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第一章 狼の少女
56.花屋
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それからオークション出品に関して、グリスベルから細かな説明を受けた。
簡単に言うと、次の通りである。
オークション開催は明日の夜であること。
最低落札価格は金貨3000枚であること。
落札された場合は、オークション側が落札者から代金を回収後、落札者にはキースライトの原石を渡し、出品者には落札額の1割を差し引いた金額を支払うとのこと。
その1割は出品依頼料、手数料であり、それ以外に出品者がオークション側に支払う費用は発生しないとのこと。
オークションの進行に関して、出品依頼後に俺達三人はオークション会場に不在でも大丈夫とのこと。
出品依頼から落札額の支払い、又は品物の返却までに、なんらかの事情で品物が亡失・滅失・破損・盗難 等により、オークション側が正常な状態の品物を管理出来なくなった場合は、補償金として金貨5000枚を出品者に支払うこと。
...ちょっと待てよ。
これ落札されずに品物が残ったら、また出品することになるのか?
俺は疑問に思ってグリスベルに聞いてみた。
「もし仮に、オークションで落札されずに残った場合はどうなるんですか?」
グリスベルは丁寧に回答する。
「落札者が存在しない場合は、私どもオークション側が買い取ることも出来ます。買い取りの場合、今回は最低落札価格の金貨3000枚、そこから1割を差し引いた金貨2700枚をお支払い致します。もちろん、ご希望であれば再出品することも可能です。再出品の費用などは特に必要ありません」
なるほどね。
というか金貨2700枚でも充分大金だから、再出品は無いな。さっさと売り払いたいし。
俺はグリスベルに出品を依頼した。
「ではグリスベルさん、出品を依頼させて頂きます。今お持ちのそのキースライトの原石をお預けしますので、出品をお願い致します。もし落札者がいない場合は買い取りをお願い致します」
グリスベルは左手で眼鏡をクイッとあげ、笑顔で答えた。
「ありがとうございます、ナオフリート様。では当オークションが責任を持って管理させて頂きます」
それを聞いたドラヒルが席を立ちあがり、大きな声で言った。
「ナオフリート様!ギルコード殿より依頼を受け、メイヴェリア王国、王都ギルド本部の副ギルド長であるこのドラヒルが、確かにオークションの出品依頼を今確認させて頂きました!」
若干大げさだと思ったが、副ギルド長が立会人として発言してくれたことが嬉しかった。
しかし...キースライトの原石をオークションに出品することは達成したが、落札されるまで手持ちのカネが無いな。
どうしよう。落札者がいなくても買い取るって言ってるし、前払いでちょっとだけカネをもらえるか交渉してみるか。
こっちが石を預ける立場なんだし、前払い金の持ち逃げなんか意味が無いから、承諾してもらえそうだが。
グリスベルに相談してみたら、あっさり快諾してくれて金貨5枚を渡してくれた。
そして彼は笑顔でこう語った。
「ナオフリート様、このような素晴らしい品物を出品して頂きましたゆえ、その金貨5枚は差し上げます。事情は言えませんが、今回の品物で当オークションの知名度と信頼は間違いなく上がります」
事情は言えない...。
ははあ、おそらく王族関係者が落札する出来レースか?
