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創世戦争編 〜箱庭の主〜
ロマナースでの再会
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アレン達は一周間走り続けた。睡眠時間を削っての強行軍で皆疲れボロボロだったが、ヴィターレの父であるロマーノ子爵は温かく迎え入れてくれた。
「お疲れでしょう、アレン将軍。それからザロ伯、コーネリアス殿」
アレン達はロマーノ子爵とも面識があった。穏やかな人物で、寛容な心を持っている。しかし、種族の違いについてはかなり無頓着な人物だった。
「人間の使用人も多いのね」
フレデリカは城の中を案内するロマーノにそう言った。
「ああ、そう言えば彼らは人間でしたね。確かに、角が無い。しかし手脚も魔人と大して変わらないから、角が無くても問題はありませんな」
奴隷の印である首輪をしているが、奴隷にしては清潔で痩せていない。
「彼らは随分良い暮らしをしているんだな」
ロマーノ子爵は笑みを浮かべた。
「良質な対価が、良質な労働力を引き出せるのです。この通り、この城では人間の階級が奴隷であっても、特に変な差別もなく接しております。ザロ領程ではないにしても、我が領が豊かだからこそ出来る芸当ですがね…ああ、そういえばアイユーブ王子もご無事ですよ」
アレンの表情は変わらなかったが、内心は喜びでいっぱいだ。
「何処に居るんだ?」
「賓客用の部屋です。ご兄弟もそちらに」
魔人の建築物は全て規模が大きい。長い廊下を暫く歩いていると、大きな扉が目に入った。
「ぜぇ、はぁ…やっと到着?」
コーネリアスの脇に抱えられたフレデリカがそう言う。疲れ過ぎて、コーネリアスに運ばれていたのだ。
「ええ。アイユーブ王子、お客人です」
大きな扉が開くとそこにはアイユーブとサーリヤ、そしてもう一人、第五王子のアーキルが居た。
「よお、三人共久し振り」
アレンがそう言うと、アイユーブも簡単に返事をしてくる。そんなアイユーブを見て、アレンは眉をひそめた。
「お前ら…顔ちょっと丸くなった?」
「…煩ぇ黙れ」
「乙女になんて事言うんだよ」
不機嫌そうな顔をするアイユーブとサーリヤの横で、アーキルは照れたように顔を両手で覆った。
「スタイル維持しないと踊れないのに、此処の料理が美味すぎるのが悪い」
アレンの後ろでロマーノ子爵が「光栄です」と笑っている。
「お前、出された料理全部食べてる?」
「そりゃあ、残したら勿体無いだろ。けど食べる量に対して筋トレが追い付かないんだよね」
ロマーノは首を傾げた。
「ん?人間は冬眠しないのですか?」
「少なくとも俺達クテシア人は冬眠しないかな。アーキル、俺達冬眠しないよね」
「ええ、ベッドから出たくはないけど…冬眠するのは熊とかですよ」
「何と、これは失礼。冬に備えて脂肪を蓄えさせようとしていました。もう少し考えてメニューを出しましょう」
アレンの表情が動いていれば、苦笑いていたかも知れない。ロマーノ子爵はこういう所がある。魔人と人間の違いをよく分かっていないから、アレンに無茶な頼みをしてきた事もあった。
悪い人ではないが、時折ズレている事がある。優秀な人物ではあるが、名家の者であるにも関わらず彼の階級が子爵止まりなのは、そのズレ故だろう。
「…付いた脂肪は今から筋肉にすれば良い。仕事があるぞ」
ロマーノはその言葉に提案した。
「作戦会議でしたら、会議室へ案内しましょう」
アレン達は頷くと、再びロマーノ子爵の後ろを歩いた。その間、アレンはアイユーブとアーキルにこれまでの事を質問した。
クテシアで分裂が起きてから、クテシア王国の軍隊は二つに分かれて行動している。第四王子アースィムとウサーマ将軍が率いる本隊が新王のアリージュとシハーブを守る為に共に行動している。一方のアイユーブは敵の目を惑わす為にアーキルとアリージュ、そしてその部隊を連れて行動していた。
「俺とアースィムは瓜二つだから、結構簡単に敵さんは引っ掛かるんです」
沢山話した訳ではないが、アースィムとアーキルは本当にそっくりで話し方も似ている。見分けるのは困難だ。アイユーブ達は魔力で見分けているらしいが、傍から見ればそんなもの誤差とすら言えない。
「アイ兄も一卵性でしたよね」
