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思いがけない味方2
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「おかしいな。ブライアン・カンテは財務署だろう? 証拠品の管理はまた別の部署がしているはずだ」
「証拠品を提出したのはブライアン・カンテなので、本人の許可がいるのだと思っていましたが、違うのですか?」
「証拠品は提出した時点で専門の部署が管理する。ブライアン・カンテの意思は関係ない」
「……それほどまでに、私が証拠を改ざんすると思われているのでしょうか……」
ショックを受けるアデルに、カミーユは優しい声をかけた。
「それは関係ないはずだよ、アデル嬢。こちらでも調べてみよう」
「……はい。お願いいたします」
「こちらで証拠品をいくつか借りるようにしておくから、帰りに受け取ってくれ。裁判の前に返してくれたらいい」
「私が預ってもよろしいのですか?」
「ああ。アデル嬢ならば、ぞんざいに扱うことはしないだろう?」
「ええ、もちろんですわ!」
アデルの胸に、カミーユが信じてくれた嬉しさが広がっていく。
それからしばらく談笑してから、カミーユは「よろしく頼む」と言って部屋を出ていった。しばらくしてからアデルも部屋を出て、すぐに王城を後にした。
家門がない馬車なので帰りに門で引き止められるかと思いきや、あっさりと出ることが出来た。カミーユが手をまわしておいてくれたようだ。
カミーユが預けてくれた証拠品は、裁判の証言と横領金の写し一覧や、テオバルト直筆の書類と改ざんされた書類が数枚ずつ。
「これで何かわかるかもしれない……!」
王城を出たその足で腕のいい鑑定士のところへ向かい、書類を預けた。クレール商会で働いている、信頼できる人間だ。
家に帰ったアデルは、まずアランとベルナールのところへ行き、無事に帰ってきたことを報告した。しばらく二人と話し、自室へ戻ると手紙が差し出された。
手紙を持っているサラの顔には隠しきれない不快感が出ている。
「どうしたの、サラ。そんな顔をするなんて珍しいわね」
「……騎士団からの手紙です」
「騎士団って、もしかして……!」
差出人を見ると、ジェラルド、マキシム、セルジュの連名だった。騎士団までアデルが話を聞きに行った3人は、しばらく来ないでくれと言っていたが、もう行ってもいいのだろうか。
手紙の封を切ると、中から白い便箋が出てきた。そっけない前文の後に、二日後の午後に来てくれと書いてある。
「……サラ、私、行くわ」
「止めても行くのでしょう? 私と護衛をお連れください」
「頼りにしているわ」
騎士団と聞くと、最初に思い浮かべるのはテオバルトではなく、ジェラルドたちの罵倒になってしまった。あの時のことを考えると、どうしても体がすくんでしまう。
けれど、行くのだ。テオバルトを救うために。
アデルの目にもう怯えはなく、まっすぐ前を見据えていた。
「証拠品を提出したのはブライアン・カンテなので、本人の許可がいるのだと思っていましたが、違うのですか?」
「証拠品は提出した時点で専門の部署が管理する。ブライアン・カンテの意思は関係ない」
「……それほどまでに、私が証拠を改ざんすると思われているのでしょうか……」
ショックを受けるアデルに、カミーユは優しい声をかけた。
「それは関係ないはずだよ、アデル嬢。こちらでも調べてみよう」
「……はい。お願いいたします」
「こちらで証拠品をいくつか借りるようにしておくから、帰りに受け取ってくれ。裁判の前に返してくれたらいい」
「私が預ってもよろしいのですか?」
「ああ。アデル嬢ならば、ぞんざいに扱うことはしないだろう?」
「ええ、もちろんですわ!」
アデルの胸に、カミーユが信じてくれた嬉しさが広がっていく。
それからしばらく談笑してから、カミーユは「よろしく頼む」と言って部屋を出ていった。しばらくしてからアデルも部屋を出て、すぐに王城を後にした。
家門がない馬車なので帰りに門で引き止められるかと思いきや、あっさりと出ることが出来た。カミーユが手をまわしておいてくれたようだ。
カミーユが預けてくれた証拠品は、裁判の証言と横領金の写し一覧や、テオバルト直筆の書類と改ざんされた書類が数枚ずつ。
「これで何かわかるかもしれない……!」
王城を出たその足で腕のいい鑑定士のところへ向かい、書類を預けた。クレール商会で働いている、信頼できる人間だ。
家に帰ったアデルは、まずアランとベルナールのところへ行き、無事に帰ってきたことを報告した。しばらく二人と話し、自室へ戻ると手紙が差し出された。
手紙を持っているサラの顔には隠しきれない不快感が出ている。
「どうしたの、サラ。そんな顔をするなんて珍しいわね」
「……騎士団からの手紙です」
「騎士団って、もしかして……!」
差出人を見ると、ジェラルド、マキシム、セルジュの連名だった。騎士団までアデルが話を聞きに行った3人は、しばらく来ないでくれと言っていたが、もう行ってもいいのだろうか。
手紙の封を切ると、中から白い便箋が出てきた。そっけない前文の後に、二日後の午後に来てくれと書いてある。
「……サラ、私、行くわ」
「止めても行くのでしょう? 私と護衛をお連れください」
「頼りにしているわ」
騎士団と聞くと、最初に思い浮かべるのはテオバルトではなく、ジェラルドたちの罵倒になってしまった。あの時のことを考えると、どうしても体がすくんでしまう。
けれど、行くのだ。テオバルトを救うために。
アデルの目にもう怯えはなく、まっすぐ前を見据えていた。
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