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八雲君、それはなに?
しおりを挟む「え…?」
驚きに思わず声が漏れる。
私の声が聞こえてしまったのか、パチリと八雲君と目が合った。
「やぁ、みくるちゃん。
起きたのかい?」
八雲君は笑顔で椅子に座ったまま。
そう、八雲君はいつも通り。
でも。
『ややややばいよ!
みくるちゃんに縁結びの瞬間をみられちゃったよ!』
どう聞いても日本語を話しながら大きく取り乱してる茶一。
ていうか、縁結びの瞬間?
どういうこと?
「まったくもう、茶一ったら。
ポーカーフェイスしてたら誤魔化せたかもしれないのに」
私がかたまってると、八雲君がちょっと困ったようにくすくすと笑いながら茶一に向かってそう言った。
そして、
「みくるちゃん、ちょっと来てごらん」
って八雲君が手招きしてきて。
誘われるがまま八雲君のほうに足を運んで、
「みえるかな?
コップのなかの景色が」
って、八雲君に言われるがまま八雲君の後ろからコップのなかを覗いてみるとコップのなかの糸はだんだん縮んでいって最終的には跡形もなく消えてしまった。
「いま消えた糸は運命の赤い糸。
僕が選んだ男女を結びつける」
そう言う八雲君は笑ってるのに瞳は真剣で。
私が言うべき言葉をみつけられないでいると、八雲君の言葉は続いた。
「僕は縁結びの神様・縁道師の分身。
八雲って名前は明治時代に出会った人間につけてもらった名前なんだ」
八雲君が縁結びの神様の分身?
奇想天外すぎる。
「あはは…八雲君が縁結びの神様の分身?
信じられないよ」
心からの本心だ。
私が乾いた笑い声をあげると、八雲君は目を細めて
「君がどう思っても自由だよ。
ちなみに茶一は僕の使い魔だよ」
って捕捉した。
そうだった。
茶一も喋ったんだった。
茶一に視線を落とすと、
『ごめんね、びっくりしちゃった?』
って茶一がつぶらな瞳でくぅんと鳴いた。
私は無言で自分の部屋に戻った。
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