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1-4 シロップ
第18話 青を求めて
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突然"ブルーハワイ"味のかき氷が食べたくなってしまった俺は、青色シロップを再現出来る素材を探すことにした。
食材と言えば露店だろうという事で、聞き込みをする為中央広場に来ている。
まずは顔見知りの、串焼き屋台の店主に話を聞いてみる。
「お? あんちゃん今日はちと早いんだな。待ってな、今用意するからよ」
「あ、いえ、エサの方はまた夕方買いに来ますので大丈夫です。少しお聞きしたいことがありまして」
「む、エサじゃねえのか。なんだい? 聞きたい事ってのは」
「青い色の食べ物を知りませんか?」
「青い色~? なんだってそんな妙ちくりんな物探してんだ」
「"かき氷"をご存じですか?」
「おう、俺も食べたぜ。酒場でご婦人が売ってるやつだろ? 甘いシロップがかかっててうめえんだよな」
「まさにそれの事です。青いシロップが作れないかと思いまして」
「あんちゃんもしっかりビンスの旦那の弟子だな。どうせご婦人にお節介焼いてんだろ。野良にエサやるぐらいだし当たり前か、ガハハ」
「それ程でも……はは。それで、青い色の食べ物に心当たりはありませんか?」
俺は師匠ほどお節介では無いと思うんだが……。
現に青いシロップの事は、俺の個人的欲求だしな。
「俺の取り扱いは肉専門でなぁ。他の食材に関しては門外漢よ」
「そうですか、ありがとうございました」
串焼き店主には覚えが無いらしいので、果物屋台の方に聞いてみることにする。
「こんにちは、少しお聞きしたいことがありまして」
「あ、エサやりのお兄さんだ。はい、何でしょうか」
実際に果物を購入した事は無いが、俺は彼女とここで毎日すれ違うので、お互いに顔を覚えていたようだ。
「青い色の食べ物をご存じないでしょうか?」
「青い色……すみません、知りませんね。私の知る限りでは、果物だけじゃなく、野菜でも見た事はないですねぇ」
「そうですか……ありがとうございます。あ、折角なのでベリを一盛り頂けますか?」
藁製の籠の上にベリが十個程盛られている。
「ありがとうございます、銅貨八枚になります。今後も贔屓にして欲しいし、アプル──リンゴに似た果物──も一つおまけしちゃいます!」
「おぉ、ありがとうございます」
俺が毎日中央広場を訪れることを知っていてのサービスだろう。
この店主中々商売上手だ、定期的に買わざるを得ない。
「ホーホホ(タベモノ)」
「え!? 欲しいの? 果物って食べて大丈夫だったかな……」
ミミズクが果物を食べるとはあまり聞いたことがない。
リーフルは元々野生なので色んな物を食べていただろうが……。
短剣でアプルを角砂糖程の大きさに切り分け、リーフルの口元に近づけてみる。
「んぐんぐ……ホッ」
用意したアプルを嘴で摘まみ、いつものように顔を少し上げ丸呑みした。
「食べるんだな……」
やはり地球のとは微妙に生態が違うのだろう、果物を欲しがるとは驚いた。
それでも肉食が基本なのは変わりないので、あげるのは時々にしておこう。
果物を摂取すれば栄養も多いだろうが、リーフルが体調を崩しては大変だ。
「お兄さんの鳥さん果物食べるんだ~。ならご入用の際は是非うちでね!」
全く抜け目ない。まぁ商売を継続するならそれぐらいの気概は必要なんだろうなぁ。
「ありがとうございました」
可能性が一番高そうなのは、元々カラフルな果物だろうと思っていたので、果物屋で空振りだったのは痛い。
野菜で考えても、青い色の野菜なんて聞いたこともないし、どうしたものか。
一応諦めず聞き込みは続けるが、望み薄な感じだろう。
◇
結局、方々露店や商店を訪ね歩いたがなんの成果も無く、いつものエサやりをやっている。
「にゃ~ん」 「ワフッ」 「フシャーッ!」
「おいおい、他人のを取るんじゃない、まったく……お前達も何か知らないか?」
野良達のいつもの様子を眺めながら、ついつい話しかけてしまった。
加護のおかげで気持ちはある程度伝わるが、不明瞭だし俺の言うことは伝わらないので、返事が返ってくる事は無いのだ。
今日はミドルラットの定期クエストでもいまいちな結果だったのもあり、徒労感に襲われる。
(明日ギルドに行った時にも一応聞いてみよう……)
もしかしたら国とも繋がりのあるギルドであれば、何か知っているかもしれない。
よく考えれば、情報の欠片すらない食べ物がもし存在しても、すごく高価な物である可能性が高い。
結局見つかったとしても、おいそれとかき氷のシロップには使えない代物な気がする。
"化学調味料"とはなんと偉大な物だったんだなと、しみじみ思う。
「ホ? (ワカラナイ)」
「そうだなぁリーフル。手がかり無しだよ。リーフルが果物を食べるのは新事実だったけどね」
「ホーホホ(タベモノ)」
「お前もお腹空いたか。今日は大人しく宿へ帰ろう……」
まだ探求する余地は残っていると思う。
