっていた車を出しながら少し行った先で パーキングにはいる。そこは高台になっている場所で、柵まで行けば風景を見下ろせる場所。少し離れればベンチなどの休憩できるちょっとした公園もある。
二人は車を降りて見晴台の柵へ向かう。着くなり柵に凭れながら眼下に広がる風景を見ている。そんな相手を後ろから覆うかのように会長様も柵に手を着いた。
『会長?』
『ん?』
『…さっき言ったの、本当ですよ?』
『どれの事?』
『会えて嬉しいっていうの…』
そう言うも体の向きや視線は風景を見ていた。そんな相手の肩を持ち、自身の方に向きやる会長様。視線はまっすぐに相手を撮していた。
『もう一回、言って?』
『やです』
『言いなさい?』
『フフ…やです』
『言わないならキスするけど?それでも嫌?』
『…や…です』
自身の後ろには柵、前には会長様と逃げ場がないにも関わらず、小さく答える。その返事を聞いてすぐに会長様は相手の後ろ首に手を添えてくいっと引き寄せる。ふわりと互いの唇の温度を共有し、ゆっくりと離れ、うっすらとピンク色に染まる頬を隠すかのように俯いてしまった。
『もっと欲しいって顔してる』
『してません…っ!』
『…素直になりなさい?』
『だって…ここじゃ…』
そう言いながらもすり寄るように会長様の胸に顔を埋めた。そんな相手の肩にポンと手を置くと会長様は静かに声をかける。
『車、戻る?』
その言葉に小さく頷く相手の手を引きながら車に戻ると、後部座席の戸を開けた。先にどうぞと相手を促す会長様に誘われるように、先に入り奥に積める。
『…ねぇ、こっち向いて?』
『…ッッ』
『前も言ったけど、それじゃ届かない』
『会…長』
ゆっくりと顔を上げると同時に唇は塞がれる。肩を引き、上を向かせるとゆっくりと会長様の体が覆い被さってきた。相手の体をシートに縫い付けるように、キスの嵐はやむことはなかった。気付けば相手の腕も会長様の首に回ってくる。
息継ぎを促すかのように少し離れ、口角を上げながら会長様は問いかけた。
『…そう来るって事は、もっとって取っていい?』
『…ッ…聞かないでください』
『言葉よりも唇のがよっぽど素直だな』
そう言いながらも舌先を少し出し、唇をペロリと舐める。小さく吐息が漏れピクリと震える相手の頬を撫で、後ろ首に滑らしていく。
重なった唇を割り、会長様の舌が口内を犯していく…
熱く…痺れるような感覚…少し強引に、でも優しく絡め取られる感覚にぼぉっとした意識の中でも、気付かない内に会長様を引き寄せる腕には『離れたくない…』と言わんばかりにほどけはしなかった。
少し離れると申し訳なさそうに会長様は呟いた。
『ごめん、少しだけいい?』
『…ぇ…?』
何事かと思えば、手が少し降りて座り、閉じていた両膝を少しだけ開かせる。どくんと一気に高鳴る鼓動を悟られまいとする間に、会長様の膝が入ってきた。
『これでもう少し安定するな…』
そう言い終わると同時に再度唇は塞がれた。絡め合う中、口内に流れ込む唾液もごくりと喉をならしながら飲み込んでいく。ゆっくりと離れると、会長様の親指が唇に残る唾液をきゅっと拭い取った。
『…やらし』
『言い方…!』
『はいはい』
『……だ』
『ん?』
初めてだろう、相手から会長様の首に巻き付くと小さく泣くような声で伝えた。
『キスの後…ぬぐったら、や…』
余韻も残り、少し途切れがちにでも、会長様には願ってもない事だった。
『ん、…どうした?』
『なんでもない…です。やっぱり忘れてください』
ゆっくりと離れ俯く。同時に会長様もシートへ体を埋めていた。
『俺的には忘れたくないんだけど?』
『でも頑張って忘れてください…』
『なんで?』
『恥ずかし過ぎます…』
『クックッ…そうじゃない、拭われるのの何が嫌?痛かった?』
『…違います』
『じゃぁなに?』
本当に理由が解らないとばかりに会長様は聞いてくる。ゆっくりと答えを口にした。
『キスの…その……感覚まで消えそぉで…嫌なんです……』
その答えを聞いた会長様は呆気に取られたように返す言葉を探していた。そんな中先に口を開いたのは相手だった。
『子供っぽいって思った?』
『や、…そうじゃなくて……』
『呆れましたよね…』
『ちがう…』
『…あの…?』
『すげー、嬉しい』
なかなか見れない会長様の照れている顔に今度は相手が呆気に取られたように驚いていた。
『消えたらまた残すから…心配しなくていい』
『会ちょ…ン』
呼び終わる前に触れるだけのキスが落ちてきたのはいうまでもなかった……
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『どうした?にやにやして』
車に乗り込んだ時にどうにも口許の緩みがどうにも取れないまま助手席に乗り込んだ姿を見て、にこっと笑いかける会長様。
『だって、久し振りすぎてにやにやしちゃうだけです。』
『そんなに会えて嬉しい?』
『はい!』
自身でも驚くほど大きく頷いていたことに少し照れながらも、押さえる事が出来ないで居る姿を見て会長様はゆっくりと車を出した。
『あー、もう、ダメですね』
『ん?』
『にやにやが止まりません…』
『そう?ならにやけときなさい』
『そうします…フフ』
一生懸命止めようとして居るのか、頬を両手で包み込みながら、押さえたり揉んだり…忙しかった。
『治まった?』
『…フフ…治まりません…』
『どれだけ会いたかったんだよ』
