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scene0…side会長様
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『誕生日、なにが良い?』
『え?…何がって…そこまで甘えれないですよ?』
『そうはいかない』
そう言い帰り道の車の中で、俺は君に問いかける。用意をしなかった訳じゃない。いくつか考えたがどれもピンと来なかった。
『誕生日過ぎちゃったけどさ、何もないと言う訳にはいかないだろ。』
『でも…今日こうして時間作ってくれただけでも…』
『ほら、変わってない。』
こちらの事を考えてくれる、気遣ってくれるのはありがたいが、今回ばかりは俺もそれじゃぁ引き下がれない。
『何が良いか解らないから聞いてからにしようかとも迷ったんだよ』
『んー……そうですね…』
ほら、そう考えてる顔ですら変わらない。あっと思い付いたかのようにしてもまた考え込む。
その時君がこちらをちらりと見た。
『…ん?』
『…ッ/////』
目があっただけで俯くなんてダメでしょ。
そう考えていた時、何故か手は勝手に伸びていき、君の頬に触れた。
『…ぇ?』
戸惑い気味にこちらを見た君の顔がかわいすぎて…気付けば俺は、自身の唇を君のそれに重ねていた。
『…ン』
ゆっくりと離れると、少し間を置いて角度を変えてさらに深く、何度も重なりあう。どちらの唾液とも解らないほどに混ざり合った後にようやく離れた。
『あの…』
『ん?』
『…その…なん『ストップ…』…ぇ?』
引かれてるかもしれないなんて解ってる。それでももう、後には引けない。
『何でシたのかなんて野暮なことは聞くなよ?』
『…ッ』
『…それでも聞きたいって顔だな』
返事さえないものの小さく頷いた君の行動がかわいすぎて、思わずハンドルに突っ伏してしまった。そのまま、君の問いに応えるように顔だけ向けて言葉を紡いだ。
『若気の至りって程子供じゃないんだ。好きだって想いもないままキスはしないでしょ。』
『…言い方』
そのなんとも思わないかの様な返し方…好きだって言った俺の言葉聞いてた?
『まだ好きなんだから。仕方ない』
『…え?』
追い討ちでもかけてやろう。聞き逃したならもう一回言うまでだ。
『何て顔してんの。』
『だって…!!まだって…まだって言いましたか?』
『うん、言った』
『まだって…なに…?』
『知らなかった?二年位前?』
『二年って…だってそんな素振り全く無かった…』
『見せなかっただけ』
『…そんな』
そう、二年前は俺が経営から手を引いて社長に委託した頃。あれ以上週一回でも会っていたら、俺の気持ちが持たなかった。忙しいと言い分を取って付けて、身勝手な委託だ。
『さて、と。』
驚いたのは君だけじゃないんだ…キスを拒まなかったことについては俺が一番驚いてる。その理由を聞かせて貰おうか…
『次は君の番だ』
『なんでしょう…か』
『何でじゃない。俺だけ言うって、ズルいでしょ』
『私…?』
『そ、何でキス、拒まなかったの?』
『な…!んでって…いきなりだったし…』
『うん、一回目はそれで通じるけど、じゃぁ二回目は?拒絶する隙はあったはずだけど』
『それは…』
『ん?』
いきなり、か。さて、二回目のキスを拒まなかった理由は?何て返してくる?
