チートがなくても最強です!?〜最弱勇者はハードモードの異世界を策略と悪知恵で必死こいて生きていく〜

ソリダス

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第二章 ドッデ村編

第七話 王都の外へ

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 ドッデ村に到着した俺は、村の様子を見て回ることにした。


 ちなみに村までの移動方法は、王都から出ていたバスがあったのでそれを利用した。どこまで乗っても10ゴールドという値段設定には驚かされたが、それ以外は普通のバスだった。


 村の様子を見ても、これといって特におかしな部分はない。強いて言えば、村と言う割には住宅がちょっとだけ多いぐらいか。


 ……………。



 …………ここ、本当に異世界なの?


 だって、そこらへんを普通にバスが走ってるし、家は日本にあるようなものとほとんど同じだし。

 ただ、バスは走っているのにそれ以外の車は見かけない事は、少し不自然に感じたけど。


 まぁ、考えるだけ無駄なんだろうな。


 とりあえず、ここからは気持ちを切り替えていこう。


 こういう場所だと村長とかに話を聞いた方がいいよな、と考えた俺は、しばらく人を探して歩き回る。

 そして探し始めて数十分が経過した頃、ようやく一人の男性を見つけることが出来た。早速、村長の事を尋ねる。


「すみません。ちょっとお尋ねしたいのですが、よろしいでしょうか」


「ええ、良いですよ。どうしました?」


「実は私、この村の村長さんにお会いしなければならない用事があって来たんですけれども、その…村長のお宅がどこかご存知ないですか?」


「村長……ですか?村長なら今頃、公民館で会議中だと思いますよ」


 公民館……。そろそろ本気でここが異世界なのか分からなくなってきたぞ。

 俺は話を続ける。


「あー・・・そうなんですか。ちなみになんですけれども、その公民館はどちらにあるのでしょうか」


「いや、今行くのはやめておいたほうがいいですよ。ご存知ないかもしれませんが、最近この村の周辺に凶悪なモンスターが出没するようになりまして、そのことで村中かなりピリピリしてるんです。……中でも村長は、特に殺気立ってて……」


「あ~、そうなんですか」


「『そうなんですか』って…。悪いことは言いません。この村は危険です。早く家に帰った方が良いですよ。ここのモンスターは……あの討伐隊ですら倒せなかったんです」


「あ~、知ってます知ってます。だからこの村に来たんですよ。討伐隊も倒せなかったモンスターを倒しにねっ!」


「……………は?」


 あんぐりと口を開け、理解できないという表情をする村人。


 と、ここで俺の中の本能が呼びかけてくる。今が『勇者』だと伝えるチャンスだと!

 さあ!言ってやろう!

 俺は前髪をサッと掻き上げ、ふっと微笑みこう言った。


「おっと!申し遅れました、実は俺、魔王から世界を救うために旅をしている勇者なんですよ!!」


 完璧なドヤ顔。決まった、という手応えを感じた。さぁ、反応は?


「……お前、頭おかしいのか?」


 おい、可哀想な奴を見る目で俺を見ないでくれ。泣きたくなるだろ。




 そんなこんなだが、とりあえず公民館までは連れて行ってもらえる事になった。


 モンスターとのバトルとか、いよいよ異世界っぽくなってきたんじゃないか!?

 そう考えてワクワクを抑え切れない俺は、思わずスキップになってしまう。すると、その度に前を歩いている村人が立ち止まり、可哀想な奴を見る目で俺を見てくる。


 ………あの、そろそろその目、本当にやめてもらっていいですか?泣きますよ?
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