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第一章
空から落ちた死神は少女と出会う。4
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目の前を歩く少女、亞名に聞きたいことは山ほどあった。多すぎて何から聞けばいいのかもわからなくなりそうだ。
そもそもオレの目的は確か、謎に増える予定にない死人の原因調査だっけ。オレは自分のことすらろくに状況がわかっていないのに、何をしてるんだ?
(あーもうわけわかんなくなってきたな……)
悶々と考え込みながら歩いたせいで急に止まった亞名にぶつかる。
「あ、わる──」
「ここ」
ぶつかった際に少し見上げられたくらいで、亞名は気にせず、目の前の部屋を指差し淡々と言った。
「ここ?」
「そう。使っていい」
「あー……」
なんとなくは理解した。が、亞名自身の口数が少なすぎるのと、オレ自身置かれた状況をあまり理解していないために思考が追いついていないのがわかる。
「それじゃあ」
一言残して、しろを抱えたまま去ろうとする亞名。
「いやいやいやまてまてまて」
「?」
振り返った亞名は首を傾げた。
「えっ、と、亞名にも聞きたいこと沢山あるんだけど……。そもそも会って間もない知らない男を家にあげてなにかあったらどうするんだ?」
「なにか?」
「泥棒とかだったらどうするんだ?」
「………………」
亞名は黙り込んで考えているようだった。
「……まあ、そのときはそのときで……」
「いやいやいや、なにかあったらその時に対処できないだろ……」
「かずと、泥棒なの?」
「え、いや違うけど……」
「じゃあ問題ない」
と言ってまた立ち去ろうとした亞名。
「いやいやいやまてまてまて」
「?」
また振り返った亞名は首を傾げた。
「どう考えても知らない人を家にあげようとかおかしいだろ」
「おかしい?」
「あぁ、普通に考えて──」
「じゃあ普通じゃなくてもいい」
「それなら……っていやいやいやダメでしょ」
「………………」
少しの間、次の亞名から聞こえた声は少し空気が変わって感じた。
「じゃあ、かずとはどうするの?」
「………………」
「………………」
沈黙。
オレは、どうすればいいのか?
なぜかその時、この子はそれを知っている気がした。
「オレは、」
続きは出てこない。
唾を飲み込む。
空気が張り詰めているのがわかる。
息を少し吸う。
「……君はなにを──」
ぐぎゅぅるるるる
「………………」
「………………」
「フニャァアー」
いつの間にかしろが亞名の元から下りて、鳴いた。
オレは自分の腹を咄嗟に抑えた。
「おなか、空いてるの?」
(どっちに言ったんだ……? しろか?オレか?)
「ちょっと待っててね」
亞名はタッと急ぐ素振りでその場をあとにする。
「はぁー…………」
オレはでかい溜め息をつき座り込む。しろが近くにすり寄ってきた。
「なにやってんだかなー……」
しろの頭を撫でながらオレは愚痴るように独り言を言った。しろは満足そうに頭を手のひらに擦りつけてくる。
「いやほんとにねー、なにやってんだか」
「!?」
オレは辺りを見渡した。
「気のせい……?」
「気のせいじゃないってば」
「え……?」
血の気が引くのがわかった。
「しろ……か? いやいやいや猫が喋るわけ……」
しろをジーッと見つめる。不思議そうな顔をしているが、ただの猫だ。
「半分正解、半分不正解」
「は? ってかその声は──」
オレは思い当たる人物を思い浮かべる。
「いつぶりだっけ?46号くん!」
「メル!!?」
「あはは、名前覚えていてくれて嬉しいな」
「え、いや、どうやって……?」
「まぁ詳細説明するのめんどくさいから、省くけど。この黒猫ちゃんを通して、君の脳内に直接話しかけてるわけ」
「いや、雑すぎてなにもわからん」
「まま、細かいことはいいでしょ。それより鍵、受け取ってくれた?」
「あ? あぁ、46って書かれたロッカーの」
(46ってどこかで聞いたかと思えば)
「そそ。そこに渡しそびれた資料とかもろもろあるから取ってきてね」
「それはわかったけど……」
「色々聞きたいのはわかるけど、あんまり時間ないんだー。これ(通信手段)有料だし」
「有料なのかよ!」
「にしても初日に潜入成功とはやるねー」
「潜入……ってやっぱりあの子がなんか関係あるのか?」
「え? わかってないでここに来たの?」
「なんか成り行きで」
「そっかー、ま、辿り着けたんだから問題ないでしょ!」
「そんなんでいいのか?」
「おっけーおっけー」
(雑だな……)
「あ、もう時間だから切るね! 明日また連絡するからっ」
「え、ちょっ、おい」
「………………」
静まり返る部屋の中、しろがゴロンと寝転がっているだけだった。
そもそもオレの目的は確か、謎に増える予定にない死人の原因調査だっけ。オレは自分のことすらろくに状況がわかっていないのに、何をしてるんだ?