そんで王家の期待に応えて、オークション側もおいしいと。
まあそんなとこだろう。くれるって言ってるんだし、遠慮なくもらっておくか。
ついでにドラヒルに、船に詳しい人について聞いた。
俺が船の形状を説明すると、よくある規格らしく、ドラヒルから燃料の補給方法を教えてもらった。
実際は燃料を補充するのではなく、特殊な石がセットされていて、そこに魔力を注げば動力源として再度稼働するらしい。
なんだ、つまりバッテリーを充電するようなもんか。
魔力を注ぐという行為が、俺に可能かどうかわからなかったが、魔法をキャストできる者であれば誰でも可能らしい。
まあとりあえずやってみて、ダメだったらまたなんか考えるか。
どうしても船を動かさないといけない用事があるわけでもないしな。
船の情報も手に入れたし、現金も手に入ったし、買い物に行ってから宿でも探すか。
俺はいつものようにルーンの手を引いて、ティルに同行してもらい、オークション会場を後にした。
とりあえず三人で歩きつつ、ティルに話し掛けて案内を頼む。
「ティル、本屋に行きたいんだが知ってるか?」
「知ってるわ。ついて来て」
ティルはそう言って先頭を歩き、そこそこ大きな本屋に連れて行ってくれた。
本屋に入り、まずはルーンと一緒に魔法習得に関する本を探す。
...が、俺達二人とも魔法に関しては素人だった為、どれが初心者向けの本なのか判別できなかった。
ティルに聞いてみたが、わからないとのことで、大人しく店員に聞いてみた。
「すいません、魔法の習得に関する本が欲しいんですが。出来れば初心者向けのやつ」
「ああ、それならいいものがあるよ」
太った中年の店員が、棚まで案内してくれた。
ティルは少し離れた棚で、何やら武器に関する本を見ていた。
俺達はいくつかの本を手に取ってパラパラとめくる。
うーん、思ったより難しいな。
まあ覚えるのはルーンだから、ルーンがどう感じるかだな。
ルーンも同じようにいくつかの本をパラパラとめくって中身を見ている。
俺は棚の中から一冊の、青い背表紙の本を取って中身を見た。
背表紙は青色だが、表紙と裏表紙は藍色に近い色をしていた。
おっ、これはなかなか...わかりやすそうだ。
初歩的なことから書いてるっぽいし、これなら素人の俺でもそこそこ理解できそうだな。
そんなに厚くも無く、大きい本でも無かった為、ルーンに勧めることにした。
「ルーン、この青い本はどうだ」
ルーンに青い背表紙の本を手渡す。
受け取ったルーンはパラパラと中身を眺めている。
「うん、わかりやすそう!お兄ちゃんもそう思ったの?」
「ああ、魔法の才能が無い俺でもわかりそうだった。まあカネはあるから、好きな本を何冊でも買えるぞ。気に入ったやつは全部買おう」
「ダメだよお兄ちゃん。帰りもあるんだから、あんまり重くならないようにしないと」
「ああ、そうか。まあ多少重くなっても大丈夫だが」
「この1冊で充分だよ。元々お兄ちゃんの魔法を見て、私も使ってみたいって思っただけだもん...」
「わかった。帰りのことも考えてくれてありがとな。じゃあこの本を買うか」
「うん!」
いつのまにかティルが傍に来ていた。
俺達のやりとりを聞いていたのか、ティルが話し掛ける。
「決まった?」
「ああ決まったぞ。ティルもなんか買うのか?カネはあるからついでに買おうか?」
「大丈夫よ」
「わかった」
会計を済ませ、本を仕舞ってから三人で店を出た。
本の値段は銀貨20枚だった。
元々持っていた銀貨23枚から20枚消費して、やっと少なくなった...。
あとは銀貨3枚に、金貨5枚か。
これなら硬貨ジャラジャラのストレスはだいぶ減ったな。
俺は、次はどうしようかと、独り言を呟いていた。
「さてと...例の物は出品したし、船の情報は手に入ったし、本も手に入ったし、あとなんかやることあったかな...。硬貨を入れる袋はオークションの後でいいか」
それを傍で聞いていたティルが、提案してくれた。
「とりあえず宿でも決めたらどうかしら。オークションの開催は明日の夜だから、少なくとも明後日の朝までは、この街に留まることになりそうね」
「そういやそうだな...宿を決めるか。ティル、旅人向けの宿がある場所知ってるか?」
「こっちよ」
ティルが先導して歩き出す。
俺はルーンの手を引いて、ティルについていった。
ティルが進む方向から、どうやら宿はワイバーン発着場の南側辺りにあるっぽいな。
まてよ。宿代を払ったら、またジャラジャラと硬貨が増えるのか?
それならいっそ、三人メシ付きで金貨1枚のとこにするのがいいか。
なんなら金貨2枚の高級な宿でもいい...ん?
