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2章
終わり良ければ総て良し
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少し離れた場所にある飲食スペースでベンチに腰を掛ける。思わずふーっと大きなため息を吐いた。なんだあのどんよりとした空気は。皆のイライラが伝わってきてこちらまで胃が痛くなる。宝石商に貰ったサンドイッチを食べ珈琲を飲むとお腹が満たされたせいか少し気持ちが落ち着いた。
(何度も手仕事祭に出てるけどこういうトラブルは初めてだな)
トラブルというよりもはや事件だ。リッカは遅い昼食を取ったあとに暗い気持ちを払いたくて他のブースを見に行ったりもしたが、どうしても明るい気持ちにはなれず結局すぐに自分のブースへと戻った。
「おかえりなさい。ちゃんとご飯食べましたか?」
ブースへ戻ると店番をしていた宝石商が心配そうな顔でリッカを出迎える。
「はい。すみません、ご飯まで用意して頂いて……」
「いえいえ。ゴタゴタしていると聞いていたので準備する時間が無いかなと思いまして」
「ありがとうございます。助かりました」
おそらく一人だったら食事どころでは無かっただろう。宝石商の気遣いにリッカは心から感謝した。
「お客さん来ましたか?」
「うーん、やっぱりもう帰り始めてるのか客足が引いてきていて。立ち寄って下さる方はポツポツいらっしゃるんですけど」
「ははは。そうですよね……」
逃した魚は大きい。結局その日は数個売れただけで終わった。周りのブースも同じように前日と比べて大分売れ行きが悪かったようで片付けをしながら文句を言う声があちこちから聞こえてきたのだった。
「はぁ……」
閉会間際に「封鎖されてたから来れなくて」と戻って来てくれた客が何人か居たのは嬉しかったが、前日と比べると天と地の差である。サイズ問題の壁があるせいか新作も思ったように売れず、苦い二日間になってしまった。
「まぁ、美味しいものでも食べて元気出しましょ」
片付けを手伝いながら宝石商が言う。
「美味しいもの?」
「はい。実はリッカさんが休憩に行っている間にお店を予約しておいたんです」
「え!」
思わぬ言葉にリッカの顔がぱあっと輝く。美味しいもの。なんて魅力的な言葉なのだ。
「乗り継ぎ駅にあるお店なので移動も楽ですよ。早く片付けて行きましょう」
「そうですね!お腹も空きましたし」
少しだけ身体が軽くなったような気がして残っている什器と机を畳んで台車に乗せる。空っぽになったブースを見て「ようやく一日が終わった」と何とも言えない疲労感を感じた。
乗り継ぎ駅にある個室居酒屋。店内は混雑していたが宝石商が予約していた為すんなりと席に着く事が出来た。
「荷物が大きいので個室の方が良いかなと思って。ここお鍋が美味しいんですよ~」
リッカの荷物が載った大きな台車を部屋の隅に搬入しながら宝石商が言う。
「気を使って頂いてすみません。ありがとうございます」
ヘトヘトのリッカにとっても他の客に気を遣わずに寛げる個室は有難かった。椅子に腰を掛けてメニューを見ると確かにメインは鍋もののようだ。様々な種類のスープと具材のセットが並んでいる。自宅で鍋をやる事が無いので本格的な鍋は久しぶりだ。
「リッカさんは好きな味とかありますか?」
「そうですねー……」
何種類もあると迷ってしまう。シンプルな水炊きも良いし、海鮮ちゃんこ鍋も美味しそう。もつ鍋もお酒に合いそうだし豆乳鍋もさっぱりしていて好きだ。お酒。そう、今はお酒が飲みたい。
「もつ鍋が食べたいのですが宜しいでしょうか」
「勿論!じゃあもつ鍋にしましょう。それといくつか単品で頼みましょうか」
