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番外編

二人であまあま

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えっちのとき「ほらしてほしいこといって」と藤井君が何回も言ってきた。

 実は僕が苦しくて、藤井君の入ってるお腹の奥が痛いことに気付いて、言ってくれてるんだと思った。

 藤井君はやっぱり優しいなと「・・・やめて、ほしい」って思い切って言ったら、藤井君がものすごく怒って、もっと勢いよく攻めてきた。

 入ったことがないようなところまで、穿つから苦しくて生理的な涙が溢れてく。
 やめてって言うのは、少し休んでほしいってことだったんだけど、言葉って難しい。
 
 「どうして」って言ったら、「言って、て言ったけど、言うこと聞くなんて言ってない」と藤井君が言った。

 なんだか今日の藤井君は少し意地悪だ。「・・・ひどいっ」て僕が泣いたら、どうして泣くんだよと藤井君が泣きそうな顔になりながら、唇を額に当ててあやしてくる。

 半泣きになって泣いていたら藤井くんは「かわいいかわいい」と言って強く抱きしめてきた。

 そうじゃなくて僕の中に入れているものを一回抜いて欲しくて「お願い」と言ったが藤井くんが壊れたみたいに「かわいいかわいい」ばかり言って腰を動かしていた。
 
 藤井君と僕は身長でいえば20センチ近く差もある。体格もずっとサッカーや水泳をやっていたっていう藤井君と、文化部しかやってこなかった僕とは、大人と子ども、はっきりいって人種が違うんじゃないかっていうくらいの差なんだ。

 だから藤井君が、好きに動くと僕は苦しくて仕方がなくなる。いつも藤井君は優しいのに、どうしてって思う。

 思いつくことといえば、今日僕が松木君と体育でペアを組んだ時から機嫌が悪い。

 前は猫にもヤキモチ焼いた藤井君だから、その可能性もある。

 だけど松木君とは、藤井君の話しかしてないし、なぜか「がんばれよ」って最後励まされたんだ。

 もしかして松木君はこうなることがわかっていたのかな。
 

 僕は違う違うと思ったけど、何か言うたびに、藤井君がおかしくなるから、それ以上何も言えずに、ただ藤井君の動くままに、体を動かされていた。

 絶対何か違う。

 あの笑顔の優しい藤井君はどこに行ったんだ。これも僕がちゃんと話せないからだ、と僕は泣いた。

 藤井君、ごめん。僕がちゃんと話せないから、藤井君が勘違いしておかしくなっちゃったんだね。
 
 痛いのに、藤井君が僕の前を触るから、気持ちも良くなってくる。「あ、あ、あ」声が掠れてくる。
 こんな声、出したくないのに。恥ずかしいのに。気持ちよくて堪らなくなる。

「藤井君、藤井君」

 後ろから攻めたててた藤井君が急に前になるように体勢を変えてくる。

 深い深い気持ちのよいキスをされる。舌で僕の舌を絡めて吸い上げていく。一番奥に藤井君を感じて。

 「あ」

 その時の刺激で、僕はいってしまった。

 「んー」

 「ん、だめ、今、だめ、いってるいってるから」
 僕は藤井君から逃れようとするけど、力強い藤井君に腰を掴まれてのけぞるようになってしまう。
 「そう、奏」
 動き続ける藤井君の体から汗が飛び散る。僕とは違う筋肉のついた男らしい体。だけど綺麗でかっこよくて。
 
 「そう」
 奥まで突いて、射精した藤井君にぎゅうと抱きしめられる。苦しいけど、僕もぎゅうと抱きしめ返す。

 「藤井君」大好きだ。
 藤井君も愛しそうに僕の名前を言う。

 「好き」
 藤井君の目があまりにも愛おしそうに僕をみるから、僕もそれに答えようと、口から言葉がこぼれた。

 堪らなくなったようにチュッチュッと音を立てながら、僕の顔や、体にキスをしてくる藤井君。

 藤井君はやっと落ち着いて満足そうに微笑んだ。僕の首を抱え込んで、寝ようとしている藤井君に、辿々しく、僕の気持ちを伝えようと藤井君の名前を読んだ。
 
 僕は高校に入ってからあまりに友達がいなさすぎて、誰とも話さなかったからか、話し下手なんだ。

 話せば話すほど、これで理解してもらえるだろうかと、思ってしまい、より説明が下手になってしまうんだ。

 だけど藤井君と友達になって、藤井君がたくさん話をしてくれて、たくさん僕の話も、聞いてくれたから、ここまで話せるようになったんだ。

 そして藤井君と付き合うことになった時に、自分の気持ちを、ちゃんとこれからは伝えるようにしようと思ったんだ。でもまだ足りなかったのかな。

 藤井君は、キョトンとして、僕の話を聞いていた。

 「さっきのは、僕がちゃんと言えなかったのが悪いんだ」

 僕は「だから、ぼく、責任を取って」ちゃんと練習をして話せるようになるまで、もう藤井君とはしばらく会わないと言おうとしたんだけど。

 藤井君が「そうだ奏が悪い」
「責任をとってずっと、そばにいて、話せるように頑張れ」と言ってきた。

 僕こそキョトンとしてしまったけど、そうだ逃げるんじゃなくて、ちゃんと向き合わないといけない。

 藤井君本当に偉いなぁ。僕と違うなぁと思ったんだ。

 「わかった・・・もっと、ちゃんと、僕の気持ちを、伝えるように、するね。ずっとそばにいて」

 藤井君は満足そうに笑って、なおさら僕をぎゅっと抱きしめた。

 さっそくさっきのは、ちょっと休ませてて意味だったんだよ。決して嫌とかじゃなくて、僕も藤井君と抱き合うのは、・・好きだから、と誤解されたくなくて、恥ずかしいけど、一生懸命に言ったら、なぜか感動した藤井君にもう一度抱かれた。

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