俺達は大通りを歩いていたが、ふと1軒の店が目に留まった。
ウィンドウに飾られたいくつかの物から、それは一目で花屋だと判断できた。
花屋を見つけた俺は、思わずティルとルーンに声を掛けていた。
「ティル、ルーン。ちょっと待って」
ティルは振り返って俺を見て、ルーンは後ろから俺に聞いた。
「どうしたの?お兄ちゃん」
俺は花屋を指差して答えた。
「あの花屋に寄っていいか?」
2~3歩程先にいたティルは、俺達の傍まで戻って来て言った。
「花屋ね。いいわよ」
「うん!行こう、お兄ちゃん」
ルーンは嬉しそうに笑顔で答える。
『開花』の能力に現れるルーンの白い花について、もしかしたら花屋にあるんじゃないかと思いついたが...。
思いのほか、ルーンはウィンドウに飾られた色とりどりの花を見て、テンションがあがっているようだな。
ティルも心なしか、若干笑顔になってるように見える。
これはあれかな、女の子は綺麗な花が好きってやつなのかな。
花なんか買ったことも無いし、ましてや女の子にプレゼントしたことも無かったが...て、前の世界の話はどうでもいいか。
俺達三人は、水色のガラスが正方形に、格子状にはめ込まれた綺麗なドアを開けて、店内に入った。
店内に入った後、キョロキョロと鉢植えを見て、ルーンの白い花を探そうとしたが、その必要は無くなった。
マジかよ...。
これは想定してなかったな。
俺は店内の床や棚に置かれた鉢を見ていたが、ふと壁にかけられた絵画を見つけていた。
いくつかの絵画には花の絵が描かれていたが、その中の1つに白い花が描かれている。
その花は、『開花』の能力を意識した時に浮かび上がる、木製の枠内の左上にあるルーンの白い花のように見えた。
どうやら店内にその花の現物は無いらしい、絵が存在してるだけだった。
俺の頭の中の花は、満開になっていない。
この絵画の花は、満開の状態で描かれている。
だからもしかしたら、違う物かもしれないが...。
そう考えながらも、俺には確信めいたものがあった。
あの絵の花こそ、ルーンの白い花だと。
簡単に言うと、次の通りである。
オークション開催は明日の夜であること。
最低落札価格は金貨3000枚であること。
落札された場合は、オークション側が落札者から代金を回収後、落札者にはキースライトの原石を渡し、出品者には落札額の1割を差し引いた金額を支払うとのこと。
その1割は出品依頼料、手数料であり、それ以外に出品者がオークション側に支払う費用は発生しないとのこと。
オークションの進行に関して、出品依頼後に俺達三人はオークション会場に不在でも大丈夫とのこと。
出品依頼から落札額の支払い、又は品物の返却までに、なんらかの事情で品物が亡失・滅失・破損・盗難 等により、オークション側が正常な状態の品物を管理出来なくなった場合は、補償金として金貨5000枚を出品者に支払うこと。
...ちょっと待てよ。
これ落札されずに品物が残ったら、また出品することになるのか?
