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突き抜けた腹黒第二皇子の執着がすぎる点について
8 兄がおれのものになった瞬間 ※
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ひどいことをしているのはおれだが、失いたくはないんだ。
薄くステファンが笑っている気がする。こんな時でさえ神に愛された容姿はあなたを可憐にみせる。
仕方がない弟だと思っているのかも知れない。そうなんです。あなたに惹かれたのも、あなたを手放したくないと思うのも、仕方がないんです。
おれも泣きながら兄上にすがる。兄上! 名前を言ってください。
「・・・レ・・オン・・ハル・・・ト」
あえかな。吐息のような声が聞こえた。その後兄上はまた吐血する。
おれは兄上の名前が聞こえた瞬間、口付けをする。二人の唇の間には血が流れている。
上も下も繋がりながら、魔法を展開する。
おれの生命力も魔力も全て兄上に流し込む。兄上の体の深部から魔法陣が展開して、兄上とおれを一つにする。白く輝く光は皇族の持つ神聖魔法だ。皇族なんて意味はなかったが、こうして兄上に出会えて、兄上をおれのものにできる力を持てたのだから、感謝しかない。
兄上の体をおれに塗り替える作業。
生命力も魔力も枯渇した兄上の体は容易くおれを受け入れる。髪や手足の指先までおれの生命力と魔力に馴染ませるようにゆっくりねっとりと交わる。
兄上を愛するだけで兄上の再生が始まっていく。
傷付いたところは念入りに治す。傷痕一つ、苦痛を与えないように。
おれと交わっている小さくて可愛らしい窄みもひどく中が傷付いており、全ておれの形を覚えるように再生していく。
第一皇子ステファンの美しい銀眼も、桃色の頬も、唇も、たおやかな肢体も、髪の毛から足の指先まで、全て第二皇子レオンハルトの物になった瞬間だった。
---------------------
先の騒動でステファンが大切に思っている人間は一人残らず死んだ。
無能な父王は塔に幽閉。そのうちに、やんごとなき事情で亡くなる予定だ。ステファンの妹にあたる皇女たちも、ステファンの情が湧く前に国外にやる。
おれの母は自ら隣国に行った。薄々おれがステファンに抱いている気持ちに気づいていたようだ。
今回の騒動でステファンの母まで殺したことにショックを受けているようだ。
ステファンが一番心を砕いていた正妃なんていらない。
もう一人の側妃も娘の皇女たちの輿入れが全員終わったころ辺境に帰った。勘の鋭い人だから生き延びた。
薄くステファンが笑っている気がする。こんな時でさえ神に愛された容姿はあなたを可憐にみせる。
仕方がない弟だと思っているのかも知れない。そうなんです。あなたに惹かれたのも、あなたを手放したくないと思うのも、仕方がないんです。
おれも泣きながら兄上にすがる。兄上! 名前を言ってください。
「・・・レ・・オン・・ハル・・・ト」
あえかな。吐息のような声が聞こえた。その後兄上はまた吐血する。
おれは兄上の名前が聞こえた瞬間、口付けをする。二人の唇の間には血が流れている。
上も下も繋がりながら、魔法を展開する。
おれの生命力も魔力も全て兄上に流し込む。兄上の体の深部から魔法陣が展開して、兄上とおれを一つにする。白く輝く光は皇族の持つ神聖魔法だ。皇族なんて意味はなかったが、こうして兄上に出会えて、兄上をおれのものにできる力を持てたのだから、感謝しかない。
兄上の体をおれに塗り替える作業。
生命力も魔力も枯渇した兄上の体は容易くおれを受け入れる。髪や手足の指先までおれの生命力と魔力に馴染ませるようにゆっくりねっとりと交わる。
兄上を愛するだけで兄上の再生が始まっていく。
傷付いたところは念入りに治す。傷痕一つ、苦痛を与えないように。
おれと交わっている小さくて可愛らしい窄みもひどく中が傷付いており、全ておれの形を覚えるように再生していく。
第一皇子ステファンの美しい銀眼も、桃色の頬も、唇も、たおやかな肢体も、髪の毛から足の指先まで、全て第二皇子レオンハルトの物になった瞬間だった。
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先の騒動でステファンが大切に思っている人間は一人残らず死んだ。
無能な父王は塔に幽閉。そのうちに、やんごとなき事情で亡くなる予定だ。ステファンの妹にあたる皇女たちも、ステファンの情が湧く前に国外にやる。
おれの母は自ら隣国に行った。薄々おれがステファンに抱いている気持ちに気づいていたようだ。
今回の騒動でステファンの母まで殺したことにショックを受けているようだ。
ステファンが一番心を砕いていた正妃なんていらない。
もう一人の側妃も娘の皇女たちの輿入れが全員終わったころ辺境に帰った。勘の鋭い人だから生き延びた。
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