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魔導王国アミリ朝クテシア編 〜砂塵と共に流れる因縁の章〜
隷属魔法の解除
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苏月は梦蝶の攻撃を受け止めて言った。
「誰が隷属魔法を使っている?」
ラダーン城から光線が放たれた後、大規模な隷属魔法を使用した気配があった。
「それを知って何になる?お前は此処で私に甚振られながら死ぬ運命なのだよ!」
もう若くない苏月と時間の止まった梦蝶では、梦蝶の方が圧倒的に有利だ。脳と目に限定した身体超過もそろそろ限界で、このままでは敗北してしまう。
「陽、オドを殺せ!」
未だ撤退せず果敢に戦うオドに向かって陽が走り出した。
「オドを人質に取るつもりか?小癪な」
「どうする?重傷のオドを討ち取るなど、陽だけでも容易い事だ。お前が感情に任せて突っ走り、将の首を取られたと知ったら…皇帝は何と言うだろうな?」
その時、オドが呻き声を上げた。その大きな身体には矢が深々と突き刺さっている。
「梦蝶様…!」
撤退しましょう、そういう前に陽が二本目の矢を放った。このままオドの首を取られれば、折檻は免れない。
陽はオドから目を離す事無く問うた。
「次は何処を撃って欲しい?」
梦蝶は舌打ちすると、忌々しげに言った。
「全軍、撤退!」
梦蝶は部下が連れて来た馬に跨ると、苏月を睨んだ。
「次は殺してやる」
苏月は何も言い返さない。正面から戦っても梦蝶に勝てない事は分かっていたし、向こうも次は正面から挑んで来る事は無いだろう。
陽が苏月の元へ駆け寄った。
「兄上、良いのですか?脅威にしかなりませんが」
「…オドを討ち取ったら討ち取ったで、あいつは自棄になって挑んで来るだろう。今回はラダーンの奪還が目的だ」
そう言って額を抑えた。
「兄上、頭痛ですか?酷い顔色ですよ」
「…いや、大事ない。歳かな、少し疲れただけだ」
陽はラダーン城の方角を見た。陽の優れた視力には、撤退する帝国軍がはっきりと見えている。奪還まで時間は掛からないだろう。
「兵も慣れない環境での戦闘で疲弊しています。少し休憩してから出発しましょう」
苏月は頷くと、兵達に天幕を張って休憩するよう命じた。
一本、ジェティの元に伝書鳩が飛んで来た。
「…今時伝書鳩なんて古典的だな」
肩で息をしながらアレンはそう言った。
ジェティはフレデリカとアレンを相手取りながら涼しい顔をしている。
「…后妃様から撤退命令が出ちゃったよ。仕方が無いから帰るね」
后妃とは梦蝶の事だ。
ジェティは箒に跨る。その後ろには弥月も居た。
「おい、隷属魔法を解除しろ!」
ジェティが素直に従う訳も無いが、アレンは叫んだ。
「出来たとして、僕が解除する訳無いだろう?味方同士で殺し合って苦しめば良いさ。〈人殺しのアレン〉、お前なら簡単だろう?」
そう言うと、アレンに顔をずいと近付けた。
「ああそれとも、人間共の群れに絆されて、そういうの無理になっちゃった?リサリア王国での初陣で君は何人殺したっけ。確か、言葉の拙い君の為に陛下が派遣した武官が数えるのを止めて吐く程だったよね」
ジェティは意地の悪い笑みを浮かべた。
「二十年、あれから二十年だ。今更何を躊躇うんだい?君に刃を向けた時点で彼らは⸺」
「もう良い!」
フレデリカはジェティの言葉を遮ると、アレンを押し退けてジェティの顔面を引っ叩いた。
「あんたの言葉なんて聞きたくもないわ。それから、彼の半径一メートル以内に入らないで」
ジェティの薄い唇が切れて赤い血が垂れている。ジェティは小さな手で口元を拭うと忌々しげにフレデリカを睨んだ。
「この糞尼が、死に損ないの分際で!」
そう言って自身の腕に切断魔法を付与すると、フレデリカの首を狙って振った。
「危ない!」
アレンは咄嗟にフレデリカを庇った。
「馬鹿、何で私を庇うのよ!」
アレンの左腕は肩から肘までぱっくりと裂けていている。
「理由なんて今はどうでも良い」
そう言ってジェティを睨んだ。