俺は疑問に思ってグリスベルに聞いてみた。
「もし仮に、オークションで落札されずに残った場合はどうなるんですか?」
グリスベルは丁寧に回答する。
「落札者が存在しない場合は、私どもオークション側が買い取ることも出来ます。買い取りの場合、今回は最低落札価格の金貨3000枚、そこから1割を差し引いた金貨2700枚をお支払い致します。もちろん、ご希望であれば再出品することも可能です。再出品の費用などは特に必要ありません」
なるほどね。
というか金貨2700枚でも充分大金だから、再出品は無いな。さっさと売り払いたいし。
俺はグリスベルに出品を依頼した。
「ではグリスベルさん、出品を依頼させて頂きます。今お持ちのそのキースライトの原石をお預けしますので、出品をお願い致します。もし落札者がいない場合は買い取りをお願い致します」
グリスベルは左手で眼鏡をクイッとあげ、笑顔で答えた。
「ありがとうございます、ナオフリート様。では当オークションが責任を持って管理させて頂きます」
それを聞いたドラヒルが席を立ちあがり、大きな声で言った。
「ナオフリート様!ギルコード殿より依頼を受け、メイヴェリア王国、王都ギルド本部の副ギルド長であるこのドラヒルが、確かにオークションの出品依頼を今確認させて頂きました!」
若干大げさだと思ったが、副ギルド長が立会人として発言してくれたことが嬉しかった。
しかし...キースライトの原石をオークションに出品することは達成したが、落札されるまで手持ちのカネが無いな。
どうしよう。落札者がいなくても買い取るって言ってるし、前払いでちょっとだけカネをもらえるか交渉してみるか。
こっちが石を預ける立場なんだし、前払い金の持ち逃げなんか意味が無いから、承諾してもらえそうだが。
グリスベルに相談してみたら、あっさり快諾してくれて金貨5枚を渡してくれた。
そして彼は笑顔でこう語った。
「ナオフリート様、このような素晴らしい品物を出品して頂きましたゆえ、その金貨5枚は差し上げます。事情は言えませんが、今回の品物で当オークションの知名度と信頼は間違いなく上がります」
事情は言えない...。
ははあ、おそらく王族関係者が落札する出来レースか?
そんで王家の期待に応えて、オークション側もおいしいと。
まあそんなとこだろう。くれるって言ってるんだし、遠慮なくもらっておくか。
ついでにドラヒルに、船に詳しい人について聞いた。
俺が船の形状を説明すると、よくある規格らしく、ドラヒルから燃料の補給方法を教えてもらった。
実際は燃料を補充するのではなく、特殊な石がセットされていて、そこに魔力を注げば動力源として再度稼働するらしい。
なんだ、つまりバッテリーを充電するようなもんか。
魔力を注ぐという行為が、俺に可能かどうかわからなかったが、魔法をキャストできる者であれば誰でも可能らしい。
まあとりあえずやってみて、ダメだったらまたなんか考えるか。
どうしても船を動かさないといけない用事があるわけでもないしな。
船の情報も手に入れたし、現金も手に入ったし、買い物に行ってから宿でも探すか。
俺はいつものようにルーンの手を引いて、ティルに同行してもらい、オークション会場を後にした。
とりあえず三人で歩きつつ、ティルに話し掛けて案内を頼む。
「ティル、本屋に行きたいんだが知ってるか?」
「知ってるわ。ついて来て」
ティルはそう言って先頭を歩き、そこそこ大きな本屋に連れて行ってくれた。
本屋に入り、まずはルーンと一緒に魔法習得に関する本を探す。
...が、俺達二人とも魔法に関しては素人だった為、どれが初心者向けの本なのか判別できなかった。
ティルに聞いてみたが、わからないとのことで、大人しく店員に聞いてみた。
「すいません、魔法の習得に関する本が欲しいんですが。出来れば初心者向けのやつ」
「ああ、それならいいものがあるよ」
太った中年の店員が、棚まで案内してくれた。
ティルは少し離れた棚で、何やら武器に関する本を見ていた。
俺達はいくつかの本を手に取ってパラパラとめくる。
うーん、思ったより難しいな。
まあ覚えるのはルーンだから、ルーンがどう感じるかだな。
ルーンも同じようにいくつかの本をパラパラとめくって中身を見ている。
俺は棚の中から一冊の、青い背表紙の本を取って中身を見た。
背表紙は青色だが、表紙と裏表紙は藍色に近い色をしていた。
おっ、これはなかなか...わかりやすそうだ。
初歩的なことから書いてるっぽいし、これなら素人の俺でもそこそこ理解できそうだな。
