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20 二人で過ごす甘い日々
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完成した領地の新しい家に移った。
両親が僕とダニエルさんのために建ててくれた新居だ。
寝室からは、領地のどこまでも続く丘が見える。
手前の庭にはたくさんの花が咲き乱れ、ベッドで寝ていても楽しむことができる。窓際には小鳥が遊びにこれるように、外側に棚がある。
花が好きな僕のために、両親やローサンが考えてくれたってわかる。
それから世話焼きになったダニエルさんに僕は可愛がられ、随分と長生きをした。
二人で領地の視察に行くと、熱烈に大勢の領民に歓迎された。小さい子どもからは花冠を頭につけてもらった。
手にも抱えきれないくらいの花や食べ物をもらう。
領地が良くなったのは、僕らのおかげだって感謝された。
ダニエルさんと僕の実家の力だとしても、僕と結婚したことがきっかけなら、ちょっとは僕も喜んでいいよね?
少しはぼくも生きていてよかったって思っていいよね?
まさかダニエルさんの領地をこんな風に、ダニエルさんと手を繋いで馬車でまわるなんて、あの時は思ってもいなかった。
馬車の中でダニエルさんの青い瞳と目があう。ダニエルさんは「なんだ?」って顔をしてくる。
僕はそれだけでも嬉しくてニコニコ笑ってしまう。
ダニエルさんと一緒に手を繋いで、領地に来れたことが嬉しいんです!
それを伝えると、ダニエルさんは、満更でもない顔をしているのに「大袈裟だな。これからいつでも来れるだろ」という。
「これから」、「いつでも」という言葉が嬉しい!
列車に乗って、一人で行こうと思っていた領地の端にある大きな滝にも二人で行った。
最終駅には観光客が大勢とはいかないが思っていたより来ていた。
朝が素晴らしいと地元の人に聞いて、日が昇る前に行けるところまで馬車で行って、そこからダニエルさんに抱えられて、随分長く歩き、やっと滝の近くに着いた。
暗いため全容はわからないが、滝の音が凄い。風の向きによっては、滝からくるのか細かい水しぶきが体にかかる。
ダニエルさんが毛布を肩にかけてくれる。温かいダニエルさんの膝の上に座って、前からは毛布を被れば完全防備だ。
ゆっくりと日が昇り、徐々に顔を上げると首が痛いくらい落差があり、首を大きく横に振ってもまだ横長に続く壮大な滝が見えてくる。
無数の水流が太い糸を垂らしたように巨岩から澄んだ滝つぼに落ちているかと思えば、カーテンのように靡いているところもある。
その全てが、朝の日の光に照らされて、どこまでもどこまでもキラキラと反射して水しぶきが光っている。
藍色の空と雲が、黄色、茜色、薄い桃色や濃い桃色に溶け合って、変わっていくさまが見えた。
「きれいだな」顔を上げるとダニエルさんが眩しそうに空を見ている。
「リルの髪の色だな」ダニエルさんが僕の頭にキスをする。
「こんなにきれいじゃありません」
「いいや。きれいだ」ダニエルさんが言い切る。
「じゃあ、あちらの空のまだ夜の濃いところはダニエルさんの髪の色ですね」
「じゃあおれはリル色に染められていくんだな」
「そうですね」
「悪くない」
ふふと僕たちは笑いあった。自然と抱きしめあう。
本当に、ここまで来れると思っていなかった。列車に乗って一人で来ようと思っていたのがどれほど無謀だったか来て見てわかった。
駅からも馬車でも距離があり、最後の滝つぼまでの道のりは絶対に一人では無理だっただろう。
滝に行きたいと言えば、ダニエルさんにもさすがに反対されるかと思ったけど、「どうやって行くか考えるか」と僕でも行けるルートと方法を考えてくれた。
本当にダニエルさんが好きだ。
両親が僕とダニエルさんのために建ててくれた新居だ。
寝室からは、領地のどこまでも続く丘が見える。
手前の庭にはたくさんの花が咲き乱れ、ベッドで寝ていても楽しむことができる。窓際には小鳥が遊びにこれるように、外側に棚がある。
花が好きな僕のために、両親やローサンが考えてくれたってわかる。
それから世話焼きになったダニエルさんに僕は可愛がられ、随分と長生きをした。
二人で領地の視察に行くと、熱烈に大勢の領民に歓迎された。小さい子どもからは花冠を頭につけてもらった。
手にも抱えきれないくらいの花や食べ物をもらう。
領地が良くなったのは、僕らのおかげだって感謝された。
ダニエルさんと僕の実家の力だとしても、僕と結婚したことがきっかけなら、ちょっとは僕も喜んでいいよね?
少しはぼくも生きていてよかったって思っていいよね?
まさかダニエルさんの領地をこんな風に、ダニエルさんと手を繋いで馬車でまわるなんて、あの時は思ってもいなかった。
馬車の中でダニエルさんの青い瞳と目があう。ダニエルさんは「なんだ?」って顔をしてくる。
僕はそれだけでも嬉しくてニコニコ笑ってしまう。
ダニエルさんと一緒に手を繋いで、領地に来れたことが嬉しいんです!
それを伝えると、ダニエルさんは、満更でもない顔をしているのに「大袈裟だな。これからいつでも来れるだろ」という。
「これから」、「いつでも」という言葉が嬉しい!
列車に乗って、一人で行こうと思っていた領地の端にある大きな滝にも二人で行った。
最終駅には観光客が大勢とはいかないが思っていたより来ていた。
朝が素晴らしいと地元の人に聞いて、日が昇る前に行けるところまで馬車で行って、そこからダニエルさんに抱えられて、随分長く歩き、やっと滝の近くに着いた。
暗いため全容はわからないが、滝の音が凄い。風の向きによっては、滝からくるのか細かい水しぶきが体にかかる。
ダニエルさんが毛布を肩にかけてくれる。温かいダニエルさんの膝の上に座って、前からは毛布を被れば完全防備だ。
ゆっくりと日が昇り、徐々に顔を上げると首が痛いくらい落差があり、首を大きく横に振ってもまだ横長に続く壮大な滝が見えてくる。
無数の水流が太い糸を垂らしたように巨岩から澄んだ滝つぼに落ちているかと思えば、カーテンのように靡いているところもある。
その全てが、朝の日の光に照らされて、どこまでもどこまでもキラキラと反射して水しぶきが光っている。
藍色の空と雲が、黄色、茜色、薄い桃色や濃い桃色に溶け合って、変わっていくさまが見えた。
「きれいだな」顔を上げるとダニエルさんが眩しそうに空を見ている。
「リルの髪の色だな」ダニエルさんが僕の頭にキスをする。
「こんなにきれいじゃありません」
「いいや。きれいだ」ダニエルさんが言い切る。
「じゃあ、あちらの空のまだ夜の濃いところはダニエルさんの髪の色ですね」
「じゃあおれはリル色に染められていくんだな」
「そうですね」
「悪くない」
ふふと僕たちは笑いあった。自然と抱きしめあう。
本当に、ここまで来れると思っていなかった。列車に乗って一人で来ようと思っていたのがどれほど無謀だったか来て見てわかった。
駅からも馬車でも距離があり、最後の滝つぼまでの道のりは絶対に一人では無理だっただろう。
滝に行きたいと言えば、ダニエルさんにもさすがに反対されるかと思ったけど、「どうやって行くか考えるか」と僕でも行けるルートと方法を考えてくれた。
本当にダニエルさんが好きだ。
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