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第二章 メイドの少女

80.お勉強

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 ミラリオが妻になった日の夜、ルーンはなぜかもの凄く上機嫌で、何かに備えてワクワクしてるようだった。
 夕飯を食べ終えて、三人で入浴しようという話になった途端に、その理由がわかった。

「じゃあミラ!お兄ちゃんの妻になったからには、まずは大事なことを勉強しないとね!」
「お兄様のことを...勉強?」
「おいルーン、何を始める気だ」
「まあまあお兄ちゃん。とりあえずみんなでおフロ入ろっ!」

 ...ルーンのやつ、風呂場で何か始める気か?
 勉強とか言ってたな。
 風呂場で勉強ということは...。

 俺はだいたいの予想が付いていた。
 ここ3年ほど、ミラリオが俺のメイドとして色々お世話をしていたが、入浴時は基本的にルーンが俺の体を洗っていた。

 勉強...。
 まあ、ミラが嫌じゃなければいいか。

 俺は二人と一緒に裸になり、風呂場に入った。
 ルーンとミラリオは既に顔を赤らめている。
 風呂場は湯気でいっぱいで、ルーンが予め部屋を暖めていたようだった。

「じゃあお兄ちゃんはここに座ってね!」
「ルーン。お前の言う通りにするから、ちょっと落ち着け...」
「ミラがお勉強する大切な時間なんだから、お兄ちゃんももっとやる気出して!」
「はい...すいません」

 幼くなった妻に怒られ、謝ってしまう。
 俺とルーンがごちゃごちゃ話してると、ミラリオは恥ずかしそうに話し出す。

「ねえルーン...。お兄様のお勉強って何するの?」
「ミラはこっちに来て」
「うん...」

 これまではミラリオが恥ずかしがり、風呂場で積極的に絡むことは殆ど無かった。
 しかし、それは昨日の夜までになりそうだった。

「じゃあミラ。二人でお兄ちゃんの体を洗いましょ」
「はい...」

 ミラリオは俯いて用意をするが、ルーンに怒られた。

「ミラ、俯いてちゃダメだよ。ちゃんとお兄ちゃんの体を見て綺麗にしないと。大事なお兄ちゃんの体なんだから」
「は、はい...」

 ミラリオはガチガチに緊張して、動作が固くなっていた。
 それでもルーンと一緒に協力して、一部を除いてなんとか俺の体を洗い終えた。

「じゃあミラ、今から大事なことを勉強しましょ!そして、お兄ちゃんの大事なところをちゃんと綺麗に洗わなくちゃ!」

 ルーンはそう言って、座っている俺の足を少し広げる。

「はい...。お、お兄様の...大事な...ところ...」

 当然ミラリオは何を勉強するかわかっており、真っ赤な顔のまま、チラチラとその箇所を見ながら、途切れ途切れに呟く。

「そう!お兄ちゃんのお股にある、とーっても大事なところを勉強しなくちゃ!ミラは男の人の大事な所をちゃんと見るのは初めて?」
「初めてだよっ...!」

 あまりの恥ずかしさからか、声は小さかったが、珍しくミラリオが感情的になって返事をしていた。

「うふふ...私も初めて見たのがお兄ちゃんの体だよ。ミラも私と同じ!」
「...ルーンもなの?私は...大好きなお兄様だから...その...。お、お兄様のお股を見るのが...恥ずかしいです...」
「...ミラ。無理しなくていいんだぞ。別に急いでやることでもないし」

 俺がそう言うと、ミラリオは真っ赤な顔のままキッとした目になり、俺の目を見て言った。

「いいえお兄様...。お兄様の体のことを知らないようでは、妻はおろかメイドとしても、お兄様の傍にいる資格がありません」
「いや、そんな大げさな...」
「お兄様、今までの未熟な私をお許しください...」

 ミラはルーンよりも...なんていうか、俺に対して絶対忠誠を誓う、直属の部下とか配下の兵士みたいだな。

 俺はミラリオに対しても、ルーンに対しても、言葉遣いから日常の行動まで、自由にやらせて当たり前だと思っていた。
 二人に対して、俺を敬えとか、俺の言うことを聞け、なんてことは微塵も思ったことは無かった。

「ミラ、いいか。許すも許さないも無い。俺はお前のことを未熟だと思ったことも無いし、そもそもこの家の中ではお前もルーンも、好きにしていい。好きな振る舞いをして、好きな生活をしていいんだ。だから俺の世話をしないと追い出される、なんてことは絶対に無いからな」
「...おにーちゃん、大丈夫だよ。ミラはお兄ちゃんのことちゃんとわかってるよ」
「はいっ!お兄様の優しさ、わかっております」
「うーん...。まあいいか」
「お兄ちゃんのお股の大事なところ以外はちゃんとわかってるんだから、そこは今からお勉強しないとね!」
「はい...。ルーン、お兄様のこと教えてください!」
「じゃあミラ!まずはお兄ちゃんのお股をちゃんと近くで見なきゃ!」
「う、うん...」
「お兄ちゃん、左足をもうちょっと広げるよー。ミラはお兄ちゃんの右足!」
「お、お兄様...失礼します」

