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第五章の裏話
サイジャルの市場の一コマ
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「おじさん、いくらですか?」
果実を切って搾っているとお客がきた。
新入生が自前の財布から金を出そうとしている。一般の子か。
「すまんな…その金は使えないんだ。クレエル銅貨とか持っているか?」
「そんなの持って歩かないよ!換金したら減っちゃうし」
だろうな。言動も幼いし、一般の新入生ならクレエル銅貨を持ち歩きそうにない。
クレエル銅貨っていうのは、世界各国で使える。
ただ、クレエル銅貨は銅貨といいつつ、一般市民からすれば銅貨なんかじゃない。
だいたい…各国内だけで使われている最低の金、俺の故郷なら『両』だが百枚ほどてクレエル銅貨一枚ほどの価値になるだろう。銀貨なら一万枚になるし、金貨なら百万枚…クレエル大金貨なんざ、金貨千枚分だ。よっぽどの金持ちじゃなきゃ金貨ですらみることはない。
日によって各国の情勢がかわるから、クレエル銅貨やクレエル銀貨で貯蓄している者が多いんだが…かなり一般でも下の出身か?はたまたよほどの田舎育ちか。
「どうしよう…朝はここが一番安いって聞いてたのに…」
手元のボロボロの紙をみれば…ああ、南部の…あそこはあまり金を使わないんだったな。なら仕方ない。
「記章をみせてくれ。代金はそっちで一括なんだ」
一番始めに教えてやればいいのに、ここの職員は市場で教えてもらえばいいと思っている。
毎年こういう新入生の相手をするのがこの時期の仕事だ。
「一括?…お小遣いの中でやりくりしないといけないのに…あとで書かなきゃ…」
しっかりしているな。商人の子か?普通の商人の子なんて今年は大変だろうな…噂じゃ、あのクウリイエンシア国のお偉いさんの子供がたくさんいるらしいからな。
中には商人の親玉とかいわれるレダート家の子もいるとか…気を使うだろうなぁ。
「大丈夫だ。資金援助があって、少額なら払わなくていいことになってるからな。だからって、あんまり使うなよ?」
新入生にはよくあることだ。貴族様だけなら話は早いんだが、そうはいかないからな。
こうやって教えてやれば、先輩になったときに後輩に教える生徒も出てくる。それもまた楽しみの一つだ。
記章の裏には俺たちにしかわからない数字がある。俺はそれをメモして美味い一杯を作って渡す、しがない果実水屋のおやじだ。
「すいませーん!ここは何屋さんですかー!」
材料を取ろうと屈んでいればかわいらしい声が聞こえる。また新入生か。
「はいよ、ここ…は…」
なんの店かを教えてやろうとして声がでなくった。
「どうしたの?」
驚いた。なんだこの子。エルフじゃないのに、なんだってこんな顔がいいんだよ。
執事?男か女かもわからないが…見習いか?控えて辺りを警戒している子はこれまた美形だ。性別が不明すぎる。
おそらく、貴族なんだろうな。ぶつぶつと何事か独り言をいって、きゃーきゃーと喜んでいるが…お兄ちゃんの好きなのは?っていっているが、どうみてもそこに人はいない…もしかして、あれな子か?
それでも、俺は美味い一杯を作るだけだ。
「ここは果実水を売ってるけど、買うかい?」
「んー…カフェがあるから、今度にします!」
手を振って去っていく…大丈夫だろうか…かなり苦いっていうのに。
「こんにちはー」
「おー。その声…は?」
あのかわいい子が来てくれたのかと顔をあげて、またもかたまってしまう。
なんで、ボージィン様の人形を持っているんだ?国宝とか、どこかの秘宝じゃないのか?
「どうも」
と、思ったら動いてしゃべった。
「しゃ、しゃべっ」
あごが外れるかと思うほど口をあけていれば、美少年がしゃべるボージィン様の人形に話しかけだした。
「お兄ちゃん、ここねー。果物のね、飲み物を売ってるの!飲むよね?」
「ジュース…あ、果実水か。みたとこミックスジュースっぽいな…うん。ケルン。半分こにしようか?お腹がいっぱいになるからな」
あ、兄?
