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第二章 メイドの少女
74.使い方
しおりを挟む俺とルーンは、レイドーム帝国東の森から北上していた。
ミルクを出し終えてぐったりした俺は、高速で走るルーンにお姫様抱っこされている。
なぜこんなことになっているのかというと、何度かの排泄の度にルーンが俺のものを揉みしだき、満足するまでずっと可愛がろうとしていた。
結局ルーンが満足しきる前にミルクが出そうになるので、その度に真っ赤な顔をしたルーンが口を付けて、美味しそうにミルクを飲んでいた。
「んっ...んむっ...。お兄ちゃんのミルク甘くて美味しい...。こんなにちっちゃくて可愛いのに、頑張ってミルク出してるんだね...。ちゅっ...」
ミルクを吸収したことに加えて、『狂戦士』の力を使って変身したルーンの能力によって、かなりの距離を稼いでいた。
「3キロぐらい先にイノシシの夫婦がいるよ、お兄ちゃん!」
どうやって判別してるのかはわからないが、一時的にパワーアップしたルーンの能力によって、危機回避については盤石だった。
帝都を出た翌日の午前に、かつてゼストじいちゃんが暮らしていた家に辿り着いた。
100年程経過しており、場所については記憶があやふやだったが、樹の上から高く飛びあがり、川の位置から家を特定することは可能だった。
家に辿り着いた日の翌日、ミラリオの能力を我が物顔で使おうとして、使い方がわからずに難航していた件については、あっさり解決した。
「お兄ちゃん、『共鳴』っていうくらいだから、何かか誰かに話しかけるんじゃないの?」
というルーンのアドバイスにより、使い方が判明したが、その日は朝からかつての暮らしの様になっていた。
朝日が昇り始めた頃、ベッドの上で仰向けで寝ている俺の上に、ルーンがベタっとのしかかっていた。
俺の胸に顔を乗せたルーンが、甘い声で囁く。
「おにーちゃん、朝だよ」
「ううん...。眠い...」
「起きないと朝のミルク搾りしちゃうよ。ヤギさんのお乳みたいに、きゅっきゅって搾っちゃうよ」
「起きてもやるだろ...リターニュ公国では、ほぼ毎日やってたんだから...」
「だってー、お兄ちゃんの朝の搾りたてミルクおいしいんだもん。それに、お兄ちゃんもすっきり目が覚めてたでしょ?」
「まあそうなんだけど...」
「はい、じゃあうつ伏せになってね。いつもはこのままやるけど、今日は本当にミルク搾りみたいな形でやっちゃうよ~」
朝から上機嫌でテンションの高いルーンは、ごそごそと俺の体をひっくり返そうとする。
俺も協力して体を動かして、うつ伏せ状態になった。
枕に顔面を埋めてベッドの上で背を向けている俺を、ルーンは満足そうに見届けて、俺の足元に座る。
これから始まることに期待してか、ルーンの顔はもう若干赤くなっていた。
「はいお兄ちゃん、じゃあお尻を上げましょうね~」
「ふぁい...」
枕に向かって返事して、くぐもった声が寝室に響く。
俺は両肘で体重を支え、膝を立てて腰を上げた。
ルーンがまたごそごそと動き、腰から下の服を脱がせる。
「わぁ~可愛い!!お兄ちゃんの、なんて可愛いの~!ドキドキしちゃう...」
両手で色んな所をペタペタと触りながら、ルーンが歓喜の声を上げた。
さらに、顔を近づけて、後ろから優しく話し掛ける。
ルーンの息が吹き掛けられて、その感触がはっきりわかった。
「ここがお兄ちゃんの大事なところ...。ここで毎日みるくを作ってるんだよね?毎日お疲れさま...ちゅっ...。いつも美味しいみるくを作ってくれて、ありがとうございます...ちゅっちゅっ」
真っ赤な顔になったルーンが何度も口づけをして、その箇所を右手で極めて優しく揉み始めた。
左手は別の箇所を指先で掴み、ヤギの乳しぼりの様に、きゅっきゅっと搾り出した。
「うふふ。お兄ちゃんヤギさん、今日もがんばって美味しいミルクを出しましょうね~。はい、きゅっきゅっ。...痛くないですか~?」
かくして、ループしてもルーンのお楽しみの時間は継続し始めて、朝の搾りたてミルクを飲んで満足していた。
昼食後、家の前に出て、ルーンに言われたことを意識して『共鳴』の能力を使う。
対象をルーンにして、心の中で話し掛ける。
(おいルーン...毎朝ミルク搾りをするのはいいんだが、ミルクとは別のが出そうになるから...)
「あらお兄ちゃん、前の生活ではよくそれも飲んでたでしょ?森ではあんまり飲ませてくれなかったけど、ちゃーんと吸収した時の効果もあるんだから、しーしーする時も全部私に飲ませてね。いっぱい飲むと効果時間がとっても長くて、家事がすっごく捗るから、私は助かるんだけどな~」
俺は言葉を発していないが、家の中からルーンの大きめの声が聞こえていた。
(いや、しかしだな...)
「そっちの味も大好きだし、何より大切なお兄ちゃんの健康状態がチェックできるんだから、本当は毎日3度朝昼晩に、ミルクとは別に飲みたいんだけど~」
ルーンが返事をしながら家から出て来る。
初めて能力を使って、ルーンに語り掛けたのだが、ルーンは当たり前のようにその声を聞き、言葉を返していた。
傍から見ればルーンが一人で声を出して、見えない何かと会話しているように見えた。
...
ルーンの言ってることは置いといて、なんかちょっと疲れるな。
あっ、能力を使った代償か。
「おいルーン、初めて能力を使ったんだからもっと驚けよ...」
「だって~。おおよその見当がついてたもん」
「そうか...」
「お兄ちゃん、疲れたでしょ?はいどうぞ」
そう言って家の前で座り、膝を差し出すルーン。
ルーンの膝に頭を乗せて、休憩しながら能力について考えた。
家の前に綺麗に生えている、芝生の感触が懐かしかった。
つまりこれは、携帯電話だな。
ただし、相手の声は受信出来ない。一方的に声を送信するだけのようだが。
携帯電話というより、トランシーバーとか無線機とかの方が適切か。
...これは便利だな。というか戦略に組み込んだら、爆発的な効果を生み出すんじゃないか。
特に規模が大きい戦闘になる程、部隊ごとの指揮官に指示を出せれば、かなりの連携が期待出来るな。
と、そんなことをぼんやりと考えていたら、ルーンがまたアドバイスをくれた。
「お兄ちゃん、ミラちゃんとなら会話できるんじゃないの?」
「あっ、そっか」
ミラは俺と同じ能力を持っているからな...。
というか向こうが本家で、俺が勝手に本人の能力を借りてるだけなんだが。
お互い送信が出来るなら、会話が出来るはずだな。
「有効な距離とか、誰を対象にしたら出来るのかとか、休憩したら色々探りながらやってみるか」
「うんっ!」
芝生に寝転んで、青空とルーンの顔を見上げながら、どんなことを話し掛けようかと考えていた。
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