「お袋は何であんなに一卵性の子供を作れるんだ?」
アレンは疑問を呈したサーリヤを見た。
「…お前、今度はアリージュと同じ格好をしてるのか」
今まではアイユーブと同じ格好をしており、双子にも見えた。しかしそのサーリヤが兄と同じように伸ばした髪を肩までに切って白いアバヤ(クテシアの女が着る丈の長いドレス)を着て化粧をすれば、魔法を使わなくてもアリージュに酷似した姿になる。
「オレはアリージュの影武者。兄貴はシハーブと同じ格好…というよりか、シハーブが兄貴大好き過ぎて、シハーブが兄貴の髪型を真似してるんだけど…上手い具合に影武者ごっこ出来てさ、公国軍の奴ら、迷子になってんだよね。マジウケる」
ロマーノ子爵は片目を瞑った。
「公国軍なんぞ、ロマーノ軍にとって敵ではありません。私は子爵止まりですが、勇猛な武将でもありますから。こっちに来てもコテンパンにしてみせますよ」
「公国軍の狙いは…」
アレンはアイユーブを見た。
「公国が帝国の手先なら、狙いは俺で間違いない。俺さえ消えれば最悪の未来を提示して対抗策を考えさせる奴が居なくなるからな」
しかしアリージュの存在も邪魔だろう。まだ実績が乏しい為にヌールハーン程の求心力は無いが、彼女は王に相応しい実力を持っている。母親譲りの知恵と美貌、王としてのカリスマ性。軍人である父親譲りの冷静さと冷酷さ、同時に優しさも持っている。
「…俺が公国なら、成長する前にアリージュは殺しときたいけど…お前も殺したいな」
「…唐突な殺害願望やめろよな」
他愛もない軽口を叩き合いながら、アレン達は長い廊下を進む。
「そうだアイユーブ、後遺症は?」
「だいぶマシ。あんたは?最近頭痛が酷いって聞いたけど」
「頭は痛いけど、だいぶ慣れてきた。〈拠点〉に月さんとヌールハーンも居るから、対処法とか色々教えたり考えたりしてくれる。定期的に顔出しなよ。ヌールハーンは車椅子だから、自由には動けないし」
「はいはい。あんたまで親父みたいな事言うのな」
とは言いつつも、その表情からは前向きに検討している事が伺える。
「…親は、大事にした方が良い」
自分が言えた口ではない事は、アレンは重々承知している。それでも、アリシアともっと話さなかった事を、幾ら後悔してもし足りない。
「もっとあれ話しときゃ良かったなーとか、一緒にあれ食べたかったなーとか。そういうのがどんどん出て来る。今の俺に残された大切な奴らって、そんなに多くない。どんどん消えてくか、自分が消えるしか無いからさ」
アレンは立ち止まると、アイユーブの目を見た。
「その目には最悪の未来が視えるんだろ。もしも覆せなかった時、後悔しないようにしなよ。時空魔法は全ての時を戻せる訳じゃない。後悔しても、誰も救えないんだ」
リヴィナベルクでアーサーを地上に残さなければ、アーサーは生きていたかも知れない。梓涵の自由に対する執着を見抜いていれば、あんな結末にはならなかったかも知れない。あの結末にならなければ、ザンドラは生きていた筈だ。そしてその結末を回避した上で、屁理屈でも何でも良いから表春を説得できれば、あんな悲しい別れにはならなかったかも知れない。
アイユーブはアレンの中の後悔を直ぐに見抜いた。ああすれば良かった、こうすれば良かったと、悩んでいても仕方の無い事はアレンもアイユーブも、誰もが分かっている。
「…アレン、お前そんな顔するようになったんだな」
「え?」
ロマーノ子爵とコーネリアス、フレデリカも頷く。
「前のあんたは、前から後ろから来る敵を斬って進む事だけしか考えてなかったけど、止まりかけてる今はよっぽど人間らしいよ」
アレンは眉を寄せた。褒めているのか貶しているのか、一体どっちなんだろう。
「えーと…それ、褒めてんの?それとも貶してる?」
フレデリカはにまにましながら答えた。
「さあー?好きな方で捉えたら?」
揶揄うようにアレンの周りを回り始めた彼女の腕を掴もうとすると、今度はアイユーブのよく焼けた腕がアレンに伸びてくる。その手はアレンの頭をわしゃわしゃと撫で回した。
「そうやってウジウジ後悔しない為の作戦、立てるんだろ?早く行こうぜ」
「会議室はこっちの部屋です。皆さん、お入りください」
ロマーノ子爵が扉を開くと、既にロマーノ家に仕える勇猛な騎士達が集まっていた。
「悔いの無い未来の為に、ロマーノ領は連合に全力で協力します」
