あいばな開花 ~異世界で愛の花を咲かせます~

だいなも

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第一章 狼の少女

30.島から脱出

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 違和感があった。
 左半身に暖かくて、いい匂いがするものがへばりついている。

 なんだこれ?
 ...。
 あっルーンか。

 目を開けるとルーンがぎゅっと抱きついていた。
 すやすやと穏やかに寝息を立てている。

 可愛い寝顔だなぁ。

 俺はルーンを起こさないように、ゆっくりと慎重にルーンの腕から脱出し、テントの入り口を開ける。
 目の前には砂浜と海があり、外はまだ明るくなっていない。
 おおよそ2時か3時くらいだと思われた。

 そういや昨夜は風呂に入ってないな、とりあえず海で体を洗うか。
 テントの入り口は...少し開けておいたほうがいいな。
 これならルーンが目が覚めた時に、正面の海に俺がいるのがすぐわかるだろう。

 テントから出て、海に向かって砂浜を歩く。
 歩きながら服を脱ぎ、その辺に投げ捨てる。
 全裸になった俺は、ゆっくりと海に入った。

 おー、これは気持ちいい。
 海水の温度もちょうどいいな。

 そのままバシャバシャと、波打ち際ではしゃぐ。
 1人で海を堪能してると、砂浜を歩く足音が聞こえた。

「お兄ちゃん!」
「おはようルーン、まだ陽は昇ってないけどな」
「お兄ちゃん、裸...」
「ルーンも入れよ、体洗わないと気持ち悪いだろ?」
「うん...」

 顔を赤くしたルーンはおずおずと服を脱ぎ、俺が脱ぎ捨てた服と一緒に、畳んで砂浜に置いた。
 裸のルーンが海に入り、俺の傍に来る。

「お兄ちゃん...」

 ルーンがまた俺に抱きつく。

「石鹸は無いけど、まあ体は洗えるだろ」

 俺はわしわしと、ルーンの綺麗な銀色の髪をまさぐって洗う。
 髪が終わると体も洗ってやる。
 ルーンも同じように、俺の体に手をのばして、ごしごしと洗ってくれている。
 ルーンの手が俺の体をまさぐって、汚れを洗い落とす。

「ルーン、波打ち際だけど気をつけろよ。海は怖い。急に大きな波が来ることもあるからな」
「うん、お兄ちゃんの傍にいる!」
「ああ、一緒に遊ぼう」

 俺とルーンはお互いの体を洗い、そのまま二人で海水浴を楽しむ。
 しばらくすると空が明るくなり、陽が昇り出す。
 海面と空の境界線から、幻想的な景色が作り出され、二人で呆然とその光景を眺めていた。

「綺麗だな、ルーン」
「凄いね、お兄ちゃん...」

 1時間程海水浴を堪能し、二人で海から上がる。

 さて、まずは海水を落とさないとな。

「ルーン、水を取って来るから待ってて」
「はーい」

 昨日の内に運んだ物資の中から、水が入った樽を持ってルーンの傍に戻る。
 ルーンの頭から水をかけて、海水を洗い流す。

「ルーン、手で擦って海水を落として」

 ルーンは言われた通りに、ゴシゴシと髪と体を擦り、海水を落とす。
 続いて自分に水をかけようとしたら、ルーンが元気よく声を出した。

「お兄ちゃんにもやってあげる!」

 俺は頭から水をかぶり、ルーンにされるがままに、海水を落としてもらった。

 さて、風はそんなに無いし、気温も低くはないが...一応火を起こしておくか。
 一旦体を乾かしておいた方がいいだろうしな。

「ルーン。薪を集めて火を起こすから、ちょっとここで待ってて」
「お兄ちゃん、おトイレ行きたい...」
「あー...、ほらっ海でやれば大丈夫だから。俺はルーンから見えるとこで薪を拾ってるからな」
「うん...」

 ルーンはまた海に向かって歩く。
 俺も森に向かって歩くが、森には入らずに砂浜と森の境目ぐらいの場所で薪を拾う。

 さすがに付いて行かなくても大丈夫だろう、ここならルーンから見えるし。

 適当に薪と枯草を集め、また砂浜に戻る。
 ちらりと海を見ると、ルーンがしゃがんでこっちをじっと見ている。
 ルーンが浸かってる海水の位置から、かなり浅い場所なので近くにいなくても大丈夫だと判断し、砂浜の上に薪と枯草を置いて焚火の準備をする。

