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第六章 ケモナーと水のクランと風の宮
風の精霊の契約先
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「つぅわけで、風の精霊様と契約したいんだけど、やり方はどうすりゃいいんだ?」
「急に何をいいだすんですか」
ケルンの特訓を終えて暇しているナザドにいうと、じとっとした目でみられた。
気持ちのよい午前の風が冷えた気がするぜ。
今日は午前中に時間ができたから朝からケルンは特訓をしていた。今はミルデイに膝枕されて寝ている。夜泣したら寝不足になるからか、それとも特訓をしたあとエネルギー切れしたからかは判断しにくいが、大人しく寝ている。
寝るまで側にいたが、ミルデイが世話をしてくれているからか、安心した寝顔を浮かべている。
起こさないように離れて特訓の結果を手帳に書き込みも終えて暇しているからこそナザドに聞ける話だ。
「本とかで調べるよりナザドに聞いた方が早いかと思ってよ」
「もちろん知ってますけど、それより一ついいですか?」
「何だ?」
手帳を俺に見せながら聞かれた。
やべぇやつだが、ナザドは魔法の天才だ。あの手帳には効率的な魔力の伸ばし方や、魔法の使い方を書いてある。しかもケルン専用に組み立てている。
けれどあまり上手くいっていない。
「坊ちゃまの魔法が…行使されないのと契約することは関係あるんですか?」
「…変か?」
まだずっと先の魔法の詠唱を教えてくれたりもしたが、ケルンは水の中級以外は使えない。他の中級魔法は発動しないのだ。
水の精霊様から許可を貰ったときに攻撃には使えない魔法は俺も知識に追加されたんだが、攻撃魔法は詠唱が多い。ナザドの詠唱を聞いて俺が覚えたりしているが、おそらく杖が補助をしてくれ…こっちにむけて葉をぶんぶんするな。ミルデイに気づかれるだろうが!
あの杖のことは置いておこう。
他の中級魔法が使えない理由は、単純に魔法の属性の精霊様から許可がおりていないからだろうけど、ナザドには説明できない話だ。
もしも、棒神様の頼みごとを知られたら猛反対をくらうのはわかりきっているからな。
心配なのは、サイジャルでは他にも職員がいることだ。ケルンの特異性に気付かれてはいないが、気をつけねばならないだろう。なるべくしたくはないが、攻撃手段が水だけなのは心許ない。いくら魔力が多くても多種多様な魔法で攻撃されたら、身を守れない。
気付かれないうちにせめて風の精霊様から許可を取りたいが、ナザドの顔をみるかぎり難しいのかもしれない。
「旦那様ですら坊ちゃまが急に魔法を使えるようになった理由もわかってませんし…僕も似たようなものですから誰からも不審には思われないでしょう…けど風の精霊ですか…ここでは厳しいですね」
「厳しい?」
手帳をしまい、難しい顔のままナザドは声をひそめた。
「大きな声ではいえませんが、サイジャルは水の精霊が多い場所でそれを利用する陣もあります。ですが風の精霊は気ままというか…留まらない性質なんです。特定の場所以外ではよほど運がいいか相性がよくなければ契約はできません」
「特定の場所か…遠かったりするのか?」
新入生でも簡単に水の精霊様と契約できたのは、サイジャルという場所と細工のおかげってわけか。
サイジャルでできたら助かったんだが、遠い場所だとケルンには無理だ。
「近くでしたら…ポルティでしょうね」
「ポルティ?」
って思ってたらポルティかよ。屋敷から近いから、帰省のときに行けるな。
