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第四章 学園に行くケモナー
長蛇の列
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「はーい。みなさーん。聞こえていますかー?」
俺たちは第三広間といわれる場所に集合した。
第三広間という名前なのに、会場は一言でいうなら、ドームだ。
コロッセオとか、野外舞台の、平地でかなりでかい。そうだな…コンサート会場が似ているな。
天井にぶら下がっている液晶画面のように薄く、長さが横二十五メートル以内か?縦十メートル弱の馬鹿みたいに大きな画面に、写しだされているのはまさに魔女というとんがり帽子に、メガネをかけ豊満な胸を持つ、テンプレかと思うような杖作りの講師の先生だ。
声は、杖をマイクのように持って話しているのだが、不思議なことに、耳に直接届いている。大きくなりすぎてハウリングしているわけでもないが、先生の話し方なのか、いやに間延びしている話し方だ。
天使のおねぇさんを思い出した。この先生も、おそらく灰汁が強いタイプか。
「では、みなさんが、初めて受ける授業なのでー、よく聞いてくださいねー?あ、今、係の者が配っている紙は、無くさないでくださいねー」
で、出た!幽霊の連行人!あ、紙はちゃんと、読むけど、どこから取り出してるの?ローブの中から?ぱんぱんにつめてるの?
「不思議だねー仲良くなったらわかるかな?」
仲良くなるのは無理だろうな。
何度みても生きた人間とは思えない。
「ここではー、みなさんの、これからの学園生活で、必ず!いいですか、必ずですよー?必要になる杖作りを教えますー。杖を持たなくても魔法が使えると思っている子はー、すぐにその考えをー、捨ててくださいねー」
杖なくても、魔法って使えるもんじゃないのかな?
ミケ君に聞こうと思ったのだけど、先生はそれより先に答えた。
「中級より上の魔法が使えないのは、杖がないからなんですよー」
そうなのか?でも、天使のおねぇさんが、許可してくれたのは…そうか、ケルンの魔法って、許可がいるんだった。あんまり、杖関係ないんだよなー。
そもそも魔力をぶちこめばなんとかなるからな。
「えー…でも、お兄ちゃん。練習したけどダメだったよね?『リターンヒール』だけでしょ?」
そうだけど。練習不足だからな。
魔法の訓練を少しだけやっていたからこそ『リターンヒール』を使うことができた。
とはいえ、それ一つしか上級の許可がおりていなかった。
ミケ君や、余波でメリアちゃんの治療ができたあのときから、魔力の調整はほぼしなくてもいい。
魔力自体がまるで栓をされてるみたいにあまりたくさんは使えなくなっているからだ。
その栓を無意識にやっているのは、ケルンだ。
俺の件で恐怖を覚えてしまって使えるのに使わないようになってしまったのだ。
どうにかその栓を取っ払ってしまいたいんだけどな。
屋敷で練習していたときでも初級のそれこそ『ライト』『ウォッシュ』『ドライ』とかばかりだった。
もう少し練習をすれば難しいのも覚えれるかもしれないとケルンに提案をしてもことごとく却下された。
頑張れば中級もいけるかもしれないのに。
「お兄ちゃんが疲れないようにって父様や母様もいってたもん」
でもな、せっかく使えるんだぞ?
「いいの!今日はおしまい!」
って具合にあんまり練習はできなくなってしまった。治療の前まではもう少し練習時間をとっていたってのに。
おかげで基礎属性の基礎魔法の初歩の初歩…簡単なものばかりだったのだ。
ため息をつきたいと思いつつ、画面上では説明が進んでいく。
「上級を使うには、よほど魔力が高いかー、精霊との交信が得意でないとー、魔法は使えないのですー。ですからー、魔法をたくさん使いたいと思っている子は、みんな杖を持ちましょうねー?杖があれば楽になりますよー!」
なんだと!
杖ってことは補助道具だろ?それがあればケルンももっと楽に魔法が使える…よし!いいの作ろう!