「はい!あと、お酒も頼んで良いですか……」
「どうぞどうぞ」
とりあえずもつ鍋二人前と前菜盛り合わせ、炭酸割りの果実酒とビールを注文する。5分も経たないうちにお酒とお通し、前菜の盛合わせが運ばれて来た。
「では、お疲れ様ということで。乾杯!」
甘酸っぱい炭酸を胃の中に流し込む。お酒を飲んで気が緩んだのか「あー疲れた」と言う言葉が口から洩れた。
「今日は本当にお疲れ様でした」
「ありがとうございます。宝石商さんこそ手伝って頂いてありがとうございました。助かりました」
「いえいえ。リッカさん一人では大変でしたでしょうし、行って良かったと思っていますよ」
「ははは……。今日はちょっとしんどかったですね……」
肉体的な疲労よりも気疲れの割合が多い気がする。他の職人達も今頃お酒を飲みながら愚痴を言い合っているのだろうかとリッカはぼんやり考えた。
「皆さんかなり怒ってましたし、次回以降造形魔法に対する風当たりが強くなるのは避けられなさそうですよね。私は作品が無事だったからまだマシですけど」
「いくら造形魔法を広めたいからと言ってあの方法は頂けませんね。かえって心象を悪くしてしまいます。ここまで騒ぎになってしまっては『黒き城』やナギサさんのご両親もタダでは済まないでしょう」
「え?なんで『黒き城』の名前が出てくるんですか?」
「ナギサさんのご両親は造形魔法の先駆者と言っていい著名な技師さんなのですが、『黒き城』の社長はその直弟子なんです。手仕事祭に造形魔法が参入するきっかけになったのは『黒き城』の社長さんが働きかけたからと言われていますし、良く思わない人も多いでしょうね」
「へー、そうだったんですね」
造形魔法には詳しくないのでそんな事情があるとは思っていなかったリッカはアキとコハルの苦々しそうな顔を思い出す。きっとリッカが想像している以上に彼女たちにとっては頭が痛い問題なのだろうと思った。
「まぁ、そんな暗い話は止めましょう!リッカさん、次のイベントはもう決まっているんですか?」
リッカの暗い顔を見た宝石商は話題を切り替える。
「あ、はい。2週間後にあるナゴヤのイベントに申し込みをしているのでそれに出ようかと」
「年末に仰っていたイベントですね。2週間後とは早いですね」
「そうなんです。時間が無いので新作は作らずに複製型が出来ている物を補充して持って行こうかと。今回の新作も余っていますし……」
結局半分以上売れ残ってしまった指輪達の事を思い浮かべる。一点物のサイズの壁がこんなにも高いとは……
「あと、次のイベントはブースの面積がいつもより広いので什器を多めに持って行こうと思って」
ナゴヤのイベントは手仕事祭と比べて一人一人に与えられる区画面積が大きいので什器の使い方や置き方がより自由になる。お手製の什器を持参する職人が多いので個性的な店構えやディスプレイを眺めるのも楽しみの一つだ。リッカも少しだけ什器を増やそうと考えていた。
「荷物多いのでしたら一緒に持って行きましょうか?店番もしますよ」
「え?ナゴヤですよ?」
「転移港経由なら一瞬でしょう。港から会場までの移動もありますし、休憩取れるので人手は多い方が良いですよ」
大都市間は転移魔法の魔道具で繋がれており、「転移港」と呼ばれる駅を経由して各所へ一瞬で転移出来るようになっている。国内であれば何処へ移動しても一回銀貨5枚という破格の値段であるため遠方へも簡単に行き来が出来るのだ。
確かに今の荷物に加えてさらに什器を増やすとなるとなかなか厳しいものがある。会場までの転移便を頼んでも良いが休憩の面を考えると助けが欲しいのも事実だ。
「本当に良いんですか?」
