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魔導王国アミリ朝クテシア編 〜砂塵と共に流れる因縁の章〜
オトナになりたい
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慣れない環境での戦闘は兵士達に負担をもたらす。連合軍はラダーン城の近郊にある飛空艇発着場を復興、アネハル飛空艇団の運ぶ物資を運搬しながら、一時休息を取る事にした。
シャッと音を立ててカーテンが開く。
「ファーティマ、おはよう」
美凛はそう言うが、アイユーブはぼんやりとしている。
「アイユーブ!」
本名で呼んで漸く、彼と目が合った。しかしその瞳は穴が空いたように瞳孔が開いている。
アイユーブは意識を取り戻したが記憶と精神はズタズタにされてしまい、強いショックから頭痛と吐き気に苛まれて疲弊している。更に追い打ちを掛けるように、ラヴァがアイユーブのシャムシールを二本とも目の前でへし折ってしまったのだ。
時は三日前に遡る。
「ぎゃああああああッ!?」
意識を取り戻して以来⸺否、生まれて初めて、アイユーブは絶叫した。
「何やってんだよ!」
意識が明確に戻ったアイユーブを取り囲むのはアレンとフレデリカ、サーリヤ達クテシア王族、ゼオル、そして折れたシャムシールを忌々しげに睨むラヴァ・シュミットだった。
「何って…レプリカを壊してんだよ。これ、まさか本物のイヤード(難攻不落)とガーズィー(攻撃する者)だとでも思ったのか?」
アイユーブが愛用するシャムシールのレプリカの元となった二振りの剣は硬い金属を用いた守りに向いたイヤードという剣と、斬れ味を追求したガーズィーという攻撃に特化した剣だ。何れもラヴァが打った剣で、攻守一体の戦闘を行える上に美しい。
だが、アイユーブにとってはその剣が本物のイヤードとガーズィーかはどうだって良い。
「それ、手に馴染んでたのに…」
偽物でも斬れ味は抜群で、模倣者はさぞ腕が良かったのだろう。だが、ラヴァは無情に吐き捨てる。
「あ?ンな事ぁあたしゃ知らんね」
そしてイヤードを模した剣をへし折る。
「うわああああああああ!」
まさに無情、冷酷無比。心の内の情熱は鉄を打つ竈に全て焚べてしまった彼女には、人の痛みは解らない。
只でさえ疲弊していたアイユーブは、長年連れ添った得物を目の前で破壊されて悲嘆に暮れている。
周りから猛バッシングを食らったラヴァは本物のイヤードとガーズィーを渡したが、それでアイユーブの悲しみが癒やされる訳ではない。
美凛はぶすくれた顔をした。
(ラヴァが悪いのは分かってるけど…)
拗ねてるアイユーブにも頭が来る。
美凛はアイユーブから布団を剥ぎ取って立たせた。
「散歩、行くよ」
コンラッドや舞蘭からはもう動いても問題無いと言われている。腹部にできた傷も、腹筋が硬すぎたが故に見た目程の重傷には至らなかった。もうあの戦いから一週間が経過しており、次の作戦の話しも出始めている頃だ。
美凛はアイユーブの手を引いて城を歩いた。
半壊した堅牢ラダーンはアレンの大規模な時空魔法によって修繕され、城壁は雪山からの反射光に照らされている。生命体の傷を直したり時そのものを戻す事は出来ないが、何度見ても恐ろしい魔法だ。
(あ、アレンと言えば…)
いつも近くに太った柴犬が居た。
(精神治療に役立ちそう。借りてみようかな)
近くを歩いていた兵士にアレンの居場所を聞くと、美凛達はアレンが居る中庭へ向かった。
中庭には砂漠でも育つ植物が植えられた植木鉢が置かれ、その植物にアレンが魔法を掛けている。
その様子を大勢が日陰で休みながら見ている。その中には扇子でばたばたと扇いでいる苏月と舞蘭、毛繕い中のシルヴェストロも居た。
「おー、良い感じに育ったね」
フレデリカがそう言ってアレンの頭を撫でると、アレンはフレデリカの手を退かした。