「では、まず、杖作りの仕方を教えたいと思いますー。でもー、人数がたくさんなので、詳しい作り方はー、紙を読んで、各自で試行錯誤して作ってくださいねー」
いや、それなら、呼ぶなよ。
何人かの声が重なった。ミケ君もその中の一人だ。
「では、みなさーん。何で、ここに集められたと思いますかー?そうですねー、わからないですよねー?杖の材料になる木は、ただの木では、作れませんー。全部、霊木でーす。私のこの杖も、霊木でできてるんですよー?」
「れーぼく?」
霊木な。
「どんなの?」
ああ、簡単いえば神聖な木とか、魔力が宿る木のことっていえばいいかな。
ケルンはそういう素材を使って制作をしてきていないからな。俺は知識だけはあるから珍しいとは思わないが。
「霊木にはー、切り分けられた瞬間から、それぞれ、別々な個になりますー。ですから、一本の霊木でも、何人かの相性のあった杖を作れるのですー。みなさんにはー、相性の良い霊木を選んでもらいまーす!ですがー、大当たりの霊木と、大外れの霊木がありますのでー、直観で選んでくださいねー。人に聞いちゃうと、大外れをひきますよー?」
元が同じでも、二つに割ったりしたら、別な木になる?それは変な話だよな。どちらも同じ木なのに…もしや、属性か?切ったら属性が付与されるとか?
相性は、大事なことだ。木に限らず、道具も相性があるものだ。
「僕たちみたいー。ね、お兄ちゃん!」
ん?ああ。割ったら二つってとこか。
「僕とお兄ちゃんね」
あー。うん。
まだ調子が戻らないせいなのか、ケルンの真意がさっぱりわからない。二つもなにも、俺らは一緒だってのに。
にしてもだ。大当たりと、大外れ…当たりはいれていていいけど、大外れはいらないだろう…どうしてにこやかにいってるんだろ、この先生。やっぱり、灰汁が強い。
「では、魔力の高い子は、どんな霊木でもある程度は、魔法が使えるのでー、呼ばれるまで、我慢して、待っててねー。ああ、一生物の杖にする人もー、学園に在学中の間だけって人もいるからー、卒業後は、各自で杖の新調しても構いませんよー?でもー、この授業で作った杖は、紛失やー、破壊を除いて、在学中は使ってくださいねー。それから、紛失も破壊も、故意でした場合はー、即時退学ですからねー?」
魔力が高いとどんな霊木でもか…とすると霊木の杖っていうのは、補助の道具ではないのかもしれないな。
どんな霊木でもいいっていうなら、魔力の流れをよくしたり、倍増させるといった効果はないと思った方がいいだろう。
それよりも、おそらくだが精霊様と交信できるのと、魔力が強いという二つの条件があれば、威力のある魔法が使えるということは、杖は精霊様との結び付きを強くすると考えた方がいいかもしれないな。
「では、名前を呼ばれた子はー、こちらの部屋に入って、好きな霊木を取ってきてくださーい」
先生は、杖を壁にむけると、扉がそこに現れた。
そして、続々と名前を呼ばれた子は、壇上の先生の後ろに現れた扉に入って、霊木…形もバラバラで、角材のような細い物から、丸太のようなものまで、持って出てきている。
待つこと三時間以上。
暇だ。
「退屈だね」
人数が多いことと一人辺りの時間がまばらなのだ。早いものは早く、遅いものはとことん遅い。
「ミケ君、僕、まだ呼ばれないんんだけど…」
「そうだな。今は何人目だ?」
「メリアちゃんが四百三十五だったから…今は、四百六十二かな?」
退屈だと聞いてたけど、暇すぎてケルンも俺も眠い。退屈しのぎで人数を数えるほどあきている。
「ケルン…あまり、こういうことを聞くのも、教えるのもよくないのだが…魔力値はいくつだった?」
ミケ君が、聞いてきたことは、本当なら教えてはいけない情報だ。
スキルと魔力は、なるべく知られてはいけない。何に使われるかわからない。命の危険もある。
特に、祝福は知られてはいけない。
学園に入学する前に、父様に『コール』した時に約束したことだ。でも、ミケ君には話してもいいかな。
ただし、那由多なのは内緒にしよう。理解されないだろうからな。
とりあえず、祝福で出た数値をいえばいいぞ。
「うん。五千だったよ?」
「そうか…私やメリアも五千を超えていたんだが…『オープンカード』で、確認してみろ」
あれ?五千って、かなり高い方だと思ってたけど、メリアちゃんも、ミケ君も五千越えてるだと?
「うん、確認してみる。精霊様、お願い!『オープンカード』」
出てきた魔力数値。七千。に、二千も増えてる。本当の数字ではないけど、それでも、何で、そんなに増えて。
加護と祝福。ボージィンの同好者と精霊の保護対象。そして、イムルの後継って項目増えてるんだけど!しかも、スメイン語で書いてある!