「たぽたぽになっちゃう?」
「たぽたぽだし、ぽんぽんだ」
「んじゃ、そうする!」
なんだ、この二人の会話。子供同士の会話ならいいが、ボージィン様の人形から聞こえる声はどう聞いても大人の声だ。
あと、兄ってのはどういうことだ?
「すいません。この果実水を混ぜたのを…どうしました?」
ボージィン様の人形が注文してきた!
「あの、ボージィン様…」
「あ、自分は棒神様の人形を使って話しているだけなんで。お気になさらず」
「気になりますけど…」
気にするなといわれても気になるし、何より…学園内であればわかるが、市場の外という遠くからではあるが、警備員がじっとみている。
警備員が市場にまで来ているなんてありえない。よほどこの人?人形?を大切にしているんじゃないか?
「どのみちすぐにわかると思いますけど。この度、臨時職員として勤めることになりましたエフデといいます」
「僕のお兄ちゃん!」
エフデ…聞いたことがある。
「エフデ…エフデって、もしかしてあの絵とか本とかの?」
他にも魔石の加工付与とかで一時期サイジャルで話題になった人じゃなかったか?確かあのフェスマルク家…だから警戒しているのか。納得だ。
あのフェスマルク家だ。何代か前のフェスマルク家の子供が市場を…いや、あんなことはもう起こらない…よな?
なるべく早めに帰っていただこう。
いつもより素早く美味い一杯を作る。手抜きはしていない。
「まぁ、そうですね。作家…みたいなものです…ほら、ケルンちょっとずつな。お腹にたまるんだから」
くぴくぴと音をたてて飲んでいる美少年…ケルン君っていうのか。ケルン君の世話を焼いてる姿は確かに兄弟にみえるな。
「はい、お兄ちゃん」
ケルン君がエフデさんに飲みかけを渡した。
「ん。美味しいな…また来ます」
「は、はぁ」
ぐいっと残りを飲み干して立ち去っていった。
あんな見た目で…どこに入ってどうやって飲んだんだ?人形なのに?
「こんにちはー!」
「どうも!」
「いらっしゃい!今日は大勢だね」
エフデさんたちが常連になってから、初めて大勢のお客だ。多くても三人とか四人だったのに…倍もいる。
「うん!友だちと来たの!」
「本当は三人で来ようとしたんだけどな…見つかっちまって」
ぞろぞろと…いや、あの遠くの生徒は違うな。上の学年の子たちとか聴講生…ああ、そうか。あれがあったからか。
「…大変だったでしょ?少し聞きましたよ」
客の一人である獣人の子をちらりと見ていう。噂は耳に入っている。獣人の子やエフデさんを誘拐しようとした馬鹿がいたらしい。
このサイジャルで犯罪をしようとするなんて、普通の神経をしていない。
サイジャルは世界で一番発展している都市だ。ここで発明や開発されたものはどれだって素晴らしくて他に作れないからこそ各国は友好的にしている。
喧嘩を売ろうものなら技術提供を止めるだけじゃなく、文化的に潰されるだろう。小さな国なら王族を変えればいいだけだしな。
そうじゃなくても、フェスマルク家に喧嘩を売るなんてよほどの大馬鹿者でなければできないことだ。
一人で国を潰せるような当主の子供に手を出すなんて、正気の沙汰とは思えない。
「まぁ…弟や生徒が無事だったから…本当によかったと思う」
しみじみとエフデさんがいうが…どちらかというと貴方が無事でよかった。
あれ?
「…エフデ先生、何だかすっきりしましたね」
気のせいか。エフデさんがケルン君を見ている雰囲気が丸いというか…全体的に肩の力が抜けたというか…なんだろうか。
「それ、よくいわれるんだよな…俺はそのままなのに…そんなに変わってみえるか?」
「なんというか…言葉にしにくいんですど…地に足がついたっていう感じですかね」
いいにくいのだが…そう。まるで本人がここにいるかのような…人間味があるといえばいいのか…前と変わっている。
悪くはないのだが、こんな人だったろうか?前はもっとおざなりというか…よくも悪くも義務的に見えた。
「…そっか」
ふっと鼻で笑ったようだ。
少し人形の表面ががきらきらしているからか?表情なんてないのに、表情があるように思えた。
なんだか、とても優しく微笑んだように思えたが…俺の目がおかしいのか?
