選ばれたのはケモナーでした

竹端景

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第五章 影の者たちとケモナー

遠い約束

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 暖かくて気持ちいい。微睡みの中で俺は寝ている。ここはもう痛いこともつらいこともない場所なんだ。
 世界で一番安全で、世界で一番安心できるんだ。

 ――――――
 だというのに…なんだよ…うるさいな…わかったって。
 ――――――
 約束な。ああ。約束するから…何度も同じこというなって。
「…で、あそこにも連れて行きたいです!」
 そうだな…何回も教えてくれるから、覚えたな。行きたいとこはたくさんあるから…でも、今は眠いんだ。寝かしてくれ。
「いっぱい遊んで、楽しんでもらいます!ポルティ村にはあんまりお店はないけど…何でも買ってあげれるように小遣いも貯めてます!俺、ちゃんと守りますから!俺の主を命をかけて絶対に守りますから…だからいいですよね?奥様。坊ちゃまと二人で行く許可をください!」
 命はかけなくていいから。村に行くだけなのに…ポルティ村って教会と買い物できるとこがちょっとだっけ…毎日いうから覚えちまったぞ…一眠りを…もう何度かしたらちゃんと遊びに連れていってくれよ。
 約束な。

「…ちゃん!お兄ちゃん!」
「ん」

 ケルンが俺を呼んでいる。一人で起きれたのか。
 朝か…変な夢をみたな。あんまり寝てなかったから寝坊したか…しかし、ケルンが起こすなんていつもと反対じゃねぇか。
 夢だったけど、昔にあいつと遊びに行く約束をしたんだっけ…いつだったかな?
 ってか、なんかだるいな。

「ひぇ」

 ぼやっとした視界がクリアになって真っ先に目に飛び込んできたのは、木端微塵になっている棒人間の体だった。

 俺の借り物の体がボロボロに!首がもげて…弁償しないと!

 って、ん?よくみれば銀色じゃねぇか。しかも、少し小さい。二十センチもないな。あれは俺の体じゃない。

 棒人間の形だから俺の体かと思ったけど、そもそもあっちは全裸だ。俺は最初の日以外は寝るときは寝巻き着用だからな。しかもケルンとお揃いの肉球寝巻きだ。

 寝巻き…じゃないぞ?
 はて?俺は服をいつのまに着替えたんだ?…なんでボロボロ?フィオナに怒られるじゃないか。エセニアが縫ってくれたとこも穴が開いてるし…残念だな。

「よかった!お兄ちゃん!よか…ふえ…ふぇぇん!」
「おっ。苦しいぞー…よしよし。いい子だからゆるめてくれ」

 怖い夢でもみたのか?あやしてやんないとな。
 首をしめてくるほど抱きしめるってことは、それだけ怖い夢を見たのか…前に夜泣きしたのは絵本が怖いやつだったからだしな…悪魔に閉じ込められるやつ。あれは怖かった。

 即廃棄したけど、適当にまとめ買いはしない方がいい。あれから、俺が先に目を通してから読んでるからケルンの苦手そうなのはないはずだ。

 あーあ。こんなに泣いたら目が赤くなるぞ?
 あんまり泣くとぶっさいくに…いや、まったく不細工にならないから恐ろしいな。美少年ってすげぇ。むしろ、こういう絵画がありそうなほどだわ。あとで描いてからかってやろ。

 ってか、ここは俺たちの部屋じゃないな。暗いし、汚い。
 そういや、前もこんなことあったな。あんときはナザドの転移で飛ばされたんだっけか…ナザド?そういや、ナザドがいる。

 あ、そうだ。俺、消えたはずだ。

 こんがらがっていたが、ようやく思考が機能し出した。
 そうだ。変な男たちに誘拐されて…ケルンをかばって…俺、生きてんだ。

「おー…泣くなって。俺は…どうして無事なんだ?」

 確かに体は砕けた。借り物の器が完全に砕ければ俺は消えるはずだった。
 でも、自我は残ったまま。むしろかなり元気というか、欠けたとこが戻ったって感じだ。ってか強化してないか?相変わらず棒人間の体だけど、紺色の体にキラキラした金粉みたいなもんがついてんだけど…なんでだ?

