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第一章 狼の少女
39.ある日の午後
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ルーンと一緒に洗濯物を取り込んだ午後、ルーンと一緒に大樹の木陰で休む。
俺はまた横になっていたが、ルーンは俺の傍で三角座りしている。
「平和だなぁ、ルーン」
「平和だねっ、お兄ちゃん」
俺は寝転んで、ぼーっと大樹の葉や青空を見上げていた。
このあと何しようかな...。
釣りか狩りか、畑を拡大して新しく何か植えるか。
いっそルーンを山羊に乗せて散歩でもするか。
空を見上げながら考えていた時に、ふと空を飛んでいる鳥が目に入る。
ん...まてよ。
そういえば鶏肉は食って無いな。
狩りをする時に、鳥は意識したことが無かった。
これは当然、空の得物に対して有効な攻撃手段が無かった為である。
そう考えたら焼き鳥が食いたくなってきた。
『狂戦士』の力を使えば、なんとかいけるか?
よし、今日の夕飯は焼き鳥にするか。
今やりたいことが見つかり、俺は嬉しそうにルーンに話し掛けていた。
「ルーン、やりたいことが見つかったぞ!」
「なあに?」
「鳥だ!」
「鳥...?鳥になるの?」
「いや、すまん。今日の夕飯は焼き鳥が食いたい」
「どうやって捕まえるの?」
「『狂戦士』の力を使う。高い枝を掴んで、俺自身が思い切り飛び上がるか、石を投げて撃ち落とす」
「...危ないから石にして」
「まあとりあえず石の方向でやってみるよ」
俺は立ち上がってルーンの手を引き、石を集めようと川に向かった。
すぐに裏手の川に辿り着き、辺りを見回す。
「ここなら石がいっぱいあるな。よし、ここから投げるか」
「祝福の力を使うの?」
「もちろん」
俺はそう言って、空を見上げる。
鳥は...いる。
しかし随分高いな、大丈夫かこれ。
まあとりあえずやってみるか。
いそいそと服を脱ぎだすと、ルーンが俯いて呟く。
「おにいちゃん...」
顔を赤くしているルーンを見て、ふと思った。
そういえば...いつも風呂場で俺の裸を見ているはずだが...。
まあ風呂場と外は違うか、人が来ないような森の奥深くであっても。
そんなことを考えながら、『狂戦士』の力を使い、獣じみた姿になる。
すぐに足元の石を掴み、力を入れて握りしめるが、力を入れ過ぎたのか石が割れてしまった。
「いかん、力いっぱい握ったらダメなのか」
「あんまり力を使いすぎないでね」
「ああ、ちょいちょい休憩を入れるよ」
ルーンにそう言って、また足元の石を拾う。
今度は力を入れ過ぎないように握り、空を見上げる。
一羽の鳥を捉え、進行方向上のポイントを予測する。
そのまま、勢いをつけて石をぶん投げた。
が、石は鳥に当たることなく、空に消えていく。
あれ、まあ一発で当たるとは思ってないけど。
石はいくらでもあるんだし、いつかは当たるだろう。
俺は何度も石を拾って投げまくった。しかし全て外れる。
12投目辺りでルーンが声を掛けてくれた。
「お兄ちゃんっ。熱中しすぎてるよ」
「あ、ああ...そうだったな。一旦休憩するか」
「うんっ!」
『狂戦士』の力を解除し、裸のまま川の傍に腰を下ろす。
ルーンはまだ恥ずかしそうに顔を赤く染めて、俯きがちになってる。
俺は気にせずルーンに声を掛けた。
