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死者は眠りたい(十四)
しおりを挟む正直言うと満世子が目を覚ましたのは早かった。
目を覚ますのに要した時間は事件が収まってから三時間といったところだったか。
熱が出るなどの身体に異常もなかったことから、目を覚ました満世子はすぐに始光によって仏間に呼び出され正座をさせられた。
「満世子様、僕は言いましたよね」
腕を組み仁王立ちとなった始光の表情はかなり顰めっ面だった。
だが俺にはわかっていた。
腕を組んでいたのも、仁王立ちとなったのも、顰めっ面だったのも、始光の演技だったのだと。
何故なら始光から漂ってきていた匂いは怒りではなく慈しみだったから。
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