上 下
74 / 85
第二章 メイドの少女

74.使い方

しおりを挟む
 
 俺とルーンは、レイドーム帝国東の森から北上していた。
 ミルクを出し終えてぐったりした俺は、高速で走るルーンにお姫様抱っこされている。

 なぜこんなことになっているのかというと、何度かの排泄の度にルーンが俺のものを揉みしだき、満足するまでずっと可愛がろうとしていた。
 結局ルーンが満足しきる前にミルクが出そうになるので、その度に真っ赤な顔をしたルーンが口を付けて、美味しそうにミルクを飲んでいた。

「んっ...んむっ...。お兄ちゃんのミルク甘くて美味しい...。こんなにちっちゃくて可愛いのに、頑張ってミルク出してるんだね...。ちゅっ...」

 ミルクを吸収したことに加えて、『狂戦士』の力を使って変身したルーンの能力によって、かなりの距離を稼いでいた。

「3キロぐらい先にイノシシの夫婦がいるよ、お兄ちゃん!」

 どうやって判別してるのかはわからないが、一時的にパワーアップしたルーンの能力によって、危機回避については盤石だった。

 帝都を出た翌日の午前に、かつてゼストじいちゃんが暮らしていた家に辿り着いた。
 100年程経過しており、場所については記憶があやふやだったが、樹の上から高く飛びあがり、川の位置から家を特定することは可能だった。





 家に辿り着いた日の翌日、ミラリオの能力を我が物顔で使おうとして、使い方がわからずに難航していた件については、あっさり解決した。

「お兄ちゃん、『共鳴』っていうくらいだから、何かか誰かに話しかけるんじゃないの?」

 というルーンのアドバイスにより、使い方が判明したが、その日は朝からかつての暮らしの様になっていた。


 朝日が昇り始めた頃、ベッドの上で仰向けで寝ている俺の上に、ルーンがベタっとのしかかっていた。
 俺の胸に顔を乗せたルーンが、甘い声で囁く。

「おにーちゃん、朝だよ」
「ううん...。眠い...」
「起きないと朝のミルク搾りしちゃうよ。ヤギさんのお乳みたいに、きゅっきゅって搾っちゃうよ」
「起きてもやるだろ...リターニュ公国では、ほぼ毎日やってたんだから...」
「だってー、お兄ちゃんの朝の搾りたてミルクおいしいんだもん。それに、お兄ちゃんもすっきり目が覚めてたでしょ?」
「まあそうなんだけど...」
「はい、じゃあうつ伏せになってね。いつもはこのままやるけど、今日は本当にミルク搾りみたいな形でやっちゃうよ~」

 朝から上機嫌でテンションの高いルーンは、ごそごそと俺の体をひっくり返そうとする。
 俺も協力して体を動かして、うつ伏せ状態になった。
 枕に顔面を埋めてベッドの上で背を向けている俺を、ルーンは満足そうに見届けて、俺の足元に座る。
 これから始まることに期待してか、ルーンの顔はもう若干赤くなっていた。

「はいお兄ちゃん、じゃあお尻を上げましょうね~」
「ふぁい...」

 枕に向かって返事して、くぐもった声が寝室に響く。
 俺は両肘で体重を支え、膝を立てて腰を上げた。
 ルーンがまたごそごそと動き、腰から下の服を脱がせる。

「わぁ~可愛い!!お兄ちゃんの、なんて可愛いの~!ドキドキしちゃう...」

 両手で色んな所をペタペタと触りながら、ルーンが歓喜の声を上げた。
 さらに、顔を近づけて、後ろから優しく話し掛ける。
 ルーンの息が吹き掛けられて、その感触がはっきりわかった。

「ここがお兄ちゃんの大事なところ...。ここで毎日みるくを作ってるんだよね?毎日お疲れさま...ちゅっ...。いつも美味しいみるくを作ってくれて、ありがとうございます...ちゅっちゅっ」