「お兄ちゃん…」
隠そう。全力で隠そう。とくに称号のイムルの後継。嫌な予感しかしねぇ。
「そうする!」
なんで変なもんついたんだ?
「どうだ?何かわかったか?」
「う、うーん。魔力増えてたかな」
「そうか。それはいいことじゃないか。元々、フェスマルク家は、最低でも一万は超えるんだからな。うらやましい限りだ」
ごめん、ミケ君。ケルンは本当は那由他あるから。本当、いえないけど。
あと、イムルの後継って祝福?加護?どちらにしても、リンメギン国の人には、絶対に見せてはいけない。
国が亡ぶ。うちの家族の手によって…というか、約一名が絶対に許さない。
「ミケ君。僕を待たなくていいよ?杖作りしなきゃだし、メリアちゃんもアシュ君も先に帰ったんだから」
ミケ君はメリアちゃんの後にすぐ呼ばれたのだが、ケルンが終わるまで一緒に待つといってくれたのだ。
本当にいい子だ。お礼にブラッシングさせてもらいたい。いや、それではお礼にならないか。
ミケ君が選んだのは、ハシバミの木かな?メリアちゃんは、サンザシだったし、アシュ君は、たぶん、松かな?
アシュ君は、早めに呼ばれて、すぐに部屋に戻って作業するといって、もういない。メリアちゃんも、どこか悲壮な表情で、部屋に戻りますと、一声かけてくれたが、どんよりしながら部屋にむかっていた。
「そうか?私は、メリアのように、手先が不器用ではないんだが…まぁ、明日にできた杖を見せ合おう。食事はどうする?昼は…いつになるかわからないか…」
「うん!見せ合おうね!お昼は…いつ杖できるかわからないから、約束できそうにないかも…でも、夜のご飯は一緒に食べれると思うから、夜は一緒に食べようね!」
「ああ。いい霊木を選ぶんだぞ?」
そうして、ミケ君に手を降って見送った。
さて、気長に待つか。
「しりとりする?」
じゃあ、気晴らしにお話をしてやろう。
「やったぁ!」
とりあえず知識にある異世界の童話をもフーナに置き換えてケルンに語っていくことにした。二話ほど話せば終わるだろ。
俺たちは第三広間といわれる場所に集合した。
第三広間という名前なのに、会場は一言でいうなら、ドームだ。
コロッセオとか、野外舞台の、平地でかなりでかい。そうだな…コンサート会場が似ているな。
天井にぶら下がっている液晶画面のように薄く、長さが横二十五メートル以内か?縦十メートル弱の馬鹿みたいに大きな画面に、写しだされているのはまさに魔女というとんがり帽子に、メガネをかけ豊満な胸を持つ、テンプレかと思うような杖作りの講師の先生だ。
声は、杖をマイクのように持って話しているのだが、不思議なことに、耳に直接届いている。大きくなりすぎてハウリングしているわけでもないが、先生の話し方なのか、いやに間延びしている話し方だ。
天使のおねぇさんを思い出した。この先生も、おそらく灰汁が強いタイプか。
「では、みなさんが、初めて受ける授業なのでー、よく聞いてくださいねー?あ、今、係の者が配っている紙は、無くさないでくださいねー」
で、出た!幽霊の連行人!あ、紙はちゃんと、読むけど、どこから取り出してるの?ローブの中から?ぱんぱんにつめてるの?
「不思議だねー仲良くなったらわかるかな?」
仲良くなるのは無理だろうな。
何度みても生きた人間とは思えない。
「ここではー、みなさんの、これからの学園生活で、必ず!いいですか、必ずですよー?必要になる杖作りを教えますー。杖を持たなくても魔法が使えると思っている子はー、すぐにその考えをー、捨ててくださいねー」
杖なくても、魔法って使えるもんじゃないのかな?
