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求めるだけの優しさは(十六)
しおりを挟むひろみさんと一緒にいられて、ひろみさんと一緒にねねを愛でられて幸せなはずなのにどうしてだろう。
胸のなかがぽっかり開いたみたいだ。
例えばの話。
ここで冗談めかして
『ねねのこと直接前もって教えてくれればよかったじゃないですか』
って言えればいいのかな。
動画にあげる前に前もって。
でもそれは僕のわがままだ。
ひろみさんと僕は店員さんとお客。
距離感が違う。
僕を心配するように眉間にシワを寄せて
「どうしたの?」
っていうひろみさんの言葉に僕は
「なんでもないです」
って歪んだ笑みを浮かべた。
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