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第二章 メイドの少女
77.三人で到着
しおりを挟む唇を離すと、ミラリオは上気した顔でぼーっと俺を見ていた。
「ミラ、綺麗だよ。周りの光景に負けない程...お前は綺麗だな」
「お兄様...」
少し離れた位置で俺達を見ていたルーンが、嬉しそうにぼやく。
「ミラ、良かったね!...それにしてもお兄ちゃんたら、初めてキスした時私にはそんなこと言ってくれなかったのに...」
100年も前のことを覚えてるんだな...。
まあルーンも本気で不満に思ってはいないだろうが。
ルーンはミラリオに近づき、耳元でこしょこしょと何かを囁く。
それを聞いたミラリオの顔が、ぼんっと爆発したように真っ赤になった。
ミラリオは体まで赤くして、俺の顔をチラチラと伺いつつ、おずおずと小声で要求してきた。
「あ、あの...お兄様...。あの...もう一度、きっ...キスしてください...」
ルーンのやつ、何を言ったんだよ。
...この反応を見るに、ただキスするんじゃなくて、飲ませるのか。
さっきよりも赤い顔をして、目を閉じているミラリオに、今度はより長くキスをする。
ゆっくりと舌を入れると、ミラリオの体がビクッと震えた。
ちらりと横を見ると、ルーンがずっとにこにこして俺とミラリオを見てた。
ルーンは嬉しそうだな...。
初々しいミラリオが可愛くて、たっぷり5分程唇を合わせてしまった。
成すがままになっていたミラリオは、唇を離した途端に力が抜けて、フラっと倒れそうになる。
すかさずルーンが抱き止めて、笑顔でミラリオに話し掛ける。
「ミラ!お兄ちゃんの味はどうだった?」
「凄いです...。とっても甘くて、体に広がって...こんなこと...。うぅ...恥ずかしい...」
ミラリオはルーンの腕の中で、両手で赤い顔を覆う。
「ミラったら可愛いんだから!ねぇ、体の調子はどう?」
「からだ...?」
「いつもより力が沸いてこない?」
「そういえば...。え...なんですかこれ...?」
「それがお兄ちゃん力だよ!」
「お兄様の...、じゃあお兄様とキスをすると...?」
「うーん、キスっていうか...」
ルーンはまたミラリオに耳打ちし、ごにょごにょと何かを伝える。
それを聞いたミラリオは、先程全く同じ反応をして、ルーンの腕の中で真っ赤になってしまい、うわ言のようにぼそぼそ呟いている
「ううぅ...。私の体が...お、お兄様のを吸収して...。ううぅぅぅぅ...恥ずかしいいぃぃ...」
ミラは...可愛いな。
ルーンの腕の中で、一人で身悶えしているミラリオは、反応が新鮮で非常に可愛いかった。
「おいルーン...」
「お兄ちゃん、私にも。んー」
ルーンは目を閉じて、可愛い仕草でキスをねだる。
こっちはこっちで...また別の可愛いさがあるな。
長年連れ添った妻が、幼くなって一層可愛さを増していた。
ルーンとも時間をかけてキスをすると、ご満悦といった感じでミラリオと一緒に朝食の準備を始めた。
三人でしばらく進んだ後、休憩の為にまた休んでいた。
大樹の幹に腰掛けた俺は、ミラリオに気になっていたことを聞いていた。
「ミラ、俺の傍に来てくれたのは嬉しいが、本当に良かったのか?」
「はい!あそこは...あそこに私の居場所はありませんでした...」
「城はどんな感じだったんだ?」
「ユリメア様はしっかりされたお方で、身の回りのことをメイドにやらせるのがお嫌いでした...。また、メイド達もなんとか気に入られようと、お互いの足を引っ張り合って...」
俺はそれ以上は言わせまいと、強引に止めた。
「ミラ、もういい。とにかく俺の元に来てくれてありがとう」
「はい!お兄様のお役に立てるように頑張ります!」
元気いっぱいのミラリオに対して、そんなに気負わなくていいと伝えようかと思ったが、ミラリオの意気込みに水を差すのもどうかと思い、黙ってミラリオを抱き寄せた。