「あまり無理しないでください。本当にぎりぎりだったんですよ?」
「なぁ、ナザド…あれって『身代わり人形』なのか?」

 えらく真剣な顔のナザドに軽く驚く。ケルン以外に興味を持つんだな…ちょっと嬉しいと思うけど、その分、申し訳ない気持ちになる。

 あの銀色の『身代わり人形』はひょっとするととても高価なものかもしれない。棒神様の姿で、壊れたところからどんどん砂みたいになって、消えていくんだから普通の魔道具ってことはないだろ。
 そんなもんを持ってるとは知らなかったけど。ごす。あれのおかげで助かったんだろうな。ごすごす。
 ごす?気のせいか?たまになんか音がする。

「魂の死すら一度は防ぐという『ボージィン人形』です。国から提出を求められても紛失したことになっていた大迷宮の秘宝ですね」
「そんな物を持ってたのか?」

 魂の死ってどれほどかわからないが、消滅を回避できるってことだろ?さすが棒神様の人形だな。
 あとでお礼がてらまた奉納する絵を描こうか。

 ってか、秘宝ですって簡単にいったけど、そんな貴重なもんを俺に使ってよかったのか!

「僕がそんなもの持ってるわけないじゃないですか。武者修行に出ていたあの人が大迷宮を攻略して得たものです」
「武者修行?」

 武者修行っていうのは、強くなるために出るやつだよな?そんな物語みたいなことをした人がいるのか…で、なんでそんな人のお宝がここに…ってか、そろそろ俺、全身また濡れてきたってか、鼻水も落ちてきたんだけど。

「お兄ちゃん…お兄ちゃん…ふえ」
「よーしよし、兄ちゃんは元気になったぞー。だからそろそろ泣き止めー?なっ?」

 目玉が溶けてなくなるんじゃないか?兄ちゃんは心配だぞ…兄ちゃん?いや、俺は…あれ?そうだよ。ケルンは俺の弟なんだよな。
 泣き止まさないと父様たちに叱られてしまう。
 そう思ったら涙をとめて目をつり上げたケルンが俺を見ていた。

「なんで!お兄ちゃんは無茶するの!僕は怒ってます!」
「怒ってますって…エセニアの真似はやめてくれって」

 その真似は地味に効くから。あいつ俺に対してだけ口うるさいんだよ。

「お兄ちゃんがいなくなったら…僕、一人になりたくないよぉ…」

 またしめられて苦しいけど…ケルンのしたいようにさせてやる。誰かがいつも一緒だったから、極端に一人を恐れている。消えなくてよかった。

「心配させてごめんな…兄ちゃん失格だな」
「そんなことない!お兄ちゃんはすごいの!でも!…もう…こんなことしないで」
「わかったよ…だからまた泣くなって…俺が悪かった」

 泣き止んだかと思ったのに、ポロポロと涙がまた出てきたから、ほっぺをぐりぐりとする。少しほほが冷たい。それほどショックだったのか。まるで魔法を使いすぎたときのようだ。

「…僕も怒っていいですか?」
「なんだよ…お前にも悪かったって思ってるんだ」

 ナザドも怒るとは…まぁ、理由は俺の行動なんだけど。
 ごす。

「エフデさんが無理をしなくても、僕が盾になれました…死んでましたよ?わかってますか?」
「それは嫌…ごめんな。お前までそんな顔をすんなよ」

 ナザドが怪我をするのも嫌だなって思うのだけど、それを伝えようとしたら、苦しそうで泣きそうな顔になった。一番はケルンでも、俺も大事に思ってくれてるんだな。

 ごす。めちょ。ごす。ばきゃ。ぐちょ。ごちゅ。

「というか、さっきから何の音だ?」

 途中から音が激しいというか、すげぇ気になるんだけど。

 ごすごす。からごちゅごちゅって音が変わっているんだけど。

「…うっわぁ…」

 誰かが何かしている。
 おそらくひげ面の男を殴っているんだろうけど…あれはちょっと見せれないレベルじゃないか?