アレンはその騎士の面々を見渡した。騎士達の席が二席空いているのは、そこにヴィターレと子爵が座るからだろう。
「協力に感謝する。それでは、会議を始めよう」
「お疲れでしょう、アレン将軍。それからザロ伯、コーネリアス殿」
アレン達はロマーノ子爵とも面識があった。穏やかな人物で、寛容な心を持っている。しかし、種族の違いについてはかなり無頓着な人物だった。
「人間の使用人も多いのね」
フレデリカは城の中を案内するロマーノにそう言った。
「ああ、そう言えば彼らは人間でしたね。確かに、角が無い。しかし手脚も魔人と大して変わらないから、角が無くても問題はありませんな」
奴隷の印である首輪をしているが、奴隷にしては清潔で痩せていない。
「彼らは随分良い暮らしをしているんだな」
ロマーノ子爵は笑みを浮かべた。
「良質な対価が、良質な労働力を引き出せるのです。この通り、この城では人間の階級が奴隷であっても、特に変な差別もなく接しております。ザロ領程ではないにしても、我が領が豊かだからこそ出来る芸当ですがね…ああ、そういえばアイユーブ王子もご無事ですよ」
アレンの表情は変わらなかったが、内心は喜びでいっぱいだ。
「何処に居るんだ?」
「賓客用の部屋です。ご兄弟もそちらに」
魔人の建築物は全て規模が大きい。長い廊下を暫く歩いていると、大きな扉が目に入った。
「ぜぇ、はぁ…やっと到着?」
コーネリアスの脇に抱えられたフレデリカがそう言う。疲れ過ぎて、コーネリアスに運ばれていたのだ。
「ええ。アイユーブ王子、お客人です」
大きな扉が開くとそこにはアイユーブとサーリヤ、そしてもう一人、第五王子のアーキルが居た。
「よお、三人共久し振り」
アレンがそう言うと、アイユーブも簡単に返事をしてくる。そんなアイユーブを見て、アレンは眉をひそめた。
「お前ら…顔ちょっと丸くなった?」
「…煩ぇ黙れ」
「乙女になんて事言うんだよ」
不機嫌そうな顔をするアイユーブとサーリヤの横で、アーキルは照れたように顔を両手で覆った。
「スタイル維持しないと踊れないのに、此処の料理が美味すぎるのが悪い」
アレンの後ろでロマーノ子爵が「光栄です」と笑っている。
「お前、出された料理全部食べてる?」
「そりゃあ、残したら勿体無いだろ。けど食べる量に対して筋トレが追い付かないんだよね」
ロマーノは首を傾げた。
「ん?人間は冬眠しないのですか?」
「少なくとも俺達クテシア人は冬眠しないかな。アーキル、俺達冬眠しないよね」
「ええ、ベッドから出たくはないけど…冬眠するのは熊とかですよ」
「何と、これは失礼。冬に備えて脂肪を蓄えさせようとしていました。もう少し考えてメニューを出しましょう」
アレンの表情が動いていれば、苦笑いていたかも知れない。ロマーノ子爵はこういう所がある。魔人と人間の違いをよく分かっていないから、アレンに無茶な頼みをしてきた事もあった。
悪い人ではないが、時折ズレている事がある。優秀な人物ではあるが、名家の者であるにも関わらず彼の階級が子爵止まりなのは、そのズレ故だろう。
「…付いた脂肪は今から筋肉にすれば良い。仕事があるぞ」
ロマーノはその言葉に提案した。
「作戦会議でしたら、会議室へ案内しましょう」
アレン達は頷くと、再びロマーノ子爵の後ろを歩いた。その間、アレンはアイユーブとアーキルにこれまでの事を質問した。
クテシアで分裂が起きてから、クテシア王国の軍隊は二つに分かれて行動している。第四王子アースィムとウサーマ将軍が率いる本隊が新王のアリージュとシハーブを守る為に共に行動している。一方のアイユーブは敵の目を惑わす為にアーキルとアリージュ、そしてその部隊を連れて行動していた。
「俺とアースィムは瓜二つだから、結構簡単に敵さんは引っ掛かるんです」
沢山話した訳ではないが、アースィムとアーキルは本当にそっくりで話し方も似ている。見分けるのは困難だ。アイユーブ達は魔力で見分けているらしいが、傍から見ればそんなもの誤差とすら言えない。
「アイ兄も一卵性でしたよね」
「お袋は何であんなに一卵性の子供を作れるんだ?」
アレンは疑問を呈したサーリヤを見た。
「…お前、今度はアリージュと同じ格好をしてるのか」
