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第四章 学園に行くケモナー
杖つくりの第一歩
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部屋に戻ると、ミルデイは講義に出ているようだ。
今日は、礼儀作法の各国の違いがどうとか、いってたな。
一人で部屋に入り、さて、どうしたものかと悩んだ。
呪…樹木さんは、手から離れることなく、時々すれ違う他の生徒、同級生ぐらいから、講師の先生までが、かなり、信じられないというような表情で見てきていた。
ある先生らしき人はケルンの手元をみて震えていた。
「君!すぐに教会に行った方がいい!」
と、いってくれたんだけど、手が、ビリビリと痺れるような…放電?いや、木なんだよな?という現象が起こったので、丁重にお断りをした。
「どうしてみんな変な目で見てるのかな?」
ど、どうしてだろうな?あはは。
若干、威圧感を増しているような樹木さんのせいだろ。
だがしかし、ここで投げ出して逃げたら、毎晩、樹木さんが、部屋に来るような予感がしてならない。
作業スペースとして機能している教室がいくつかあるのだが、おそらくいっぱいなのと、ミケ君達には内緒にしようと思った。きっと、他の人と同じことをいうと思ったのだ。できたのを見せれば、きっと問題ないはず。
それに、他の人を怖がらすわけにもいかないからな。
「頑張るぞ!」
やる気満々のケルンは素直にすげぇと思う。
部屋の机の上に、樹木さんを置いた。さん付けしたくなる理由は、色々とあるんだが、最たる理由は、禍々しい見た目からだ。
置いた瞬間、さらにお札みたいな紙が剥がれ落ち、さらには、手にべったりと、黒い油のようなものがついた。
決して、敬わないと祟られると思ったわけではない。でも、ほら…もしもがあるから…な?
念の為だ。
「うわ!汚れてる…手を洗おう…落ちるよね?」
落ちると…いいな…マジで。
「お兄ちゃん、さっきからどうしたの?変だよ?」
いや、ほら、どんな杖を作ろうかな?って考えていてな。
「そっか!かっこいいの作ろうね!」
そ、そうだな。
我ながら俺であるはずのケルンの元気にげんなりする。手についた黒いそれをれの匂いを嗅ぐなんて行為を普通はしない。
どう見たって、いい匂いなわけがないからな。
「酸っぱい匂い!」
だろうな。
嗅いではしゃいでいるケルンはすげぇわ。
蛇口を捻って、水で流そう。それで、石鹸をつけて、綺麗にすれば、何も問題ない。たぶん…落ち…水を弾くんだけど!
「がんこな油汚れだね…油絵描いてるときみたいだ」
テレピンの匂いの方がずっとましだがな…こうなったら、洗浄魔法で手を洗ってみよう。それが弾かれたら、教会に行こう。
「教会?綺麗にしてくれるのかな?んーと…精霊様、お願い『クリーンウォッシュ』…おお!」
効いたぞ!つるつるになった。結構、便利だな。水場のないピクニックとかでしか、使うことがない魔法だけど、今度から、油絵の具触ったあととかに、使おう。
油汚れに、クリーンウォッシュ!悪くないな。
しかし、杖作りが来月だったらよかったのにな。
「そうだね」
ケルンのように製作系スキル持ちは、部屋で作業をしなくても、資金があれば、個人専用アトリエというか作業場を学園内で長期に借りれるそうだ。
ただ、公募がかかるのが、来月からになるようで、まだ使えない。
入学式が終わって、空き部屋とかが確定するまでは、使えないということだ。できれば、そこでこっそり作業をしたかった。
とりあえず、さっさと、作ってしまおう。汚れてしまったら、ミルデイに怒ら…悪いからな!制服を脱いで、家から持ってきていた作業着に着替える。エプロンもちゃんと着けた。
アップリケには、ちゃんと肉球がついている。作業着には、尻尾が着いているが、長いのと、短いの二つのバージョンがある。
今日は長めの尻尾つきにしてみた。
「わんこさんです、わん!頑張る、わん!」
おー。
唐突だが、なんでケルンが身長を気にしているかということに触れておこう。
父様は、百八十前後。カルドも同じぐらい。キャスもそれぐらいだ。一番高いランディは、二メートルと少し、ティルカが百九十。
母様が、百七十後半。フィオナとエセニア、それにナザドが、百七十前半。大人の中で一番小さいハンクでも、百七十前後。
ミルデイが、百二十ぐらいかな?