「…撤退命令出てんだろ、さっさと失せろよ。こっちはいつでも弥月を殺せるんだからな」
かちゃり、とわざとらしい音がする。ジェティの後方で、誰にもバレないように行軍していた〈処分者〉のラザラスが銃を構えていた。
ジェティは舌打ちすると上昇して撤退して行った。
フレデリカはジェティが撤退するのを見届けると、アレンの腕を掴んだ。
「ねぇ何で⸺」
「話は後。先ずは城を奪還する」
そう言ってポーチから包帯を取り出すと、簡易的な止血をする。
彼の顔は相変わらず無表情だが、何処か焦りを感じる。
アレンは剣を持つと、美凛と交戦しているアイユーブに近付いた。
「智陵で、月さんは隷属魔法を用いた人体実験の末に暴走した。だけどその月さんの隷属対象は智陵城主の魏氏ではなく、舞蘭さんだった」
つまりアリージュ達が次に熱光線砲台を用いて魔法を解除するまでの間に隷属対象をジェティから別の誰かに挿げ替えられれば、時間を稼げる。
「だけど、どうやる?」
今のアイユーブに近付くのは危険だ。シャムシールには赤くて長い布が括り付けられ、その布は金の腕輪に繋がっていて、彼はそれを手足のように自在に操る。圧倒的な攻撃範囲を誇る彼に迂闊に近づけば、一瞬で血まみれになるだろう。
交戦中の美凛は既に傷だらけで、彼女を溺愛する苏月が見たら怒り狂って周囲を全て破壊しかねない。
「美凛、距離を取れ!」
美凛は素早く距離を取りながら苦無を投げて牽制した。
「どうしよう、声が届かないの!」
そう言った彼女は泣きそうな顔をしている。
捕虜となった兵士達の制圧や捕縛は着々と進んでいるが、彼のような強い者にもなれば話は別だ。
「やり方は分からないけど、隷属の対象を誰かに挿げ替えて制御すれば解除までの時間は稼げる。フレデリカ、一度あいつを押さえ込みたい。援護してくれ」
「分かった」
アレンは剣を持って姿勢を低くすると、距離を詰め始めた。
「速い!」
美凛が大きな目を更に見開く。〈神風〉の名を持つアレンの速度は十二神将随一だったが、その速度に追随する速度でシャムシールが舞う。
アレンが剣でシャムシールを防ぐと、今度は背後から迫ってきたシャムシールをフレデリカの魔法が防いだ。
だが、今度は剣で防いだシャムシールが迫って来る。入り乱れる長い布の間から踊るように武器を振るアイユーブの姿が見えるが、その顔は暗く笑っていない。
シャムシールが防具に守られていない脇腹を抉った。
(糞、性格悪過ぎる!)
防具が守っていない場所を的確に狙った攻撃が繰り返されるが、止まるわけにはいかない。
アレンは背中側をフレデリカが援護してくれると信じて距離を一気に詰めた。
「目ぇ覚ませ!」
そう怒鳴ってアイユーブの整った顔を横から張り倒す。
アレンは倒れたアイユーブを押さえ込んで右肘の関節を極めて言った。
「おい、目の前に美凛が居るぞ。見えるか!?」
そう言ってもう一度彼の過去や記憶に触れる。しかしそれらは全て黒く塗り潰され、まるで炭酸入りカクテルの気泡のように小さく消えていく。
「ガ、アアアア…!」
血を吐きながら激しく抵抗するアイユーブの肘が大きな音を立てて外れた。
「アイユーブ、お願い!もうやめて!」
美凛が悲痛な叫びを上げて駆け寄って来た。彼女は血だらけのアイユーブの顔を両手で包んで言った。
「ねぇ帰って来てよ、昔みたいにお喋りして、美味しい物一緒に食べようよ!」
サーリヤが駆け付けて来た。サーリヤはアイユーブの左手を握った。
「ねえ兄貴、皆心配してる!お袋が暴れてたよ。早く戻って来てよ!」
二人の声が、彼の意識を僅かに揺らした。だが、今撤退している『主』はそれを赦さなかった。
「グ、アアアア!!」
アイユーブがアレンを無理矢理振り払ってシャムシールを取って構えた、その時だった。
「皆、お待たせ!」
チーターの獣人達が舞蘭と数名の兵士達を乗せてやって来たのだ。
「舞蘭さん!?」
アレンが目を見開くと、舞蘭はアイユーブに狙われている美凛の前に結界を張った。
「やはり、彼の懸念は当たってたわね」
舞蘭は熱光線砲台を見上げて言った。どうやら、古代遺物を媒体に隷属魔法の解除を行う事を察したようだ。