「お兄様...」
「移動中はずっと抱えたままで悪いな、疲れるだろ」
「いいえ、お兄様の腕の中で幸せです!」
「ならいいんだが...。ルーンは大丈夫か?」
荷物整理をしてるルーンにも声を掛ける。
「大丈夫だよ、お兄ちゃん」
「念のためもうちょっと休憩してから出発しよう。夜には着けるだろう」
二人にそう言って両腕を高く上げ、体を伸ばした。
その後、帰路は障害も無く進み、夜になって無事家に着いた。
家の紹介やら能力の説明やら、必要なことはあったが、一旦夕飯を取ることにした。
「ルーンもミラもありがとな。無事着いて良かった」
「お兄ちゃんが頑張ってくれたおかげだよ」
「そうです!お兄様のおかげです」
「まあ何事も無くて良かったよ。お疲れ様」
夕飯後、ルーンとミラリオが片づけをしている。
俺がやるつもりで動いた瞬間、二人に止められた。
...やっぱり二人が仲良くしてることが一番ありがたいな。
面倒だからもろもろの説明は明日でいいか。
居間で寛いでぼーっとしてると、片づけを終えたルーンが笑顔で聞いてきた。
「おにいちゃーん。お風呂はどうするのー?もちろん三人で入るんだよね?」
にこにこと上機嫌なルーン。
「お、お兄様と一緒に...お風呂...」
ミラリオは顔を赤くして俯く。
「ああ、ミラが嫌じゃなければ三人で入るが...」
風呂場はスーパーパワーを発揮したルーンの手によって、浴槽などが大きく改良され、三人で入れる程の物になっていた。
「お、お兄様...私はお兄様の体を洗いますので...。お世話させてください」
ミラリオは赤くしたままの顔を上げて、キリっとした表情で、俺を見て言った。
「体を洗うのはいいが、お世話は必要無い。ミラがいいなら三人で入るんだ。二人で入って一人がお世話をする形じゃないぞ」
「は、はい...お兄様...」
「まあその辺も明日話し合おう、とりあえず今夜はみんな疲れてるからな」
「じゃあお兄ちゃん、準備するね」
ルーンの主導により、三人で風呂に入る。
俺はルーンとミラリオに体を洗ってもらったが、下半身は主にルーンが洗っていた。
その後、ルーンとミラリオはお互いの体を洗い合っていた。
ミラリオは恥ずかしさでいっぱいいっぱいらしく、終始顔を赤く染めて俯きがちだったが、浴槽内で浸かっている間は、嬉しそうな顔をしていた。
...当然俺は、今ここでミラリオに手を出すつもりは無く、ミラリオが見ている前でルーンとえっちなことをするつもりは無かった。
まあ焦ることは無いよな。
ミラが不安に思わないようにしないと。
風呂から上がり、疲れていた三人はすぐに寝ることにした。
ベッドの上では、真ん中で俺が仰向けになり、その両サイドにルーンとミラリオが俺の腕を抱きかかえている。
「ルーンもミラもありがとな」
「なあに、お兄ちゃん」
「お兄様、お礼を言うのは私の方です」
「...疲れたから寝よう。また明日、色々話をすれば良い」
「はーい。おやすみ、お兄ちゃん。...大好きだよ、ちゅっ」
そう言ってルーンは首を伸ばし、俺の唇にキスをした。
「おやすみなさい。お兄様。...お兄様が好きです...んっ」
ミラリオも負けじと、俺の唇にキスをする。
(お兄様...傍に居たいです...)
ミラリオは能力を使って語りかけ、俺の左手を自分のおなかに当てる。
(明日からずっと一緒だ...お前の好きなだけ居ればいい)
俺も能力を使い、ミラリオに返事する。
ルーンの時と同じように、密着している為か代償の疲労度はさほどでも無かった。
ミラリオのおなかは柔らかく温かかった。
右腕に抱きついているルーンからはいつものいい匂いが、そして左腕に抱きついているミラリオからは、別のいい匂いがしていた。
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