5 / 14
scene1
しおりを挟む
初めてのキスからおよそ半年はたった頃…会長様からお誘いがあって、水族館に行くことに。
『本当にここでよかったの?』
『何でですか?私は嬉しいですよ!』
そう言いながらも少し先を歩いていくのを見て会長様はくすりと小さく笑っていた。
『あんまり急ぐと転ぶよ?』
『転びません!』
少しむぅっとしながらも歩調を合わせる二人。入場券を買い、中に入ろうとした時だ。
『ほら、』
『え??』
『え?じゃない。人が少ないとは言え君の事だ、迷子になり兼ねない』
『すごく失礼に子供扱いしてませんか?』
『つべこべ言わない。会長命令!』
そう言いながら会長様に、すっと右手を救い取られ、指は気付けば絡められている。見上げることも出来ないまま、うつむいてポツリと言葉が溢れ出す。
『意地悪…』
『なんか言った?』
『いえ、他のスタッフだとパワハラになりますよ?』
『他のスタッフとは手を繋がないから心配は要らない』
やはり一枚も二枚も上手の会長様。
そのまま大きなメイン水槽からクラゲの水槽、あまり見かけない海中生物等を見て回ると、ペンギンの水槽にまでやってきた。
『会長!ペンギンさん見てもいいですか?!』
『クス…どうぞ』
ピタリと足は止まり気持ち良さそうに泳ぐペンギン、陸でパタパタと羽をはばたかせているペンギン…たくさん居るのを目の前にしてスマホのカメラを起動させる。一生懸命に撮っていたが、ふと振り替えると申し訳なさそうにパタパタと会長様の元に近付いて行った。
『すみません…一人はしゃいで』
『いや、構わないよ。ただ、本当に解りやすいなぁと思ってみてただけ。』
『??子供みたいだって事ですか?』
『そこまでは言っていない』
半歩前を行きながら会長様の誘導で少しの物陰に身を潜める。
『会長?』
『…フ』
小さく息を吐くと、触れるだけの軽いキスが降ってくる。真っ赤な顔をしながら俯く姿…軽く体を押し戻す姿を見て会長様は少しだけ腰を屈めた。
『嫌だった?』
『そうじゃなくて場所…!』
『俺は構わない』
『私が構います!』
『そう怒るなって。後で車戻ったらまたしよっか』
『そんな軽く聞きますか?』
『ん?シたくない?』
『……ッッ…知りません!』
そういいながらもふいっと体を背けてその場を離れていく。
一頻り見終わり、後にしようと車に戻った二人。エンジンをかける事無く、言うなればシートベルトもしないままの会長様と裏腹に私は一足早くカチャリと閉めていた。
そんな私の頭に会長様の大きな手がポンと乗る。
『ねぇ』
『はい?』
『こっち、向いて?』
逆らえるわけもなくゆっくりと顔を上げると優しく笑いかける会長様の顔があった。
『まだ怒ってる?』
『怒っては居ません、居ませんけど…!』
『機嫌悪いな』
『誰のせいだと…ン』
言い分は聞かないとでも言わんかのようにふわりと唇が重なる。
『怒ってもダメ、単にかわいいから』
『何言って…ンァ』
ヤらしくリップ音をたてながら会長様は両手で頬を包み込むようにしながら、何度も確かめる様にキスを繰り返す。
少し体を離すと、親指で唇をなぞり上げると意地悪そうに笑いかけた。
『今は?…嫌?』
『…ッ////意地悪』
『意地悪言ってるつもりはない』
『だって敢えて聞くから…』
『今のはどう取ったらいい?』
『…そんなの……』
『言って?』
恥ずかしさから俯くばかりだが、それでも会長様は覗き込むようにして目線を合わせてくるばかり。
『ほら…言っちゃいなって…』
『…絶対笑うから嫌です』
『笑わないよ、…多分』
『多分って…なんですか…』
『ほら』
『嫌じゃ…無い……です』
その返事を聞いてクスリと小さく笑うと再度唇を寄せて重ね合う。
『好きだ』
その言葉と一緒に何度も…何度も……
.