「あそこは風の精霊が降り立つ場所とされています。古代の王が人として初めて臣下として風の精霊を従えたという伝説もありますからね」
「だから風の精霊様を祀る大聖堂があんのか…」
他の建物が新しい中で大聖堂は立派だけど古いんだよな。外壁とかは塗り直しているが、内装が昔なデザインなのだ。本とかで流行りの模様をまとめたものを読んだことがあるが、かなり昔に流行ったデザインだった。
「坊ちゃまなら喜んで精霊が契約するでしょう。あそこなら相性がよければ中級精霊が来るかもしれません」
ナザドが嬉しそうで、少し寂しそうにして笑った。ケルンが魔法を使えて嬉しい反面で、心配なんだろう。
残念だが、ケルンが魔法を使えるからといってもナザドをいらないとはいわない。もしナザドが魔法を使えなくなっても同じだ。見捨てたりしないってのに。
「そうなったらしっかり教えてやってくれ。ナザドがケルンの先生なんだから」
「はい」
らしくないな。疲れでも出てきてるんだろうな。
咳払いをして、しんみりした空気をなくしてから、ナザドは自信ありげにいう。
「坊ちゃまが契約している水の精霊は初級ですが、中級に近い精霊でしたから期待していいですよ」
「そう…だな」
ケルンが呼び出した精霊様はルシーネさんではなかった。水色のカワウソで初級精霊様らしい。
触るとふわふわではなく、もにゅっとした弾力でスラ吉に近い感触だった。水風船に近いが、顔は傷だらけで歴戦の兵隊ですか?傭兵ですか?みたいな鋭い眼光をしていた。
『きゅー』
というかわいい声で鳴いていたがギャップがすごい。そこがまたいいんだが。
「ルシーネさんじゃないね?」
「だな…やわっこいな…」
ケルンと二人でもふったが、俺ぐらいのサイズだったからこれから暑くなると俺の抱き枕になってくれるように頼んだ。
断られた。
ケルンが翻訳してくれたが、初級精霊様からいわれたのだ。
『誰とも寝ない。俺の後ろに立つんじゃねぇ…今回は依頼されたから代理の代理できたまでだ』
とのことだ。つらい。
そばかす少女の精霊様は無理でもルシーネさんは出てくるかと思ったが、忙しいんだろうな。それとも人がいるところでは出ないのかもしれない。恥ずかしがりやな精霊様もいるかもしれないから、無理強いはしない。
あのとき、初級っていっても中級に近いってのはケルンが優秀だからとナザドが喜んで説明してくれたが、俺たちはカワウソをもふっていてほとんどきいてなかったのは、悪かったと今でも思う。
土産を買ってきてやるか。
「クラン戦が終わったら一度帰るから、そのとき行ってみるか」
「あ、僕も休みとりますね!兄さんは軍に連行されてますから!ね!」
「ん?いや、ティルカが護衛してくれるって母様から手紙もらってるし…お前居残り組って聞いたんだけど?」
「えっ?」
何をいい出すんだ?
母様からの手紙ではナザドはサイジャルの仕事をさせるから帰省しないとかいてあったんだけど。父様からもそうだって聞いてたし。
手伝いをしてくれたあの人は爆笑してたけど。
普段からは想像できないけど、かなりきれいな字を書くティルカからも護衛をするって手紙がきちんとした文章できてたから、てっきり話を聞いてるもんとばかり思ってたんだけど。
固まったままなのはいいけど、そろそろ帰ってこいよ?
ゴーンと鐘の音が聞こえた。時計をみればそろそろ約束の時間か。
「おっと、時間か。ケルン!教室に行くぞ!仕上げの手伝いをしないと!」
ケルンに声をかければ、ミルデイが起こしてくれる。ちょっとは寝たから元気になったろうか?