「慣れれば簡単さ。しかし驚いたよ。東側でもケガレグサが売ってるなんて。砂漠にしか生息しない薬草だと思ってた」
「元はクテシア砂漠から白虎山脈にしか生息してなかったからね。きっと苏安とクテシアの行商人達が持ち出したのよ」
アレンがケガレグサに手を伸ばすと、丈の低かった植物はニョキニョキと成長する。
「…俺、時空魔法をかつて無い程に便利な使い方してる気がする」
美凛は考えた。あの魔法を自分に使えば、成長出来るのではないか?そうすれば、アイユーブと戦った時のように支援者が居なければ立ち回れないなどという無様な事にならない。
それに、二十五になったこの身体は血の病によって成長が止まり、女なら来る筈の月の物が無い。このままでは本家苏氏の血は途絶えてしまう。本当にそれで良いのだろうか。今や残っている分家は、二度目の内戦で戦犯となった社氏と、身体超過を扱えない韓宇を当主とする韓家のみだ。
クテシアの本家イブラヒム氏はとうの昔に断絶しており、シュルークにまつわる伝承も途絶えた。
(このままじゃ駄目だ。何とかしないと)
美凛はアイユーブの手を離すと、近くに転がっている石を拾った。
「え、美凛⸺」
何かを察したアイユーブが制止しようとするが、衰弱した男に速度で負ける美凛ではない。
美凛は魔法に集中するアレンの横でそれを見守るフレデリカに向かって石を投げた。その石は吸い込まれるようにフレデリカの額に命中する。
「んぎゃッ!?」
「おいどうした⸺」
アレンの手は植物に向けられたままフレデリカの方へ顔を向けた次の瞬間、美凛は身体超過によって脚力を強化すると、アレンと植木鉢の間に割って入った。
「えっ⸺」
次の瞬間。
「うわあああああ!?」
「にゃぎゃああああ!?」
閃光が中庭を照らし、アレンと美凛の悲鳴が重なった。同時に、苏月と舞蘭、アイユーブも叫ぶ。
「美凛!?」
光が消えると、地面で美凛が悶ていた。
「ぬぎゃああああ!?」
「おいお前何やってんだ⸺」
心配半分、怒り半分で咎めるようにそう言って駆け寄ると、アレンより速く身体超過を用いて高速移動してきた苏月が娘に駆け寄る。
「美凛!?美凛!!」
そう言って心配する彼は父親の顔をしているが、アレンを見た瞬間、顔色を変えて首を掴んで押し倒す。
「おい貴様、私の娘に何をした!?事と次第によっては只じゃ済まさんぞ!」
アイユーブが近くを通るが、そんな事を気にしている余裕は無い。骨張った細い手からは想像出来ない程に強い力がアレンの首を圧迫している。
「知ら、…って…!」
当たってきたのは美凛だ。そう言いたいが、気道を圧迫されて何も言えない。だが、アレンの首を絞める彼のその顔は酷く憔悴していた。
目の前が暗くなりかけたその時だった。
「月、美凛は無事よ!」
次の瞬間、気道が解放された。
「ゲホッゲホッ…!」
苏月はアレンから離れると、娘の元へ駆け寄る。
「美凛、無事か!?」
その声にアレンは身体を起こすと、目の前の光景に目を見開いた。
「…え?何か、老けた…!?」
「貴様私の娘に無礼な事を言うんじゃない殺すぞ」
一息で吐くように苏月はそう言った。だが、目の前で長い四肢を伸ばして身体を解している美凛の顔立ちが違う。
大きな目と太くて小さな眉はそのままだが、美しさと凛々しさが追加されて大人びている。顔だけじゃない。四肢も長く伸びて、肉付きが良くなっている。おまけに、胸や尻は母親そっくりに発育の良い物となっていた。勿論、服はサイズが小さ過ぎて合っていない。
先程、苏月は吐くように罵倒して来たが、その顔は困惑が滲んでいる。
「…アレン、貴公は…私の娘に何をした…?」
そんな事を聞かれても、アレンには解らない。
「当たってきた奴に聞いてよ…」
近くではフレデリカが伸びている。どうやら、見事に意識を刈り取られたらしい。
苏月は際どい格好をしている美凛の方を見ないようにしながら問うた。
