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義弟王子が可愛いくて仕方がない、けなげな兄王子はとっくの前から絆されている

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 母が再婚で隣国のソレンティアに嫁ぐことが決まった時には、父と弟ができると聞いて、メルニアを去る悲しみより嬉しさの方が優っていた。

 メルニア国は僕の生まれた国だ。8歳まで住んでいた。物心ついた時には父はすでに亡くなっていて、両親が揃っている従兄弟のエラルドが羨ましかったからだ。

 ソレンティア国の王が新しい父だった。
 弟の名前はセレス。6歳だけど僕と同じ背の高さか、少し大きい? 金髪に真っ青な瞳で、整った容姿にすっと伸びた姿勢も含めて何かオーラみたいな物を感じて特別だってすぐわかった。

 王子だからかな。王弟を父に持っていた僕も殿下とは呼ばれていたけど、父がいなくなって僕の立場は中途半端だった。有力な後援者もおらず、王である叔父には王子がいるから、目立たず、かといってダメすぎず、そんな風に生きてきた僕は何もかも中途半端だ。

 勉強も運動も。ちなみに剣も槍も下手だ。

 だけどセレスは次期王様になると、みんなに大切にされ、尊敬されている。本人もそれ以上に努力して能力もある。

 そんなセレスが僕をジッと優しく見つめてくるから、なんだか恥ずかしくて母のスカートに隠れてしまった。

 そんな態度だったのに、セレスはさっと僕に手を差し伸べ「一緒に遊びましょう。兄様」と言ってくれた。


 僕の視界がパーっと開けて、セレスの麗しい整った顔が輝いて見えた。

 弟

 僕を「兄様」と言って頼ってくれるたった一人の弟を大切にしよう。幼いながらそう心に誓った矢先に、寝るためにもう別々の部屋に行くと知って、僕はひどく寂しくなって泣いてしまった。駄々をこねて一緒にいたいと言ってしまった。

 いつもはそんな我を通すことないのに。
 母様も「あらあら」といって笑っていた。







 セレスはとっくの前に僕より大きくなったけど、僕には甘えてくるから可愛くて仕方がない。

 セレスは僕にいつもニコニコして優しい。

 こんなに優しくて王さまになれるだろうか心配だ。
 だから僕がセレスが悪い人に騙されたりしないように手伝ってあげなきゃ。

 セレスにも王になった時に支えてほしいって言われているし。頼れるのは僕しかいないんだって。

 それに多少の優越感もある。
 こんなにも優秀でカッコいいセレスが、僕にしか本音を言えないし、僕にしか頼れない、僕の前でしか安心できないって言うんだ。

 きっと王太子にしかわからない苦悩があるんだ。
 僕は全力でセレスを支えたい。

 僕の従兄弟も王太子だったけど、よく揶揄われて意地悪だった。よく喧嘩したな。
 セレスとは全然違う。


 セレスにあれを手伝ってって言われた時はびっくりした。最初は何かよくわからなかった。

 いきなり触らされたり、セレスの綺麗だけど長くていきり勃っているものを口に入れられた時、切なそうに僕を見つめて、潤んだ目と上気した頬のセレスはびっくりするほど綺麗だった。

 セレスが感じている姿に胸がドキドキする。

 苦しかったし、吐きそうになったけどセレスが気持ちよくなってくれて良かった。

 こんなセレスの姿を見たら世の中の人はみんなセレスをもっと好きになってしまう。だからこの任務は僕がしなきゃ。

 だけどよくわからないんだ。どうやって何をすればセレスがもっと気持ちよくなるか。あれは閨に関することだと思う。
 だから閨の本がないか、書庫で探すがどこにもない。
 閨教育もないし、僕はどうしたらいいのかわからない。
 こんなこと誰にも聞けないし。





 「最近書庫によく行かれますが、お探しの本は見つからないのですか? 所望の本があればお探しするか、取り寄せしますよ」

 何回も書庫に行くのに、見つけれず疲れてしまった。そんな様子を見て、一緒についてきた護衛のアンフィスに言われる。アンフィスは最近入った護衛だけど、まだ若くてお兄さんみたいな親近感がある。少なくとも、母が嫁ぐ前から僕の護衛をしているロンフィルより若い。

 赤ちゃんの頃から僕を知っている昔からの護衛よりアンフィスの方が聞きやすいような。

 どうしよう。聞いてみようか。

 それにセレスにはきているアレは僕に来ないのは何でだろう。やっぱり僕の体が幼いからだろうか。

 どうしよう。教えてくれるだろうか。

 そんなことに興味があるって思われるだろうか。だけど誰にも聞けない!


 僕はすごく悩んだけど、寝室まで来てからセレスのためだと思って、アンフィスの服を摘んだ。

 身長の関係からどうしても上目遣いになってしまう。恥ずかしくて顔が真っ赤になる。声まで震えてしまう。

 なんて言えばいいんだ?!


 「あのね、あの・・・」
 挙動不審になってしまう。

 僕はろくにはっきり話せないのに、アンフィスはずっと僕の顔を見つめて、真剣に聞いてくれてる。

 きっとアンフィスなら僕が何も知らなくても馬鹿にしない。

 僕はつま先立ちになると、アンフィスの服を掴みながら、アンフィスの耳に顔寄せた。

 誰もいないからこさまでする必要はないけど、万が一も聞かれないように。

 だけど身長差と体格差があって全然届かない。察したアンフィスが僕が倒れないよう僕の腰に手を回して支えてくれながら、膝を折り耳を僕の顔に寄せてくれた。

 アンフィスは本当によく気がつく。アンフィスの耳も心なしか赤い。

 「アンフィス」ありがとうって言おうとしたら、寝室の扉が大きな音を立てて開いた。

 ハッと見るとセレスが公式の装いのままズカズカと入ってきた。今は謁見があったはずだけど?

 「離れろ! 何をしている! 王族に触れるとは不埒者め」
 セレスが怒鳴る。



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