『…たかも』
『聞こえない。』
『嫌じゃなかったし…その…』
嫌じゃなかった…?そんな言い方…ズルいのはどっちだよ。君も十分ズルい返し方をするな。
『でも俺言ったよね、若気の至りって訳ではないんだから想いがあるって』
『そりゃ…嫌いじゃないですから』
『嫌いじゃなければするの?』
『意地悪です…』
ふいっと外を見つめるように顔を背けた君の顔は見なくたって解る。照れて、何て言っていいか解らない。そういうめちゃくちゃかわいい顔をしてるんだ。
『ねぇ?』
『…はい』
そっと体の向きを変えさせると、俺は気付けば君の頭を撫でていた。
ほら…思った通り。かわいい以外の何者でもない。
『…君にエステのプレゼントは要らなかったね』
『?え…?』
『キス一つでこれだけかわいさを取り戻すんだから』
『…意地悪』
『どの口が言ってんの?』
ゆっくりと顔を近付ける…拒む、避けるなんて時間はたっぷり作った。それでもふわりと柔らかい感触が俺の唇にも降り注ぐ。触れるだけでいい…そう思っていたんだ…
長いのか、短いのか…どれほどの時間か解らないが、互いの温もりを確かめるように重ねていた唇がゆっくりと離れた。
『誕生日プレゼント、まだ決まってなかったな』
『いいです…』
『良くない』
『だったら…』
そういうと、君はゆっくりと顔を近付けてくる。
嘘…だろ…こんなこと…
さっき離れたばかりで余韻すら残る唇に、上書きするかのように君は唇を重ねてきた。
『これでいいです…』
たったひと言そう言い残すと気恥ずかしそうに俯いた君が目の前にいる。
男の煽り方を知っているのか、それとも天然なのか…どちらにしても、もう俺は遠慮はしない。したくない…君がそう出るのなら…
『君は…もう少し欲張りになった方がいい』
君の答えなんて待ってやらない…
気付けば俺はヤらしくも舌をだし、君の唇を割り、舌を探す。柔らかく、とろけるようなそれを見つければ絡めとる…息継ぎなど全く気にすることもなく、ただプツリと切れた想いの糸を結び直すには手遅れだった。
『ン…フゥ…』
『プレゼントにするには色んなものが足りない』
君の後頭部に手を回し、逃げ場を無くしてもまだ足りない。
色んなものってなんだ…ただ足りないって言葉で離れたくない俺自身の気持ちを表してるだけだ…
『……ッ』
それでもいい。
君が俺を受け入れて、こうして腕にすがってくれるなら…
.
『え?…何がって…そこまで甘えれないですよ?』
『そうはいかない』
そう言い帰り道の車の中で、俺は君に問いかける。用意をしなかった訳じゃない。いくつか考えたがどれもピンと来なかった。
『誕生日過ぎちゃったけどさ、何もないと言う訳にはいかないだろ。』
『でも…今日こうして時間作ってくれただけでも…』
『ほら、変わってない。』
こちらの事を考えてくれる、気遣ってくれるのはありがたいが、今回ばかりは俺もそれじゃぁ引き下がれない。
『何が良いか解らないから聞いてからにしようかとも迷ったんだよ』
『んー……そうですね…』
ほら、そう考えてる顔ですら変わらない。あっと思い付いたかのようにしてもまた考え込む。
その時君がこちらをちらりと見た。
『…ん?』
『…ッ/////』
目があっただけで俯くなんてダメでしょ。
そう考えていた時、何故か手は勝手に伸びていき、君の頬に触れた。
『…ぇ?』
戸惑い気味にこちらを見た君の顔がかわいすぎて…気付けば俺は、自身の唇を君のそれに重ねていた。
『…ン』
ゆっくりと離れると、少し間を置いて角度を変えてさらに深く、何度も重なりあう。どちらの唾液とも解らないほどに混ざり合った後にようやく離れた。
『あの…』
『ん?』
『…その…なん『ストップ…』…ぇ?』
引かれてるかもしれないなんて解ってる。それでももう、後には引けない。
『何でシたのかなんて野暮なことは聞くなよ?』
『…ッ』
『…それでも聞きたいって顔だな』
返事さえないものの小さく頷いた君の行動がかわいすぎて、思わずハンドルに突っ伏してしまった。そのまま、君の問いに応えるように顔だけ向けて言葉を紡いだ。
『若気の至りって程子供じゃないんだ。好きだって想いもないままキスはしないでしょ。』
『…言い方』
そのなんとも思わないかの様な返し方…好きだって言った俺の言葉聞いてた?