「お兄ちゃん、半分こね!」
「おう。兄ちゃんよりたくさん飲めよ。ここのは栄養満点だ」
「花丸満点?」
「花丸大満点だ」
あいかわらず仲がいい会話だな…意味はまったく、わからないが。
友達とかいう子たちの分も作るが…どの子も顔が整いすぎじゃないか?
「…ふぅ…エフデお兄様とケルン様の微笑ましさに胸がついていきませんわ……高鳴りが抑えれません」
「メリア…同意するが目を見開くな。はしたないぞ……ほら、今度は私たちをあの中に混ぜようと二人が相談し始めたぞ…心臓が保つだろうか?」
「おいらトイレしてきたから大丈夫だ」
獣人の子がそういってすぐに、ちょっと見せれない顔になっていたが、なんで、あの男の子と女の子は悔しそうに見ていたんだろうか?
なでたかったのか?
「あの兄弟は周囲が見えていないな」
「エフデ兄やんは前からあんなやったで?…俺も弟たちとあーんしたいわぁ」
…エフデさん、子供たちからもいわれてることを気づいた方がいいですよ。
かわいいお客さんたちがいなくなり、市場に人が少なくなってきた。そろそろ店仕舞いかな。
片付けをしようと思っていたら学園の先生が来た。この人は確か…警備部門も兼ねている人か。
やたらと疲れた顔をしている。
「一杯おくれ」
「お疲れ様です。じゃあ、ついでに『アイイエ、ヌンジャーキタヌイ』」
今日の報告をさせてもらおうか。
げんなりした先生には、酸味と甘味のある果実を追加で搾ってあげよう。
これもお互いの仕事ですからね。
…というか、初めてケルン君が来てからちらちら見えてる影…どう考えても知りあいなんだよな…あの方までこっちに来てたんですか。コーザめ…黙ってたな…どうにかしてうちに引き入れられないかな?
果実を切って搾っているとお客がきた。
新入生が自前の財布から金を出そうとしている。一般の子か。
「すまんな…その金は使えないんだ。クレエル銅貨とか持っているか?」
「そんなの持って歩かないよ!換金したら減っちゃうし」
だろうな。言動も幼いし、一般の新入生ならクレエル銅貨を持ち歩きそうにない。
クレエル銅貨っていうのは、世界各国で使える。
ただ、クレエル銅貨は銅貨といいつつ、一般市民からすれば銅貨なんかじゃない。
だいたい…各国内だけで使われている最低の金、俺の故郷なら『両』だが百枚ほどてクレエル銅貨一枚ほどの価値になるだろう。銀貨なら一万枚になるし、金貨なら百万枚…クレエル大金貨なんざ、金貨千枚分だ。よっぽどの金持ちじゃなきゃ金貨ですらみることはない。
日によって各国の情勢がかわるから、クレエル銅貨やクレエル銀貨で貯蓄している者が多いんだが…かなり一般でも下の出身か?はたまたよほどの田舎育ちか。
「どうしよう…朝はここが一番安いって聞いてたのに…」
手元のボロボロの紙をみれば…ああ、南部の…あそこはあまり金を使わないんだったな。なら仕方ない。
「記章をみせてくれ。代金はそっちで一括なんだ」
一番始めに教えてやればいいのに、ここの職員は市場で教えてもらえばいいと思っている。
毎年こういう新入生の相手をするのがこの時期の仕事だ。
「一括?…お小遣いの中でやりくりしないといけないのに…あとで書かなきゃ…」
しっかりしているな。商人の子か?普通の商人の子なんて今年は大変だろうな…噂じゃ、あのクウリイエンシア国のお偉いさんの子供がたくさんいるらしいからな。
中には商人の親玉とかいわれるレダート家の子もいるとか…気を使うだろうなぁ。
「大丈夫だ。資金援助があって、少額なら払わなくていいことになってるからな。だからって、あんまり使うなよ?」
新入生にはよくあることだ。貴族様だけなら話は早いんだが、そうはいかないからな。
こうやって教えてやれば、先輩になったときに後輩に教える生徒も出てくる。それもまた楽しみの一つだ。
記章の裏には俺たちにしかわからない数字がある。俺はそれをメモして美味い一杯を作って渡す、しがない果実水屋のおやじだ。
「すいませーん!ここは何屋さんですかー!」
材料を取ろうと屈んでいればかわいらしい声が聞こえる。また新入生か。
「はいよ、ここ…は…」
なんの店かを教えてやろうとして声がでなくった。
「どうしたの?」
驚いた。なんだこの子。エルフじゃないのに、なんだってこんな顔がいいんだよ。
執事?男か女かもわからないが…見習いか?控えて辺りを警戒している子はこれまた美形だ。性別が不明すぎる。
おそらく、貴族なんだろうな。ぶつぶつと何事か独り言をいって、きゃーきゃーと喜んでいるが…お兄ちゃんの好きなのは?っていっているが、どうみてもそこに人はいない…もしかして、あれな子か?