「上の敵を排除するには時間が要るわね。時間稼ぎの為に、隷属魔法の隷属先を変える方法、教えるわ」
「誰が隷属魔法を使っている?」
ラダーン城から光線が放たれた後、大規模な隷属魔法を使用した気配があった。
「それを知って何になる?お前は此処で私に甚振られながら死ぬ運命なのだよ!」
もう若くない苏月と時間の止まった梦蝶では、梦蝶の方が圧倒的に有利だ。脳と目に限定した身体超過もそろそろ限界で、このままでは敗北してしまう。
「陽、オドを殺せ!」
未だ撤退せず果敢に戦うオドに向かって陽が走り出した。
「オドを人質に取るつもりか?小癪な」
「どうする?重傷のオドを討ち取るなど、陽だけでも容易い事だ。お前が感情に任せて突っ走り、将の首を取られたと知ったら…皇帝は何と言うだろうな?」
その時、オドが呻き声を上げた。その大きな身体には矢が深々と突き刺さっている。
「梦蝶様…!」
撤退しましょう、そういう前に陽が二本目の矢を放った。このままオドの首を取られれば、折檻は免れない。
陽はオドから目を離す事無く問うた。
「次は何処を撃って欲しい?」
梦蝶は舌打ちすると、忌々しげに言った。
「全軍、撤退!」
梦蝶は部下が連れて来た馬に跨ると、苏月を睨んだ。
「次は殺してやる」
苏月は何も言い返さない。正面から戦っても梦蝶に勝てない事は分かっていたし、向こうも次は正面から挑んで来る事は無いだろう。
陽が苏月の元へ駆け寄った。
「兄上、良いのですか?脅威にしかなりませんが」
「…オドを討ち取ったら討ち取ったで、あいつは自棄になって挑んで来るだろう。今回はラダーンの奪還が目的だ」
そう言って額を抑えた。
「兄上、頭痛ですか?酷い顔色ですよ」
「…いや、大事ない。歳かな、少し疲れただけだ」
陽はラダーン城の方角を見た。陽の優れた視力には、撤退する帝国軍がはっきりと見えている。奪還まで時間は掛からないだろう。
「兵も慣れない環境での戦闘で疲弊しています。少し休憩してから出発しましょう」
苏月は頷くと、兵達に天幕を張って休憩するよう命じた。
一本、ジェティの元に伝書鳩が飛んで来た。
「…今時伝書鳩なんて古典的だな」
肩で息をしながらアレンはそう言った。
ジェティはフレデリカとアレンを相手取りながら涼しい顔をしている。
「…后妃様から撤退命令が出ちゃったよ。仕方が無いから帰るね」
后妃とは梦蝶の事だ。
ジェティは箒に跨る。その後ろには弥月も居た。
「おい、隷属魔法を解除しろ!」
ジェティが素直に従う訳も無いが、アレンは叫んだ。
「出来たとして、僕が解除する訳無いだろう?味方同士で殺し合って苦しめば良いさ。〈人殺しのアレン〉、お前なら簡単だろう?」
そう言うと、アレンに顔をずいと近付けた。
「ああそれとも、人間共の群れに絆されて、そういうの無理になっちゃった?リサリア王国での初陣で君は何人殺したっけ。確か、言葉の拙い君の為に陛下が派遣した武官が数えるのを止めて吐く程だったよね」
ジェティは意地の悪い笑みを浮かべた。
「二十年、あれから二十年だ。今更何を躊躇うんだい?君に刃を向けた時点で彼らは⸺」
「もう良い!」
フレデリカはジェティの言葉を遮ると、アレンを押し退けてジェティの顔面を引っ叩いた。
「あんたの言葉なんて聞きたくもないわ。それから、彼の半径一メートル以内に入らないで」
ジェティの薄い唇が切れて赤い血が垂れている。ジェティは小さな手で口元を拭うと忌々しげにフレデリカを睨んだ。
「この糞尼が、死に損ないの分際で!」
そう言って自身の腕に切断魔法を付与すると、フレデリカの首を狙って振った。
「危ない!」
アレンは咄嗟にフレデリカを庇った。
「馬鹿、何で私を庇うのよ!」
アレンの左腕は肩から肘までぱっくりと裂けていている。
「理由なんて今はどうでも良い」
そう言ってジェティを睨んだ。
「…撤退命令出てんだろ、さっさと失せろよ。こっちはいつでも弥月を殺せるんだからな」
かちゃり、とわざとらしい音がする。ジェティの後方で、誰にもバレないように行軍していた〈処分者〉のラザラスが銃を構えていた。