 よし、あとは火を点けるだけだな。
 才能が無い俺が唯一使える魔法だが、結構便利だな。
 俺は詠唱を始め、魔法をキャストする。

「彼の者の敵を焼き滅ぼさんが為、我が魔力を炎の神に捧げる...」

 ライター程度の火が生み出され、枯草を燃やしてく。
 すぐに細い枝を、燃えている枯草の上に置いて行く。
 そして徐々に太い枝を入れて行き、炎が大きくなっていった。

 よし、我ながら立派な焚火が出来た。
 年始に神社に行くとあるようなやつだな、結構大きい。

 焚火の出来に満足していると、ルーンが走ってやって来た。

「お兄ちゃん凄い!どうやって火を点けたの!!」
「ルーン、その前にちょっとこっちに来なさい」
「??」

 ルーンは首をかしげてる。
 俺はルーンの手を引いて、焚火から離れる。
 そして水を持って来て、またルーンに掛ける。特に下半身を中心に。

「ルーン、海水で洗っただろうけど、大事なとこだから、ちゃんと海水を洗い流さないと」
「あ...はい...」

 ルーンは顔を真っ赤にして、自分の股をごしごしと擦り、海水を洗い流している。
 充分に水をかけてやり、またルーンの手を引いて焚火まで戻る。

「ルーン、焚火にあたって体を乾かそう」
「うん...」

 焚火の傍に布を敷き、俺がその上に座ると、ルーンはまだ顔を真っ赤にしたまま、隣に座る。

「あったかいなー」
「うん、あったかいね」

 俺とルーンは焚火の傍でぼーっと座っている。
 二人とも体が乾いた頃に、テントから持ってきた新しい服に着替える。
 そしてまた布の上に座り、ぼーっと二人で焚火を見つめる。
 ルーンが俺に寄り添うように、体を傾けてる。

「お兄ちゃん、この焚火ってどうやって火を点けたの?」
「魔法だ。ライター程度の火力だけどな」
「ライ...ター?」

 あっ、しまった。
 いや、たぶんこの世界でもライターぐらいあるだろ。
 ルーンが見たこと無いだけかな。

「あー、まあ火を点ける道具をそう呼ぶんだ。以前じいちゃんに連れられて街に行ったときに見たんだけど」
「そうなんだぁ。それにしても、魔法を使えるなんてお兄ちゃん凄い...」
「たいしたことないぞ、俺は才能が無い方だったからな。それにしても、海で遊んだら腹減ったな」
「朝ごはん食べよっか、お兄ちゃん」
「そうだな、もう陽も昇ったしな」

 テントからバスケットを持って来て、焚火の傍で二人で朝食を取る。
 いつものごとく、果物をもしゃもしゃと食う。
 食べながら、ルーンと迎えについて話をした。

「お兄ちゃん、船が来るのはいつぐらいかな」
「そうだな...多分今日の夕方から夜にかけてだと思うが」
「そっかぁ...」

 心なしかルーンの顔が僅かに落胆しているようにも見える。

「ルーン、この島を出たら俺が暮らしていた家に行くぞ」
「あっ!そうだったね、お兄ちゃん!」
「ああ、とりあえずはそこで二人で暮らして、何をするかゆっくり考えよう」
「うん!早く船が来ないかな!」

 僅かに落胆していたように見えたルーンの顔は、晴れ渡った青空のように明るくなっていた。


 朝食を食べ終えた俺たちはテントに戻った。
 テント内の物を外に出し、テントを畳む。

 このテントは中央大陸に着いてから、バーンズフォレストの家までの道中で使えそうだな。
 着替えと、食料はまだ倉庫にいっぱいあったから、テントと毛布、医療品だけ持って洞穴に行くか。

「ルーン、この薬を持ってくれるか?」
「はーい」
「一旦倉庫に行こう」

 俺とルーンは海岸を後にし、森を抜けて、洞穴の中の倉庫に移動した。
 倉庫の中で、中央大陸に持って行くものを選別する。

「ルーン。向こうに3人待ってるから、食料と衣類、医療品を布にくるんで扉の外に出しておこう」
「わかった、お兄ちゃん」
「あとは...生活用品と、調理用ナイフとかマグカップとかも持って行くか。おっと、リュックもいくつか必要だな」