だいたい、みんな身長が高い。
その中で、ケルンの身長は。
百十(靴込み)
百獣の王はライオンだよな…ハハっ。
それに、メリアちゃんとミケ君とは、五センチほどの差がある。アシュ君はミルデイぐらいある。
今は小さくても!靴が厚底で、五センチ誤魔化してるけど!思春期には伸びるはず!
と、少し悲しくなったが、身長を唐突に触れた理由は、杖だ。
杖といっても、ポケットに入るサイズや、それこそ、身長ぐらいのサイズまで、人それぞれあるようだ。
と、いうことは、身長がどの程度あるかで、長さが変わっていくということだ。下手に小さくしたら、杖とならない。長いのも悪くないが…ほら…もしも…もしもだ!もしも…小さい…いや、小柄な大人になったら、杖が大きければ大きいほど、悲しくなるじゃないか。
そして、材料である樹木さんのサイズは、二メートルほどか。太さはケルンの拳二個分ほど。
それが、軽くて、手から離れなかったんだけどな…さすが、霊木…だよな、樹木さん?
ま、まぁ!杖にしたら、きっと良い杖になると思う。
何せ、枝があるし。
真っ黒な葉っぱがちぎれず、一枚だけ残っているし。
木も何の種類かまだわならないし、どこを触っても、真っ黒で、適度に…ぬるぬるする…そして、ビリビリとする。
「かっこいいね!」
うん、早く作ろう。このまま、オブジェとして置いておきたくないな。部屋の室温が下がっていってるからな。春なのに。
さて、どういう風な杖にしようかな?ポケットに入るのと、常に持つようなもの…んー…そうだな。
とにかく、作り方をみて、決めてみるかな。どれぐらい削るかも判らないし。えっと…杖作りの仕方は…貰った紙に書いてある。
今日から君も魔法使い!
杖作りの基礎編。
何かの動物?というか、象形文字がちりばめてあるプリントをみて、この象形文字は、絵心がない人が、二日酔いで、三徹ぐらいして、利き手ではない方で描いたんだろうなと、しばらく考えてしまった。
目と鼻が、同じところにある動物いるなら、別だし、足が頭から生えている動物がいるなら、仕方ないが。これはない。
作る前から、疲れた気分だ。
「まず、あなたが選んだ霊木は、綺麗に見えても、汚れていたり、長年置かれていたので、ちょーっと、疲れています!」
そうだな、ちょっと樹木さんは、憑かれているな。
「まずは、綺麗にして、そして元気になってもらいましょう!そんな時はお水です!」
水?は?杖作りなのに?戻し?いやいや。湿気がなくなったから、ようやく彫ったり削ったりできるわけだろ?下手に湿気があったら、割れるぞ?
それに、綺麗になるかな…水を弾いたんだけど。
「もちろん、ただのお水ではいけません!綺麗にする為にも、使用するのは、霊水でないといけません!」
霊水?お清め的なものか?教会に行かないといけないのかな?
ついでに、お祓いもお願いしようか…ん?
樹木さんが、ガタッて、ゆれ!いや、風だな!
窓閉まってるけど!
お、おおお。
「んあ!お兄ちゃんどうしたの?びっくりした!」
な、なんでもな、ないぞぉ!
「もう!変なのー」
そうだ。気のせいだ。気のせい!続きを読もう。
「もちろん、基礎の水系魔法が使えるとは、思いますが、それでは、ただの水になってしまいます!水の精霊と契約をしてみましょう!」
水の精霊との契約方法か。杖作りよりも、そっちのがメインなのかもな。
この世界は、魔力があり、詠唱を知っていれば、精霊を召還できるらしい。もちろん、場所の影響もあるから、奥深いダンジョンであるとか、聖地であるとかに行かないと強い精霊との契約はできない。
四方を水に囲まれたサイジャルならば、水の精霊を呼び出すのは簡単だろう。おそらく、呼び出しやすいような仕掛けもあると思うからな。
「まず、水を溜めた物を用意しましょう!ボトルでも、コップでも構いません。そして、できれば、契約をすでに終えている人を呼んで手伝ってもらいましょう!もし、手伝ってくれる人がいない場合は、安心してください!詳しく書いておきますからねー!」
ボトルかコップ…歯磨きで使うコップでいいかな?普通のコップは、洗いにだしたのかないし。
「水を用意したら、精神を統一して、水を見つめます。この時、水から、精霊の姿を想像しましょう!すると、部屋の中が、少し湿ってきたと思います。もし、湿ってきていなかったら、もっと、精霊を集中して、湿るまで待ちましょう。想像する時は、たくさんの水の精霊が、部屋にいると思うと、成功させる確率が上がりますよ!」
コップに水を注いで…集中…水に集中…水…水といえば、亀…フラミンゴ…おー!フラミンゴ!紅いあの子は!