「坊ちゃま。お時間ですよ」
「んー…むー…おはよ…ミルデイ、ありがとう!」
「い、いえ…坊ちゃまのお疲れがとれたなら嬉しく思います」
「ミルデイはやわらかくて、いい匂いだから、僕好きだよ!」
近づけない雰囲気なんだけど。まだ年齢二桁もいっていないのに、あそこだけ少女漫画かな?描くべきか?描けねぇけど。
膝枕しているときのミルデイは確かに女の子みたいだった。
まだ体は男の子だけど、エセニアからも女の子扱いをほどほどにしてあげるようにっていう注意があったから、気にしているが…ケルンに任せた方がいいな。俺はそういう知識はない。ケルンの感性に任せる。
実際それで上手くいってるみたいで、こうして離れてみれば、ミルデイがどれほどケルンを好きかわかるほどだ。
懸念材料として、からだのことがある。まだ子供だからいいけど…思春期のときにミルデイが変わらなかったら俺たちが頑張るしかない。
ミルデイならケルンの世話もできるし、ケルンを守れるぐらいにはなってきてるから安心だ。
正直なところ、山のような婚約者候補の話を聞いては鼻で笑いたいところだ。
前ではフェスマルク家なのに魔法が使えないからと馬鹿にされていたのに、今では貴族や商人から娘や姪を婚約者にって話がでている。
全て断っているけどな。
思わず笑ったのは俺にまで来ていることだ。ケルンの少し上くらいの年齢から二十歳そこそこまで。
エセニアが処分してくれているらしいと、母様からの手紙で知ってるけど…財産目当てにしろ、俺にまで来るとは思わなかった。あと、エセニアの機嫌が悪くなるから婚約者候補はやめてほしい。
だいたい婚約者ってのは、イチャイチャしているか、口喧嘩するほど仲がいい関係の方がいいと思う。
ケルンの周囲をみれば特に。
たらしなのか。お兄ちゃんは心配です。
ミルデイのこともあるから、棒神様に相談したいんだけどなぁ。
杖のやつも葉だけじゃ会話にならないし、寝ているときもあるのか反応しないときもある。
わさわさ。ぶんぶん。
『エフデ!ほら自分の裸みたっす!責任とるっす!』
って伝わってきた気がするが、まともな会話にならん。また出てくるのを待つしかないか。
それまでに右ストレートを鍛えるかな。
今日の仕上げを終えてしまえばあとはクラン戦だけだ。五日間あるっていうクラン戦をしたら、その後四日ほど自由に外出していい許可を貰っている。
この体になってサイジャルから出るのは初めてだから楽しみではある。里帰り…っていうんだろうか?
「さっさと仕上げて帰る準備をしないとな…エセニアが来るんだし、どこを見るかの確認をしないと」
別にあいつが来るから考えているわけじゃない。色々みたり買ったりする効率を考えているだけだ。
いつの間にか復活しているやつからの視線を感じたのでにらんでやる。
だからナザドよ、にやつくな。殴るぞ。
「急に何をいいだすんですか」
ケルンの特訓を終えて暇しているナザドにいうと、じとっとした目でみられた。
気持ちのよい午前の風が冷えた気がするぜ。
今日は午前中に時間ができたから朝からケルンは特訓をしていた。今はミルデイに膝枕されて寝ている。夜泣したら寝不足になるからか、それとも特訓をしたあとエネルギー切れしたからかは判断しにくいが、大人しく寝ている。
寝るまで側にいたが、ミルデイが世話をしてくれているからか、安心した寝顔を浮かべている。
起こさないように離れて特訓の結果を手帳に書き込みも終えて暇しているからこそナザドに聞ける話だ。
「本とかで調べるよりナザドに聞いた方が早いかと思ってよ」
「もちろん知ってますけど、それより一ついいですか?」
「何だ?」
手帳を俺に見せながら聞かれた。
やべぇやつだが、ナザドは魔法の天才だ。あの手帳には効率的な魔力の伸ばし方や、魔法の使い方を書いてある。しかもケルン専用に組み立てている。
けれどあまり上手くいっていない。
「坊ちゃまの魔法が…行使されないのと契約することは関係あるんですか?」
「…変か?」
まだずっと先の魔法の詠唱を教えてくれたりもしたが、ケルンは水の中級以外は使えない。他の中級魔法は発動しないのだ。
水の精霊様から許可を貰ったときに攻撃には使えない魔法は俺も知識に追加されたんだが、攻撃魔法は詠唱が多い。ナザドの詠唱を聞いて俺が覚えたりしているが、おそらく杖が補助をしてくれ…こっちにむけて葉をぶんぶんするな。ミルデイに気づかれるだろうが!