ミケ君に聞こうと思ったのだけど、先生はそれより先に答えた。
「中級より上の魔法が使えないのは、杖がないからなんですよー」
そうなのか?でも、天使のおねぇさんが、許可してくれたのは…そうか、ケルンの魔法って、許可がいるんだった。あんまり、杖関係ないんだよなー。
そもそも魔力をぶちこめばなんとかなるからな。
「えー…でも、お兄ちゃん。練習したけどダメだったよね?『リターンヒール』だけでしょ?」
そうだけど。練習不足だからな。
魔法の訓練を少しだけやっていたからこそ『リターンヒール』を使うことができた。
とはいえ、それ一つしか上級の許可がおりていなかった。
ミケ君や、余波でメリアちゃんの治療ができたあのときから、魔力の調整はほぼしなくてもいい。
魔力自体がまるで栓をされてるみたいにあまりたくさんは使えなくなっているからだ。
その栓を無意識にやっているのは、ケルンだ。
俺の件で恐怖を覚えてしまって使えるのに使わないようになってしまったのだ。
どうにかその栓を取っ払ってしまいたいんだけどな。
屋敷で練習していたときでも初級のそれこそ『ライト』『ウォッシュ』『ドライ』とかばかりだった。
もう少し練習をすれば難しいのも覚えれるかもしれないとケルンに提案をしてもことごとく却下された。
頑張れば中級もいけるかもしれないのに。
「お兄ちゃんが疲れないようにって父様や母様もいってたもん」
でもな、せっかく使えるんだぞ?
「いいの!今日はおしまい!」
って具合にあんまり練習はできなくなってしまった。治療の前まではもう少し練習時間をとっていたってのに。
おかげで基礎属性の基礎魔法の初歩の初歩…簡単なものばかりだったのだ。
ため息をつきたいと思いつつ、画面上では説明が進んでいく。
「上級を使うには、よほど魔力が高いかー、精霊との交信が得意でないとー、魔法は使えないのですー。ですからー、魔法をたくさん使いたいと思っている子は、みんな杖を持ちましょうねー?杖があれば楽になりますよー!」
なんだと!
杖ってことは補助道具だろ?それがあればケルンももっと楽に魔法が使える…よし!いいの作ろう!
「では、まず、杖作りの仕方を教えたいと思いますー。でもー、人数がたくさんなので、詳しい作り方はー、紙を読んで、各自で試行錯誤して作ってくださいねー」
いや、それなら、呼ぶなよ。
何人かの声が重なった。ミケ君もその中の一人だ。
「では、みなさーん。何で、ここに集められたと思いますかー?そうですねー、わからないですよねー?杖の材料になる木は、ただの木では、作れませんー。全部、霊木でーす。私のこの杖も、霊木でできてるんですよー?」
「れーぼく?」
霊木な。
「どんなの?」
ああ、簡単いえば神聖な木とか、魔力が宿る木のことっていえばいいかな。
ケルンはそういう素材を使って制作をしてきていないからな。俺は知識だけはあるから珍しいとは思わないが。
「霊木にはー、切り分けられた瞬間から、それぞれ、別々な個になりますー。ですから、一本の霊木でも、何人かの相性のあった杖を作れるのですー。みなさんにはー、相性の良い霊木を選んでもらいまーす!ですがー、大当たりの霊木と、大外れの霊木がありますのでー、直観で選んでくださいねー。人に聞いちゃうと、大外れをひきますよー?」
元が同じでも、二つに割ったりしたら、別な木になる?それは変な話だよな。どちらも同じ木なのに…もしや、属性か?切ったら属性が付与されるとか?
相性は、大事なことだ。木に限らず、道具も相性があるものだ。
「僕たちみたいー。ね、お兄ちゃん!」
ん?ああ。割ったら二つってとこか。
「僕とお兄ちゃんね」
あー。うん。
まだ調子が戻らないせいなのか、ケルンの真意がさっぱりわからない。二つもなにも、俺らは一緒だってのに。
にしてもだ。大当たりと、大外れ…当たりはいれていていいけど、大外れはいらないだろう…どうしてにこやかにいってるんだろ、この先生。やっぱり、灰汁が強い。
「では、魔力の高い子は、どんな霊木でもある程度は、魔法が使えるのでー、呼ばれるまで、我慢して、待っててねー。ああ、一生物の杖にする人もー、学園に在学中の間だけって人もいるからー、卒業後は、各自で杖の新調しても構いませんよー?でもー、この授業で作った杖は、紛失やー、破壊を除いて、在学中は使ってくださいねー。それから、紛失も破壊も、故意でした場合はー、即時退学ですからねー?」
魔力が高いとどんな霊木でもか…とすると霊木の杖っていうのは、補助の道具ではないのかもしれないな。