「うーん、当たらないなぁ。ルーンにかっこいいところ見せたいのになぁ」
「お兄ちゃんが投げた石、すごい速さで飛んで行ったね」
「当たりさえすれば撃ち落とせるのになぁ」
どうも俺のコントロールについては、そんなに問題があるように見えなかった。
おそらく空気抵抗や風の影響など、さらに言えば鳥の動きを予測するのが難しく、なかなか当たっていないように思える。
空の鳥まで距離がかなりあるからなぁ...。
どうやれば撃ち落とせるか...。
と、ふとあることを思いついた。
「そうか」
「どうしたの?お兄ちゃん」
「ここから鳥までの距離が遠いから当たらないんだ。だったらもっと近くで投げれば当たるんじゃないか?」
「もっと近くって?」
「大樹だ」
「危なくないの?」
「大丈夫だって、樹から飛び上がるわけでも飛び降りるわけでもないんだから」
「でも勢いをつけて石を投げるんでしょ?」
「うーん、バランスがうまく取れればいいけど...。よし、じゃあルーンにも手伝ってもらおうかな」
「うん、何でも言って!」
「じゃあルーンも裸にならないとなー」
「お兄ちゃん...私も『狂戦士』の力を使うの?」
「ああ、ただし樹に登る時じゃない。登った後で俺を支える時だ。だが上で服を脱ぐのは危険だから、俺が変身して裸のルーンを背負って登るからな」
「はーい...」
ルーンはそう言って黙り込んでしまった。
裸になって、俺に背負われることを想像したのだろうか、熟れたトマトのように、いつも以上に真っ赤になってしまった。
しばらく休憩し、体力が回復したところで、服を布代わりにして石を詰めた。
そして風呂敷のように包み込み、腰に括り付ける。
ルーンは...と。服を脱いでるな。
裸になったルーンに声を掛ける。
「よし。ルーン、おいで」
裸のルーンに向かって、両手を突き出す。
「うん...」
ルーンは恥ずかしそうに返事をし、おずおずとこちらに歩いて来た。
俺が背を向けてしゃがみ込むと、背中に柔らかい肌の感触を感じた。
両手でルーンのおしりを持ち上げ、ルーンを背負った状態で『狂戦士』の力を使う。
両腕と両足が肥大化し、体毛が濃く生える。
「ルーン、左手でしか支えられないから、しっかりとしがみ付いてろよ!」
「うん!」
ルーンに告げて、勢いよく地面を蹴って飛び跳ね、近くの大樹の枝を右手で掴む。
右手に力を込め、俺とルーン二人分を持ち上げて、枝を蹴り上げる。
同じ要領で、大樹のてっぺん近くまで登り、太い枝の上でルーンに声を掛けた。
「ルーン、祝福の力を使え」
「わかった、お兄ちゃん」
背中から回されたルーンの腕が太くなり、力が入る。
獣のような姿になったルーンに、指示を出す。
「衝動は大丈夫か?一旦枝の上に立って」
「はーい」
ルーンが背中から降り、枝の上に立つ。
俺は幹を指差し、ルーンに次の指示を出す。
「ルーン、右手で力いっぱいこの幹を掴んで。それで左手は...俺の右足を掴んでてくれ。たぶん勢い余って落ちるかもしれん」
枝は幹から斜め上に伸びていた。なので幹よりにいるルーンは、俺より低い位置にいる。
「危ないよ、お兄ちゃん...」
「そのためにルーンがいるんだろ。あまり力いっぱい握るなよ」
「...うん、わかった。お兄ちゃんは絶対に落とさないから!」
「頼むぜ」
腰に結び付けた風呂敷代わりの服から石を取り出し、空を見上げて振りかぶる。
鳥は...おっ、いるじゃん。
