会長様と私 ~キス・KISS・XXX~

降谷みやび

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出会いはそう、三年程前。いや、四年か。ただいたずらに二人は皆より少し遅れて出会った。

初めて関わる者だから皆面接をしなくてはならない
それも、会長直々に…

『失礼します』

病み上がりの体を持ちつつ、会長様の待つ部屋に向かった。他の人はもう面接を終えてると話していた。

こんな事を聞かれた、あんな事を聞かれた… 

色々と聞いてはいたものの、あまり関係ないと思っていた。何を聞かれても思う事を伝えるだけだから。

『こちらどうぞ?』
『失礼します。』
『体はどう?もう大丈夫?』
『余程は…』

そう可もなく不可もない返答をしながら口許は緩んだ。それが初めての会話だった。

それから色々と話し、仕事をするようになり、相談もするようになっていた。少し背の高い…余裕のある大人。何かを問いかけてもするりとすり抜けるように交わしていく。

月日を重ね、色々と関わることが増えた。

それでも互いに現場スタッフと、経営者としての距離感はしっかりと保たれていた。

時折、近いときもあったが、なんなく過ごしてきた。

会長様がいればうまく回る…心の支えになる…嫌みなスタッフの嫌な言葉も『その場』にいなくても同じ館内に居れば私は頑張れた。


それから1年、2年と年は過ぎ…


突如経営者の交代が言い渡された。
何かが変わるわけではない。ただ、大きく変わるとしたら会長様に会えなくなると言うこと。それ以上でも以下でもない。以下があるとすれば電話での声すら聞けなくなると言うこと。

中には喜ぶ人も居た。
穏和な人柄とは打って変わって厳しい人だから。それでも私は憧れていた。きっと彼が居なければ完全に惚れていただろう、容易に解る位に。

結婚しても、季節変わり目の挨拶や誕生日、折々のイベントにはメールもした。二度のバレンタインも用意した。初めてのバレンタインは直接お返しももらって、二度目は時間も減り、日数も減り、出産間近での退職だったからお返しなんて望んでいなかった。それでも、退職日にお返し兼ねて用意してくれた。

私情が入ったものの、最後に直接何か言葉が交わせなかったのが悶々としていた。

子供も生まれ、やっていたSNSもアカウントを一旦クリアして作り直したら、会長様を偶然見かけた。名前も同じ、プロフも覚えがある…書き込まれた内容を見ればどことなく面影もあった。

スルーされると思ったのに返事が来て、すこしずつ、凝り固まったしこりが溶け出していった…





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