 真っ赤な顔のルーンは、椅子に座っている俺の正面に少し距離を開けて座り、俺の左足を広げる。
 その後、ミラリオはルーンよりも前に来て座り、俺の右足を広げた。
 開脚している体勢になったが、二人は当然俺のことを考えて行動していた為、辛い状態ではなかった。
 ミラリオは至近距離で俺の股を凝視している。

「うふふ。ミラ、どーお?お兄ちゃんのとってもえっちで、とっても大事なところだよ!」
「ルーン...そこでえっちは付けなくていいだろ...」
「あらお兄ちゃん、えっちじゃないの...?」

 耳まで顔を赤くしたルーンの妖艶な目は、リターニュ公国でのことを言っていた。
 あの頃の日々が、ありありと脳内に浮かぶ。
「目は口ほどに物を言う」とは、このことかと悟った。

「...えっちです。すいません...」

 幼くなった妻に、また謝ってしまう。

「うふふ。お股を開いてるお兄ちゃんを見てると、ドキドキしちゃう...」

 ルーンは妖艶に笑って俺の股を見ており、ルーンの前にいるミラリオは固まっていた。

「わっ...。おにいさま...の...」

 ミラリオは真っ赤な顔のまま、目を大きく見開いて、口を少し開けたまま、固まっている。
 初めて目の当たりにして余程の衝撃だったのか、微動だにしない。

「おいミラ...大丈夫か?」
「は、はい...。これが...お兄様の大事なところ...なんですね...。お兄様...凄いです...」

 ぽーっと上気した顔で、茜色セミロングの髪が綺麗なミラリオが、ぽつりと答える。
 何が凄いのかよく分からなかったが、ミラリオの様子を見ているルーンがとても上機嫌で、楽しそうで、嬉しそうなことはよくわかった。
  何度も経験している感覚...『開花』の力により、初めて見るかのようなドキドキ感を楽しんでいた。

「ねっ!ミラ!お兄ちゃんのお股のゾウさん、とっても可愛いでしょ!!」
「う、うん...。これが...お兄様のぞうさん...。凄い...こんな形なんですね...あぁぁ...!」

 ミラリオは目を背けることが出来ず、息がかかる至近距離で、まじまじと見ている。
 その瞳は、愛情と興味と好奇心でいっぱいになっている。
 しかし、いけないことをしていると感じているのか、表情は背徳と羞恥心でいっぱいだった。

 風呂前にルーンがワクワクして上機嫌だったワケだな。
 しかしこれは...俺もわくわくしてきたな。
 ミラが余りにも可愛い...。「恥ずかしいけど興味津々」という感じのミラが...可愛過ぎる。
 まるで...結婚してすぐの頃に、俺のものをよく見せてと、勉強したがっていたルーンそのものじゃん。
 ルーンとは性格とか話し方が違うミラだからこそ、あの時とは違ったワクワクがあるな。

「ミラは興味津々で可愛いな、好きなだけ見ていいぞ」

 俺はそう言ってミラリオの頭を撫でてやる。

「お兄様...とっても恥ずかしいです...。うぅ...」
「大丈夫だって、ルーンも同じように顔を耳まで真っ赤にして、俺の股を興味津々で見てたからな。...今も真っ赤だが」
「ちょっとお兄ちゃん!...もー。恥ずかしいじゃない...」
「ルーンも可愛いよ。可愛い俺の妻は、100年経ってもっと可愛いくなったな」
「...っ!」

 想定していない言葉をかけられ、ルーンの顔に赤みが増す。
 可愛い反応をするルーンの頭を撫でると、羞恥から黙り込んでしまう。
 しばらく沈黙していたが、ルーンは赤い顔のままミラリオに指示を出して勉強会を進めた。

「じゃ、じゃあミラ!次はお兄ちゃんのゾウさんを触ってみよっか!」
「う、うん...」
「でもミラ、約束して。今後お兄ちゃんの大事な所を触る時は、絶対に強く握ったり、乱暴に触らないようにしてね」
「わかってるよルーン...。...お兄様の、とっても大事なところだもん...」

 ミラリオは恥ずかしそうに、だけれども決して乱暴には扱わないという、固い決意を込めた声でルーンに返事した。

「ありがとう、ミラ。私もミラとお兄ちゃんに約束するね。お兄ちゃんの大事な所を、絶対に傷つけたり、痛くしたりしないから」
「お兄様!私も約束します」

 ...勉強という名のイチャイチャする時間だったはずが、なんか大ごとになってないか?

「じゃあお兄ちゃん!お兄ちゃんのお股の可愛いゾウさん、触ってもいーい?」
「お兄様...。お兄様の...その...、お股にある大事な所を...触らせてくれますか?」

 教えながら恥ずかしさと興奮でいっぱいになったルーンも、初めて俺の股を見て羞恥と興味でいっぱいになったミラリオも、二人ともドキドキが止まらずに触りたがっている。
 ルーン先生による、ミラリオのお勉強はまだまだ続きそうだった。

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