さすが大樹の頂上付近だ。地面にいる時と比べたら、目と鼻の先に鳥がいる気分だな。
カラスより一回りでかい鳥を捉え、狙いをつける。
鳥は何も警戒しておらず、乱れることなく飛行していた。
俺は右手に力を込め、鳥目掛けて勢いよく石をぶん投げた。
石は...見事に鳥に命中し、まっすぐ地面に向かって落下した。
それと同時に、俺も勢い余って枝から落下しそうになっていた。
やっぱ枝の上で振りかぶって、勢いつけるとこうなるな。
落ち着きながらそう考えていたのは、当然ルーンが俺の右足首付近を掴んでいるおかげで、落下していないからだ。
勢いをつけて石を投げ、前側に倒れ込むような体勢だったが、ルーンが俺の右足を後ろにひっぱってくれていた。
「ルーン、ありがとな。今夜は焼き鳥だぞ」
「お兄ちゃん凄いね、あんなに大きな鳥を落としたんだもん!」
「よし、疲れてきたからすぐに降りよう」
「はーい。じゃあお兄ちゃんの背中に...わっ」
ルーンが言い終わる前に、俺は左手でルーンを抱きかかえ、午前中にガザンの実を採った時のように、大樹から落下していく。
結構疲れていたが、ルーンを抱えているという状況だった為、枝を掴む右手にかなりの力を込めていた。
無事地面に降り、ルーンを解放し、すぐに変身を解除する。崩れ落ちるように地面に寝転んだ。
ルーンも変身を解除して、休憩している。
「はぁ...はぁ...。あー...疲れた」
「お疲れ様、お兄ちゃん」
二人してしばらく休憩し、服を着てから鳥を回収する。
幸い獣などには持ち去られていなかった。
よかった...。次からは先に回収すべきだな。
俺はでかい鳥を持ち上げ、二人で家の裏手にある畑まで戻る。
「よし、解体するか」
「私も手伝うよ、お兄ちゃん」
「ああ、ありがとな。ルーン」
思いの他、ルーンは動物の内臓などについては抵抗が無かった。
無事に鳥の解体を終えて、木の枝を串にして焼き鳥を作る。
食えない部分はいつも通り、畑の肥料として使うか。
さて、タレなんか無いから塩だな。
塩を付けて、ルーンと二人でむしゃむしゃと食べた。
「うまいな、やっぱり焼き鳥はうまい」
「おいしいね!」
「いっぱい肉が取れたから、明日も食おう」
「うん!」
やっぱり苦労してでも、焼き鳥を作ろうと決めてよかったな。
美味しそうに食べるルーンの笑顔を見ると、やりがいがあるな。
でかい鳥で肉もいっぱいあるし、燻製にしておくか。
明日もまた腹いっぱい焼き鳥が食えるな。
その日は午前に大きなガザンの実が採れ、午後には初めての鳥狩りで、大きな鳥が取れた。
収穫があり、ルーンも俺も仲良く楽しんだ一日だった。
そんな感じで、ルーンと過ごす日々が続き、ルーンとこの家に戻ってから1年が過ぎた。
俺はまた横になっていたが、ルーンは俺の傍で三角座りしている。
「平和だなぁ、ルーン」
「平和だねっ、お兄ちゃん」
俺は寝転んで、ぼーっと大樹の葉や青空を見上げていた。
このあと何しようかな...。
釣りか狩りか、畑を拡大して新しく何か植えるか。
いっそルーンを山羊に乗せて散歩でもするか。
空を見上げながら考えていた時に、ふと空を飛んでいる鳥が目に入る。
ん...まてよ。
そういえば鶏肉は食って無いな。
狩りをする時に、鳥は意識したことが無かった。
これは当然、空の得物に対して有効な攻撃手段が無かった為である。
そう考えたら焼き鳥が食いたくなってきた。
『狂戦士』の力を使えば、なんとかいけるか?