(あーもうわけわかんなくなってきたな……)
悶々と考え込みながら歩いたせいで急に止まった亞名にぶつかる。
「あ、わる──」
「ここ」
ぶつかった際に少し見上げられたくらいで、亞名は気にせず、目の前の部屋を指差し淡々と言った。
「ここ?」
「そう。使っていい」
「あー……」
なんとなくは理解した。が、亞名自身の口数が少なすぎるのと、オレ自身置かれた状況をあまり理解していないために思考が追いついていないのがわかる。
「それじゃあ」
一言残して、しろを抱えたまま去ろうとする亞名。
「いやいやいやまてまてまて」
「?」
振り返った亞名は首を傾げた。
「えっ、と、亞名にも聞きたいこと沢山あるんだけど……。そもそも会って間もない知らない男を家にあげてなにかあったらどうするんだ?」
「なにか?」
「泥棒とかだったらどうするんだ?」
「………………」
亞名は黙り込んで考えているようだった。
「……まあ、そのときはそのときで……」
「いやいやいや、なにかあったらその時に対処できないだろ……」
「かずと、泥棒なの?」
「え、いや違うけど……」
「じゃあ問題ない」
と言ってまた立ち去ろうとした亞名。
「いやいやいやまてまてまて」
「?」
また振り返った亞名は首を傾げた。
「どう考えても知らない人を家にあげようとかおかしいだろ」
「おかしい?」
「あぁ、普通に考えて──」
「じゃあ普通じゃなくてもいい」
「それなら……っていやいやいやダメでしょ」
「………………」
少しの間、次の亞名から聞こえた声は少し空気が変わって感じた。
「じゃあ、かずとはどうするの?」
「………………」
「………………」
沈黙。
オレは、どうすればいいのか?
なぜかその時、この子はそれを知っている気がした。
「オレは、」
続きは出てこない。
唾を飲み込む。
空気が張り詰めているのがわかる。
息を少し吸う。
「……君はなにを──」
ぐぎゅぅるるるる
「………………」
「………………」
「フニャァアー」
いつの間にかしろが亞名の元から下りて、鳴いた。
オレは自分の腹を咄嗟に抑えた。
「おなか、空いてるの?」
(どっちに言ったんだ……? しろか?オレか?)
「ちょっと待っててね」
亞名はタッと急ぐ素振りでその場をあとにする。
「はぁー…………」
オレはでかい溜め息をつき座り込む。しろが近くにすり寄ってきた。
「なにやってんだかなー……」
しろの頭を撫でながらオレは愚痴るように独り言を言った。しろは満足そうに頭を手のひらに擦りつけてくる。
「いやほんとにねー、なにやってんだか」
「!?」
オレは辺りを見渡した。
「気のせい……?」
「気のせいじゃないってば」
「え……?」
血の気が引くのがわかった。
「しろ……か? いやいやいや猫が喋るわけ……」
しろをジーッと見つめる。不思議そうな顔をしているが、ただの猫だ。
「半分正解、半分不正解」
「は? ってかその声は──」
オレは思い当たる人物を思い浮かべる。
「いつぶりだっけ?46号くん!」
「メル!!?」
「あはは、名前覚えていてくれて嬉しいな」
「え、いや、どうやって……?」
「まぁ詳細説明するのめんどくさいから、省くけど。この黒猫ちゃんを通して、君の脳内に直接話しかけてるわけ」
「いや、雑すぎてなにもわからん」
「まま、細かいことはいいでしょ。それより鍵、受け取ってくれた?」
「あ? あぁ、46って書かれたロッカーの」
(46ってどこかで聞いたかと思えば)
「そそ。そこに渡しそびれた資料とかもろもろあるから取ってきてね」
「それはわかったけど……」
「色々聞きたいのはわかるけど、あんまり時間ないんだー。これ(通信手段)有料だし」
「有料なのかよ!」
「にしても初日に潜入成功とはやるねー」
「潜入……ってやっぱりあの子がなんか関係あるのか?」
「え? わかってないでここに来たの?」
「なんか成り行きで」
「そっかー、ま、辿り着けたんだから問題ないでしょ!」
「そんなんでいいのか?」
「おっけーおっけー」
(雑だな……)
「あ、もう時間だから切るね! 明日また連絡するからっ」
「え、ちょっ、おい」
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静まり返る部屋の中、しろがゴロンと寝転がっているだけだった。
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