 顔面が…飛び出ちゃいけないものとか…そこにそれがなんで?っていうか…埋め込んでるっていうか…とにかく顔は変わっている。整形を麻酔なしで拳でやっている。

 拳でやってるとか、止めないといけない。怪我もだが、そろそろ死ぬんじゃなかろうか。

「ちょっとケルン、手を」
「や!もう離さないもん!」

 おっと、ケルンからの信用度が底辺のようだぞ。

「あー…んー…じゃあ、近くまで連れていってくれるか?ただ…あんまりあれをみないようにしてくれよ?」
「うん…あれ、何してるの?」
「も、餅つきかな!」

 餅つきの会場は顔面になっているけど。

「オモチィか…なんだか、食べたいなぁ!僕ね、あのアンコォ?ってのとキナコォがいいなー」
「俺としてはお汁粉が…まぁ、今度のおやつにな」

 嬉しいことに、食欲が戻ってきたみたいだ。餅はカロリーが高いから、食べさせたいがつまると大変だからな。白玉粉の方が食べる回数は多いがお汁粉にはやはり餅がいい。ハンクに頼んで今度のおやつにしてもらおうか。

 まぁ、俺はあれをみたら少し食欲がなくなるだろうけど。
 ジャムの類いも今日は遠慮しよう。

 惨状クッキングをやっているあいつを止めよう。

「ティルカ」

 似合わない服を着たティルカが男の顔を殴っている。ケルンのぞきこむなよ?

「…エフデ様…」

 目が虚ろになっている。そんな目だとナザドに似ているなって思うけど、似合わない。
 やはりいつものティルカがいいな。

「すいません…俺が…遅れたばかりに」

 しょげたようなティルカに俺はいつもいいたかったことをようやくいえる。

「約束を守ってくれたんだろ?ケルンが無事ならいいんだ。いつもありがとうな」

 ひげ面の胸ぐらを離して俺の方に頭を下げた。ひげ面は呼吸しているが…鼻も口もどこにあるのかわからなくても、呼吸はできるんだな。

「俺は…また坊ちゃまを!」
「大丈夫だ。俺の体は頑丈なんだぞ?…でも、お前がいなければ俺は死んでた。お前のおかげで助かったんだ。助けてくれてありがとう」

 またとかいうけど…ティルカがいて危ない目にあったことはない。トラブルがあっても、それはやべぇ三兄弟の行動の話で、本当に危険だったことはない。
 ケルンが危険にさらされたのは…基本俺が止めてないからだな。反省しよう。

「ティルカ。お兄ちゃんを助けてくれてありがとう!ティルカがいなかったら…お兄ちゃんがいなくなっちゃってた…本当にありがとう!」
「エフデ様…坊ちゃま…」

 ケルンもしっかりしてきた。学園に入ったのは本当によかった。ただ、今回みたいなことがもうないようにしないといけない。
 それに、帰る場所を守ってくれる人たちもいることだしな。

「お前は約束を守れてる。これからだって、守ってくれよ?」
「は…いっ!…命をかけて!貴方を…貴方方を守ります!…ふっ」

 また泣いた。花粉症…ではないな。ティルカも泣くんだなぁ…当たり前か。

「というか…殺してないよな」

 大人が泣いているのをケルンに見せているのも気まずい。原因が俺だし。
 涙をふいて、ティルカがいつもの調子でにかっと笑った。

「もちろんです。俺の主に害をなすやつを…楽に殺すつもりはありませんよ」

 野性的な笑みでとてもいいが、物騒だぞ?
 まぁ、ケルンを狙ったんだ。許すつもりはねぇけど…情報は得ないといけないし、なるべく生かす方向で頼む…生きてるかな…不安になるんだけど。

「ケルンの教育に悪いことは見せないようにな」
「心得ています」

 歯を剥き出しにして、残りのやつらを睨んだりしているが…このままじゃ情報を得るまでにほとんど整形(拳)をやりそうだ。手術(拳)でも可。
 少しでも気を晴らしてやるか…その前に。

「ケルン。ティルカにご褒美がいると思うんだ」
「ご褒美?…お絵描きする?」

 ケルンからのご褒美は肖像画とかだもんな…子供らしくてとてもいい解答だ。これがお金とかいいだしたら、俺が泣くとこだった。涙はでないけど。

「それもいいんだけどさ…二人だけで今度の計画を立てたいなぁって」
「だったら、僕も!」
「いやいや。ほら、ティルカはナザドたちの兄ちゃんだろ?兄ちゃん組である俺たちで、お前らを楽しませれるような計画をしたいんだよ。ちょっとした後片付けもあるし。ティルカもご褒美になるからいいよな?」

 一緒にいたいのはわかるんだけど、ティルカには色々聞き出さなきゃいけないことがある。そこにケルンがいたらこいつはいわないだろう。それくらい考えなくてもすぐにわかる。