森の中に未知の食べ物があるかも知れないし、街に来ていないか"マーウ"を探してみるのもいいかも知れない。
家路へと向かう足取りは重かった。
食材と言えば露店だろうという事で、聞き込みをする為中央広場に来ている。
まずは顔見知りの、串焼き屋台の店主に話を聞いてみる。
「お? あんちゃん今日はちと早いんだな。待ってな、今用意するからよ」
「あ、いえ、エサの方はまた夕方買いに来ますので大丈夫です。少しお聞きしたいことがありまして」
「む、エサじゃねえのか。なんだい? 聞きたい事ってのは」
「青い色の食べ物を知りませんか?」
「青い色~? なんだってそんな妙ちくりんな物探してんだ」
「"かき氷"をご存じですか?」
「おう、俺も食べたぜ。酒場でご婦人が売ってるやつだろ? 甘いシロップがかかっててうめえんだよな」
「まさにそれの事です。青いシロップが作れないかと思いまして」
「あんちゃんもしっかりビンスの旦那の弟子だな。どうせご婦人にお節介焼いてんだろ。野良にエサやるぐらいだし当たり前か、ガハハ」
「それ程でも……はは。それで、青い色の食べ物に心当たりはありませんか?」
俺は師匠ほどお節介では無いと思うんだが……。
現に青いシロップの事は、俺の個人的欲求だしな。
「俺の取り扱いは肉専門でなぁ。他の食材に関しては門外漢よ」
「そうですか、ありがとうございました」
串焼き店主には覚えが無いらしいので、果物屋台の方に聞いてみることにする。
「こんにちは、少しお聞きしたいことがありまして」
「あ、エサやりのお兄さんだ。はい、何でしょうか」
実際に果物を購入した事は無いが、俺は彼女とここで毎日すれ違うので、お互いに顔を覚えていたようだ。
「青い色の食べ物をご存じないでしょうか?」
「青い色……すみません、知りませんね。私の知る限りでは、果物だけじゃなく、野菜でも見た事はないですねぇ」
「そうですか……ありがとうございます。あ、折角なのでベリを一盛り頂けますか?」
藁製の籠の上にベリが十個程盛られている。
「ありがとうございます、銅貨八枚になります。今後も贔屓にして欲しいし、アプル──リンゴに似た果物──も一つおまけしちゃいます!」
「おぉ、ありがとうございます」
俺が毎日中央広場を訪れることを知っていてのサービスだろう。
この店主中々商売上手だ、定期的に買わざるを得ない。
「ホーホホ(タベモノ)」
「え!? 欲しいの? 果物って食べて大丈夫だったかな……」
ミミズクが果物を食べるとはあまり聞いたことがない。
リーフルは元々野生なので色んな物を食べていただろうが……。
短剣でアプルを角砂糖程の大きさに切り分け、リーフルの口元に近づけてみる。
「んぐんぐ……ホッ」
用意したアプルを嘴で摘まみ、いつものように顔を少し上げ丸呑みした。
「食べるんだな……」
やはり地球のとは微妙に生態が違うのだろう、果物を欲しがるとは驚いた。
それでも肉食が基本なのは変わりないので、あげるのは時々にしておこう。
果物を摂取すれば栄養も多いだろうが、リーフルが体調を崩しては大変だ。
「お兄さんの鳥さん果物食べるんだ~。ならご入用の際は是非うちでね!」
全く抜け目ない。まぁ商売を継続するならそれぐらいの気概は必要なんだろうなぁ。
「ありがとうございました」
可能性が一番高そうなのは、元々カラフルな果物だろうと思っていたので、果物屋で空振りだったのは痛い。
野菜で考えても、青い色の野菜なんて聞いたこともないし、どうしたものか。
一応諦めず聞き込みは続けるが、望み薄な感じだろう。
◇
結局、方々露店や商店を訪ね歩いたがなんの成果も無く、いつものエサやりをやっている。
「にゃ~ん」 「ワフッ」 「フシャーッ!」
「おいおい、他人のを取るんじゃない、まったく……お前達も何か知らないか?」
野良達のいつもの様子を眺めながら、ついつい話しかけてしまった。
加護のおかげで気持ちはある程度伝わるが、不明瞭だし俺の言うことは伝わらないので、返事が返ってくる事は無いのだ。
今日はミドルラットの定期クエストでもいまいちな結果だったのもあり、徒労感に襲われる。
(明日ギルドに行った時にも一応聞いてみよう……)
もしかしたら国とも繋がりのあるギルドであれば、何か知っているかもしれない。
よく考えれば、情報の欠片すらない食べ物がもし存在しても、すごく高価な物である可能性が高い。
結局見つかったとしても、おいそれとかき氷のシロップには使えない代物な気がする。
"化学調味料"とはなんと偉大な物だったんだなと、しみじみ思う。
「ホ? (ワカラナイ)」
「そうだなぁリーフル。手がかり無しだよ。リーフルが果物を食べるのは新事実だったけどね」
「ホーホホ(タベモノ)」
「お前もお腹空いたか。今日は大人しく宿へ帰ろう……」
まだ探求する余地は残っていると思う。
森の中に未知の食べ物があるかも知れないし、街に来ていないか"マーウ"を探してみるのもいいかも知れない。
家路へと向かう足取りは重かった。
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