よし、今日の夕飯は焼き鳥にするか。
今やりたいことが見つかり、俺は嬉しそうにルーンに話し掛けていた。
「ルーン、やりたいことが見つかったぞ!」
「なあに?」
「鳥だ!」
「鳥...?鳥になるの?」
「いや、すまん。今日の夕飯は焼き鳥が食いたい」
「どうやって捕まえるの?」
「『狂戦士』の力を使う。高い枝を掴んで、俺自身が思い切り飛び上がるか、石を投げて撃ち落とす」
「...危ないから石にして」
「まあとりあえず石の方向でやってみるよ」
俺は立ち上がってルーンの手を引き、石を集めようと川に向かった。
すぐに裏手の川に辿り着き、辺りを見回す。
「ここなら石がいっぱいあるな。よし、ここから投げるか」
「祝福の力を使うの?」
「もちろん」
俺はそう言って、空を見上げる。
鳥は...いる。
しかし随分高いな、大丈夫かこれ。
まあとりあえずやってみるか。
いそいそと服を脱ぎだすと、ルーンが俯いて呟く。
「おにいちゃん...」
顔を赤くしているルーンを見て、ふと思った。
そういえば...いつも風呂場で俺の裸を見ているはずだが...。
まあ風呂場と外は違うか、人が来ないような森の奥深くであっても。
そんなことを考えながら、『狂戦士』の力を使い、獣じみた姿になる。
すぐに足元の石を掴み、力を入れて握りしめるが、力を入れ過ぎたのか石が割れてしまった。
「いかん、力いっぱい握ったらダメなのか」
「あんまり力を使いすぎないでね」
「ああ、ちょいちょい休憩を入れるよ」
ルーンにそう言って、また足元の石を拾う。
今度は力を入れ過ぎないように握り、空を見上げる。
一羽の鳥を捉え、進行方向上のポイントを予測する。
そのまま、勢いをつけて石をぶん投げた。
が、石は鳥に当たることなく、空に消えていく。
あれ、まあ一発で当たるとは思ってないけど。
石はいくらでもあるんだし、いつかは当たるだろう。
俺は何度も石を拾って投げまくった。しかし全て外れる。
12投目辺りでルーンが声を掛けてくれた。
「お兄ちゃんっ。熱中しすぎてるよ」
「あ、ああ...そうだったな。一旦休憩するか」
「うんっ!」
『狂戦士』の力を解除し、裸のまま川の傍に腰を下ろす。
ルーンはまだ恥ずかしそうに顔を赤く染めて、俯きがちになってる。
俺は気にせずルーンに声を掛けた。
「うーん、当たらないなぁ。ルーンにかっこいいところ見せたいのになぁ」
「お兄ちゃんが投げた石、すごい速さで飛んで行ったね」
「当たりさえすれば撃ち落とせるのになぁ」
どうも俺のコントロールについては、そんなに問題があるように見えなかった。
おそらく空気抵抗や風の影響など、さらに言えば鳥の動きを予測するのが難しく、なかなか当たっていないように思える。
空の鳥まで距離がかなりあるからなぁ...。
どうやれば撃ち落とせるか...。
と、ふとあることを思いついた。
「そうか」
「どうしたの?お兄ちゃん」
「ここから鳥までの距離が遠いから当たらないんだ。だったらもっと近くで投げれば当たるんじゃないか?」
「もっと近くって?」
「大樹だ」
「危なくないの?」
「大丈夫だって、樹から飛び上がるわけでも飛び降りるわけでもないんだから」
「でも勢いをつけて石を投げるんでしょ?」
「うーん、バランスがうまく取れればいいけど...。よし、じゃあルーンにも手伝ってもらおうかな」
「うん、何でも言って!」
「じゃあルーンも裸にならないとなー」
「お兄ちゃん...私も『狂戦士』の力を使うの?」
「ああ、ただし樹に登る時じゃない。登った後で俺を支える時だ。だが上で服を脱ぐのは危険だから、俺が変身して裸のルーンを背負って登るからな」
「はーい...」
ルーンはそう言って黙り込んでしまった。
裸になって、俺に背負われることを想像したのだろうか、熟れたトマトのように、いつも以上に真っ赤になってしまった。
しばらく休憩し、体力が回復したところで、服を布代わりにして石を詰めた。
そして風呂敷のように包み込み、腰に括り付ける。
ルーンは...と。服を脱いでるな。
裸になったルーンに声を掛ける。
「よし。ルーン、おいで」
裸のルーンに向かって、両手を突き出す。
「うん...」
ルーンは恥ずかしそうに返事をし、おずおずとこちらに歩いて来た。
俺が背を向けてしゃがみ込むと、背中に柔らかい肌の感触を感じた。
