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不安がずしんと、待ち人がひょっこりと、(十二)
しおりを挟む『貴子から聞いたよ。
大雨で大変だったみたいだね』
どう答えよう。深呼吸、深呼吸。ええい、ままよ。
「もー全身ずぶ濡れでさー。私も幸太もぐっちょぐちょ。
…貴子姉はなんて?」
探るような私の言葉にお父さんは
『え?絋望が幸太をしっかりみてくれたおかげで助かったって。
もしかして幸太を外に出したこと気にしてるの?
なら大丈夫。事故にならなかっただけ上出来だよ。
それよりたまには実家に顔みせてくれないかな。
お母さんも待ってるから』
なんて一気に話してくれた。
私は
「…うん、そのうち」
って言葉を濁して。
そうやって適当なあいさつをして電話を切った。
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