『まだ好きなんだから。仕方ない』
『…え?』
追い討ちでもかけてやろう。聞き逃したならもう一回言うまでだ。
『何て顔してんの。』
『だって…!!まだって…まだって言いましたか?』
『うん、言った』
『まだって…なに…?』
『知らなかった?二年位前?』
『二年って…だってそんな素振り全く無かった…』
『見せなかっただけ』
『…そんな』
そう、二年前は俺が経営から手を引いて社長に委託した頃。あれ以上週一回でも会っていたら、俺の気持ちが持たなかった。忙しいと言い分を取って付けて、身勝手な委託だ。
『さて、と。』
驚いたのは君だけじゃないんだ…キスを拒まなかったことについては俺が一番驚いてる。その理由を聞かせて貰おうか…
『次は君の番だ』
『なんでしょう…か』
『何でじゃない。俺だけ言うって、ズルいでしょ』
『私…?』
『そ、何でキス、拒まなかったの?』
『な…!んでって…いきなりだったし…』
『うん、一回目はそれで通じるけど、じゃぁ二回目は?拒絶する隙はあったはずだけど』
『それは…』
『ん?』
いきなり、か。さて、二回目のキスを拒まなかった理由は?何て返してくる?
『…たかも』
『聞こえない。』
『嫌じゃなかったし…その…』
嫌じゃなかった…?そんな言い方…ズルいのはどっちだよ。君も十分ズルい返し方をするな。
『でも俺言ったよね、若気の至りって訳ではないんだから想いがあるって』
『そりゃ…嫌いじゃないですから』
『嫌いじゃなければするの?』
『意地悪です…』
ふいっと外を見つめるように顔を背けた君の顔は見なくたって解る。照れて、何て言っていいか解らない。そういうめちゃくちゃかわいい顔をしてるんだ。
『ねぇ?』
『…はい』
そっと体の向きを変えさせると、俺は気付けば君の頭を撫でていた。
ほら…思った通り。かわいい以外の何者でもない。
『…君にエステのプレゼントは要らなかったね』
『?え…?』
『キス一つでこれだけかわいさを取り戻すんだから』
『…意地悪』
『どの口が言ってんの?』
ゆっくりと顔を近付ける…拒む、避けるなんて時間はたっぷり作った。それでもふわりと柔らかい感触が俺の唇にも降り注ぐ。触れるだけでいい…そう思っていたんだ…
長いのか、短いのか…どれほどの時間か解らないが、互いの温もりを確かめるように重ねていた唇がゆっくりと離れた。
『誕生日プレゼント、まだ決まってなかったな』
『いいです…』
『良くない』
『だったら…』
そういうと、君はゆっくりと顔を近付けてくる。
嘘…だろ…こんなこと…
さっき離れたばかりで余韻すら残る唇に、上書きするかのように君は唇を重ねてきた。
『これでいいです…』
たったひと言そう言い残すと気恥ずかしそうに俯いた君が目の前にいる。
男の煽り方を知っているのか、それとも天然なのか…どちらにしても、もう俺は遠慮はしない。したくない…君がそう出るのなら…
『君は…もう少し欲張りになった方がいい』
君の答えなんて待ってやらない…
気付けば俺はヤらしくも舌をだし、君の唇を割り、舌を探す。柔らかく、とろけるようなそれを見つければ絡めとる…息継ぎなど全く気にすることもなく、ただプツリと切れた想いの糸を結び直すには手遅れだった。
『ン…フゥ…』
『プレゼントにするには色んなものが足りない』
君の後頭部に手を回し、逃げ場を無くしてもまだ足りない。
色んなものってなんだ…ただ足りないって言葉で離れたくない俺自身の気持ちを表してるだけだ…
『……ッ』
それでもいい。
君が俺を受け入れて、こうして腕にすがってくれるなら…
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