「ええ。ナゴヤで美味しいもの食べたいですし」
「分かりました。では、お願いします」
ここは宝石商の言葉に甘えることにした。一人で店番をしているとトイレ休憩や食事休憩を取れないのが地味に辛いのだ。休憩時間に代わって貰えるだけでも有難い。
「お待たせしました」
そんな話をしていると注文していた鍋が来た。濃厚そうな塩スープにたっぷりと入っているキャベツ。その上にぷりぷりしたモツが沢山載っている。簡易魔導コンロの上に鍋を載せぐつぐつと煮ると、スープから漂う美味しそうな匂いが部屋に充満した。
十分火が通ったらスープと具材を取り分ける。大ぶりのモツを口に運ぶと噛む度にコリコリとした食感と芳醇な脂が口の中に溢れて幸せな気持ちになる。キャベツも甘くて美味しい。
こうして誰かと鍋を囲むなんていつぶりだろうか。一人暮らしをしているリッカにとっては思い出せない程昔の事だった。疲弊した心にこってりとしたスープが良く沁みる。
「美味しい……」
しみじみと独り言を言ってしまう程美味しい。もくもくと食べ続け、具材が無くなった頃に〆の雑炊を作る。ご飯を投入し、モツの脂が溶けだしたスープでぐつぐつと煮込んだ雑炊は格別だ。結構量があったような気がしたが宝石商と二人でぺろりと食べてしまった。
「デザートも頼みませんか?」
「良いですね」
最後にさっぱりとしたシャーベットを頼んで終了だ。店を出る頃には落ち込んでいた気分もすっかり晴れ、心なしか身体がポカポカとしているような気がした。
「美味しかった~。やっぱり美味しい物を食べると元気になりますね!」
晴れ晴れとした顔をしているリッカを見て宝石商は満足そうだ。
「良かったです。顔色も随分と良くなりましたね」
「え!そんなに酷い顔をしてました?」
「はい。心配になるくらいに」
「お恥ずかしい……」
きっと周りの職人達と同じようなどんよりとした顔をしていたのだろう。
「もう大丈夫です。明日からまた頑張ります!」
「あまり無理しすぎないで下さいよ」
路面電車に乗ってオカチマチへ戻る。夜遅い事もあって車内は空いており、大きな荷物を持っていても支障が無いのが幸いだった。次は二週間後。しばらくは在庫を回復と宣伝作業で忙しくなりそうだ。
(何度も手仕事祭に出てるけどこういうトラブルは初めてだな)
トラブルというよりもはや事件だ。リッカは遅い昼食を取ったあとに暗い気持ちを払いたくて他のブースを見に行ったりもしたが、どうしても明るい気持ちにはなれず結局すぐに自分のブースへと戻った。
「おかえりなさい。ちゃんとご飯食べましたか?」
ブースへ戻ると店番をしていた宝石商が心配そうな顔でリッカを出迎える。
「はい。すみません、ご飯まで用意して頂いて……」
「いえいえ。ゴタゴタしていると聞いていたので準備する時間が無いかなと思いまして」
「ありがとうございます。助かりました」
おそらく一人だったら食事どころでは無かっただろう。宝石商の気遣いにリッカは心から感謝した。
「お客さん来ましたか?」
「うーん、やっぱりもう帰り始めてるのか客足が引いてきていて。立ち寄って下さる方はポツポツいらっしゃるんですけど」
「ははは。そうですよね……」
逃した魚は大きい。結局その日は数個売れただけで終わった。周りのブースも同じように前日と比べて大分売れ行きが悪かったようで片付けをしながら文句を言う声があちこちから聞こえてきたのだった。
「はぁ……」
閉会間際に「封鎖されてたから来れなくて」と戻って来てくれた客が何人か居たのは嬉しかったが、前日と比べると天と地の差である。サイズ問題の壁があるせいか新作も思ったように売れず、苦い二日間になってしまった。
「まぁ、美味しいものでも食べて元気出しましょ」