それでも、俺は美味い一杯を作るだけだ。
「ここは果実水を売ってるけど、買うかい?」
「んー…カフェがあるから、今度にします!」
手を振って去っていく…大丈夫だろうか…かなり苦いっていうのに。
「こんにちはー」
「おー。その声…は?」
あのかわいい子が来てくれたのかと顔をあげて、またもかたまってしまう。
なんで、ボージィン様の人形を持っているんだ?国宝とか、どこかの秘宝じゃないのか?
「どうも」
と、思ったら動いてしゃべった。
「しゃ、しゃべっ」
あごが外れるかと思うほど口をあけていれば、美少年がしゃべるボージィン様の人形に話しかけだした。
「お兄ちゃん、ここねー。果物のね、飲み物を売ってるの!飲むよね?」
「ジュース…あ、果実水か。みたとこミックスジュースっぽいな…うん。ケルン。半分こにしようか?お腹がいっぱいになるからな」
あ、兄?
「たぽたぽになっちゃう?」
「たぽたぽだし、ぽんぽんだ」
「んじゃ、そうする!」
なんだ、この二人の会話。子供同士の会話ならいいが、ボージィン様の人形から聞こえる声はどう聞いても大人の声だ。
あと、兄ってのはどういうことだ?
「すいません。この果実水を混ぜたのを…どうしました?」
ボージィン様の人形が注文してきた!
「あの、ボージィン様…」
「あ、自分は棒神様の人形を使って話しているだけなんで。お気になさらず」
「気になりますけど…」
気にするなといわれても気になるし、何より…学園内であればわかるが、市場の外という遠くからではあるが、警備員がじっとみている。
警備員が市場にまで来ているなんてありえない。よほどこの人?人形?を大切にしているんじゃないか?
「どのみちすぐにわかると思いますけど。この度、臨時職員として勤めることになりましたエフデといいます」
「僕のお兄ちゃん!」
エフデ…聞いたことがある。
「エフデ…エフデって、もしかしてあの絵とか本とかの?」
他にも魔石の加工付与とかで一時期サイジャルで話題になった人じゃなかったか?確かあのフェスマルク家…だから警戒しているのか。納得だ。
あのフェスマルク家だ。何代か前のフェスマルク家の子供が市場を…いや、あんなことはもう起こらない…よな?
なるべく早めに帰っていただこう。
いつもより素早く美味い一杯を作る。手抜きはしていない。
「まぁ、そうですね。作家…みたいなものです…ほら、ケルンちょっとずつな。お腹にたまるんだから」
くぴくぴと音をたてて飲んでいる美少年…ケルン君っていうのか。ケルン君の世話を焼いてる姿は確かに兄弟にみえるな。
「はい、お兄ちゃん」
ケルン君がエフデさんに飲みかけを渡した。
「ん。美味しいな…また来ます」
「は、はぁ」
ぐいっと残りを飲み干して立ち去っていった。
あんな見た目で…どこに入ってどうやって飲んだんだ?人形なのに?
