元執着ヤンデレ夫だったので警戒しています。

くまだった

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現執着ヤンデレ先輩なのでじっとり可愛がります

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 「やっぱりおれなんですね」

 それから、リゲルが「これからは制服を着て寝るので、もう起こさなくていいです」と言うのを必死にとめた。
 せっかくの着替えを手伝う機会がなくなるのと、彼を起こすのは僕の特権だ。
 制服の生地が傷むと言ったり、生活習慣が・・や、同室者のチューターはそのためにいるから気にしなくていいなど、なんとか彼を丸めこんだ。

 実は初日から気になっていたが、彼は私が寝たのを確認してから、「大丈夫。大丈夫」や「先輩はいい人。執着違う。タイプ違う。だから大丈夫」と両手を合わせて祈っているようだ。もちろん僕は寝ているフリをしている。

 それを聞いて、はあっ?! となった。

 なんだその内容は。
 もしかしてリゲルはその男に執着されて、あんなことやこんなことをされたのか? リゲルの態度から僕はその男に似ているため、僕を拒否したのか?
 許せん!

 怒りと動揺で、今すぐ動きたかったが、余計リゲルを怯えさせるので耐える。なかなか眠れない様子のリゲルのためにじっと僕も動かない。
 一睡もせずに、起きてリゲルが寝ていることを確認してから、早朝から諜報員を呼び出した。
 すぐに、リゲルの過去の交友関係を更に詳細に調べさせる。親戚や親、先生、近所の人間、親の交友関係なども全てターゲットだ。

 我が家の優秀な諜報機関でも、リゲルに執着したり、なにかおかしな行動をした人間はわからなかった。健康的な環境ですくすく育ち、近所の子供や学校の友達といった限られた交友関係者しかない。
 特にこれといったことはわからなかった。

 周囲にはわからなくても、相手が思ってなくても、本人が嫌だ、怖いって思っていたかもしれない。
 ふだんは元気いっぱいで、粗忽で抜けたところもあるリゲルの繊細な心に触れて僕の心も痛い。

 話ぶりから今は会っていないようだ。
 僕の顔で嫌なことを思い出すなら、上書きするまでだ。
 
 優しくして、リゲルの心を癒そう。あんなに怯えるなんて何をしたんだ。そいつは。

 僕は念のため、リゲルに睡眠薬を飲ませて、目を覚さないようにしてから、リゲルの体を隅々まで確認した。筋肉がほとんど付いていない幼い体は、傷付けられた痕や、無理やり何かをされた痕もない。清い体だ。安心する。
 
 リゲルが狩りをしたことがない、とクラスメイトに話をしていたと報告を受ける。新入生の歓迎会は急遽チューターと二人でペアを組んで狩りをする、といった内容に変更した。リゲルとの初めての共同作業だ。

 リゲルは最初「なんで先輩と二人で狩り?」と内心思っていることが隠しきれていなかった。
 僕は微笑みながら、リゲルが安心して狩りができるように全て用意した。リゲルに似合う服とブーツや諸々を新調する。僕の選んだ服を着て、弓矢を持っているリゲルは幼児の持つ狩人のお人形のようで可愛いかった。

 当初に比べて、リゲルの態度も軟化して、あからさまに一緒にいたくないと言う態度や言葉はなくなってきた。

 
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