ジェティは舌打ちすると上昇して撤退して行った。
フレデリカはジェティが撤退するのを見届けると、アレンの腕を掴んだ。
「ねぇ何で⸺」
「話は後。先ずは城を奪還する」
そう言ってポーチから包帯を取り出すと、簡易的な止血をする。
彼の顔は相変わらず無表情だが、何処か焦りを感じる。
アレンは剣を持つと、美凛と交戦しているアイユーブに近付いた。
「智陵で、月さんは隷属魔法を用いた人体実験の末に暴走した。だけどその月さんの隷属対象は智陵城主の魏氏ではなく、舞蘭さんだった」
つまりアリージュ達が次に熱光線砲台を用いて魔法を解除するまでの間に隷属対象をジェティから別の誰かに挿げ替えられれば、時間を稼げる。
「だけど、どうやる?」
今のアイユーブに近付くのは危険だ。シャムシールには赤くて長い布が括り付けられ、その布は金の腕輪に繋がっていて、彼はそれを手足のように自在に操る。圧倒的な攻撃範囲を誇る彼に迂闊に近づけば、一瞬で血まみれになるだろう。
交戦中の美凛は既に傷だらけで、彼女を溺愛する苏月が見たら怒り狂って周囲を全て破壊しかねない。
「美凛、距離を取れ!」
美凛は素早く距離を取りながら苦無を投げて牽制した。
「どうしよう、声が届かないの!」
そう言った彼女は泣きそうな顔をしている。
捕虜となった兵士達の制圧や捕縛は着々と進んでいるが、彼のような強い者にもなれば話は別だ。
「やり方は分からないけど、隷属の対象を誰かに挿げ替えて制御すれば解除までの時間は稼げる。フレデリカ、一度あいつを押さえ込みたい。援護してくれ」
「分かった」
アレンは剣を持って姿勢を低くすると、距離を詰め始めた。
「速い!」
美凛が大きな目を更に見開く。〈神風〉の名を持つアレンの速度は十二神将随一だったが、その速度に追随する速度でシャムシールが舞う。
アレンが剣でシャムシールを防ぐと、今度は背後から迫ってきたシャムシールをフレデリカの魔法が防いだ。
だが、今度は剣で防いだシャムシールが迫って来る。入り乱れる長い布の間から踊るように武器を振るアイユーブの姿が見えるが、その顔は暗く笑っていない。
シャムシールが防具に守られていない脇腹を抉った。
(糞、性格悪過ぎる!)
防具が守っていない場所を的確に狙った攻撃が繰り返されるが、止まるわけにはいかない。
アレンは背中側をフレデリカが援護してくれると信じて距離を一気に詰めた。
「目ぇ覚ませ!」
そう怒鳴ってアイユーブの整った顔を横から張り倒す。
アレンは倒れたアイユーブを押さえ込んで右肘の関節を極めて言った。
「おい、目の前に美凛が居るぞ。見えるか!?」
そう言ってもう一度彼の過去や記憶に触れる。しかしそれらは全て黒く塗り潰され、まるで炭酸入りカクテルの気泡のように小さく消えていく。
「ガ、アアアア…!」
血を吐きながら激しく抵抗するアイユーブの肘が大きな音を立てて外れた。
「アイユーブ、お願い!もうやめて!」
美凛が悲痛な叫びを上げて駆け寄って来た。彼女は血だらけのアイユーブの顔を両手で包んで言った。
「ねぇ帰って来てよ、昔みたいにお喋りして、美味しい物一緒に食べようよ!」
サーリヤが駆け付けて来た。サーリヤはアイユーブの左手を握った。
「ねえ兄貴、皆心配してる!お袋が暴れてたよ。早く戻って来てよ!」
二人の声が、彼の意識を僅かに揺らした。だが、今撤退している『主』はそれを赦さなかった。
「グ、アアアア!!」
アイユーブがアレンを無理矢理振り払ってシャムシールを取って構えた、その時だった。
「皆、お待たせ!」
チーターの獣人達が舞蘭と数名の兵士達を乗せてやって来たのだ。
「舞蘭さん!?」
アレンが目を見開くと、舞蘭はアイユーブに狙われている美凛の前に結界を張った。
「やはり、彼の懸念は当たってたわね」
舞蘭は熱光線砲台を見上げて言った。どうやら、古代遺物を媒体に隷属魔法の解除を行う事を察したようだ。
「上の敵を排除するには時間が要るわね。時間稼ぎの為に、隷属魔法の隷属先を変える方法、教えるわ」
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