今まではアイユーブと同じ格好をしており、双子にも見えた。しかしそのサーリヤが兄と同じように伸ばした髪を肩までに切って白いアバヤ(クテシアの女が着る丈の長いドレス)を着て化粧をすれば、魔法を使わなくてもアリージュに酷似した姿になる。
「オレはアリージュの影武者。兄貴はシハーブと同じ格好…というよりか、シハーブが兄貴大好き過ぎて、シハーブが兄貴の髪型を真似してるんだけど…上手い具合に影武者ごっこ出来てさ、公国軍の奴ら、迷子になってんだよね。マジウケる」
ロマーノ子爵は片目を瞑った。
「公国軍なんぞ、ロマーノ軍にとって敵ではありません。私は子爵止まりですが、勇猛な武将でもありますから。こっちに来てもコテンパンにしてみせますよ」
「公国軍の狙いは…」
アレンはアイユーブを見た。
「公国が帝国の手先なら、狙いは俺で間違いない。俺さえ消えれば最悪の未来を提示して対抗策を考えさせる奴が居なくなるからな」
しかしアリージュの存在も邪魔だろう。まだ実績が乏しい為にヌールハーン程の求心力は無いが、彼女は王に相応しい実力を持っている。母親譲りの知恵と美貌、王としてのカリスマ性。軍人である父親譲りの冷静さと冷酷さ、同時に優しさも持っている。
「…俺が公国なら、成長する前にアリージュは殺しときたいけど…お前も殺したいな」
「…唐突な殺害願望やめろよな」
他愛もない軽口を叩き合いながら、アレン達は長い廊下を進む。
「そうだアイユーブ、後遺症は?」
「だいぶマシ。あんたは?最近頭痛が酷いって聞いたけど」
「頭は痛いけど、だいぶ慣れてきた。〈拠点〉に月さんとヌールハーンも居るから、対処法とか色々教えたり考えたりしてくれる。定期的に顔出しなよ。ヌールハーンは車椅子だから、自由には動けないし」
「はいはい。あんたまで親父みたいな事言うのな」
とは言いつつも、その表情からは前向きに検討している事が伺える。
「…親は、大事にした方が良い」
自分が言えた口ではない事は、アレンは重々承知している。それでも、アリシアともっと話さなかった事を、幾ら後悔してもし足りない。
「もっとあれ話しときゃ良かったなーとか、一緒にあれ食べたかったなーとか。そういうのがどんどん出て来る。今の俺に残された大切な奴らって、そんなに多くない。どんどん消えてくか、自分が消えるしか無いからさ」
アレンは立ち止まると、アイユーブの目を見た。
「その目には最悪の未来が視えるんだろ。もしも覆せなかった時、後悔しないようにしなよ。時空魔法は全ての時を戻せる訳じゃない。後悔しても、誰も救えないんだ」
リヴィナベルクでアーサーを地上に残さなければ、アーサーは生きていたかも知れない。梓涵の自由に対する執着を見抜いていれば、あんな結末にはならなかったかも知れない。あの結末にならなければ、ザンドラは生きていた筈だ。そしてその結末を回避した上で、屁理屈でも何でも良いから表春を説得できれば、あんな悲しい別れにはならなかったかも知れない。
アイユーブはアレンの中の後悔を直ぐに見抜いた。ああすれば良かった、こうすれば良かったと、悩んでいても仕方の無い事はアレンもアイユーブも、誰もが分かっている。
「…アレン、お前そんな顔するようになったんだな」
「え?」
ロマーノ子爵とコーネリアス、フレデリカも頷く。
「前のあんたは、前から後ろから来る敵を斬って進む事だけしか考えてなかったけど、止まりかけてる今はよっぽど人間らしいよ」
アレンは眉を寄せた。褒めているのか貶しているのか、一体どっちなんだろう。
「えーと…それ、褒めてんの?それとも貶してる?」
フレデリカはにまにましながら答えた。
「さあー?好きな方で捉えたら?」
揶揄うようにアレンの周りを回り始めた彼女の腕を掴もうとすると、今度はアイユーブのよく焼けた腕がアレンに伸びてくる。その手はアレンの頭をわしゃわしゃと撫で回した。
「そうやってウジウジ後悔しない為の作戦、立てるんだろ?早く行こうぜ」
「会議室はこっちの部屋です。皆さん、お入りください」
ロマーノ子爵が扉を開くと、既にロマーノ家に仕える勇猛な騎士達が集まっていた。
「悔いの無い未来の為に、ロマーノ領は連合に全力で協力します」
アレンはその騎士の面々を見渡した。騎士達の席が二席空いているのは、そこにヴィターレと子爵が座るからだろう。
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