「フラミンゴ!」
思わず声に出したら、すっげぇ、部屋が湿気てきたんだけど。水の精霊様は、フラミンゴ派なのか。
「フラミンゴって、お兄ちゃんが書いた鳥さんだよね?立って寝るんでしょ?」
そうそう。それだ。
「でもなんで呼んだの?」
…気にするな。ちょっとそんな気分だったんだ。
冷静にいわれると恥ずかしくなる。
「水に指を入れます。そして、次の詠唱を唱えましょう!『水の精霊よ、数多の命を生み、育みし精霊達よ。我が声を聞き届けたまえ。我は汝等と契約を望む者なり』」
詠唱か。本格的になってきたぞ。
「そうすると、初級の精霊が姿を現すでしょう。もし、水の精霊との相性が良い場合は、中級の精霊が、顕現するかもしれませんよ!初級は、とても小さく、球体であったりします。人に姿が似ていると中級の可能性が高いですよ!」
ふむふむ…簡単だな。どんな精霊様がくるのかな?丸型?妖精タイプ?話せるかな?もふもふ…してないかな…水の精霊だもんな…魚かな?
ちょっと、難しいけど、これぐらいの詠唱ならケルンでもいけるな!
「が、頑張る…わん!んーと…水の精霊様、えっと…数多くの命を?うみ?は、はぐく、み?し、精霊達よ、えーと…僕の声が聞こえたら、来てください!仲良くなって、友達からお願いします!」
うん、無理だった!やり直すか…ん?あれ?コップが!じ、地震か!
コップの中の水よりも量が多い。そうとしか思えないほど、コップの中の水が、逆巻いた。
そして、水がコップの中に戻ると、空中に…く、空中!
ピンクのフリフリのロリータ服を着た中学生ぐらいの女の子が現れた。
「ちょっと!何!今の!契約の詠唱なの?それとも交際なの!」
そう勘違いされても仕方ないよな。
今日は、礼儀作法の各国の違いがどうとか、いってたな。
一人で部屋に入り、さて、どうしたものかと悩んだ。
呪…樹木さんは、手から離れることなく、時々すれ違う他の生徒、同級生ぐらいから、講師の先生までが、かなり、信じられないというような表情で見てきていた。
ある先生らしき人はケルンの手元をみて震えていた。
「君!すぐに教会に行った方がいい!」
と、いってくれたんだけど、手が、ビリビリと痺れるような…放電?いや、木なんだよな?という現象が起こったので、丁重にお断りをした。
「どうしてみんな変な目で見てるのかな?」
ど、どうしてだろうな?あはは。
若干、威圧感を増しているような樹木さんのせいだろ。
だがしかし、ここで投げ出して逃げたら、毎晩、樹木さんが、部屋に来るような予感がしてならない。
作業スペースとして機能している教室がいくつかあるのだが、おそらくいっぱいなのと、ミケ君達には内緒にしようと思った。きっと、他の人と同じことをいうと思ったのだ。できたのを見せれば、きっと問題ないはず。
それに、他の人を怖がらすわけにもいかないからな。
「頑張るぞ!」
やる気満々のケルンは素直にすげぇと思う。
部屋の机の上に、樹木さんを置いた。さん付けしたくなる理由は、色々とあるんだが、最たる理由は、禍々しい見た目からだ。
置いた瞬間、さらにお札みたいな紙が剥がれ落ち、さらには、手にべったりと、黒い油のようなものがついた。
決して、敬わないと祟られると思ったわけではない。でも、ほら…もしもがあるから…な?
念の為だ。
「うわ!汚れてる…手を洗おう…落ちるよね?」
落ちると…いいな…マジで。
「お兄ちゃん、さっきからどうしたの?変だよ?」
いや、ほら、どんな杖を作ろうかな?って考えていてな。
「そっか!かっこいいの作ろうね!」
そ、そうだな。
我ながら俺であるはずのケルンの元気にげんなりする。手についた黒いそれをれの匂いを嗅ぐなんて行為を普通はしない。
どう見たって、いい匂いなわけがないからな。
「酸っぱい匂い!」
だろうな。
嗅いではしゃいでいるケルンはすげぇわ。
蛇口を捻って、水で流そう。それで、石鹸をつけて、綺麗にすれば、何も問題ない。たぶん…落ち…水を弾くんだけど!