 旅に必要な物を選別し、次々と倉庫の外に出す。
 結構な量の物が、倉庫の扉の外に積まれた。
 やり直す前に使ったナイフも、そこに積まれている。

「船がどこに来るかわからんからな、とりあえず積む物はここに置いておこう」
「お兄ちゃん、武器も持って行くの?」
「ああ。ただ、戦闘や狩りになれば『狂戦士』の力を使うだろう。多分素手で...強化された爪を使うことになると思うが、一応武器も役に立つからな」
「どういう時に役に立つの?」
「まあ脅しの道具に使ったり...無駄な戦闘を回避出来るなら、そのほうがいいだろ?あとは狩りの後に獣を解体する時とか...」
「ふむふむ...」
「まあ『狂戦士』の祝福は出来るだけ隠した方がいいからな、もちろん『開花』の祝福も。祝福の力は切り札にして、普段は使わないようにするぞ、ルーン」
「わかった!お兄ちゃんを守る時に使うようにする!」
「俺も、ルーンを守る時は躊躇なく使うよ」
「えへへ...」

 船がどこに着くかわからなかったので、俺とルーンは洞穴の入り口で、座って待つことにした。

 ここならどっちから来ても必ず通るからな。

 ルーンと二人で雑談しながら待っていた。
 昼が過ぎ、倉庫から食料を持ち出して、洞穴の入り口で食べる。
 昼食後も、またルーンと他愛もない話をしながら待つ。
 夕日がほぼ沈んだ頃、森の奥から足音が聞こえた。
 足音が大きくなり、中年獣人が姿を現す。
 俺はすぐに立って声を掛けた。

「来てくれたんですね」
「もちろんじゃ。ここに来ないと物資が無いし、換金できる物も無いからな」
「はい、食料や衣類、医療品等は選別してます。倉庫の前に置いてますから、手分けして船まで運びましょう。その時に物資が充分か確認してください。不足しそうだったら、追加で倉庫から出して積んでください」
「よし!船はこの森を抜けた海岸じゃ、まっすぐ進めばわかる」
「では船に積みましょう」

 俺とルーン、中年獣人の3人で手分けして船まで物資を運んだ。
 3人いるおかげか、作業はすぐに終わった。

「さて、鉱石はどうします?私ではどれが高く売れる物かわかりませんが」
「そこは儂に任せてくれ」
「運ぶのにも人手が要りますよね?私たちも行きますよ」
「大丈夫じゃ、今の船の状態を考えたら過積載は避けたい。少量でも高価な鉱石がいくつかあるから問題無い。二人は船で待っててくれ」
「そうですか...わかりました」

 中年獣人は鉱石を回収しに洞穴に行った。
 俺とルーンの二人が、船の傍の砂浜に残される。

「高く売れる鉱石があるのか...」
「船が着いたら、皆と一緒に街まで行くの?」
「いや、道具や食料等は充分あるし、まずは森の中にある家まで行くつもりだけど...ルーンもそれでいい?」
「うん!お兄ちゃんと旅をするみたいで楽しそう!」
「そうだな...しばらくあの家で生活したら、ルーンと一緒に世界を旅して回るのもいいな」
「お兄ちゃんと一緒ならどこでもいいよ。だってお兄ちゃんと一緒なら怖く無いから!」
「ありがとな、ルーン」

 ルーンの頭を撫でる。
 俺はまた、ルーンと雑談をしながら待っていた。

 1時間程経過した頃か、リュックを背負った中年獣人が戻って来る。
 俺の姿に気づくと、声を掛けて来た。

「待たせたな、これを売りさばけば大金じゃ!」

 中年獣人は、背負っている膨れ上がったリュックを、親指で指差した。

「ありがとうございます。しかし、お疲れではないですか?少し休憩してから行きませんか?」
「なーに、大丈夫じゃ。睡眠ならこの島に来る前に取っている。この船は意外と速度が出るからな」
「そうですか、では出発しますか?」
「ああ、忘れ物は無いな?」

 俺はルーンを見る。
 ルーンは俺を見返して、無言で頷く。
 それを確認して、中年獣人に返事する。

「大丈夫です、では行きましょう」

 その声を聞いて、中年獣人は運転席に座った。
 俺とルーンは後部座席に座る。
 中年獣人が最後に振り返り、俺たちがいるのを確認すると、船がゆっくりと動き出した。

 やっとこの島から出れるな...。

 俺は奴隷を飼っていたこの忌々しい島が好きではなかった。
 最後にちらりを島を振り返った。
 そして、次にルーンを見る。
 ルーンは笑顔で俺を見つめていた。

 この先は自由だ、可愛いルーンと一緒に生活しよう。

 俺はまた、ルーンの頭を優しく撫でた。
 ルーンは嬉しそうに微笑んでいた。

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