「美凛、これはどういう事かな…?」
「被害者の俺にも解るように説明しないと怒るからね」
美凛は八重歯を見せて笑った。
「やっとオトナになれた!これでもっと戦える!」
シャッと音を立ててカーテンが開く。
「ファーティマ、おはよう」
美凛はそう言うが、アイユーブはぼんやりとしている。
「アイユーブ!」
本名で呼んで漸く、彼と目が合った。しかしその瞳は穴が空いたように瞳孔が開いている。
アイユーブは意識を取り戻したが記憶と精神はズタズタにされてしまい、強いショックから頭痛と吐き気に苛まれて疲弊している。更に追い打ちを掛けるように、ラヴァがアイユーブのシャムシールを二本とも目の前でへし折ってしまったのだ。
時は三日前に遡る。
「ぎゃああああああッ!?」
意識を取り戻して以来⸺否、生まれて初めて、アイユーブは絶叫した。
「何やってんだよ!」
意識が明確に戻ったアイユーブを取り囲むのはアレンとフレデリカ、サーリヤ達クテシア王族、ゼオル、そして折れたシャムシールを忌々しげに睨むラヴァ・シュミットだった。
「何って…レプリカを壊してんだよ。これ、まさか本物のイヤード(難攻不落)とガーズィー(攻撃する者)だとでも思ったのか?」
アイユーブが愛用するシャムシールのレプリカの元となった二振りの剣は硬い金属を用いた守りに向いたイヤードという剣と、斬れ味を追求したガーズィーという攻撃に特化した剣だ。何れもラヴァが打った剣で、攻守一体の戦闘を行える上に美しい。
だが、アイユーブにとってはその剣が本物のイヤードとガーズィーかはどうだって良い。
「それ、手に馴染んでたのに…」
偽物でも斬れ味は抜群で、模倣者はさぞ腕が良かったのだろう。だが、ラヴァは無情に吐き捨てる。
「あ?ンな事ぁあたしゃ知らんね」
そしてイヤードを模した剣をへし折る。
「うわああああああああ!」
まさに無情、冷酷無比。心の内の情熱は鉄を打つ竈に全て焚べてしまった彼女には、人の痛みは解らない。
只でさえ疲弊していたアイユーブは、長年連れ添った得物を目の前で破壊されて悲嘆に暮れている。
周りから猛バッシングを食らったラヴァは本物のイヤードとガーズィーを渡したが、それでアイユーブの悲しみが癒やされる訳ではない。
美凛はぶすくれた顔をした。
(ラヴァが悪いのは分かってるけど…)
拗ねてるアイユーブにも頭が来る。
美凛はアイユーブから布団を剥ぎ取って立たせた。
「散歩、行くよ」
コンラッドや舞蘭からはもう動いても問題無いと言われている。腹部にできた傷も、腹筋が硬すぎたが故に見た目程の重傷には至らなかった。もうあの戦いから一週間が経過しており、次の作戦の話しも出始めている頃だ。
美凛はアイユーブの手を引いて城を歩いた。
半壊した堅牢ラダーンはアレンの大規模な時空魔法によって修繕され、城壁は雪山からの反射光に照らされている。生命体の傷を直したり時そのものを戻す事は出来ないが、何度見ても恐ろしい魔法だ。
(あ、アレンと言えば…)
いつも近くに太った柴犬が居た。
(精神治療に役立ちそう。借りてみようかな)
近くを歩いていた兵士にアレンの居場所を聞くと、美凛達はアレンが居る中庭へ向かった。
中庭には砂漠でも育つ植物が植えられた植木鉢が置かれ、その植物にアレンが魔法を掛けている。
その様子を大勢が日陰で休みながら見ている。その中には扇子でばたばたと扇いでいる苏月と舞蘭、毛繕い中のシルヴェストロも居た。
「おー、良い感じに育ったね」
フレデリカがそう言ってアレンの頭を撫でると、アレンはフレデリカの手を退かした。
「慣れれば簡単さ。しかし驚いたよ。東側でもケガレグサが売ってるなんて。砂漠にしか生息しない薬草だと思ってた」
「元はクテシア砂漠から白虎山脈にしか生息してなかったからね。きっと苏安とクテシアの行商人達が持ち出したのよ」
アレンがケガレグサに手を伸ばすと、丈の低かった植物はニョキニョキと成長する。