「がんこな油汚れだね…油絵描いてるときみたいだ」
テレピンの匂いの方がずっとましだがな…こうなったら、洗浄魔法で手を洗ってみよう。それが弾かれたら、教会に行こう。
「教会?綺麗にしてくれるのかな?んーと…精霊様、お願い『クリーンウォッシュ』…おお!」
効いたぞ!つるつるになった。結構、便利だな。水場のないピクニックとかでしか、使うことがない魔法だけど、今度から、油絵の具触ったあととかに、使おう。
油汚れに、クリーンウォッシュ!悪くないな。
しかし、杖作りが来月だったらよかったのにな。
「そうだね」
ケルンのように製作系スキル持ちは、部屋で作業をしなくても、資金があれば、個人専用アトリエというか作業場を学園内で長期に借りれるそうだ。
ただ、公募がかかるのが、来月からになるようで、まだ使えない。
入学式が終わって、空き部屋とかが確定するまでは、使えないということだ。できれば、そこでこっそり作業をしたかった。
とりあえず、さっさと、作ってしまおう。汚れてしまったら、ミルデイに怒ら…悪いからな!制服を脱いで、家から持ってきていた作業着に着替える。エプロンもちゃんと着けた。
アップリケには、ちゃんと肉球がついている。作業着には、尻尾が着いているが、長いのと、短いの二つのバージョンがある。
今日は長めの尻尾つきにしてみた。
「わんこさんです、わん!頑張る、わん!」
おー。
唐突だが、なんでケルンが身長を気にしているかということに触れておこう。
父様は、百八十前後。カルドも同じぐらい。キャスもそれぐらいだ。一番高いランディは、二メートルと少し、ティルカが百九十。
母様が、百七十後半。フィオナとエセニア、それにナザドが、百七十前半。大人の中で一番小さいハンクでも、百七十前後。
ミルデイが、百二十ぐらいかな?
だいたい、みんな身長が高い。
その中で、ケルンの身長は。
百十(靴込み)
百獣の王はライオンだよな…ハハっ。
それに、メリアちゃんとミケ君とは、五センチほどの差がある。アシュ君はミルデイぐらいある。
今は小さくても!靴が厚底で、五センチ誤魔化してるけど!思春期には伸びるはず!
と、少し悲しくなったが、身長を唐突に触れた理由は、杖だ。
杖といっても、ポケットに入るサイズや、それこそ、身長ぐらいのサイズまで、人それぞれあるようだ。
と、いうことは、身長がどの程度あるかで、長さが変わっていくということだ。下手に小さくしたら、杖とならない。長いのも悪くないが…ほら…もしも…もしもだ!もしも…小さい…いや、小柄な大人になったら、杖が大きければ大きいほど、悲しくなるじゃないか。
そして、材料である樹木さんのサイズは、二メートルほどか。太さはケルンの拳二個分ほど。
それが、軽くて、手から離れなかったんだけどな…さすが、霊木…だよな、樹木さん?
ま、まぁ!杖にしたら、きっと良い杖になると思う。
何せ、枝があるし。
真っ黒な葉っぱがちぎれず、一枚だけ残っているし。
木も何の種類かまだわならないし、どこを触っても、真っ黒で、適度に…ぬるぬるする…そして、ビリビリとする。
「かっこいいね!」
うん、早く作ろう。このまま、オブジェとして置いておきたくないな。部屋の室温が下がっていってるからな。春なのに。
さて、どういう風な杖にしようかな?ポケットに入るのと、常に持つようなもの…んー…そうだな。
とにかく、作り方をみて、決めてみるかな。どれぐらい削るかも判らないし。えっと…杖作りの仕方は…貰った紙に書いてある。
今日から君も魔法使い!