 真っ赤な顔になったルーンが何度も口づけをして、その箇所を右手で極めて優しく揉み始めた。
 左手は別の箇所を指先で掴み、ヤギの乳しぼりの様に、きゅっきゅっと搾り出した。

「うふふ。お兄ちゃんヤギさん、今日もがんばって美味しいミルクを出しましょうね~。はい、きゅっきゅっ。...痛くないですか~?」

 かくして、ループしてもルーンのお楽しみの時間は継続し始めて、朝の搾りたてミルクを飲んで満足していた。




 昼食後、家の前に出て、ルーンに言われたことを意識して『共鳴』の能力を使う。
 対象をルーンにして、心の中で話し掛ける。

(おいルーン...毎朝ミルク搾りをするのはいいんだが、ミルクとは別のが出そうになるから...)
「あらお兄ちゃん、前の生活ではよくそれも飲んでたでしょ?森ではあんまり飲ませてくれなかったけど、ちゃーんと吸収した時の効果もあるんだから、しーしーする時も全部私に飲ませてね。いっぱい飲むと効果時間がとっても長くて、家事がすっごく捗るから、私は助かるんだけどな~」

 俺は言葉を発していないが、家の中からルーンの大きめの声が聞こえていた。

(いや、しかしだな...)
「そっちの味も大好きだし、何より大切なお兄ちゃんの健康状態がチェックできるんだから、本当は毎日3度朝昼晩に、ミルクとは別に飲みたいんだけど~」

 ルーンが返事をしながら家から出て来る。
 初めて能力を使って、ルーンに語り掛けたのだが、ルーンは当たり前のようにその声を聞き、言葉を返していた。
 傍から見ればルーンが一人で声を出して、見えない何かと会話しているように見えた。

 ...
 ルーンの言ってることは置いといて、なんかちょっと疲れるな。
 あっ、能力を使った代償か。

「おいルーン、初めて能力を使ったんだからもっと驚けよ...」
「だって~。おおよその見当がついてたもん」
「そうか...」
「お兄ちゃん、疲れたでしょ?はいどうぞ」

 そう言って家の前で座り、膝を差し出すルーン。
 ルーンの膝に頭を乗せて、休憩しながら能力について考えた。
 家の前に綺麗に生えている、芝生の感触が懐かしかった。

 つまりこれは、携帯電話だな。
 ただし、相手の声は受信出来ない。一方的に声を送信するだけのようだが。
 携帯電話というより、トランシーバーとか無線機とかの方が適切か。
 ...これは便利だな。というか戦略に組み込んだら、爆発的な効果を生み出すんじゃないか。
 特に規模が大きい戦闘になる程、部隊ごとの指揮官に指示を出せれば、かなりの連携が期待出来るな。

 と、そんなことをぼんやりと考えていたら、ルーンがまたアドバイスをくれた。

「お兄ちゃん、ミラちゃんとなら会話できるんじゃないの?」
「あっ、そっか」

 ミラは俺と同じ能力を持っているからな...。
 というか向こうが本家で、俺が勝手に本人の能力を借りてるだけなんだが。
 お互い送信が出来るなら、会話が出来るはずだな。

「有効な距離とか、誰を対象にしたら出来るのかとか、休憩したら色々探りながらやってみるか」
「うんっ!」

 芝生に寝転んで、青空とルーンの顔を見上げながら、どんなことを話し掛けようかと考えていた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。

飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。 ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。 そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。 しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。 自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。 アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

ごめんみんな先に異世界行ってるよ1年後また会おう

味噌汁食べれる
ファンタジー
主人公佐藤 翔太はクラスみんなより1年も早く異世界に、行ってしまう。みんなよりも1年早く異世界に行ってしまうそして転移場所は、世界樹で最強スキルを実でゲット?スキルを奪いながら最強へ、そして勇者召喚、それは、クラスのみんなだった。クラスのみんなが頑張っているときに、主人公は、自由気ままに生きていく

処理中です...