片付けを手伝いながら宝石商が言う。
「美味しいもの?」
「はい。実はリッカさんが休憩に行っている間にお店を予約しておいたんです」
「え!」
思わぬ言葉にリッカの顔がぱあっと輝く。美味しいもの。なんて魅力的な言葉なのだ。
「乗り継ぎ駅にあるお店なので移動も楽ですよ。早く片付けて行きましょう」
「そうですね!お腹も空きましたし」
少しだけ身体が軽くなったような気がして残っている什器と机を畳んで台車に乗せる。空っぽになったブースを見て「ようやく一日が終わった」と何とも言えない疲労感を感じた。
乗り継ぎ駅にある個室居酒屋。店内は混雑していたが宝石商が予約していた為すんなりと席に着く事が出来た。
「荷物が大きいので個室の方が良いかなと思って。ここお鍋が美味しいんですよ~」
リッカの荷物が載った大きな台車を部屋の隅に搬入しながら宝石商が言う。
「気を使って頂いてすみません。ありがとうございます」
ヘトヘトのリッカにとっても他の客に気を遣わずに寛げる個室は有難かった。椅子に腰を掛けてメニューを見ると確かにメインは鍋もののようだ。様々な種類のスープと具材のセットが並んでいる。自宅で鍋をやる事が無いので本格的な鍋は久しぶりだ。
「リッカさんは好きな味とかありますか?」
「そうですねー……」
何種類もあると迷ってしまう。シンプルな水炊きも良いし、海鮮ちゃんこ鍋も美味しそう。もつ鍋もお酒に合いそうだし豆乳鍋もさっぱりしていて好きだ。お酒。そう、今はお酒が飲みたい。
「もつ鍋が食べたいのですが宜しいでしょうか」
「勿論!じゃあもつ鍋にしましょう。それといくつか単品で頼みましょうか」
「はい!あと、お酒も頼んで良いですか……」
「どうぞどうぞ」
とりあえずもつ鍋二人前と前菜盛り合わせ、炭酸割りの果実酒とビールを注文する。5分も経たないうちにお酒とお通し、前菜の盛合わせが運ばれて来た。
「では、お疲れ様ということで。乾杯!」
甘酸っぱい炭酸を胃の中に流し込む。お酒を飲んで気が緩んだのか「あー疲れた」と言う言葉が口から洩れた。
「今日は本当にお疲れ様でした」
「ありがとうございます。宝石商さんこそ手伝って頂いてありがとうございました。助かりました」
「いえいえ。リッカさん一人では大変でしたでしょうし、行って良かったと思っていますよ」
「ははは……。今日はちょっとしんどかったですね……」
肉体的な疲労よりも気疲れの割合が多い気がする。他の職人達も今頃お酒を飲みながら愚痴を言い合っているのだろうかとリッカはぼんやり考えた。
「皆さんかなり怒ってましたし、次回以降造形魔法に対する風当たりが強くなるのは避けられなさそうですよね。私は作品が無事だったからまだマシですけど」
「いくら造形魔法を広めたいからと言ってあの方法は頂けませんね。かえって心象を悪くしてしまいます。ここまで騒ぎになってしまっては『黒き城』やナギサさんのご両親もタダでは済まないでしょう」
「え?なんで『黒き城』の名前が出てくるんですか?」
「ナギサさんのご両親は造形魔法の先駆者と言っていい著名な技師さんなのですが、『黒き城』の社長はその直弟子なんです。手仕事祭に造形魔法が参入するきっかけになったのは『黒き城』の社長さんが働きかけたからと言われていますし、良く思わない人も多いでしょうね」
「へー、そうだったんですね」
造形魔法には詳しくないのでそんな事情があるとは思っていなかったリッカはアキとコハルの苦々しそうな顔を思い出す。きっとリッカが想像している以上に彼女たちにとっては頭が痛い問題なのだろうと思った。
「まぁ、そんな暗い話は止めましょう!リッカさん、次のイベントはもう決まっているんですか?」
リッカの暗い顔を見た宝石商は話題を切り替える。