『解りません…フフ』
そうして行く当てもないまま、車を走らせていく。ふと会長様の方に視線をやると、変わらない横顔が目に写る。
『会長…』
『ん?何?』
『変わらないですね』
『クハ…何言ってんの』
『変わらないってのは違うや、前よりスマートになった…も違うし…』
『何よ』
『…相変わらず、なんでしょうか…』
『よく解らない』
『私も言っててよく解らなくなってます』
またフフっとにやけ顔のままじっと見つめる。そんな相手の視線に気付き会長様は、いたずらっぽく笑いながら言葉を交わす。
『そんなに見られると運転しにくい』
『あ、つい』
『ついってなんだよ』
『いえ…フフ』
『人の顔見て笑うな』
『仕方ないじゃないですか』
『なんで?』
『会えたのが嬉しいからです』
視線を外しながらいう相手に会長様は視線を送る。少し見入っていたのだろう…
『どうかしましたか?』
『いや、なんでもない』
信号で止まっていた車を出しながら少し行った先で パーキングにはいる。そこは高台になっている場所で、柵まで行けば風景を見下ろせる場所。少し離れればベンチなどの休憩できるちょっとした公園もある。
二人は車を降りて見晴台の柵へ向かう。着くなり柵に凭れながら眼下に広がる風景を見ている。そんな相手を後ろから覆うかのように会長様も柵に手を着いた。
『会長?』
『ん?』
『…さっき言ったの、本当ですよ?』
『どれの事?』
『会えて嬉しいっていうの…』
そう言うも体の向きや視線は風景を見ていた。そんな相手の肩を持ち、自身の方に向きやる会長様。視線はまっすぐに相手を撮していた。
『もう一回、言って?』
『やです』
『言いなさい?』
『フフ…やです』
『言わないならキスするけど?それでも嫌?』
『…や…です』
自身の後ろには柵、前には会長様と逃げ場がないにも関わらず、小さく答える。その返事を聞いてすぐに会長様は相手の後ろ首に手を添えてくいっと引き寄せる。ふわりと互いの唇の温度を共有し、ゆっくりと離れ、うっすらとピンク色に染まる頬を隠すかのように俯いてしまった。
『もっと欲しいって顔してる』
『してません…っ!』
『…素直になりなさい?』
『だって…ここじゃ…』
そう言いながらもすり寄るように会長様の胸に顔を埋めた。そんな相手の肩にポンと手を置くと会長様は静かに声をかける。
『車、戻る?』
その言葉に小さく頷く相手の手を引きながら車に戻ると、後部座席の戸を開けた。先にどうぞと相手を促す会長様に誘われるように、先に入り奥に積める。
『…ねぇ、こっち向いて?』
『…ッッ』
『前も言ったけど、それじゃ届かない』
『会…長』
ゆっくりと顔を上げると同時に唇は塞がれる。肩を引き、上を向かせるとゆっくりと会長様の体が覆い被さってきた。相手の体をシートに縫い付けるように、キスの嵐はやむことはなかった。気付けば相手の腕も会長様の首に回ってくる。
息継ぎを促すかのように少し離れ、口角を上げながら会長様は問いかけた。
『…そう来るって事は、もっとって取っていい?』
『…ッ…聞かないでください』
『言葉よりも唇のがよっぽど素直だな』
そう言いながらも舌先を少し出し、唇をペロリと舐める。小さく吐息が漏れピクリと震える相手の頬を撫で、後ろ首に滑らしていく。
重なった唇を割り、会長様の舌が口内を犯していく…
熱く…痺れるような感覚…少し強引に、でも優しく絡め取られる感覚にぼぉっとした意識の中でも、気付かない内に会長様を引き寄せる腕には『離れたくない…』と言わんばかりにほどけはしなかった。
少し離れると申し訳なさそうに会長様は呟いた。
『ごめん、少しだけいい?』
『…ぇ…?』
何事かと思えば、手が少し降りて座り、閉じていた両膝を少しだけ開かせる。どくんと一気に高鳴る鼓動を悟られまいとする間に、会長様の膝が入ってきた。
『これでもう少し安定するな…』
そう言い終わると同時に再度唇は塞がれた。絡め合う中、口内に流れ込む唾液もごくりと喉をならしながら飲み込んでいく。ゆっくりと離れると、会長様の親指が唇に残る唾液をきゅっと拭い取った。
『…やらし』
『言い方…!』
『はいはい』
『……だ』
『ん?』
初めてだろう、相手から会長様の首に巻き付くと小さく泣くような声で伝えた。
『キスの後…ぬぐったら、や…』
余韻も残り、少し途切れがちにでも、会長様には願ってもない事だった。
『ん、…どうした?』
『なんでもない…です。やっぱり忘れてください』
ゆっくりと離れ俯く。同時に会長様もシートへ体を埋めていた。
『俺的には忘れたくないんだけど?』
『でも頑張って忘れてください…』
『なんで?』
『恥ずかし過ぎます…』
『クックッ…そうじゃない、拭われるのの何が嫌?痛かった?』
『…違います』
『じゃぁなに?』
本当に理由が解らないとばかりに会長様は聞いてくる。ゆっくりと答えを口にした。
『キスの…その……感覚まで消えそぉで…嫌なんです……』
その答えを聞いた会長様は呆気に取られたように返す言葉を探していた。そんな中先に口を開いたのは相手だった。
『子供っぽいって思った?』
『や、…そうじゃなくて……』
『呆れましたよね…』
『ちがう…』
『…あの…?』
『すげー、嬉しい』
なかなか見れない会長様の照れている顔に今度は相手が呆気に取られたように驚いていた。
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