あの杖のことは置いておこう。
他の中級魔法が使えない理由は、単純に魔法の属性の精霊様から許可がおりていないからだろうけど、ナザドには説明できない話だ。
もしも、棒神様の頼みごとを知られたら猛反対をくらうのはわかりきっているからな。
心配なのは、サイジャルでは他にも職員がいることだ。ケルンの特異性に気付かれてはいないが、気をつけねばならないだろう。なるべくしたくはないが、攻撃手段が水だけなのは心許ない。いくら魔力が多くても多種多様な魔法で攻撃されたら、身を守れない。
気付かれないうちにせめて風の精霊様から許可を取りたいが、ナザドの顔をみるかぎり難しいのかもしれない。
「旦那様ですら坊ちゃまが急に魔法を使えるようになった理由もわかってませんし…僕も似たようなものですから誰からも不審には思われないでしょう…けど風の精霊ですか…ここでは厳しいですね」
「厳しい?」
手帳をしまい、難しい顔のままナザドは声をひそめた。
「大きな声ではいえませんが、サイジャルは水の精霊が多い場所でそれを利用する陣もあります。ですが風の精霊は気ままというか…留まらない性質なんです。特定の場所以外ではよほど運がいいか相性がよくなければ契約はできません」
「特定の場所か…遠かったりするのか?」
新入生でも簡単に水の精霊様と契約できたのは、サイジャルという場所と細工のおかげってわけか。
サイジャルでできたら助かったんだが、遠い場所だとケルンには無理だ。
「近くでしたら…ポルティでしょうね」
「ポルティ?」
って思ってたらポルティかよ。屋敷から近いから、帰省のときに行けるな。
「あそこは風の精霊が降り立つ場所とされています。古代の王が人として初めて臣下として風の精霊を従えたという伝説もありますからね」
「だから風の精霊様を祀る大聖堂があんのか…」
他の建物が新しい中で大聖堂は立派だけど古いんだよな。外壁とかは塗り直しているが、内装が昔なデザインなのだ。本とかで流行りの模様をまとめたものを読んだことがあるが、かなり昔に流行ったデザインだった。
「坊ちゃまなら喜んで精霊が契約するでしょう。あそこなら相性がよければ中級精霊が来るかもしれません」
ナザドが嬉しそうで、少し寂しそうにして笑った。ケルンが魔法を使えて嬉しい反面で、心配なんだろう。
残念だが、ケルンが魔法を使えるからといってもナザドをいらないとはいわない。もしナザドが魔法を使えなくなっても同じだ。見捨てたりしないってのに。
「そうなったらしっかり教えてやってくれ。ナザドがケルンの先生なんだから」
「はい」
らしくないな。疲れでも出てきてるんだろうな。
咳払いをして、しんみりした空気をなくしてから、ナザドは自信ありげにいう。
「坊ちゃまが契約している水の精霊は初級ですが、中級に近い精霊でしたから期待していいですよ」
「そう…だな」
ケルンが呼び出した精霊様はルシーネさんではなかった。水色のカワウソで初級精霊様らしい。
触るとふわふわではなく、もにゅっとした弾力でスラ吉に近い感触だった。水風船に近いが、顔は傷だらけで歴戦の兵隊ですか?傭兵ですか?みたいな鋭い眼光をしていた。
『きゅー』
というかわいい声で鳴いていたがギャップがすごい。そこがまたいいんだが。
「ルシーネさんじゃないね?」
「だな…やわっこいな…」
ケルンと二人でもふったが、俺ぐらいのサイズだったからこれから暑くなると俺の抱き枕になってくれるように頼んだ。
断られた。
ケルンが翻訳してくれたが、初級精霊様からいわれたのだ。
『誰とも寝ない。俺の後ろに立つんじゃねぇ…今回は依頼されたから代理の代理できたまでだ』
とのことだ。つらい。
そばかす少女の精霊様は無理でもルシーネさんは出てくるかと思ったが、忙しいんだろうな。それとも人がいるところでは出ないのかもしれない。恥ずかしがりやな精霊様もいるかもしれないから、無理強いはしない。
あのとき、初級っていっても中級に近いってのはケルンが優秀だからとナザドが喜んで説明してくれたが、俺たちはカワウソをもふっていてほとんどきいてなかったのは、悪かったと今でも思う。
土産を買ってきてやるか。
「クラン戦が終わったら一度帰るから、そのとき行ってみるか」
「あ、僕も休みとりますね!兄さんは軍に連行されてますから!ね!」
「ん?いや、ティルカが護衛してくれるって母様から手紙もらってるし…お前居残り組って聞いたんだけど?」
「えっ?」
何をいい出すんだ?