 ケルンにはずっと隠していることは、父様たちが俺を簡単に受け入れたことと関係があるはずだ。
 それを聞いておきたい。聞かなくては、俺はこれからケルンを支えるときに支障が出る気がするのだ。

「エフデ様のお側にいれるなら、俺には褒美になります。もちろん、坊ちゃまといてもな!」

 安心させるためにティルカも普段どおりにしてくれている。

「な?」
「でも」
「大丈夫だって。ティルカと一緒にいるんだぜ?安心安全。しかも元気満々。お前なら俺が元気なのはわかるだろ?」
「回復されてますね」

 ナザドがかなり棒にいいやがった。この野郎…ケルンと二人になれるとわかっているからって、雑だぞ。

「…すぐ帰ってくる?」
「なるべく早くな。ちゃんと帰る…お土産はいるか?」
「ううん。お土産はいらない。あのね…お兄ちゃんの新しい絵本を読みたいから…寝るとき読んでね?約束したでしょ?」
「ああ…約束したもんな…いってくる」
「いってらっしゃい…」

 しぶしぶながらもケルンが俺を手放した。

「ささ、坊ちゃま。兄さんとエフデさんがいない間に汚れを落としましょう」
「えー…僕、お兄ちゃんとお風呂に入るの!帰ってくるの待ってる!」

 上機嫌にしているナザドがケルンを連れていこうとしているが…お前が風呂にいれるのは反対だからな?

「おい、ケルン。俺とティルカの話は長いかもしれないから先に一人で風呂に入れよ」
「えー!背中洗ってよー」
「えーじゃないだろ。そんなに水に濡れてたら風邪を引くだろ?兄ちゃんのいうことを弟はきくもんだぞ?」

 まったく。父様たちのいうことは素直に聞くのに、俺のいうことは素直に聞かなくなってきた。
 まさか…反抗期!

「はーい…うふふ!」
「なに、笑ってんだ?」

 お前の笑顔がそれだけで武器になるって理解した方がいいぞ。キラキラしたもんが飛びまくってるから。

「だって、お兄ちゃん、僕のこと弟ってずっといってくれてるもん!」
「まぁ…お前は俺の弟だしな。大事な家族だ。当たり前だろ?」

 急になにをいいだすのやら…恥ずかしいな。家族がたくさんいるんだから、さみしく…あっ。

「そうだ。ケルン」
「なーに?」

 ナザドの『転移』で寮に帰ろうとしていたケルンを呼び止める。大事なことをいっておかないといけない。

「ミルデイによろしくいっておいてくれ」
「あっ…」

 黙ってここまできたんだから、絶対に心配して怒っているだろうな。エセニアになんだか怒り方が似てきたから…俺はパスだ。頑張れ。

「ほら、ちゃんと謝っとけよ?」
「そうする!」

 んで、釘をさすか。

「あと、ナザドはケルンを送ったら子供たちの搬出の手伝いな。俺たちはお前や警備員さんが来るまで待ってるから」
「いえ、僕は坊ちゃまのお世話を」
「先生が寮にくんなよ。あとそれはお前の仕事か?」
「…覚えていてくださいね?」

 捨て台詞を吐いて『転移』していきやがった…なんだろう…帰りたくない、嫌な予感が全力出してきた。

「愚弟が…」

 おっと、ティルカがナザドの態度にキレた。お前、そういうとこカルドに本当に似てるな。
 ナザドの態度ぐらい砕けてくれたらいいんだけど…なんか、俺に対してかたくね?もっとフランクになってくれたいいのにな。

「とりあえず、ティルカ」
「はい、エフデ様」

 おかしいな。こいつには耳も尻尾もないはずなんだけど、実はこいつも獣人だったのかと幻視してしまった。
 尻尾振りまくりの忠犬じゃん。

「ポルティじゃねえけど…昔にした約束どおり遊びながら話をしようぜ?色々聞きたいことがあるしな…何でも買ってくれるんだろ?期待してるぜ?」
「…っ、了解です!お供します!」

 記憶のことや、どうしてここにお前がいるのかとかたくさん聞きたいことがある。
 あとは父様たちへの言い訳の内容を一緒に考えてもらいたい。できれば一緒に怒られてくれ。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あと一話のエピローグでこの章は終わりです。
裏話をいくつか書いたら新しい章になります。
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