『本当にここでよかったの?』
『何でですか?私は嬉しいですよ!』
そう言いながらも少し先を歩いていくのを見て会長様はくすりと小さく笑っていた。
『あんまり急ぐと転ぶよ?』
『転びません!』
少しむぅっとしながらも歩調を合わせる二人。入場券を買い、中に入ろうとした時だ。
『ほら、』
『え??』
『え?じゃない。人が少ないとは言え君の事だ、迷子になり兼ねない』
『すごく失礼に子供扱いしてませんか?』
『つべこべ言わない。会長命令!』
そう言いながら会長様に、すっと右手を救い取られ、指は気付けば絡められている。見上げることも出来ないまま、うつむいてポツリと言葉が溢れ出す。
『意地悪…』
『なんか言った?』
『いえ、他のスタッフだとパワハラになりますよ?』
『他のスタッフとは手を繋がないから心配は要らない』
やはり一枚も二枚も上手の会長様。
そのまま大きなメイン水槽からクラゲの水槽、あまり見かけない海中生物等を見て回ると、ペンギンの水槽にまでやってきた。
『会長!ペンギンさん見てもいいですか?!』
『クス…どうぞ』
ピタリと足は止まり気持ち良さそうに泳ぐペンギン、陸でパタパタと羽をはばたかせているペンギン…たくさん居るのを目の前にしてスマホのカメラを起動させる。一生懸命に撮っていたが、ふと振り替えると申し訳なさそうにパタパタと会長様の元に近付いて行った。
『すみません…一人はしゃいで』
『いや、構わないよ。ただ、本当に解りやすいなぁと思ってみてただけ。』
『??子供みたいだって事ですか?』
『そこまでは言っていない』
半歩前を行きながら会長様の誘導で少しの物陰に身を潜める。
『会長?』
『…フ』
小さく息を吐くと、触れるだけの軽いキスが降ってくる。真っ赤な顔をしながら俯く姿…軽く体を押し戻す姿を見て会長様は少しだけ腰を屈めた。
『嫌だった?』
『そうじゃなくて場所…!』
『俺は構わない』
『私が構います!』
『そう怒るなって。後で車戻ったらまたしよっか』
『そんな軽く聞きますか?』
『ん?シたくない?』
『……ッッ…知りません!』
そういいながらもふいっと体を背けてその場を離れていく。
一頻り見終わり、後にしようと車に戻った二人。エンジンをかける事無く、言うなればシートベルトもしないままの会長様と裏腹に私は一足早くカチャリと閉めていた。
そんな私の頭に会長様の大きな手がポンと乗る。
『ねぇ』
『はい?』
『こっち、向いて?』
逆らえるわけもなくゆっくりと顔を上げると優しく笑いかける会長様の顔があった。
『まだ怒ってる?』
『怒っては居ません、居ませんけど…!』
『機嫌悪いな』
『誰のせいだと…ン』
言い分は聞かないとでも言わんかのようにふわりと唇が重なる。
『怒ってもダメ、単にかわいいから』
『何言って…ンァ』
ヤらしくリップ音をたてながら会長様は両手で頬を包み込むようにしながら、何度も確かめる様にキスを繰り返す。
少し体を離すと、親指で唇をなぞり上げると意地悪そうに笑いかけた。
『今は?…嫌?』
『…ッ////意地悪』
『意地悪言ってるつもりはない』
『だって敢えて聞くから…』
『今のはどう取ったらいい?』
『…そんなの……』
『言って?』
恥ずかしさから俯くばかりだが、それでも会長様は覗き込むようにして目線を合わせてくるばかり。
『ほら…言っちゃいなって…』
『…絶対笑うから嫌です』
『笑わないよ、…多分』
『多分って…なんですか…』
『ほら』
『嫌じゃ…無い……です』
その返事を聞いてクスリと小さく笑うと再度唇を寄せて重ね合う。
『好きだ』
その言葉と一緒に何度も…何度も……
.
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説


ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる