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執着(十二)
しおりを挟む僕はお結がよたよたと僕のほうへと走ってくるあいだにひょいっと鞠を拾いあげた。
お結の表情はかたかった。
僕がお結に鞠を渡してあげるとお結は柔和じゃなくむしろ敵対するような目つきでおまけに棘のある声で
「黒石様、貴方が父上をたぶらかしていたりはしませんこと?」
って言った。
僕はふふっと笑って
「いや?全てはお前の父が考えてのことだ」
って答えた。
僕の言葉にお結は目をつり上げると無言で鞠を放ってクロのほうへ蹴り上げようとしたんだけど。
「いったぁ~い!」
再び鞠を蹴りそこねて背中から落ちて悲鳴をあげるお結だった。
ちなみにお結が蹴りそこねた鞠はお結の従者のひとりの足元に転がって止まった。
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