「…俺、時空魔法をかつて無い程に便利な使い方してる気がする」
美凛は考えた。あの魔法を自分に使えば、成長出来るのではないか?そうすれば、アイユーブと戦った時のように支援者が居なければ立ち回れないなどという無様な事にならない。
それに、二十五になったこの身体は血の病によって成長が止まり、女なら来る筈の月の物が無い。このままでは本家苏氏の血は途絶えてしまう。本当にそれで良いのだろうか。今や残っている分家は、二度目の内戦で戦犯となった社氏と、身体超過を扱えない韓宇を当主とする韓家のみだ。
クテシアの本家イブラヒム氏はとうの昔に断絶しており、シュルークにまつわる伝承も途絶えた。
(このままじゃ駄目だ。何とかしないと)
美凛はアイユーブの手を離すと、近くに転がっている石を拾った。
「え、美凛⸺」
何かを察したアイユーブが制止しようとするが、衰弱した男に速度で負ける美凛ではない。
美凛は魔法に集中するアレンの横でそれを見守るフレデリカに向かって石を投げた。その石は吸い込まれるようにフレデリカの額に命中する。
「んぎゃッ!?」
「おいどうした⸺」
アレンの手は植物に向けられたままフレデリカの方へ顔を向けた次の瞬間、美凛は身体超過によって脚力を強化すると、アレンと植木鉢の間に割って入った。
「えっ⸺」
次の瞬間。
「うわあああああ!?」
「にゃぎゃああああ!?」
閃光が中庭を照らし、アレンと美凛の悲鳴が重なった。同時に、苏月と舞蘭、アイユーブも叫ぶ。
「美凛!?」
光が消えると、地面で美凛が悶ていた。
「ぬぎゃああああ!?」
「おいお前何やってんだ⸺」
心配半分、怒り半分で咎めるようにそう言って駆け寄ると、アレンより速く身体超過を用いて高速移動してきた苏月が娘に駆け寄る。
「美凛!?美凛!!」
そう言って心配する彼は父親の顔をしているが、アレンを見た瞬間、顔色を変えて首を掴んで押し倒す。
「おい貴様、私の娘に何をした!?事と次第によっては只じゃ済まさんぞ!」
アイユーブが近くを通るが、そんな事を気にしている余裕は無い。骨張った細い手からは想像出来ない程に強い力がアレンの首を圧迫している。
「知ら、…って…!」
当たってきたのは美凛だ。そう言いたいが、気道を圧迫されて何も言えない。だが、アレンの首を絞める彼のその顔は酷く憔悴していた。
目の前が暗くなりかけたその時だった。
「月、美凛は無事よ!」
次の瞬間、気道が解放された。
「ゲホッゲホッ…!」
苏月はアレンから離れると、娘の元へ駆け寄る。
「美凛、無事か!?」
その声にアレンは身体を起こすと、目の前の光景に目を見開いた。
「…え?何か、老けた…!?」
「貴様私の娘に無礼な事を言うんじゃない殺すぞ」
一息で吐くように苏月はそう言った。だが、目の前で長い四肢を伸ばして身体を解している美凛の顔立ちが違う。
大きな目と太くて小さな眉はそのままだが、美しさと凛々しさが追加されて大人びている。顔だけじゃない。四肢も長く伸びて、肉付きが良くなっている。おまけに、胸や尻は母親そっくりに発育の良い物となっていた。勿論、服はサイズが小さ過ぎて合っていない。
先程、苏月は吐くように罵倒して来たが、その顔は困惑が滲んでいる。
「…アレン、貴公は…私の娘に何をした…?」
そんな事を聞かれても、アレンには解らない。
「当たってきた奴に聞いてよ…」
近くではフレデリカが伸びている。どうやら、見事に意識を刈り取られたらしい。
苏月は際どい格好をしている美凛の方を見ないようにしながら問うた。
「美凛、これはどういう事かな…?」
「被害者の俺にも解るように説明しないと怒るからね」
美凛は八重歯を見せて笑った。
「やっとオトナになれた!これでもっと戦える!」
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