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ため息は重くても(六)
しおりを挟む「兄貴」
僕の声に兄貴達の笑い声が止まって。
兄貴が海を割ったというモーゼのように友人達のあいだから再び姿を現した。
僕は言う、ノロノロとスマホを差し出して。
「忘れ物」
ああ、無機質だ。
我ながら感情のこもってない声だなって思う。
歌う機械のほうがまだ心がこもってるかもしれない。
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