どんな霊木でもいいっていうなら、魔力の流れをよくしたり、倍増させるといった効果はないと思った方がいいだろう。
それよりも、おそらくだが精霊様と交信できるのと、魔力が強いという二つの条件があれば、威力のある魔法が使えるということは、杖は精霊様との結び付きを強くすると考えた方がいいかもしれないな。
「では、名前を呼ばれた子はー、こちらの部屋に入って、好きな霊木を取ってきてくださーい」
先生は、杖を壁にむけると、扉がそこに現れた。
そして、続々と名前を呼ばれた子は、壇上の先生の後ろに現れた扉に入って、霊木…形もバラバラで、角材のような細い物から、丸太のようなものまで、持って出てきている。
待つこと三時間以上。
暇だ。
「退屈だね」
人数が多いことと一人辺りの時間がまばらなのだ。早いものは早く、遅いものはとことん遅い。
「ミケ君、僕、まだ呼ばれないんんだけど…」
「そうだな。今は何人目だ?」
「メリアちゃんが四百三十五だったから…今は、四百六十二かな?」
退屈だと聞いてたけど、暇すぎてケルンも俺も眠い。退屈しのぎで人数を数えるほどあきている。
「ケルン…あまり、こういうことを聞くのも、教えるのもよくないのだが…魔力値はいくつだった?」
ミケ君が、聞いてきたことは、本当なら教えてはいけない情報だ。
スキルと魔力は、なるべく知られてはいけない。何に使われるかわからない。命の危険もある。
特に、祝福は知られてはいけない。
学園に入学する前に、父様に『コール』した時に約束したことだ。でも、ミケ君には話してもいいかな。
ただし、那由多なのは内緒にしよう。理解されないだろうからな。
とりあえず、祝福で出た数値をいえばいいぞ。
「うん。五千だったよ?」
「そうか…私やメリアも五千を超えていたんだが…『オープンカード』で、確認してみろ」
あれ?五千って、かなり高い方だと思ってたけど、メリアちゃんも、ミケ君も五千越えてるだと?
「うん、確認してみる。精霊様、お願い!『オープンカード』」
出てきた魔力数値。七千。に、二千も増えてる。本当の数字ではないけど、それでも、何で、そんなに増えて。
加護と祝福。ボージィンの同好者と精霊の保護対象。そして、イムルの後継って項目増えてるんだけど!しかも、スメイン語で書いてある!
「お兄ちゃん…」
隠そう。全力で隠そう。とくに称号のイムルの後継。嫌な予感しかしねぇ。
「そうする!」
なんで変なもんついたんだ?
「どうだ?何かわかったか?」
「う、うーん。魔力増えてたかな」
「そうか。それはいいことじゃないか。元々、フェスマルク家は、最低でも一万は超えるんだからな。うらやましい限りだ」
ごめん、ミケ君。ケルンは本当は那由他あるから。本当、いえないけど。
あと、イムルの後継って祝福?加護?どちらにしても、リンメギン国の人には、絶対に見せてはいけない。
国が亡ぶ。うちの家族の手によって…というか、約一名が絶対に許さない。
「ミケ君。僕を待たなくていいよ?杖作りしなきゃだし、メリアちゃんもアシュ君も先に帰ったんだから」
ミケ君はメリアちゃんの後にすぐ呼ばれたのだが、ケルンが終わるまで一緒に待つといってくれたのだ。
本当にいい子だ。お礼にブラッシングさせてもらいたい。いや、それではお礼にならないか。
ミケ君が選んだのは、ハシバミの木かな?メリアちゃんは、サンザシだったし、アシュ君は、たぶん、松かな?
アシュ君は、早めに呼ばれて、すぐに部屋に戻って作業するといって、もういない。メリアちゃんも、どこか悲壮な表情で、部屋に戻りますと、一声かけてくれたが、どんよりしながら部屋にむかっていた。
「そうか?私は、メリアのように、手先が不器用ではないんだが…まぁ、明日にできた杖を見せ合おう。食事はどうする?昼は…いつになるかわからないか…」
「うん!見せ合おうね!お昼は…いつ杖できるかわからないから、約束できそうにないかも…でも、夜のご飯は一緒に食べれると思うから、夜は一緒に食べようね!」
「ああ。いい霊木を選ぶんだぞ?」
そうして、ミケ君に手を降って見送った。
さて、気長に待つか。
「しりとりする?」
じゃあ、気晴らしにお話をしてやろう。
「やったぁ!」
とりあえず知識にある異世界の童話をもフーナに置き換えてケルンに語っていくことにした。二話ほど話せば終わるだろ。
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