両手でルーンのおしりを持ち上げ、ルーンを背負った状態で『狂戦士』の力を使う。
両腕と両足が肥大化し、体毛が濃く生える。
「ルーン、左手でしか支えられないから、しっかりとしがみ付いてろよ!」
「うん!」
ルーンに告げて、勢いよく地面を蹴って飛び跳ね、近くの大樹の枝を右手で掴む。
右手に力を込め、俺とルーン二人分を持ち上げて、枝を蹴り上げる。
同じ要領で、大樹のてっぺん近くまで登り、太い枝の上でルーンに声を掛けた。
「ルーン、祝福の力を使え」
「わかった、お兄ちゃん」
背中から回されたルーンの腕が太くなり、力が入る。
獣のような姿になったルーンに、指示を出す。
「衝動は大丈夫か?一旦枝の上に立って」
「はーい」
ルーンが背中から降り、枝の上に立つ。
俺は幹を指差し、ルーンに次の指示を出す。
「ルーン、右手で力いっぱいこの幹を掴んで。それで左手は...俺の右足を掴んでてくれ。たぶん勢い余って落ちるかもしれん」
枝は幹から斜め上に伸びていた。なので幹よりにいるルーンは、俺より低い位置にいる。
「危ないよ、お兄ちゃん...」
「そのためにルーンがいるんだろ。あまり力いっぱい握るなよ」
「...うん、わかった。お兄ちゃんは絶対に落とさないから!」
「頼むぜ」
腰に結び付けた風呂敷代わりの服から石を取り出し、空を見上げて振りかぶる。
鳥は...おっ、いるじゃん。
さすが大樹の頂上付近だ。地面にいる時と比べたら、目と鼻の先に鳥がいる気分だな。
カラスより一回りでかい鳥を捉え、狙いをつける。
鳥は何も警戒しておらず、乱れることなく飛行していた。
俺は右手に力を込め、鳥目掛けて勢いよく石をぶん投げた。
石は...見事に鳥に命中し、まっすぐ地面に向かって落下した。
それと同時に、俺も勢い余って枝から落下しそうになっていた。
やっぱ枝の上で振りかぶって、勢いつけるとこうなるな。
落ち着きながらそう考えていたのは、当然ルーンが俺の右足首付近を掴んでいるおかげで、落下していないからだ。
勢いをつけて石を投げ、前側に倒れ込むような体勢だったが、ルーンが俺の右足を後ろにひっぱってくれていた。
「ルーン、ありがとな。今夜は焼き鳥だぞ」
「お兄ちゃん凄いね、あんなに大きな鳥を落としたんだもん!」
「よし、疲れてきたからすぐに降りよう」
「はーい。じゃあお兄ちゃんの背中に...わっ」
ルーンが言い終わる前に、俺は左手でルーンを抱きかかえ、午前中にガザンの実を採った時のように、大樹から落下していく。
結構疲れていたが、ルーンを抱えているという状況だった為、枝を掴む右手にかなりの力を込めていた。
無事地面に降り、ルーンを解放し、すぐに変身を解除する。崩れ落ちるように地面に寝転んだ。
ルーンも変身を解除して、休憩している。
「はぁ...はぁ...。あー...疲れた」
「お疲れ様、お兄ちゃん」
二人してしばらく休憩し、服を着てから鳥を回収する。
幸い獣などには持ち去られていなかった。
よかった...。次からは先に回収すべきだな。
俺はでかい鳥を持ち上げ、二人で家の裏手にある畑まで戻る。
「よし、解体するか」
「私も手伝うよ、お兄ちゃん」
「ああ、ありがとな。ルーン」
思いの他、ルーンは動物の内臓などについては抵抗が無かった。
無事に鳥の解体を終えて、木の枝を串にして焼き鳥を作る。
食えない部分はいつも通り、畑の肥料として使うか。
さて、タレなんか無いから塩だな。
塩を付けて、ルーンと二人でむしゃむしゃと食べた。
「うまいな、やっぱり焼き鳥はうまい」
「おいしいね!」
「いっぱい肉が取れたから、明日も食おう」
「うん!」
やっぱり苦労してでも、焼き鳥を作ろうと決めてよかったな。
美味しそうに食べるルーンの笑顔を見ると、やりがいがあるな。
でかい鳥で肉もいっぱいあるし、燻製にしておくか。
明日もまた腹いっぱい焼き鳥が食えるな。
その日は午前に大きなガザンの実が採れ、午後には初めての鳥狩りで、大きな鳥が取れた。
収穫があり、ルーンも俺も仲良く楽しんだ一日だった。
そんな感じで、ルーンと過ごす日々が続き、ルーンとこの家に戻ってから1年が過ぎた。
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