母様からの手紙ではナザドはサイジャルの仕事をさせるから帰省しないとかいてあったんだけど。父様からもそうだって聞いてたし。
手伝いをしてくれたあの人は爆笑してたけど。
普段からは想像できないけど、かなりきれいな字を書くティルカからも護衛をするって手紙がきちんとした文章できてたから、てっきり話を聞いてるもんとばかり思ってたんだけど。
固まったままなのはいいけど、そろそろ帰ってこいよ?
ゴーンと鐘の音が聞こえた。時計をみればそろそろ約束の時間か。
「おっと、時間か。ケルン!教室に行くぞ!仕上げの手伝いをしないと!」
ケルンに声をかければ、ミルデイが起こしてくれる。ちょっとは寝たから元気になったろうか?
「坊ちゃま。お時間ですよ」
「んー…むー…おはよ…ミルデイ、ありがとう!」
「い、いえ…坊ちゃまのお疲れがとれたなら嬉しく思います」
「ミルデイはやわらかくて、いい匂いだから、僕好きだよ!」
近づけない雰囲気なんだけど。まだ年齢二桁もいっていないのに、あそこだけ少女漫画かな?描くべきか?描けねぇけど。
膝枕しているときのミルデイは確かに女の子みたいだった。
まだ体は男の子だけど、エセニアからも女の子扱いをほどほどにしてあげるようにっていう注意があったから、気にしているが…ケルンに任せた方がいいな。俺はそういう知識はない。ケルンの感性に任せる。
実際それで上手くいってるみたいで、こうして離れてみれば、ミルデイがどれほどケルンを好きかわかるほどだ。
懸念材料として、からだのことがある。まだ子供だからいいけど…思春期のときにミルデイが変わらなかったら俺たちが頑張るしかない。
ミルデイならケルンの世話もできるし、ケルンを守れるぐらいにはなってきてるから安心だ。
正直なところ、山のような婚約者候補の話を聞いては鼻で笑いたいところだ。
前ではフェスマルク家なのに魔法が使えないからと馬鹿にされていたのに、今では貴族や商人から娘や姪を婚約者にって話がでている。
全て断っているけどな。
思わず笑ったのは俺にまで来ていることだ。ケルンの少し上くらいの年齢から二十歳そこそこまで。
エセニアが処分してくれているらしいと、母様からの手紙で知ってるけど…財産目当てにしろ、俺にまで来るとは思わなかった。あと、エセニアの機嫌が悪くなるから婚約者候補はやめてほしい。
だいたい婚約者ってのは、イチャイチャしているか、口喧嘩するほど仲がいい関係の方がいいと思う。
ケルンの周囲をみれば特に。
たらしなのか。お兄ちゃんは心配です。
ミルデイのこともあるから、棒神様に相談したいんだけどなぁ。
杖のやつも葉だけじゃ会話にならないし、寝ているときもあるのか反応しないときもある。
わさわさ。ぶんぶん。
『エフデ!ほら自分の裸みたっす!責任とるっす!』
って伝わってきた気がするが、まともな会話にならん。また出てくるのを待つしかないか。
それまでに右ストレートを鍛えるかな。
今日の仕上げを終えてしまえばあとはクラン戦だけだ。五日間あるっていうクラン戦をしたら、その後四日ほど自由に外出していい許可を貰っている。
この体になってサイジャルから出るのは初めてだから楽しみではある。里帰り…っていうんだろうか?
「さっさと仕上げて帰る準備をしないとな…エセニアが来るんだし、どこを見るかの確認をしないと」
別にあいつが来るから考えているわけじゃない。色々みたり買ったりする効率を考えているだけだ。
いつの間にか復活しているやつからの視線を感じたのでにらんでやる。
だからナザドよ、にやつくな。殴るぞ。
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