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愛情はお先に(二十二)
しおりを挟むドアを開いた気配か。
眠ってた兄貴の鋭い眼光が僕とひろみさんのほうに向いて
「なんだよ、リア充みせつけに来たのかよ」
なんて冷たく兄貴に言われて。
やっぱり兄貴になんか優しくしたくない。
でも決めたことがあるんだよな…。
なにも言えない僕をみかねたのか、ひろみさんがほがらかな苦笑を浮かべて
「違いますよ。
ただの書店員とお客様ですよ」
って否定した。
そのひろみさんの声がちょっと空元気な気がした。
気のせいかな。
空元気かどうかはともかく、ひろみさんと僕は書店員さんとお客。
その事実は変わらないから悲しい。
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