「あ、はい。2週間後にあるナゴヤのイベントに申し込みをしているのでそれに出ようかと」
「年末に仰っていたイベントですね。2週間後とは早いですね」
「そうなんです。時間が無いので新作は作らずに複製型が出来ている物を補充して持って行こうかと。今回の新作も余っていますし……」
結局半分以上売れ残ってしまった指輪達の事を思い浮かべる。一点物のサイズの壁がこんなにも高いとは……
「あと、次のイベントはブースの面積がいつもより広いので什器を多めに持って行こうと思って」
ナゴヤのイベントは手仕事祭と比べて一人一人に与えられる区画面積が大きいので什器の使い方や置き方がより自由になる。お手製の什器を持参する職人が多いので個性的な店構えやディスプレイを眺めるのも楽しみの一つだ。リッカも少しだけ什器を増やそうと考えていた。
「荷物多いのでしたら一緒に持って行きましょうか?店番もしますよ」
「え?ナゴヤですよ?」
「転移港経由なら一瞬でしょう。港から会場までの移動もありますし、休憩取れるので人手は多い方が良いですよ」
大都市間は転移魔法の魔道具で繋がれており、「転移港」と呼ばれる駅を経由して各所へ一瞬で転移出来るようになっている。国内であれば何処へ移動しても一回銀貨5枚という破格の値段であるため遠方へも簡単に行き来が出来るのだ。
確かに今の荷物に加えてさらに什器を増やすとなるとなかなか厳しいものがある。会場までの転移便を頼んでも良いが休憩の面を考えると助けが欲しいのも事実だ。
「本当に良いんですか?」
「ええ。ナゴヤで美味しいもの食べたいですし」
「分かりました。では、お願いします」
ここは宝石商の言葉に甘えることにした。一人で店番をしているとトイレ休憩や食事休憩を取れないのが地味に辛いのだ。休憩時間に代わって貰えるだけでも有難い。
「お待たせしました」
そんな話をしていると注文していた鍋が来た。濃厚そうな塩スープにたっぷりと入っているキャベツ。その上にぷりぷりしたモツが沢山載っている。簡易魔導コンロの上に鍋を載せぐつぐつと煮ると、スープから漂う美味しそうな匂いが部屋に充満した。
十分火が通ったらスープと具材を取り分ける。大ぶりのモツを口に運ぶと噛む度にコリコリとした食感と芳醇な脂が口の中に溢れて幸せな気持ちになる。キャベツも甘くて美味しい。
こうして誰かと鍋を囲むなんていつぶりだろうか。一人暮らしをしているリッカにとっては思い出せない程昔の事だった。疲弊した心にこってりとしたスープが良く沁みる。
「美味しい……」
しみじみと独り言を言ってしまう程美味しい。もくもくと食べ続け、具材が無くなった頃に〆の雑炊を作る。ご飯を投入し、モツの脂が溶けだしたスープでぐつぐつと煮込んだ雑炊は格別だ。結構量があったような気がしたが宝石商と二人でぺろりと食べてしまった。
「デザートも頼みませんか?」
「良いですね」
最後にさっぱりとしたシャーベットを頼んで終了だ。店を出る頃には落ち込んでいた気分もすっかり晴れ、心なしか身体がポカポカとしているような気がした。
「美味しかった~。やっぱり美味しい物を食べると元気になりますね!」
晴れ晴れとした顔をしているリッカを見て宝石商は満足そうだ。
「良かったです。顔色も随分と良くなりましたね」
「え!そんなに酷い顔をしてました?」
「はい。心配になるくらいに」
「お恥ずかしい……」
きっと周りの職人達と同じようなどんよりとした顔をしていたのだろう。
「もう大丈夫です。明日からまた頑張ります!」
「あまり無理しすぎないで下さいよ」
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