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ティモシーの涙は甘いのか
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ティモシー ローラントはよく泣く。痛くても悲しくても嬉しくても泣く。なんで泣くのかわからない時も泣く。
ティモシーは伯爵家の嫡男で、蜂蜜色の髪に蜂蜜色のクリっとした目がリスみたいで優しい顔立ちの少年だ。
悲しいことや嬉しいことがあっても、そのリスみたいにクリッとした蜂蜜色の目から涙がポロポロ溢れるのだ。
アレクは侯爵家の次男で金髪で薄い青の瞳だ。母親譲りのひどく整った顔をしており、人形みたいに可愛いとよく言われていたが、自分ではそんなに好きな顔ではない。ティモシーみたいに優しい容姿が好ましい。
両親同士が仲が良いものだから、赤ん坊の頃からなにかと一緒によくいる。互いの部屋にもよく行き来している。むしろティモシーがどうしているか気になってアレクが頻回にティモシーの部屋に行ってしまう。
本人がいなくても屋敷の人はティモシーの部屋に入れてくれるし、ティモシーも気にしていないようだ。アレクにしたら今の関係は死守しないとなぜか思っていた。
いつでもティモシーの一番そばにいるのはアレクでいたいのだ。
最初ティモシーが泣いた時は、心底なんで泣いているのかわからなかった。
転けたくらいで泣くのはなさけない。
傷ついた小鳥を見つけた時も「かわいそう」と泣く。その小鳥が元気になって飛び立つときも「元気で」と泣く。もちろん看病している時も泣いていた。
アレクにとっては庭に傷付いた小鳥がいた。そのうちに死ぬかもしれない。自然の摂理だ。それ以上も以下もない。
だから、ティモシーが泣くのはわからなかった。
ティモシーが泣いていると、大人たちが騒いで、小鳥を医者にみせたり慌ただしい。みんながティモシーを慰めようとする。
わざと泣いているのか? と思ったこともある。ただ、小鳥を見て一喜一憂しているティモシーを見ていたらそうではないことがわかる。ティモシーが心から、小鳥を可哀想と思い慈しんでいることがわかった。
いつからかその純粋な涙を誰にも見せたくない。自分のために泣いてほしい。蜂蜜色の瞳から流れるそれは甘いのだろうかと思うようになった。
ティモシーは伯爵家の嫡男で、蜂蜜色の髪に蜂蜜色のクリっとした目がリスみたいで優しい顔立ちの少年だ。
悲しいことや嬉しいことがあっても、そのリスみたいにクリッとした蜂蜜色の目から涙がポロポロ溢れるのだ。
アレクは侯爵家の次男で金髪で薄い青の瞳だ。母親譲りのひどく整った顔をしており、人形みたいに可愛いとよく言われていたが、自分ではそんなに好きな顔ではない。ティモシーみたいに優しい容姿が好ましい。
両親同士が仲が良いものだから、赤ん坊の頃からなにかと一緒によくいる。互いの部屋にもよく行き来している。むしろティモシーがどうしているか気になってアレクが頻回にティモシーの部屋に行ってしまう。
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いつでもティモシーの一番そばにいるのはアレクでいたいのだ。
最初ティモシーが泣いた時は、心底なんで泣いているのかわからなかった。
転けたくらいで泣くのはなさけない。
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だから、ティモシーが泣くのはわからなかった。
ティモシーが泣いていると、大人たちが騒いで、小鳥を医者にみせたり慌ただしい。みんながティモシーを慰めようとする。
わざと泣いているのか? と思ったこともある。ただ、小鳥を見て一喜一憂しているティモシーを見ていたらそうではないことがわかる。ティモシーが心から、小鳥を可哀想と思い慈しんでいることがわかった。
いつからかその純粋な涙を誰にも見せたくない。自分のために泣いてほしい。蜂蜜色の瞳から流れるそれは甘いのだろうかと思うようになった。
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