「こんにちはー!」
「どうも!」
「いらっしゃい!今日は大勢だね」
エフデさんたちが常連になってから、初めて大勢のお客だ。多くても三人とか四人だったのに…倍もいる。
「うん!友だちと来たの!」
「本当は三人で来ようとしたんだけどな…見つかっちまって」
ぞろぞろと…いや、あの遠くの生徒は違うな。上の学年の子たちとか聴講生…ああ、そうか。あれがあったからか。
「…大変だったでしょ?少し聞きましたよ」
客の一人である獣人の子をちらりと見ていう。噂は耳に入っている。獣人の子やエフデさんを誘拐しようとした馬鹿がいたらしい。
このサイジャルで犯罪をしようとするなんて、普通の神経をしていない。
サイジャルは世界で一番発展している都市だ。ここで発明や開発されたものはどれだって素晴らしくて他に作れないからこそ各国は友好的にしている。
喧嘩を売ろうものなら技術提供を止めるだけじゃなく、文化的に潰されるだろう。小さな国なら王族を変えればいいだけだしな。
そうじゃなくても、フェスマルク家に喧嘩を売るなんてよほどの大馬鹿者でなければできないことだ。
一人で国を潰せるような当主の子供に手を出すなんて、正気の沙汰とは思えない。
「まぁ…弟や生徒が無事だったから…本当によかったと思う」
しみじみとエフデさんがいうが…どちらかというと貴方が無事でよかった。
あれ?
「…エフデ先生、何だかすっきりしましたね」
気のせいか。エフデさんがケルン君を見ている雰囲気が丸いというか…全体的に肩の力が抜けたというか…なんだろうか。
「それ、よくいわれるんだよな…俺はそのままなのに…そんなに変わってみえるか?」
「なんというか…言葉にしにくいんですど…地に足がついたっていう感じですかね」
いいにくいのだが…そう。まるで本人がここにいるかのような…人間味があるといえばいいのか…前と変わっている。
悪くはないのだが、こんな人だったろうか?前はもっとおざなりというか…よくも悪くも義務的に見えた。
「…そっか」
ふっと鼻で笑ったようだ。
少し人形の表面ががきらきらしているからか?表情なんてないのに、表情があるように思えた。
なんだか、とても優しく微笑んだように思えたが…俺の目がおかしいのか?
「お兄ちゃん、半分こね!」
「おう。兄ちゃんよりたくさん飲めよ。ここのは栄養満点だ」
「花丸満点?」
「花丸大満点だ」
あいかわらず仲がいい会話だな…意味はまったく、わからないが。
友達とかいう子たちの分も作るが…どの子も顔が整いすぎじゃないか?
「…ふぅ…エフデお兄様とケルン様の微笑ましさに胸がついていきませんわ……高鳴りが抑えれません」
「メリア…同意するが目を見開くな。はしたないぞ……ほら、今度は私たちをあの中に混ぜようと二人が相談し始めたぞ…心臓が保つだろうか?」
「おいらトイレしてきたから大丈夫だ」
獣人の子がそういってすぐに、ちょっと見せれない顔になっていたが、なんで、あの男の子と女の子は悔しそうに見ていたんだろうか?
なでたかったのか?
「あの兄弟は周囲が見えていないな」
「エフデ兄やんは前からあんなやったで?…俺も弟たちとあーんしたいわぁ」
…エフデさん、子供たちからもいわれてることを気づいた方がいいですよ。
かわいいお客さんたちがいなくなり、市場に人が少なくなってきた。そろそろ店仕舞いかな。
片付けをしようと思っていたら学園の先生が来た。この人は確か…警備部門も兼ねている人か。
やたらと疲れた顔をしている。
「一杯おくれ」
「お疲れ様です。じゃあ、ついでに『アイイエ、ヌンジャーキタヌイ』」
今日の報告をさせてもらおうか。
げんなりした先生には、酸味と甘味のある果実を追加で搾ってあげよう。
これもお互いの仕事ですからね。
…というか、初めてケルン君が来てからちらちら見えてる影…どう考えても知りあいなんだよな…あの方までこっちに来てたんですか。コーザめ…黙ってたな…どうにかしてうちに引き入れられないかな?
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