杖作りの基礎編。
何かの動物?というか、象形文字がちりばめてあるプリントをみて、この象形文字は、絵心がない人が、二日酔いで、三徹ぐらいして、利き手ではない方で描いたんだろうなと、しばらく考えてしまった。
目と鼻が、同じところにある動物いるなら、別だし、足が頭から生えている動物がいるなら、仕方ないが。これはない。
作る前から、疲れた気分だ。
「まず、あなたが選んだ霊木は、綺麗に見えても、汚れていたり、長年置かれていたので、ちょーっと、疲れています!」
そうだな、ちょっと樹木さんは、憑かれているな。
「まずは、綺麗にして、そして元気になってもらいましょう!そんな時はお水です!」
水?は?杖作りなのに?戻し?いやいや。湿気がなくなったから、ようやく彫ったり削ったりできるわけだろ?下手に湿気があったら、割れるぞ?
それに、綺麗になるかな…水を弾いたんだけど。
「もちろん、ただのお水ではいけません!綺麗にする為にも、使用するのは、霊水でないといけません!」
霊水?お清め的なものか?教会に行かないといけないのかな?
ついでに、お祓いもお願いしようか…ん?
樹木さんが、ガタッて、ゆれ!いや、風だな!
窓閉まってるけど!
お、おおお。
「んあ!お兄ちゃんどうしたの?びっくりした!」
な、なんでもな、ないぞぉ!
「もう!変なのー」
そうだ。気のせいだ。気のせい!続きを読もう。
「もちろん、基礎の水系魔法が使えるとは、思いますが、それでは、ただの水になってしまいます!水の精霊と契約をしてみましょう!」
水の精霊との契約方法か。杖作りよりも、そっちのがメインなのかもな。
この世界は、魔力があり、詠唱を知っていれば、精霊を召還できるらしい。もちろん、場所の影響もあるから、奥深いダンジョンであるとか、聖地であるとかに行かないと強い精霊との契約はできない。
四方を水に囲まれたサイジャルならば、水の精霊を呼び出すのは簡単だろう。おそらく、呼び出しやすいような仕掛けもあると思うからな。
「まず、水を溜めた物を用意しましょう!ボトルでも、コップでも構いません。そして、できれば、契約をすでに終えている人を呼んで手伝ってもらいましょう!もし、手伝ってくれる人がいない場合は、安心してください!詳しく書いておきますからねー!」
ボトルかコップ…歯磨きで使うコップでいいかな?普通のコップは、洗いにだしたのかないし。
「水を用意したら、精神を統一して、水を見つめます。この時、水から、精霊の姿を想像しましょう!すると、部屋の中が、少し湿ってきたと思います。もし、湿ってきていなかったら、もっと、精霊を集中して、湿るまで待ちましょう。想像する時は、たくさんの水の精霊が、部屋にいると思うと、成功させる確率が上がりますよ!」
コップに水を注いで…集中…水に集中…水…水といえば、亀…フラミンゴ…おー!フラミンゴ!紅いあの子は!
「フラミンゴ!」
思わず声に出したら、すっげぇ、部屋が湿気てきたんだけど。水の精霊様は、フラミンゴ派なのか。
「フラミンゴって、お兄ちゃんが書いた鳥さんだよね?立って寝るんでしょ?」
そうそう。それだ。
「でもなんで呼んだの?」
…気にするな。ちょっとそんな気分だったんだ。
冷静にいわれると恥ずかしくなる。
「水に指を入れます。そして、次の詠唱を唱えましょう!『水の精霊よ、数多の命を生み、育みし精霊達よ。我が声を聞き届けたまえ。我は汝等と契約を望む者なり』」
詠唱か。本格的になってきたぞ。
「そうすると、初級の精霊が姿を現すでしょう。もし、水の精霊との相性が良い場合は、中級の精霊が、顕現するかもしれませんよ!初級は、とても小さく、球体であったりします。人に姿が似ていると中級の可能性が高いですよ!」
ふむふむ…簡単だな。どんな精霊様がくるのかな?丸型?妖精タイプ?話せるかな?もふもふ…してないかな…水の精霊だもんな…魚かな?
ちょっと、難しいけど、これぐらいの詠唱ならケルンでもいけるな!
「が、頑張る…わん!んーと…水の精霊様、えっと…数多くの命を?うみ?は、はぐく、み?し、精霊達よ、えーと…僕の声が聞こえたら、来てください!仲良くなって、友達からお願いします!」
うん、無理だった!やり直すか…ん?あれ?コップが!じ、地震か!
コップの中の水よりも量が多い。そうとしか思えないほど、コップの中の水が、逆巻いた。
そして、水がコップの中に戻ると、空中に…く、空中!
ピンクのフリフリのロリータ服を着た中学生ぐらいの女の子が現れた。
「ちょっと!何!今の!契約の詠唱なの?それとも交際なの!」
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