そんなに厚くも無く、大きい本でも無かった為、ルーンに勧めることにした。
「ルーン、この青い本はどうだ」
ルーンに青い背表紙の本を手渡す。
受け取ったルーンはパラパラと中身を眺めている。
「うん、わかりやすそう!お兄ちゃんもそう思ったの?」
「ああ、魔法の才能が無い俺でもわかりそうだった。まあカネはあるから、好きな本を何冊でも買えるぞ。気に入ったやつは全部買おう」
「ダメだよお兄ちゃん。帰りもあるんだから、あんまり重くならないようにしないと」
「ああ、そうか。まあ多少重くなっても大丈夫だが」
「この1冊で充分だよ。元々お兄ちゃんの魔法を見て、私も使ってみたいって思っただけだもん...」
「わかった。帰りのことも考えてくれてありがとな。じゃあこの本を買うか」
「うん!」
いつのまにかティルが傍に来ていた。
俺達のやりとりを聞いていたのか、ティルが話し掛ける。
「決まった?」
「ああ決まったぞ。ティルもなんか買うのか?カネはあるからついでに買おうか?」
「大丈夫よ」
「わかった」
会計を済ませ、本を仕舞ってから三人で店を出た。
本の値段は銀貨20枚だった。
元々持っていた銀貨23枚から20枚消費して、やっと少なくなった...。
あとは銀貨3枚に、金貨5枚か。
これなら硬貨ジャラジャラのストレスはだいぶ減ったな。
俺は、次はどうしようかと、独り言を呟いていた。
「さてと...例の物は出品したし、船の情報は手に入ったし、本も手に入ったし、あとなんかやることあったかな...。硬貨を入れる袋はオークションの後でいいか」
それを傍で聞いていたティルが、提案してくれた。
「とりあえず宿でも決めたらどうかしら。オークションの開催は明日の夜だから、少なくとも明後日の朝までは、この街に留まることになりそうね」
「そういやそうだな...宿を決めるか。ティル、旅人向けの宿がある場所知ってるか?」
「こっちよ」
ティルが先導して歩き出す。
俺はルーンの手を引いて、ティルについていった。
ティルが進む方向から、どうやら宿はワイバーン発着場の南側辺りにあるっぽいな。
まてよ。宿代を払ったら、またジャラジャラと硬貨が増えるのか?
それならいっそ、三人メシ付きで金貨1枚のとこにするのがいいか。
なんなら金貨2枚の高級な宿でもいい...ん?
俺達は大通りを歩いていたが、ふと1軒の店が目に留まった。
ウィンドウに飾られたいくつかの物から、それは一目で花屋だと判断できた。
花屋を見つけた俺は、思わずティルとルーンに声を掛けていた。
「ティル、ルーン。ちょっと待って」
ティルは振り返って俺を見て、ルーンは後ろから俺に聞いた。
「どうしたの?お兄ちゃん」
俺は花屋を指差して答えた。
「あの花屋に寄っていいか?」
2~3歩程先にいたティルは、俺達の傍まで戻って来て言った。
「花屋ね。いいわよ」
「うん!行こう、お兄ちゃん」
ルーンは嬉しそうに笑顔で答える。
『開花』の能力に現れるルーンの白い花について、もしかしたら花屋にあるんじゃないかと思いついたが...。
思いのほか、ルーンはウィンドウに飾られた色とりどりの花を見て、テンションがあがっているようだな。
ティルも心なしか、若干笑顔になってるように見える。
これはあれかな、女の子は綺麗な花が好きってやつなのかな。
花なんか買ったことも無いし、ましてや女の子にプレゼントしたことも無かったが...て、前の世界の話はどうでもいいか。
俺達三人は、水色のガラスが正方形に、格子状にはめ込まれた綺麗なドアを開けて、店内に入った。
店内に入った後、キョロキョロと鉢植えを見て、ルーンの白い花を探そうとしたが、その必要は無くなった。
マジかよ...。
これは想定してなかったな。
俺は店内の床や棚に置かれた鉢を見ていたが、ふと壁にかけられた絵画を見つけていた。
いくつかの絵画には花の絵が描かれていたが、その中の1つに白い花が描かれている。
その花は、『開花』の能力を意識した時に浮かび上がる、木製の枠内の左上にあるルーンの白い花のように見えた。
どうやら店内にその花の現物は無いらしい、絵が存在してるだけだった。
俺の頭の中の花は、満開になっていない。
この絵画の花は、満開の状態で描かれている。
だからもしかしたら、違う物かもしれないが...。
そう考えながらも、俺には確信めいたものがあった。
あの絵の花こそ、ルーンの白い花だと。
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